【ニュース裏表・11.24】:石破首相APECの外交失態 中韓「反日」勢力に付け入るスキ与える懸念 有元隆志
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ニュース裏表・11.24】:石破首相APECの外交失態 中韓「反日」勢力に付け入るスキ与える懸念 有元隆志
下関市(山口県)は「幕末の志士たちの息吹」が聞こえてくる街でもある。高杉晋作が隠れた井戸、志士たちを支えた商人、白石正一郎の旧邸跡などの史跡が点在する。この地で2013年に発足したのが長州「正論」懇話会だ。正論懇話会は産経新聞の「正論路線」に共鳴、賛同する人たちの集まりである。
14年7月の講演会で、当時の安倍晋三首相は「長州は近代国家日本を生み出す原動力となった。志士たちが生まれた土地でもある。私も長州人の血を引いていることを誇りに思っている」と語った。
19日に行われた長州「正論」懇話会の第52回講演会に、私は産経新聞論説委員の阿比留瑠比氏と登壇した。
冒頭、話題となったのがアジア太平洋経済協力会議(APEC)での石破茂首相の振る舞いだ。あいさつに訪れた外国の首脳と座ったまま握手を交わしたり、腕組みしたまま式典に臨んだ映像が世界に流れ、「外交マナーがなっていない」「日本の恥」などとSNS上で批判を浴びた。
APEC閉幕に合わせた各国首脳の集合写真にも、石破首相の姿はなかった。開催国ペルーのアルベルト・フジモリ元大統領の墓参りに行ったものの、交通渋滞に巻き込まれ間に合わなかったためだ。
一つずつあげつらうつもりはないが、「石破首相で大丈夫か」と思うのは当然である。阿比留氏は、来年夏の都議選、参院選を控え、候補者たちの間から「石破首相を代えてほしい」との声が高まると予想した。
中でも、産経新聞で長期連載「歴史戦」を担当した私と阿比留氏の共通の懸念は、来年が「終戦80周年」「日韓国交正常化60周年」の節目の年にあたることから、「中国や韓国が、石破首相の歴史観を利用してくるのではないか」ということだ。
共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(10月18日付)は、石破首相が毎日新聞鳥取県版(06年9月23日付)に「最近は、自民党の若い議員を見ても、怖い。過去の戦争を『すべて正しかった』と考えていて、頭は大丈夫かと疑いたくなる。日中戦争は明らかに侵略戦争だし、韓国併合は植民地化(だ)」と語ったと紹介している。
終戦70年にあたる15年、「70年談話」を出すにあたり、当時の安倍首相は有識者らによる「21世紀構想懇談会」を設置した。
座長代理だった北岡伸一東京大学名誉教授は「中央公論」12月号で、懇談会報告書を提出してからも、安倍氏や首相秘書官だった佐伯耕三氏と頻繁にやり取りをしたことを明かしている。「70年談話」を作成するため、安倍氏は念入りに準備したのである。談話発表後、「歴史問題に関する海外からの日本批判は急速に小さくなった」(北岡氏)。
石破首相が、安倍氏に対抗して「80年談話を出したい」などと言い出さないでほしい。阿比留氏が言うように「首相が過去の言動を繰り返すようなら、さまざまな仕掛けをしてくることが予想される中国や韓国の反日勢力に付け入る隙を与えることになる」からだ。(産経新聞特別記者 有元隆志)
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