【金口木舌・12.21】:条理と不条理
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・12.21】:条理と不条理
「条理」とは物事の筋道や道理を指す。明治時代の布告「裁判事務心得」は成文法がない場合は慣習法、慣習法がない場合は条理に基づき判断することを求めた。法の隙間は条理で埋めたのだ
▼米兵事件の被害者遺族が、SACO見舞金を巡り遅延損害金を含む賠償を求めた訴訟で、最高裁は上告を棄却し、遺族側の主張を退けた。しかし、制度で遅延損害金が除外されることについて、三浦守裁判長は「不合理」と意見した
▼三浦氏は2009年から1年間、那覇地検の検事正を務めた。当時、米兵によるひき逃げ死亡事件があった。日米地位協定により起訴前の身柄引き渡しを求めることができない上、米兵は供述を拒否し、捜査は難航した
▼民主党政権が誕生し、米軍普天間飛行場の代替施設を県外に求めたのもその頃だ。県民の願いと政権の方向性が一致しても、辺野古移設に回帰した
▼「現在もなお重要な犯罪行為が繰り返されている沖縄県の住民の負担を真に軽減することは、国政の重要な課題である」。沖縄に横たわる司法、立法、行政の不条理を突く三浦氏の意見に一筋の条理を見る思いがした。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2024年12月21日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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