路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【小社会・12.22】:見直し

2024-12-24 05:05:25 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・冤罪・再審請求、刑法39条】

【小社会・12.22】:見直し

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【小社会・12.22】:見直し

 元東京高裁判事の弁護士、木谷明さんは「伝説の刑事裁判官」と呼ばれた。裁判官37年のほとんどを刑事部門で過ごし、その間に30件以上の無罪判決を出し、確定させた。

 冤罪(えんざい)が後を絶たない現状は退官後も歯がゆかったのだろう。刑事司法に意見を発信し続けた。ことし、逮捕から58年を経て再審無罪が確定した袴田事件を巡っても、本紙にコメントや寄稿文がたびたび載ったが、先月急逝した。

 誤解を恐れずに紹介すると、木谷さんは「冤罪を『完全になくす』ことは不可能」だと割り切った考え方をしていた(著書「違法捜査と冤罪」)。完璧な裁判システムはなく、人が裁判を行う以上、間違いは起きると。

 ただし関係者は冤罪を1件でも減らす「最大限の努力をする責務がある」、「過去の誤判・冤罪事例に学ぶこと」が大切であると説いた。それを実現したい。袴田事件などを教訓に再審制度の見直し作業が始まることになった。

 見直しは当然だろう。いまの再審制度はあまりに問題が多い。だがそれ以上に改善すべきは関係者の意識ではなかろうか。犯罪の証拠を集められず自白偏重に陥る。挙げ句に証拠をでっち上げる。裁判所の責任も重い。

 英国の歴史家E・H・カーは「歴史とは現在と過去との対話である」との箴言(しんげん)を残した。日本の司法もよりよい歴史を残すには常に過去を、現在を問い続けなければなるまい。木谷さんもそう願っているはずだ。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【小社会】  2024年12月22日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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