路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【主張①・12.21】:与党税制改正大綱 責任ある論議尽くしたか 安定的な防衛財源を確実に

2024-12-21 05:03:50 | 【税制・納税・減税・年収「103万円の壁」・ふるさと納税・物納・脱税・競売】

【主張①・12.21】:与党税制改正大綱 責任ある論議尽くしたか 安定的な防衛財源を確実に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.21】:与党税制改正大綱 責任ある論議尽くしたか 安定的な防衛財源を確実に 

 国民民主党との協議に折り合いをつけられぬまま、自民、公明両党が令和7年度与党税制改正大綱を決めた。焦点の「103万円の壁」を巡っては、所得税の非課税枠を123万円に引き上げることを盛り込んだ。

 国民民主が求める178万円とは開きがある。3党幹事長は20日の会談で協議の継続を改めて確認し、交渉の枠組みが決裂することだけは回避した。

与党の税制改正大綱を手に記者会見に臨む自民党の宮沢洋一税制調査会長と公明党の赤羽一嘉税制調査会長(左)=20日午後、国会内(春名中撮影)

 年収の壁の見直しは壁を超えないようにする働き控えの抑制策であり、恒久的な減税策だ。暮らしにも幅広く影響する。

 本来は国民民主の賛同を得て与党大綱を決定し、大綱に基づく法案を成立させる道筋をつけるべきだったが、少数与党の石破茂政権にはできなかった。その責任は当然ながら重い。

 ◆「壁」引き上げは妥当だ

 国民民主の姿勢にも残念な点がある。法案成立のキャスチングボートを握ることに意を強くし、手取りの増加を掲げた自らの公約を反映させようと強気に出たのはいい。

 だが、178万円に固執するあまり、与党との土壇場の交渉に応じなかった振る舞いは首肯できない。国と地方で7兆~8兆円の減収になるとの試算を踏まえた財源確保も納得できる具体策を示さなかった。

 これでは無責任である。税制改正を担う政党としての自覚に欠け、「対決より解決」という看板も色あせて見える。

 与党が決めた非課税枠の拡大は、最低限の生活に課税しない基礎控除と、会社員らの経費を差し引く給与所得控除をそれぞれ10万円ずつ引き上げて、控除の合計額を現行の103万円から123万円にするものだ。

 103万円は約30年も据え置かれており、これを引き上げるのは妥当である。焦点だった引き上げ幅について、食費や光熱費など身近な物価の上昇率を反映させたこともうなずける。

 大学生年代(19~22歳)の子供を扶養する親の税負担を軽減する特定扶養控除も見直し、子供の年収制限を103万円から150万円に引き上げる。親の控除がなくならないよう103万円を超える就労を控えるアルバイト学生は多い。「103万円の壁」への対応で手をつけるのは当然だ。就労を促して人手不足の緩和につなげたい。

 大綱には、補正予算を成立させるため自公と国民民主の3党幹事長が先に合意した事項も明記した。178万円を目指す方針やガソリンの暫定税率廃止である。いずれも時期や実施方法は示されておらず、今後、3党間で改めて協議する。

 その際には、巨額の税収減を伴うこれらの措置の必要性についてよく吟味すべきだ。減税で可処分所得を引き上げて消費を刺激する狙いは分かる。一方で民間企業では賃上げの動きが広がっている。物価高が深刻だとしても、それで消費が極度に落ち込んでいるともいえない。

 ◆減税の必要性吟味を

 ただでさえ社会保障費などの財政需要が急増する中、財源の当てもなく大規模減税を進めるわけにはいくまい。地方への影響も見極める必要がある。減税で経済が上向けば税収増も期待されるが、それがどの程度なのかも詳細に検討すべきだ。 

 一方、大綱では、防衛力を抜本的に拡充するため2年前に実施を決めた3つの増税項目のうち、所得税増税を始める時期の決定を先送りした。法人税とたばこ税は8年4月から増税を実施することが決まった。

 所得税見送りの背景には手取り増を掲げる国民民主への配慮などもあったようだ。だが防衛力を安定的に強化するためには安定した財源が必要だ。そのための道筋をいつまでも決められないのはどうしたことか。軍事的圧力を強める中国などがどうみるかについて懸念する。

 高校生年代(16~18歳)の子供がいる世帯の扶養控除縮小については、現状を維持することにした。控除縮小は児童手当の支給対象に高校生を含めることに伴う措置だ。だが、昨年末の税制改正では最終決定に至らず今回の改正に持ち越された。それがまたもや見送られた。

 先の衆院選で大敗した与党にすれば負担増につながる税制改正は極力避けたいのだろう。一方で衆院選で大きく議席を伸ばした国民民主は世論の支持に自信を深めて減税路線の一点張りである。そうした政治状況で与党が役割を果たすべき責任ある税制論議が深められたのかは疑わしい。石破政権は厳しく認識すべきである。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月21日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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