【社説・12.20】:政治改革3法案/「抜け道」許さぬ制度を築け
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.20】:政治改革3法案/「抜け道」許さぬ制度を築け
「政治とカネ」の問題を根絶するための入り口に立ったに過ぎない。政治に信頼を取り戻すために不可欠な改革を急ぐべきだ。
政治資金規正法再改正案を含む政治改革関連3法案が今国会で成立する見通しになった。この中には、野党7党が提出した使途公開不要な「政策活動費」を全廃する法案が含まれ、与党の自民、公明両党も賛成に回った。
政策活動費は政党から議員個人に支給され、自民では党幹部に億単位の巨費が渡っていた。6月の規正法改正では、野党側が廃止を求めたが、自民は使途公開の方向性については受け入れたものの、制度自体は存続された。
使い道が不透明な制度の維持に固執した自民の姿勢が、先の衆院選での大敗の一因となった。不正の温床とされてきた政策活動費の全面廃止は当然だ。
審議の過程で、自民は政党支出の相手を非公開にできる「公開方法工夫支出」の新設を提案した。外交上の秘密やプライバシーへの配慮が理由で、石破茂首相は支出の上限額を設けず、領収書も公開しないとの考えを示していた。
野党から「第二のブラックボックス」などと批判され、公明党からも理解は得られず、新設は見送られた。与野党伯仲の国会がもたらした結果でもあるが、自民は政治改革への後ろ向きな姿勢を露呈した格好だ。党内の旧態依然の感覚が、民意と大きな隔たりがあることを自民は肝に銘じるべきだ。
これまで長く放置されてきた、国会議員に月額100万円支給されている調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)も見直し、使途公開と残金の国庫返納を義務付けることになった。
しかし使途の公開や返納の方法、政治資金の流れを監視するため国会に設置される第三者機関の組織体制などは今後の議論に委ねられた。透明性の確保が最重要だ。与野党には、抜け道や不正を許さない仕組みの構築を求めたい。
最大の焦点とされた企業・団体献金については、来年の通常国会で協議し、年度内に結論を得ることになった。野党が「政策決定がゆがめられてきた」などと禁止を求めたが、自民は、企業にも政治活動や表現の自由が保障されているとして譲らなかった。
立憲民主党は、企業などが自由意思で結成した政治団体の寄付は献金禁止から除外する案を示し、共産党は全面禁止を訴えるなど各党の主張は異なる。与野党が全廃という一致点を見いだした政策活動費と同様に、国民感覚とずれのない結論を求めたい。
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