【HUNTER・08.19】:総裁選でキングメーカーになるのは・・・
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・08.19】:総裁選でキングメーカーになるのは・・・
8月14日、岸田文雄首相が突然記者会見を開き、9月に予定されている自民党総裁選への不出馬を表明した。「その日、朝9時過ぎに官邸に入った岸田さんは、側近の木原誠二幹事長代理を呼び不出馬を伝えたそうです。その後、林芳正官房長官や党三役らに相次いで連絡。『総裁選に出馬してほしい』という声もあったが、岸田さんは『決断したので』と取り合わなかった」と自民党の大臣経験者が舞台裏を語る。
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8月はじめ、旧岸田派の数人の議員が岸田首相のもとを訪ねた。早い時期の総裁選出馬表明を求めるためだった。事情を知る旧岸田派の同僚議員がこう振り返る。
「総理が、ひょっとしたら総裁選に出馬しないのではないかと危惧する話が出ていた。そこで、派閥は解散しても総理をしっかり支えると、数人で伝えに行ったのです。総理は嬉しそうだったといいますが、はっきりした態度は示さず『現状ある課題を一つひとつやっていく』という話にとどまったそうです。それでも続投しかないと思っていたので、不出馬は信じられません」
しかし、岸田首相の「続投」は極めて厳しい状況だった。最近行われたメディアの世論調査では、必ず岸田首相の「続投」についての問いがあった。
朝日新聞の7月の世論調査では「続けてほしくない」が74%。JNN(TBS)の世論調査では「交代した方がいい」が70%と「退陣」を望む声が大きな割合を占めていた。
「党内では、岸田さんが続けることはまずないという感じでした。理由は簡単。岸田さんでは選挙に勝てませんから」(旧二階派の国会議員)
来年夏には参議院選挙を控え、衆議院も残す任期が1年ちょっと。来年は東京都議選、斎藤元彦知事で話題の兵庫県知事選など大型選挙が控える。2021年、首相だった菅義偉氏の総裁選出馬断念は、「菅氏では選挙は勝てない」という声に抗しかねた結果だった。
菅氏の後を受けて首相になった岸田氏は、2021年10月に解散総選挙を断行。自民党は単独過半数を維持した。今回は、岸田首相自身が選挙の顔になれないとNOを突き付けられた格好だ。
一方で、岸田首相の不出馬表明を評価する声もある。「菅さんの時は不出馬表明が9月に入ってから。総裁選の日程は決まっていたが、党内では『菅おろし』の声が日増しに高まっていた。岸田さんの場合は、総裁選の日程がまだ決まっていないお盆の真っただ中での不出馬表明。ある意味、今後の権力維持、キングメーカーに君臨できる道を残したといえる。早めに退任を表明したことで総裁選がグッと盛り上がることは間違いなく、そこは岸田さんの決断として評価できる」(前出の大臣経験者)
岸田首相は、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長の主流派に支えられ総裁の座に就いた。勝利した総裁選での公約は、党役員の任期を1期1年の連続3期、3年としたことだ。麻生氏は副総裁を退任するしかない。
「 麻生さんにはポストがなくなる。唯一残るのが、麻生派の会長という肩書だけ。キングメーカーとしては終えんを迎えつつあるんじゃないか」(旧安倍派の議員)
すでに岸田派は解散しているが、解散した他の派閥とは異なるという見方がある。
「岸田総理に加えて、岸田派のプリンスだった林芳正官房長官が権力の中枢にいる。草刈り場になりつつある安倍派や二階派などよりはずっと結束が固い。林氏が将来の総裁候補であることは誰もが認めるところ。さらに上川陽子外相もいる。人材は豊富だ。岸田さんが麻生さんに代わってキングメーカーになる可能性がある」(旧岸田派議員)
総裁選の構図は、主流派である岸田・麻生・茂木の3人と、菅・二階らの非主流派がしのぎを削ることになりそうな展開だ。非主流派は、国民的な人気が高い石破茂元幹事長や小泉進次郎元環境相の擁立を模索する。主流派は「派閥政治」が続いていれば茂木氏となるはずだったが、メディアの世論調査では「次の総理」としての期待度は1%ほど。選挙の顔として不適格なのは、衆目の一致するところだ。
そこで注目されるのが河野太郎デジタル相だという。河野氏は前回の総裁選で岸田首相に敗れて2位だった。しかし1回目の投票で、党員票は岸田首相を上回りトップ。前出の大臣経験者はこう解説する。
「小泉が出馬となれば、河野らの年代を飛び越えて一気に世代交代となる。すると河野にはチャンスがなくなる。茂木さんは、茂木派でも人気がなく、世論調査でも数字が伸びない。河野は、世論調査で石破、小泉に次ぐ3位につけ、知名度も人気も十分だ。岸田内閣の閣僚の一員で、麻生派でもある河野を主流派が担ぐ態勢にもっていけば、岸田総理も麻生さんも納得だ。茂木さんも財務相などで処遇すればとりあえず丸く収まる。岸田さんはキングメーカーとして新たな地位を築ける」
岸田首相は記者会見で何度も「自民党は変わらなければならない」、「自民党が変わったということを示すというのが第一歩だ」と繰り返し「変わる」ことを強調した。だが裏では、キングメーカーとして君臨したいという魂胆が透けて見える。果たして今回の総裁選でキングメーカーになるのは岸田氏か菅氏か、あるいは麻生氏か?
元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政局・自民党・岸田文雄首相が突然記者会見・9月に予定されている自民党総裁選への不出馬を表明】 2024年08月19日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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