【金口木舌・11.09】:闇バイトの入り口
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・11.09】:闇バイトの入り口
「ホワイト案件」だと思ったら、強盗殺人事件に手を染めていた。闇バイト事件の容疑者の供述からは、事件の凶悪さとはアンバランスな、入り口の安易さが浮かび上がる
▼20年以上前、似たような経験をした。最低賃金600円台の当時、求人誌に時給800円のテレホンアポインターの仕事があり応募した。1日100件以上の電話をかけ、家庭教師の紹介をするのが仕事。営業に出向くアポが1件でも取れれば盛大にほめられる
▼いつしか営業要員になり、契約額に応じた歩合給をもらった。そこで気づく。家庭教師の紹介とは名ばかりで、実態は粗悪な教材を高額で売りつける悪徳商法だった。こわもての上司に正面から指摘できず、黙って辞めた
▼実質賃金は当時から下降の一途。「まとも」な仕事で得られる給料だけでは「まとも」な生活が難しいと考える若者もいよう。少しでも効率的に金を稼ごうとしたところに落とし穴がある
▼日雇い派遣は原則禁止なのに、単発・短時間の「スキマバイト」市場は拡大する。怪しげな投資案件も目に付く。凶悪事件の背景に、労働の価値が薄れゆく世相が見える。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2024年11月09日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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