【社説・12.25】:政治改革関連法が成立 真の「言論の府」実現を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.25】:政治改革関連法が成立 真の「言論の府」実現を
政策活動費を廃止する政治資金規正法再改正案を含む政治改革関連3法が参院本会議で可決、成立した。
政治への国民の不信感を拭い去ることができるかどうかはこれからの作業である。政治資金の不正使用を繰り返さないためにも、制度設計や運用の在り方に魂を込めてもらいたい。
使途公開が不要だった政策活動費は全廃となる。ただ、自民は廃止の代わりに、政党支出の相手を非公開にできる「公開方法工夫支出」の新設を提案するなど、最後まで抵抗した。しかし、結局は「抜け穴になる」との野党からの批判をかわせず、撤回した。
調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の改革議論でも、自民は消極的だった。月額100万円の支給が日割りへと見直されていたが、2021年の問題提起から今国会で使途公開や残金の返納が決まるまで3年かかった。
旧文通費を巡る改革を定めた改正歳費法の成立は、長期政権を担う自民のおごりに対し、国民が不信感を突き付けた衆院選のたまものである。自民は自浄作用を発揮できなかったことを猛省しなければならない。
焦点である、企業・団体献金の禁止に関する議論は年明けの通常国会に舞台を移す。与野党とも謙虚な姿勢で臨んでもらいたい。
政治とカネの問題に加え、熟議の場として国会が機能し、立法府として存在感を保っていくことこそが国民の政治への信頼を取り戻すことにつながる。
今国会では2024年度補正予算の審議で、立憲民主党の求めに配慮して能登半島地震の復興予算に1千億円を予備費から充当した。衆院選で自民、公明の与党が大敗し、野党の協力を得なければ法案の衆院通過が難しい状況が影響している。
政府・与党にとってはやりにくいかもしれない。しかし、議論を積み重ねて法案を修正していくことは、多くの意見を施策に反映させることにつながる。
これまで自民は、党政務調査会などで法案を事前審査して党議拘束をかけて成立させることが常態化してきた。国会審議を形骸化させるものであり、その改革も通常国会の論戦の焦点とすべきだ。政治改革は国会改革でもある。
石破茂首相は、少数与党で臨んだ臨時国会を振り返り「熟議の国会にふさわしい」と述べた。そもそも数で押し切るという自民の手法には首相自らが否定的だったはずだ。少数与党の現状を契機に、国会政治改革を推し進めてもらいたい。
今後の国会運営でも多数を占めた野党側も党利のみを押し出すのでは国民の理解は広がらない。与野党が拮抗(きっこう)した国会の場で、緊張感を持った審議によって、幅広い意見を政策に収れんさせていく言論の府本来の姿を示してもらいたい。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月25日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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