今日の「朝日」をみると、我が愛する祖国日本の重大な問題を差し置いて、いや免罪して、またしても中国国防費は「実態不明朗」と断じる=「悪口」満載記事があったので、一言言っておきたくなった。以下が、その内容だ。ネットにはないので、一面のみ掲載しておこう。勿論中国の軍拡は正しいなんて言うつもりは全くないことだけは最初に言っておく。
中国国防費「公表の1.7倍」 昨年分高官が証言 12年予算11%増の8.7兆円
中国の昨年の国防予算費が、実際には公表額の1・7倍に上っていたことが分かった。中国軍高官が証言した。一方、中国当局は4日、2012年の国防予算案が前年実績比11・2%増の6702億元(約8兆7千億円)になると発表した。2年連続での2けた増だが、これも実際の国防予算費を大きく下回っている可能性がが高い。=2面実態不明朗
国会にあたる全国人民代表大会(全人代)報道官の李肇星・前外相の4日の記者会見によると、12年の国防予算費は当初予算比で11.5%増。24年連続の2けた増となる。実績比とともに11年の国内総生産(GDP)の伸び率9・2%を上回る水準だ。
ドル換算では約1064億㌦で初めて1千億㌦台となった。各国の軍事費比較では、07年に日本を抜いており、3年連続で米国に次いで2位となる見通し。
しかし、軍関係者によると、こうした中国の公表する国防費には、兵器の研究開発のための「国防科学研究費」や、外国から特殊な備品を買う「装備調達費」が含まれず、財務省の予算に組み込まれる。中国政府の予算事態の公表が不十分なため、こうした他省庁分の軍事関連の部分については明らかになっていない。
中国軍のシンクタンク「中国国際戦略学会」(会長=馬暁天・副参謀長)の現役少将が、2月に北京を訪れた外国の防衛当局者との非公開の会合で明らかにしたところによると、こうした軍事関連経費などを加えると、少なくとも昨年の実際の国防予算額は、公表額の1・7倍に相当するという。この少将は、国防予算の公表額と実態がかけ離れている理由について「予算の仕組みや国防費の定義が、米国などほかの国とは異なるため」と説明した。別の軍系シンクタンクの研究員は「米国も核兵器開発費などは国防費に入れていない」と主張する。
このため、複数の軍関係者によると、次世代ステルス戦闘機「殲20」や、「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイル「東風21D」などの兵器の開発や製造の費用の一部が、国防費には盛り込まれていない。
中国国防省は、国防費が①兵士の生活費②訓練費③装備費にほぼ3等分されると説明。李肇星報道官は会見で「すべての兵器の研究、実験、購入にかかる費用は、毎年発表している国防費の中に含んでおり、透明性は高い」とした。(北京=峯村健司)
何が「悪口」か。以下まとめてみる。
1.中国には中国のやり方があるのに、日本の見方を基準に「不明朗」と断じていないか。
2.中国の国防費を論ずる時の「前提」を抜きにしている。太平洋をはるか遠く離れたアメリカ軍が中国大陸の近くまで軍隊をもってきているということだ。これが「逆だったら」という想像力は全くはたらいていない。
3.中国の国防費が毎年伸びてきているというが、戦後日本においては自衛隊こそずっと軍事費を伸ばし続けてきたのではないのか?GNP1%枠を設定したのも、軍事費増への批判をかわすためだったはずだ。しかも、これもトリックだった。GNPが伸びていけば、軍事費も伸ばせるからだ。
4.2面には「空母1.6兆円 別枠」と大文字が躍っているが、米軍空母の配備、大型のヘリ搭載護衛艦=ヘリ空母を配備する日本の場合はどうかを問題にしないのか?同様に2面の「予算の実態、不明朗」とあるが、日本の場合はどうか?「明朗」か?
5.しかも軍事費の枠組みは国によって異なっていることを曖昧にしているのだ。以下の「朝日」の記事を「朝日」自身が忘れているのではないか?いや変質した「朝日」の本質を示した記事と言える。
日本の防衛費、いったい何位? NATO方式に従い計算すれば政府見解でも5位だが恩給すべて含むと3位(988/10/19 朝日新聞朝刊)
○6つの経費で定義
この定義は秘密だが、専門家によると、NATOのいう軍事費は次の6つから成る。
(1)軍隊の維持管理に必要な人件費・物件費
(2)軍事研究開発費
(3)軍事援助費(返済しなくてもいいもの)
(4)準軍隊・警察隊費(沿岸警備隊、国境警備隊、憲兵警察など)
(5)国防省以外の省庁の支出のうち軍事目的に使われるもの
(6)退職金・退職年金
NATO諸国はそれぞれ各自の防衛予算を組んでいるが、それとは別に、NATOの定義に従った防衛費も算定される。別表で明らかなように、NATO方式ではじきだされた防衛費のほうが、一般的に多くなる。これは、NATO方式のほうが軍事費の範囲を広くとっているからだといわれている。
日本の場合、戦争放棄をうたった憲法との兼ね合いもあり、防衛費の定義はかなり限定されたものになっている。だから、英、仏、西独と正確に比べるつもりなら、わが国もNATO方式で計算し直す必要がある。
NATOが軍事費と定義づけた6つの経費のうち、(1)軍隊の維持管理費と(2)軍事研究開発費が、わが国の防衛費に入っていることは確かだ。(6)の退職金・退職年金も自衛隊発足後に限るなら、これも入っている。 (3)の軍事援助費はない。一部で期待されている戦略的援助が本格化すれば、灰色領域に入る心配はあるが、今はまずゼロとみてよいだろう。(4)の準軍隊・警察隊の経費で微妙なのは海上保安庁だ。同庁法は「軍隊としての訓練」を禁止しており、政府は同庁の経費を防衛費と見ていない。ただし自衛隊法は、有事の際、防衛庁長官に海上保安庁を指揮する権限を与えている。(5)の「防衛庁以外の省庁」が軍事目的に支出している例はない、と政府は言う。ただ、かつて国会で、道路、港湾、空港、鉄道などにかかる国の費用の一部がこれに相当するのではないか、という論議はあった。
いろいろ論議はあろうが、この際、NATOの定義のうち、(3)(4)(5)は日本では該当なし、としよう。すると、残りは(6)の退職金・退職年金の中の「旧軍」分だ。米両院合同経済委員会が「NATO方式に従って軍人年金も軍事費に含めれば・・・」といっているのがこれである。
軍人年金を防衛費に入れるのは、国際的常識なのだろうか。日本政府もその点は否定できないようだ。しかし、それでも、軍人年金のすべてが防衛費に入るわけではない、との見解を堅持している。
昨年5月、参院予算委員会で表明された政府見解によれば、(1)旧軍人の恩給のうち「普通恩給」と「普通扶助料」は、NATO定義の軍事費に入る、(2)その額は、恩給費の45%程度、(3)従って、NATO方式による日本の防衛費はGNPの1.2%程度になる――という。
この見解で明らかなように、GNPの1.2%説は、軍人年金をもっとも狭く解釈して出てきたものだ。85年4月の衆院安保特別委員会で示された政府見解では、軍人恩給全部を含めるとGNPの1.5%ぐらい、厳密に定義したものに限るならば「1.2%台」といったところだ、となっている。
しかし、別掲でも紹介したように、国際的には1.5%説が大勢のようだ。ここでは、1.5%、1.2%の両説をもとにその総額を試算した(別表)。最初に述べたように、わが国の防衛費(NATO方式)は、GNP1.5%で世界3位。1.2%なら世界5位だが、1.2%台でも後半の数字なら、やはり世界3位になる。
6.以下の国会質疑を「朝日」は報道したか?
(1)グアム移転経費 削減すべきだ 「米軍再編」見直し 赤嶺議員質問2012年2月18日(土)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-02-18/2012021802_01_1.html
(2)辺野古アセス 防衛局ぐるみ構図はっきり審査委員は発注者 笠井議員の追及2012年2月29日(水)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-02-29/2012022904_01_1.html
(3)日米同盟の深化を容認する「朝日」、消費税増税を推進するために「身を切れ」論を展開する「朝日」は米軍再編に伴う国民の血税の行方を取り上げ、日米政府を追及したか?以下のやりとりは、どうだったか?
赤嶺議員が予算委で取り上げた 米議会公聴会のやりとり 赤旗2月18日
日本共産党の赤嶺政賢議員が17日の衆院予算委員会で取り上げた、米軍再編にかかわる経費を日本側が全面的に負担することを示した米下院軍事委員会公聴会(15日)でのやりとりは次のとおりです。
ボルダーロ議員
日本が(米軍再編)計画の更新を追求し、(グアムに)来る海兵隊の数が減るということを特定したが、彼らは(グアム)増強のために提供する資金の全体を削減するつもりなのか? もし、日本が財政的なコミットメントを減らせば、グアムの軍関係の住民を支援するためのインフラ整備のための支援が減るのか?
パネッタ国防長官
その点はわれわれの議題の一つだ。ご存じのように、(米軍再編の)要素の一つは、新たな普天間航空基地の開発だ。それは高価なプロセスだ。環境上の許可を得る必要があるからだ。しかし、同時に、彼らは寛大なことに、いかなる移転がなされようとも、(財政的に)支援する、彼らは支援のための多額の資金をわれわれに与えてくれる。今いったように、私は、交渉における日本側の姿勢に非常に満足している。
ボルダーロ
いかなる削減もないと考えていいのか?
パネッタ
そうだ。
(4)「朝日」が米軍移転のカネの問題を報道したのは、以下の内容だ。しかも中国の国防費の記事と比べれば、その扱いは天と地ほどの違いだ。
米軍グアム移転予算962億円 3年で使用1割のみ 「朝日」2012年2月8日
沖縄の米海兵隊グアム移転費の日本側負担として米国に提供するため計上した予算が、1割ほどしか実際の事業に使われていないことがわかった。田中直紀防衛相が7日の参院予算委員会で明らかにした。 田中氏によると、2009~11年度の3年間で962億円を予算化。使われたのは09年度分の一部で102億円にとどまる。「米側での契約遅延」などが理由だという。共産党の井上哲士氏に答えた。 11年度分の149億円については米側に提供もされていない。 米議会での軍事費削減や地元グアムでの反発などで、日本の資金を使う移転先の施設整備事業について「新たな契約の締結が困難な状況だ」(田中氏)としている。
7.F35戦闘機購入予算計上にあたって「朝日」の視点は「不明朗」どころか、「是認」だ。以下の記事をみてみよう。
(1)「赤旗」主張「F35」 採用決定異常な大軍拡は許されない2011年12月21日(水)http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-12-21/2011122101_05_1.html
(2)「不透明感漂う未知の翼F35=コスト上昇や開発遅延―米」(2011年12月13日21時6分)としているが、否定をしていない。高い買い物なのに・・・http://www.asahi.com/international/jiji/JJT201112130127.html
・・・開発と生産を同時進行させる同省と開発主契約社のロッキード・マーチン社の方針は、度重なる設計変更と飛行試験の遅れを招き、米空軍にも実戦配備されていない未知の翼だ。緊縮財政でF35も予算削減から逃れられる聖域ではなく、単価や日本への機体引き渡し時期には不透明感が漂う・・・開発の遅れに業を煮やしたゲーツ前国防長官は昨年、国防総省のF35開発担当責任者を更迭。後任のパイロット出身のベンレット海軍中将はこのほど軍事専門紙で、必要な各種試験が全体の18%しか実施されていない実態を明らかにした。
同中将によると、金属疲労試験の結果、機体の部品の強度が8000時間の飛行時間に耐える基準を満たさず、亀裂が発生する可能性が高いことも判明。これまでに実施した金属疲労試験は空軍仕様機で目標の20%、海兵隊仕様では6%にとどまるという。日本は空軍仕様を候補にしている。[時事通信社]
(3)以上のような問題アリすぎのF35戦闘機だが、購入に対しては「是認」の態度だ。「ニュースおさらい ジュニア向け」の「F35戦闘機って?」(1月28日付)をみると、「敵に発見されにくい最新機」「米国での開発に遅れ」として「防衛省は日本の会社がよりたくさんの部品をつくれるように、アメリカと話し合いをする考えだが、最新の戦闘機だけに秘密も多い。特にレーダーやステルスに関する技術は教えてもらえないだろうとみられている」と重大な問題があることを「ジュニア」に語ろうとはしていない。メカに眼を向けさせているのだ。
8.中国の軍備増強の「脅威」を煽るが、約13.4億人の中国の軍事費約8兆7千億円と約1.3億人の日本の軍事費4兆8千億円を一人当たりの人口比でみれば、中国の国防費を云々できるのか?日本の人口の約10倍も住む中国、国土面積は25倍もある。歴史も違う。その国を日本のものさしで単純化することにどれほどの意味があるか。しかも貿易額では今やアメリカを抜いているのだ。
一つ例をあげておこう。携帯電話の日中の比較だ。こういう視点で軍事費も比較する必要があるだろう。
日本は、2011年12月末の携帯電話(PHS含む)の加入契約数が前年同期比7.6%増の約1億2986万8000件となり、初めて日本の総人口(1億2805万7352人)を上回ったという。(2012年2月21日23時18分 読売新聞)
工業情報化部は26日、昨年における全国電気通信業の統計公報を発表した。データによると昨年末現在、中国の携帯電話ユーザーは8億5900万件に達し、普及率は100人あたり64.4台で前年末比8.1ポイント上昇し、固定電話普及率の約3倍となった。「京華時報」が伝えた。(「人民網日本語版」2011年1月27日)
9.だいたい「有事」と言えば何でもアリなのだ。日米安保条約からみても、大いに問題アリだ。報道の仕方としても、憲法第九条のある国として、きわめてアンフェアーだ。だが、重大さをスルーしているのだ。それは以下の「朝日」の記事だ。
「朝日」は「動く極東序章下」(2月20日付)で「軍事的存在感を高める中国、そして国際社会から孤立する北朝鮮。二つの不安定要因を抱える極東では人やものの流れが強まる一方で、安全保障を取り巻く環境は静かに変わりつつある。日米、米韓の2国間協力を日米韓の3カ国に広げる動きも出てきた」として、2面には「中朝にらみ関係深化」として6カ国の軍事状況を一覧しながら、さらに「日米各約100人の要員がコンピューター上で模擬戦闘」を続けたとして「日米共同方面指揮所演習『ヤマサクラ』。軍事関係筋によると、日本侵略を想定したシナリオで行われ」、その演習に初参加したのは「米陸軍第8軍」=「在韓米軍の主力」という。「北朝鮮軍との戦闘だけを考えてきた部隊が、有事を想定したこの演習で、米陸軍の司令部の役割を担った」ということを平然と伝えているのだ。
10.軍事費を拡大し合えば、その費用は誰が負担することになるのか、軍拡主義者たちは全く想定外、思考停止状態なのだ。今、3.11一周年を迎えようとしているが、被災した人たちの尊い命と生活を考えれば、国民が必死になって働いて得た価値・富を軍事費より生活費に使うことこそが、国家の責任だとしなければならないことは自明だ。だが、そういう視点には立たない軍拡競争扇動者たちが、いまだたくさんいるのだ。このトリックを何としても告発し続けなければならない。
以上、「朝日」の中国不審感を煽る視点のトリックをまとめてみた。「人の振り見て我が振り直せ」という日本の伝統文化を忘れた「朝日」の視点が、日本国民をどこへ持っていこうとしているか。検証していかなければならない。
最後に以下、関係する記事を掲載していおこう。どこが問題か、資料となればと思う。
中国国防費11%増、2年連続2ケタ伸び(2012年3月4日13時04分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120304-OYT1T00296.htm
【北京=大木聖馬】中国の全国人民代表大会(全人代=国会)の李肇星報道官は4日、北京の人民大会堂で記者会見し、2012年の国防予算が前年実績比11・2%増の6702億7400万元(約8兆7068億円)になると明らかにした。 中国の国防費が2ケタの伸び率を示したのは2年連続。日本の12年度予算案での防衛関係費は4兆7138億円(11年度比1・3%減)で、中国の予算は日本の約1・85倍に相当する。
中国国防費、再び2桁伸び率の軌道に 「産経」(2012.3.4 13:22)http://sankei.jp.msn.com/world/news/120304/chn12030413230004-n1.htm
【北京=川越一】中国の全国人民代表大会(全人代=国会)の李肇星報道官(前外相)は4日の記者会見で、5日に開幕する全人代に提案される2012年度の国防費が、前年度実績比11・2%増の約6702億元(約8兆5千億円)に上ることを明らかにした。一昨年度、22年ぶりに1桁に抑えられた伸び率は2年連続で2桁となり、再び2桁成長の軌道に乗った。
李報道官は、中国の軍事力は国家の主権や安全の維持、領土の保全のために用いられていると強調。財政支出全体の中で占める国防費の割合が減少傾向にあることなどを理由に、「他の国家の脅威にはならない」と“中国脅威論”の再燃を牽制(けんせい)した。
中国国防予算―大国に求めたい透明さ 「朝日」社説
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1
中国の軍事力の増強が止まらない。内実が不透明なままの力の拡大が世界に「脅威論」を広げていることを、中国の指導者は理解すべきである。
2012年の中国国防予算は11年の実績と比べて、11.2%増の6702億元(約8兆7千億円)に上ることになった。
13億人以上が暮らす中国は、確かに広大だ。海岸線は1.8万キロ、陸の国境線は2万キロに達する。「しかし、米英などに比べて国防費の国内総生産(GDP)に占める比率は低い」という。全国人民代表大会(全人代)で報道官を務める李肇星・前外相が4日に説明した。
11年の国防費の対GDP比率は1.28%である。米英などは2%を超える。「中国の軍事力はまったく他国の脅威にはなり得ない」と李氏は強調した。
「新型の兵器を含むすべての兵器の開発・購入費は、毎年公表される国防予算のなかに含まれ、その数字は非常に透明だ」とも語った。
だが外から見れば透明とはいえず、まわりの国は変わらぬ懸念を感じざるを得ない。
国防予算案を審議する全人代の代表にさえ、具体的な内容は明らかにされない。根拠のはっきりしない数字を伝えられるだけである。審議しようにもできず、全人代が中国の国会にあたるとは、とても言えまい。
米英などの軍事費は中国よりもずっと透明で、議会の厳しいチェックを受ける。それも最近は、財政難で削減が強く求められる傾向にある。
中国共産党はこの秋に5年に1度の大会を開き、次の党指導者を選ぶ。国家副主席と中央軍事委員会副主席を兼ねる習近平氏が、トップの総書記に就くと確実視されている。
父が副首相だった習氏は、大学を卒業した後に国防相の秘書を務めた。妻は人民解放軍所属の有名な歌手である。
このような背景から、習氏は軍との関係が良好だと指摘されている。気がかりなのは、それがさらなる軍事力増強につながりかねないことだ。
習氏が最近訪問した米国や、日本など周辺国には、中国の軍事力への懸念がますます強くなっているが、世界経済を引っ張る中国と真正面から対立するとは考えられない。
指導部の交代を迎える政治の季節に指導者が軍との関係を気にするのは理解できる。
しかし中国は世界に開かれた超大国になりつつある。そんな大国に、予算作りで軍部ばかり重視する「内向き」はもう似合わない。
防衛費、10年連続でマイナス F35関連に600億円 「産経」(2011.12.24 22:23)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111224/plc11122422240017-n1.htm
東日本大震災の復旧・復興関連を除き、平成23年度比1・3%減の4兆7138億円。14年度の4兆9392億円をピークに10年連続の減少となった。アジア諸国が軍拡を続ける中で、長期に防衛費を減額していることは、日本政府が自国の安全保障を軽視していると見なされる危険をはらんでいる。
中期防衛力整備計画に基づく南西諸島の防衛力強化策を反映し、沖永良部島(鹿児島県)に警戒管制レーダーを39億円かけて整備するほか、与那国島(沖縄県)に陸上自衛隊の沿岸監視部隊を展開する用地取得に10億円を計上した。
低空で接近する航空機を探査する航空自衛隊那覇基地の早期警戒機E2Cの能力強化に2億円、海上自衛隊の潜水艦の新型魚雷開発に35億円を盛り込んだ。
次期主力戦闘機のF35ライトニング2の調達には、機体4機分395億円、パイロット養成のシミュレーターやソフトウエア改修費など関連経費205億円の計600億円を充てた。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜(ぎ)野(の)湾(わん)市)移設関連では代替施設の設計、建設費の計上を例年通り見送った。普天間移設とセットになる在沖縄米海兵隊のグアム移転関連費の日本負担分は73億円。前年度(518億円)から大幅削減となった。グアムでの施設整備が進んでいない上、米議会が移転費執行を凍結したためだ。在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)は前年度比0・5%増(9億円増)の1867億円とした。
「赤旗」主張 12年度軍事予算 「聖域」扱いはもう許されない 2012年1月10日(火)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-01-10/2012011001_05_1.html
昨年末編成された2012年度の予算案の審議が年明けの通常国会で始まります。軍事予算案は東日本大震災復旧・復興経費の1136億円を含め、11年度比1・1%増の4兆8274億円です。
東日本大震災の復興財源確保のためだといって国民に増税を押し付ける一方で、最大のむだである軍事予算を事実上「聖域」扱いにしているのは道理に合いません。軍事費を大幅に削って復興財源と国民生活予算に回してほしいという国民の切実な願いに政府は応えるべきです。
海外作戦能力の強化
12年度軍事予算案の特徴は、軍事力には軍事力でという「軍事対抗主義」をむきだしに、日米軍事同盟を強化していることです。
オバマ米政権の要求に応えて、本体だけで1機99億円もするF35戦闘機を42機購入することを昨年末決めたのはその最たるものです。12年度予算案で4機分395億円と関連経費205億円が計上されています。航続距離が長く、爆撃能力をもつ戦闘機の保有は「憲法に触れる」(増田甲子七防衛庁長官、67年3月29日衆院予算委員会)ものです。日米両国がF35をもち、長距離攻撃能力を強めれば、近隣諸国との平和・友好関係の発展を阻害することにもなります。
1155億円もする大型のヘリ搭載護衛艦=ヘリ空母も導入します。4隻と決まっているヘリ搭載護衛艦を大型化するのは、海外での軍事作戦態勢をさらに強めるためです。自衛隊がアメリカとともに海外でたたかおうとしている危険は明白です。
沖縄県民の「島ぐるみ」の反対で名護市辺野古での新基地建設が不可能になっているのに、政府が対米約束に従って普天間基地「移設」のために37・5億円を計上したのはとりわけ重大です。
住民の反対を無視した南西諸島の軍事化も問題です。沖縄県の与那国島では自衛隊誘致反対署名が賛成署名を上回り、防衛省の説明会でも「平和な島に自衛隊はいらない」という声が圧倒しています。にもかかわらず陸自の沿岸監視部隊の配置などのための予算をつけました。鹿児島県の種子島からわずか12キロにある馬毛島の米空母艦載機部隊訓練基地化でも、西之表市など1市3町がつくる「米軍基地等馬毛島移設問題対策協議会」が7万人分の反対署名を集め防衛省にくりかえし抗議しています。それにもかかわらず調査費を計上しました。南西諸島の住民が怒りを強めているのは当然です。
在日米軍への「思いやり予算」1867億円、米軍再編関係経費707億円、SACO(日米特別行動委員会)経費86億円は、米軍地位協定の義務でもありません。きっぱり廃止すべきです。
軍事衛星の保有狙う
見過ごせないのは、防衛省・自衛隊が軍事通信衛星を保有するための経費1224億円を計上していることです。民間の通信衛星の回線借り上げによる利用をやめ、民間の資金を活用するPFI方式で軍事衛星を自前で保有する狙いをむきだしにしたものです。宇宙開発を大もうけの対象にしようとする財界・兵器産業いいなりは許されません。
「アメリカ直結」と「財界直結」の野田佳彦政権では平和も暮らしも守れないことは、12年度軍事予算案をみても明らかです。
いつの世も軍事栄へて民細る汗と涙と血を流すは民
中国国防費「公表の1.7倍」 昨年分高官が証言 12年予算11%増の8.7兆円
中国の昨年の国防予算費が、実際には公表額の1・7倍に上っていたことが分かった。中国軍高官が証言した。一方、中国当局は4日、2012年の国防予算案が前年実績比11・2%増の6702億元(約8兆7千億円)になると発表した。2年連続での2けた増だが、これも実際の国防予算費を大きく下回っている可能性がが高い。=2面実態不明朗
国会にあたる全国人民代表大会(全人代)報道官の李肇星・前外相の4日の記者会見によると、12年の国防予算費は当初予算比で11.5%増。24年連続の2けた増となる。実績比とともに11年の国内総生産(GDP)の伸び率9・2%を上回る水準だ。
ドル換算では約1064億㌦で初めて1千億㌦台となった。各国の軍事費比較では、07年に日本を抜いており、3年連続で米国に次いで2位となる見通し。
しかし、軍関係者によると、こうした中国の公表する国防費には、兵器の研究開発のための「国防科学研究費」や、外国から特殊な備品を買う「装備調達費」が含まれず、財務省の予算に組み込まれる。中国政府の予算事態の公表が不十分なため、こうした他省庁分の軍事関連の部分については明らかになっていない。
中国軍のシンクタンク「中国国際戦略学会」(会長=馬暁天・副参謀長)の現役少将が、2月に北京を訪れた外国の防衛当局者との非公開の会合で明らかにしたところによると、こうした軍事関連経費などを加えると、少なくとも昨年の実際の国防予算額は、公表額の1・7倍に相当するという。この少将は、国防予算の公表額と実態がかけ離れている理由について「予算の仕組みや国防費の定義が、米国などほかの国とは異なるため」と説明した。別の軍系シンクタンクの研究員は「米国も核兵器開発費などは国防費に入れていない」と主張する。
このため、複数の軍関係者によると、次世代ステルス戦闘機「殲20」や、「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイル「東風21D」などの兵器の開発や製造の費用の一部が、国防費には盛り込まれていない。
中国国防省は、国防費が①兵士の生活費②訓練費③装備費にほぼ3等分されると説明。李肇星報道官は会見で「すべての兵器の研究、実験、購入にかかる費用は、毎年発表している国防費の中に含んでおり、透明性は高い」とした。(北京=峯村健司)
何が「悪口」か。以下まとめてみる。
1.中国には中国のやり方があるのに、日本の見方を基準に「不明朗」と断じていないか。
2.中国の国防費を論ずる時の「前提」を抜きにしている。太平洋をはるか遠く離れたアメリカ軍が中国大陸の近くまで軍隊をもってきているということだ。これが「逆だったら」という想像力は全くはたらいていない。
3.中国の国防費が毎年伸びてきているというが、戦後日本においては自衛隊こそずっと軍事費を伸ばし続けてきたのではないのか?GNP1%枠を設定したのも、軍事費増への批判をかわすためだったはずだ。しかも、これもトリックだった。GNPが伸びていけば、軍事費も伸ばせるからだ。
4.2面には「空母1.6兆円 別枠」と大文字が躍っているが、米軍空母の配備、大型のヘリ搭載護衛艦=ヘリ空母を配備する日本の場合はどうかを問題にしないのか?同様に2面の「予算の実態、不明朗」とあるが、日本の場合はどうか?「明朗」か?
5.しかも軍事費の枠組みは国によって異なっていることを曖昧にしているのだ。以下の「朝日」の記事を「朝日」自身が忘れているのではないか?いや変質した「朝日」の本質を示した記事と言える。
日本の防衛費、いったい何位? NATO方式に従い計算すれば政府見解でも5位だが恩給すべて含むと3位(988/10/19 朝日新聞朝刊)
○6つの経費で定義
この定義は秘密だが、専門家によると、NATOのいう軍事費は次の6つから成る。
(1)軍隊の維持管理に必要な人件費・物件費
(2)軍事研究開発費
(3)軍事援助費(返済しなくてもいいもの)
(4)準軍隊・警察隊費(沿岸警備隊、国境警備隊、憲兵警察など)
(5)国防省以外の省庁の支出のうち軍事目的に使われるもの
(6)退職金・退職年金
NATO諸国はそれぞれ各自の防衛予算を組んでいるが、それとは別に、NATOの定義に従った防衛費も算定される。別表で明らかなように、NATO方式ではじきだされた防衛費のほうが、一般的に多くなる。これは、NATO方式のほうが軍事費の範囲を広くとっているからだといわれている。
日本の場合、戦争放棄をうたった憲法との兼ね合いもあり、防衛費の定義はかなり限定されたものになっている。だから、英、仏、西独と正確に比べるつもりなら、わが国もNATO方式で計算し直す必要がある。
NATOが軍事費と定義づけた6つの経費のうち、(1)軍隊の維持管理費と(2)軍事研究開発費が、わが国の防衛費に入っていることは確かだ。(6)の退職金・退職年金も自衛隊発足後に限るなら、これも入っている。 (3)の軍事援助費はない。一部で期待されている戦略的援助が本格化すれば、灰色領域に入る心配はあるが、今はまずゼロとみてよいだろう。(4)の準軍隊・警察隊の経費で微妙なのは海上保安庁だ。同庁法は「軍隊としての訓練」を禁止しており、政府は同庁の経費を防衛費と見ていない。ただし自衛隊法は、有事の際、防衛庁長官に海上保安庁を指揮する権限を与えている。(5)の「防衛庁以外の省庁」が軍事目的に支出している例はない、と政府は言う。ただ、かつて国会で、道路、港湾、空港、鉄道などにかかる国の費用の一部がこれに相当するのではないか、という論議はあった。
いろいろ論議はあろうが、この際、NATOの定義のうち、(3)(4)(5)は日本では該当なし、としよう。すると、残りは(6)の退職金・退職年金の中の「旧軍」分だ。米両院合同経済委員会が「NATO方式に従って軍人年金も軍事費に含めれば・・・」といっているのがこれである。
軍人年金を防衛費に入れるのは、国際的常識なのだろうか。日本政府もその点は否定できないようだ。しかし、それでも、軍人年金のすべてが防衛費に入るわけではない、との見解を堅持している。
昨年5月、参院予算委員会で表明された政府見解によれば、(1)旧軍人の恩給のうち「普通恩給」と「普通扶助料」は、NATO定義の軍事費に入る、(2)その額は、恩給費の45%程度、(3)従って、NATO方式による日本の防衛費はGNPの1.2%程度になる――という。
この見解で明らかなように、GNPの1.2%説は、軍人年金をもっとも狭く解釈して出てきたものだ。85年4月の衆院安保特別委員会で示された政府見解では、軍人恩給全部を含めるとGNPの1.5%ぐらい、厳密に定義したものに限るならば「1.2%台」といったところだ、となっている。
しかし、別掲でも紹介したように、国際的には1.5%説が大勢のようだ。ここでは、1.5%、1.2%の両説をもとにその総額を試算した(別表)。最初に述べたように、わが国の防衛費(NATO方式)は、GNP1.5%で世界3位。1.2%なら世界5位だが、1.2%台でも後半の数字なら、やはり世界3位になる。
6.以下の国会質疑を「朝日」は報道したか?
(1)グアム移転経費 削減すべきだ 「米軍再編」見直し 赤嶺議員質問2012年2月18日(土)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-02-18/2012021802_01_1.html
(2)辺野古アセス 防衛局ぐるみ構図はっきり審査委員は発注者 笠井議員の追及2012年2月29日(水)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-02-29/2012022904_01_1.html
(3)日米同盟の深化を容認する「朝日」、消費税増税を推進するために「身を切れ」論を展開する「朝日」は米軍再編に伴う国民の血税の行方を取り上げ、日米政府を追及したか?以下のやりとりは、どうだったか?
赤嶺議員が予算委で取り上げた 米議会公聴会のやりとり 赤旗2月18日
日本共産党の赤嶺政賢議員が17日の衆院予算委員会で取り上げた、米軍再編にかかわる経費を日本側が全面的に負担することを示した米下院軍事委員会公聴会(15日)でのやりとりは次のとおりです。
ボルダーロ議員
日本が(米軍再編)計画の更新を追求し、(グアムに)来る海兵隊の数が減るということを特定したが、彼らは(グアム)増強のために提供する資金の全体を削減するつもりなのか? もし、日本が財政的なコミットメントを減らせば、グアムの軍関係の住民を支援するためのインフラ整備のための支援が減るのか?
パネッタ国防長官
その点はわれわれの議題の一つだ。ご存じのように、(米軍再編の)要素の一つは、新たな普天間航空基地の開発だ。それは高価なプロセスだ。環境上の許可を得る必要があるからだ。しかし、同時に、彼らは寛大なことに、いかなる移転がなされようとも、(財政的に)支援する、彼らは支援のための多額の資金をわれわれに与えてくれる。今いったように、私は、交渉における日本側の姿勢に非常に満足している。
ボルダーロ
いかなる削減もないと考えていいのか?
パネッタ
そうだ。
(4)「朝日」が米軍移転のカネの問題を報道したのは、以下の内容だ。しかも中国の国防費の記事と比べれば、その扱いは天と地ほどの違いだ。
米軍グアム移転予算962億円 3年で使用1割のみ 「朝日」2012年2月8日
沖縄の米海兵隊グアム移転費の日本側負担として米国に提供するため計上した予算が、1割ほどしか実際の事業に使われていないことがわかった。田中直紀防衛相が7日の参院予算委員会で明らかにした。 田中氏によると、2009~11年度の3年間で962億円を予算化。使われたのは09年度分の一部で102億円にとどまる。「米側での契約遅延」などが理由だという。共産党の井上哲士氏に答えた。 11年度分の149億円については米側に提供もされていない。 米議会での軍事費削減や地元グアムでの反発などで、日本の資金を使う移転先の施設整備事業について「新たな契約の締結が困難な状況だ」(田中氏)としている。
7.F35戦闘機購入予算計上にあたって「朝日」の視点は「不明朗」どころか、「是認」だ。以下の記事をみてみよう。
(1)「赤旗」主張「F35」 採用決定異常な大軍拡は許されない2011年12月21日(水)http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-12-21/2011122101_05_1.html
(2)「不透明感漂う未知の翼F35=コスト上昇や開発遅延―米」(2011年12月13日21時6分)としているが、否定をしていない。高い買い物なのに・・・http://www.asahi.com/international/jiji/JJT201112130127.html
・・・開発と生産を同時進行させる同省と開発主契約社のロッキード・マーチン社の方針は、度重なる設計変更と飛行試験の遅れを招き、米空軍にも実戦配備されていない未知の翼だ。緊縮財政でF35も予算削減から逃れられる聖域ではなく、単価や日本への機体引き渡し時期には不透明感が漂う・・・開発の遅れに業を煮やしたゲーツ前国防長官は昨年、国防総省のF35開発担当責任者を更迭。後任のパイロット出身のベンレット海軍中将はこのほど軍事専門紙で、必要な各種試験が全体の18%しか実施されていない実態を明らかにした。
同中将によると、金属疲労試験の結果、機体の部品の強度が8000時間の飛行時間に耐える基準を満たさず、亀裂が発生する可能性が高いことも判明。これまでに実施した金属疲労試験は空軍仕様機で目標の20%、海兵隊仕様では6%にとどまるという。日本は空軍仕様を候補にしている。[時事通信社]
(3)以上のような問題アリすぎのF35戦闘機だが、購入に対しては「是認」の態度だ。「ニュースおさらい ジュニア向け」の「F35戦闘機って?」(1月28日付)をみると、「敵に発見されにくい最新機」「米国での開発に遅れ」として「防衛省は日本の会社がよりたくさんの部品をつくれるように、アメリカと話し合いをする考えだが、最新の戦闘機だけに秘密も多い。特にレーダーやステルスに関する技術は教えてもらえないだろうとみられている」と重大な問題があることを「ジュニア」に語ろうとはしていない。メカに眼を向けさせているのだ。
8.中国の軍備増強の「脅威」を煽るが、約13.4億人の中国の軍事費約8兆7千億円と約1.3億人の日本の軍事費4兆8千億円を一人当たりの人口比でみれば、中国の国防費を云々できるのか?日本の人口の約10倍も住む中国、国土面積は25倍もある。歴史も違う。その国を日本のものさしで単純化することにどれほどの意味があるか。しかも貿易額では今やアメリカを抜いているのだ。
一つ例をあげておこう。携帯電話の日中の比較だ。こういう視点で軍事費も比較する必要があるだろう。
日本は、2011年12月末の携帯電話(PHS含む)の加入契約数が前年同期比7.6%増の約1億2986万8000件となり、初めて日本の総人口(1億2805万7352人)を上回ったという。(2012年2月21日23時18分 読売新聞)
工業情報化部は26日、昨年における全国電気通信業の統計公報を発表した。データによると昨年末現在、中国の携帯電話ユーザーは8億5900万件に達し、普及率は100人あたり64.4台で前年末比8.1ポイント上昇し、固定電話普及率の約3倍となった。「京華時報」が伝えた。(「人民網日本語版」2011年1月27日)
9.だいたい「有事」と言えば何でもアリなのだ。日米安保条約からみても、大いに問題アリだ。報道の仕方としても、憲法第九条のある国として、きわめてアンフェアーだ。だが、重大さをスルーしているのだ。それは以下の「朝日」の記事だ。
「朝日」は「動く極東序章下」(2月20日付)で「軍事的存在感を高める中国、そして国際社会から孤立する北朝鮮。二つの不安定要因を抱える極東では人やものの流れが強まる一方で、安全保障を取り巻く環境は静かに変わりつつある。日米、米韓の2国間協力を日米韓の3カ国に広げる動きも出てきた」として、2面には「中朝にらみ関係深化」として6カ国の軍事状況を一覧しながら、さらに「日米各約100人の要員がコンピューター上で模擬戦闘」を続けたとして「日米共同方面指揮所演習『ヤマサクラ』。軍事関係筋によると、日本侵略を想定したシナリオで行われ」、その演習に初参加したのは「米陸軍第8軍」=「在韓米軍の主力」という。「北朝鮮軍との戦闘だけを考えてきた部隊が、有事を想定したこの演習で、米陸軍の司令部の役割を担った」ということを平然と伝えているのだ。
10.軍事費を拡大し合えば、その費用は誰が負担することになるのか、軍拡主義者たちは全く想定外、思考停止状態なのだ。今、3.11一周年を迎えようとしているが、被災した人たちの尊い命と生活を考えれば、国民が必死になって働いて得た価値・富を軍事費より生活費に使うことこそが、国家の責任だとしなければならないことは自明だ。だが、そういう視点には立たない軍拡競争扇動者たちが、いまだたくさんいるのだ。このトリックを何としても告発し続けなければならない。
以上、「朝日」の中国不審感を煽る視点のトリックをまとめてみた。「人の振り見て我が振り直せ」という日本の伝統文化を忘れた「朝日」の視点が、日本国民をどこへ持っていこうとしているか。検証していかなければならない。
最後に以下、関係する記事を掲載していおこう。どこが問題か、資料となればと思う。
中国国防費11%増、2年連続2ケタ伸び(2012年3月4日13時04分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20120304-OYT1T00296.htm
【北京=大木聖馬】中国の全国人民代表大会(全人代=国会)の李肇星報道官は4日、北京の人民大会堂で記者会見し、2012年の国防予算が前年実績比11・2%増の6702億7400万元(約8兆7068億円)になると明らかにした。 中国の国防費が2ケタの伸び率を示したのは2年連続。日本の12年度予算案での防衛関係費は4兆7138億円(11年度比1・3%減)で、中国の予算は日本の約1・85倍に相当する。
中国国防費、再び2桁伸び率の軌道に 「産経」(2012.3.4 13:22)http://sankei.jp.msn.com/world/news/120304/chn12030413230004-n1.htm
【北京=川越一】中国の全国人民代表大会(全人代=国会)の李肇星報道官(前外相)は4日の記者会見で、5日に開幕する全人代に提案される2012年度の国防費が、前年度実績比11・2%増の約6702億元(約8兆5千億円)に上ることを明らかにした。一昨年度、22年ぶりに1桁に抑えられた伸び率は2年連続で2桁となり、再び2桁成長の軌道に乗った。
李報道官は、中国の軍事力は国家の主権や安全の維持、領土の保全のために用いられていると強調。財政支出全体の中で占める国防費の割合が減少傾向にあることなどを理由に、「他の国家の脅威にはならない」と“中国脅威論”の再燃を牽制(けんせい)した。
中国国防予算―大国に求めたい透明さ 「朝日」社説
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1
中国の軍事力の増強が止まらない。内実が不透明なままの力の拡大が世界に「脅威論」を広げていることを、中国の指導者は理解すべきである。
2012年の中国国防予算は11年の実績と比べて、11.2%増の6702億元(約8兆7千億円)に上ることになった。
13億人以上が暮らす中国は、確かに広大だ。海岸線は1.8万キロ、陸の国境線は2万キロに達する。「しかし、米英などに比べて国防費の国内総生産(GDP)に占める比率は低い」という。全国人民代表大会(全人代)で報道官を務める李肇星・前外相が4日に説明した。
11年の国防費の対GDP比率は1.28%である。米英などは2%を超える。「中国の軍事力はまったく他国の脅威にはなり得ない」と李氏は強調した。
「新型の兵器を含むすべての兵器の開発・購入費は、毎年公表される国防予算のなかに含まれ、その数字は非常に透明だ」とも語った。
だが外から見れば透明とはいえず、まわりの国は変わらぬ懸念を感じざるを得ない。
国防予算案を審議する全人代の代表にさえ、具体的な内容は明らかにされない。根拠のはっきりしない数字を伝えられるだけである。審議しようにもできず、全人代が中国の国会にあたるとは、とても言えまい。
米英などの軍事費は中国よりもずっと透明で、議会の厳しいチェックを受ける。それも最近は、財政難で削減が強く求められる傾向にある。
中国共産党はこの秋に5年に1度の大会を開き、次の党指導者を選ぶ。国家副主席と中央軍事委員会副主席を兼ねる習近平氏が、トップの総書記に就くと確実視されている。
父が副首相だった習氏は、大学を卒業した後に国防相の秘書を務めた。妻は人民解放軍所属の有名な歌手である。
このような背景から、習氏は軍との関係が良好だと指摘されている。気がかりなのは、それがさらなる軍事力増強につながりかねないことだ。
習氏が最近訪問した米国や、日本など周辺国には、中国の軍事力への懸念がますます強くなっているが、世界経済を引っ張る中国と真正面から対立するとは考えられない。
指導部の交代を迎える政治の季節に指導者が軍との関係を気にするのは理解できる。
しかし中国は世界に開かれた超大国になりつつある。そんな大国に、予算作りで軍部ばかり重視する「内向き」はもう似合わない。
防衛費、10年連続でマイナス F35関連に600億円 「産経」(2011.12.24 22:23)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111224/plc11122422240017-n1.htm
東日本大震災の復旧・復興関連を除き、平成23年度比1・3%減の4兆7138億円。14年度の4兆9392億円をピークに10年連続の減少となった。アジア諸国が軍拡を続ける中で、長期に防衛費を減額していることは、日本政府が自国の安全保障を軽視していると見なされる危険をはらんでいる。
中期防衛力整備計画に基づく南西諸島の防衛力強化策を反映し、沖永良部島(鹿児島県)に警戒管制レーダーを39億円かけて整備するほか、与那国島(沖縄県)に陸上自衛隊の沿岸監視部隊を展開する用地取得に10億円を計上した。
低空で接近する航空機を探査する航空自衛隊那覇基地の早期警戒機E2Cの能力強化に2億円、海上自衛隊の潜水艦の新型魚雷開発に35億円を盛り込んだ。
次期主力戦闘機のF35ライトニング2の調達には、機体4機分395億円、パイロット養成のシミュレーターやソフトウエア改修費など関連経費205億円の計600億円を充てた。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜(ぎ)野(の)湾(わん)市)移設関連では代替施設の設計、建設費の計上を例年通り見送った。普天間移設とセットになる在沖縄米海兵隊のグアム移転関連費の日本負担分は73億円。前年度(518億円)から大幅削減となった。グアムでの施設整備が進んでいない上、米議会が移転費執行を凍結したためだ。在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)は前年度比0・5%増(9億円増)の1867億円とした。
「赤旗」主張 12年度軍事予算 「聖域」扱いはもう許されない 2012年1月10日(火)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-01-10/2012011001_05_1.html
昨年末編成された2012年度の予算案の審議が年明けの通常国会で始まります。軍事予算案は東日本大震災復旧・復興経費の1136億円を含め、11年度比1・1%増の4兆8274億円です。
東日本大震災の復興財源確保のためだといって国民に増税を押し付ける一方で、最大のむだである軍事予算を事実上「聖域」扱いにしているのは道理に合いません。軍事費を大幅に削って復興財源と国民生活予算に回してほしいという国民の切実な願いに政府は応えるべきです。
海外作戦能力の強化
12年度軍事予算案の特徴は、軍事力には軍事力でという「軍事対抗主義」をむきだしに、日米軍事同盟を強化していることです。
オバマ米政権の要求に応えて、本体だけで1機99億円もするF35戦闘機を42機購入することを昨年末決めたのはその最たるものです。12年度予算案で4機分395億円と関連経費205億円が計上されています。航続距離が長く、爆撃能力をもつ戦闘機の保有は「憲法に触れる」(増田甲子七防衛庁長官、67年3月29日衆院予算委員会)ものです。日米両国がF35をもち、長距離攻撃能力を強めれば、近隣諸国との平和・友好関係の発展を阻害することにもなります。
1155億円もする大型のヘリ搭載護衛艦=ヘリ空母も導入します。4隻と決まっているヘリ搭載護衛艦を大型化するのは、海外での軍事作戦態勢をさらに強めるためです。自衛隊がアメリカとともに海外でたたかおうとしている危険は明白です。
沖縄県民の「島ぐるみ」の反対で名護市辺野古での新基地建設が不可能になっているのに、政府が対米約束に従って普天間基地「移設」のために37・5億円を計上したのはとりわけ重大です。
住民の反対を無視した南西諸島の軍事化も問題です。沖縄県の与那国島では自衛隊誘致反対署名が賛成署名を上回り、防衛省の説明会でも「平和な島に自衛隊はいらない」という声が圧倒しています。にもかかわらず陸自の沿岸監視部隊の配置などのための予算をつけました。鹿児島県の種子島からわずか12キロにある馬毛島の米空母艦載機部隊訓練基地化でも、西之表市など1市3町がつくる「米軍基地等馬毛島移設問題対策協議会」が7万人分の反対署名を集め防衛省にくりかえし抗議しています。それにもかかわらず調査費を計上しました。南西諸島の住民が怒りを強めているのは当然です。
在日米軍への「思いやり予算」1867億円、米軍再編関係経費707億円、SACO(日米特別行動委員会)経費86億円は、米軍地位協定の義務でもありません。きっぱり廃止すべきです。
軍事衛星の保有狙う
見過ごせないのは、防衛省・自衛隊が軍事通信衛星を保有するための経費1224億円を計上していることです。民間の通信衛星の回線借り上げによる利用をやめ、民間の資金を活用するPFI方式で軍事衛星を自前で保有する狙いをむきだしにしたものです。宇宙開発を大もうけの対象にしようとする財界・兵器産業いいなりは許されません。
「アメリカ直結」と「財界直結」の野田佳彦政権では平和も暮らしも守れないことは、12年度軍事予算案をみても明らかです。
いつの世も軍事栄へて民細る汗と涙と血を流すは民