愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

憲法記念日を前に自民党の反動憲法案をみる、再び前文について、その思想をみる

2012-05-01 | 日記
昨日の記事の前文は、4月に発表された前文以前の前文であることが判った。勘違いをしてしまった。注意深く確認を怠ってしまった。深くお詫びして訂正し、ここに再度掲載し、考えを述べてみたい。昨日と同様に主語と述語に注目してみたい。

1.日本国は、「長い歴史と固有の文化を持ち国民統合の象徴である天皇を戴く」とある。(1)本文は「象徴」の前に天皇を「元首」と規定している。「象徴天皇制」は「定着」し
たものと言わざるを得ないことを自民党でさえも認めている。だが、前文との乖離はどう説明するつもりか。
(2)「長い歴史」を誇るのは構わないが、「長い」とはどれくらいのことをいっているのか?主語は「日本国」だ。その「日本国」の概念は、現在の「日本国」とは大きく異なっている。そのことをどう説明するのか?しかも「日本」という言葉の意味は何か?
(3)日本国は「固有の文化を持ち」と言っているが、本当に「固有の文化」か、「固有」の範疇はどのようなものか、範囲と内容についてどのように検討しているのか?そもそも「天皇」という言葉は日本「固有」のものか、しかも意味は?
(4)「日本」という国名を使用する前は「倭」であった。名づけ親は大陸の政権だった。あの有名な「漢の倭の名の国王印」の時代から大宝律令制定の頃、遣唐使派遣の際に唐に申し入れして認められて以降「日本」が使われた。だが、この頃の「日本国」の範囲は、今日とは大きく異なっていた。それ以外の地域は、特に現在の「東日本」は「蝦夷」だった。中華思想の物まねだった。
(5)「国風文化」というが、当時の銭は「日本独自の銭」ではなく、家康の時代に至るまで銭は中国の銭だったことにみるように、「固有の文化」と断定するにはムリがある。現在だって、漢字を使っているし、「ナイター」にみるように英語文化を軸に「日本化」した、「和製文化」がつくられており、純粋の「固有文化」は極めて少ない。
(6)しかも「固有文化」と称されている「文化」は、戦後自民党にアメリカ従属政治の結果、衰退の一途を辿っている。

2.「わが国」は「先の大戦による荒廃」とある。
(1)現行憲法の「政府の行為」による「戦争の惨禍」の視点が欠落していることの意味は重大だ。自民党の戦争責任放棄と免罪思想が浮き彫りになったのだ。
(2)しかも「平和主義の下、諸外国との友好関係を増進」とあるが、日米安保条約の下、朝鮮戦争、インドシナ・ベトナム戦争、アフガン・イラク戦争に加担してきたことをどう説明するのか?

3.負の歴史を後景に追いやりながら、国民の中に潜むナショナリズムを煽るために持ち出してきている。
(1)「国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り」と、今度は「日本国民」を主語にしながら「国と郷土」と「国家」を混同させているのだ。
(2)さらに「聖徳太子」を「和」を強調することで基本的人権の請願権や意見表明権を抑え、「国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り」と偏狭な「防衛」論を振りかざしている。「国と郷土」「美しい国土と自然環境」を破壊してきたのは誰か、「自由と規律を」ないがしろにしてきたのは誰か、「汚いウソ」をついている。極めて非道徳、いや反道徳だ。

4.「日本国民」は「我々の国家」と、ここで「国家」を強調し、「良き伝統」とは何課を曖昧にしながら、自分たちがすすめてきた「戦争責任免罪」「日本文化と自然破壊」を免罪して、国民に説教を垂れているのだ。

5.再度言おう。日本国と日本国民は、近代日本において犯した歴史の汚点を真に克服するための「決意」を日本国憲法の理念にもとづいて、国際社会に表明し、実行しなければ、国際社会において信頼を得ることはできないだろう。そのことを、この改憲案は、改めて教えているのだ。拉致問題を解決する時に使われる思想は、そのまま日本国の歴史の汚点に当てはめなければならないのだ。そのことが特に、自民党には求められているのだ。

過ちを認めぬままにいつまでもサルでもできること成らざるを


<新しく発表した前文>
日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴(いただ)く国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。
わが国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。
日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。
我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。
日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する。

<昨日掲載した前文>
日本国民は、自らの意思と決意に基づき、主権者として、ここに新しい憲法を制定する。
 象徴天皇制は、これを維持する。また、国民主権と民主主義、自由主義と基本的人権の尊重及び平和主義と国際協調主義の基本原則は、不変の価値として継承する。
 日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し、自由かつ公正で活力ある社会の発展と国民福祉の充実を図り、教育の振興と文化の創造及び地方自治の発展を重視する。
 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に願い、他国とともにその実現のため、協力し合う。国際社会において、価値観の多様性を認めつつ、圧政や人権侵害を根絶させるため、不断の努力を行う。
 日本国民は、自然との共生を信条に、自国のみならずかけがえのない地球の環境を守るため、力を尽くす。
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