愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

「朝日」よりましな「毎日」の「復帰40年記念」の世論調査から読み取る「政治」と国民意識について

2012-05-13 | 東アジア平和共同体

「毎日」と「琉球新報」の「復帰40年記念」の共同世論調査が発表された。やはりマスコミが「注目」したのは「不平等」論だった。「朝日」の時は「格差」「差別」論だった。この視点は問題だ。理由は、

1.この「不平等」「差別」論は、何も沖縄と「本土」だけの問題ではない。日本国内の米軍基地についても同様だからだ。しかも国民の税金=血税による様々な補助金が当該自治体に支出されている。そこでは基地以外の自治体との「差別」が存在しているのではないのか。

2.「米軍基地」があるために生ずる「問題」に対する見返りとしての「税金」を秤にかけて考えると、まさに米軍基地以外の自治体との間に「差別」はないのか?等価交換なのか、検証したことがあるのか?

3.このことは原発立地自治体への、いわゆる電源三法は「差別」ではないのか?

4.こうした「差別補助金」という名の統治システムによって、実は大儲けしている輩がいることを隠していないのか?

(1)これは原発ムラ=原発利益共同体の利益が、当該自治体と自治体住民以上にあることが、最近白日の下に晒されてきたが、そのことを想起すると、よく判る。

(2)安全保障ムラ=軍事利益共同体の利益は、米軍基地や自衛隊基地配備自治体や住民の利益と比較検証したのか、どうか、極めて曖昧だ。

4.本土との「差別」論、「不平等」論は、主語は何か、を曖昧にしていないのか。

(1)国民が沖縄を、さらには原発立地自治体の住民を差別しているということになれば、国民分断が固定化されてしまうのではないのか?

(2)そうではないだろう。確かに国民が国家権力を握る政治家を選択していることは事実だ。だが権力を握る政治家や利益共同体=国家が「差別」の主体者ということを曖昧にすることにならないのか、それが大いに問題なのだ。

5.「差別」「不平等」論は、日米安保条約に基づく基地押し付けを行う国家の責任を曖昧にしている。

この考え方は、基地被害に「苦しむ」自治体の首長選挙や議会選挙の際にいつも問題となる以下のことを想い起こせばよいだろう。

1.基地・原発がなくなると、商売ができなくなる。食っていけなくなる。

2.中央と地方(当該自治体)の「格差」が起こった国家の政治より「ご利益」優先政治を煽る、争点隠しのマスコミの「宣伝」がある。

3.「補助金」漬けになることで独自の街づくりなどがストップしてしまう。

4.基地や原発がなくても独自の街づくりが可能になる「平和的補助金」と「基地・原発補助金」を比較・検証する思考がストップしてしまう。

5.格差を生じさせる国家政策の責任を曖昧にするだけでなく、むしろ擁護する選挙が行われる。最近の事例で言えば宜野湾市長選挙、岩国市長選挙、原発再稼動首長当選の選挙がある。

さて、以下の記事が、今まで述べてきたことを根拠付けることになる。「過重負担」「地位協定」「治外法権」問題は、本土と沖縄の「不平等」が問題ではないことは明らかだ。日米安保条約の本質に係わる問題だ。

「不平等 私も思う」 復帰40年で仲井真知事2012年5月10日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-191009-storytopic-3.html
 仲井真弘多知事は15日の本土復帰40年を控えた9日、県庁で報道各社のインタビューに答えた。琉球新報社・毎日新聞社合同世論調査で、在日米軍基地の7割が沖縄に集中していることについて県民の69%が「不平等だと思う」と答えたことについて、仲井真知事は「不平等だという気持ちは私もほぼ同じだ」と述べた。
 仲井真知事は不平等感の理由を「米軍専用施設の4分の3が沖縄にある」過重負担と地位協定の問題を挙げ、「(軍人・軍属は)日本の法律は守らなくていい、一種の治外法権。同盟国であってもひどいんじゃないかということを県民は40年以上、基地の横で味わってきた」とし、「これに持ちこたえてきた県民の怒りを考えてもらいたい」と述べた。
 普天間飛行場の名護市辺野古への移設に県民の9割が反対していることには、「率直な気持ちだろう。私も普天間は県外という公約の旗を降ろすつもりはない」と強調し、「政策に何らかの形でにじみ出るんじゃないか」とし、県民意思として重く受け止めたいとの姿勢を示した。

さて以上の視点にたって、今回の世論調査の結果を「毎日」と「赤旗」の記事を比べてみよう。長くなるが、仕方ない。その前に、いくつかのポイントを指摘してみよう。

1.「朝日」と違って、日米安保条約の是非、「外交努力」か「防衛努力」かを質問していることだ。

2.しかし、石原都知事の尖閣購入問題に見るように、また自分たちの自治体の基地を「移設」することの是非にみるように、国民感情の背景に何があるか、その分析は、見られない。

3.社会資本整備より基地撤去・移設問題に関心があるのであれば、それにかける税金の使い道や基地撤去以後の街づくりなどについての質問が検討されなければならないだろう。

4.日米安保条約廃棄のためには、10条を使うことが、先ず第一にあるが、そのためには、選挙によって廃棄派が国会の多数になること、多数派になれない場合でも世論と運動で廃棄派でない議員を廃棄派の立場に立たせること、この二つのための具体的なプランを鮮明に打ち出すことが大切だろう。

5.安保条約や自衛隊是認の最大の要因は、中国・北朝鮮の「脅威」があるが、そうした国民感情を変革していくための「外交努力」とは何か、それを具体的に提起していく事が、大事だろう。そのためには廃棄派は何ができるか、国民に「安全」を「保障」していくこと、そうして国民に「安心」感を抱いてもらうことだろう。

安全と心に抱く国民を9条こそを津々浦々に


特集:沖縄復帰40年 毎日新聞・琉球新報合同世論調査 復帰肯定は共通認識 全国79%、沖縄80% 毎日新聞 2012年5月11日 東京朝刊
http://124.83.183.242/select/wadai/news/20120511ddm010040181000c.html
 ◇基地巡っては隔たり
 沖縄県の本土復帰40周年を機に、毎日新聞と琉球新報は5、6日、合同で世論調査(電話)を実施した。本土復帰については「良かった」と「どちらかといえば良かった」の合計が全国、沖縄ともに8割を占め、双方の共通認識となった。一方、在日米軍基地の沖縄集中を巡っては、過重負担に不満を募らせる沖縄と、消極的ながらも追認傾向のある全国との意識の違いが浮き彫りになっている。【福永方人、鈴木直】
 沖縄を含む毎日新聞の全国調査、沖縄県民だけを対象とした琉球新報調査ともに、本土復帰の評価で、肯定的な受け止めが目立った。「良かった」との回答は全国59%、沖縄58%で、「どちらかといえば良かった」は全国20%、沖縄22%。一方、「悪かった」は全国、沖縄ともに1%に過ぎず、「どちらかといえば悪かった」も全国2%、沖縄1%だった。
 本土復帰に関する沖縄県民の評価を年代別にみると、「良かった」は30代48%、20代53%だったのに対し、60代62%、70代以上は60%に上り、復帰運動に関わった高齢層の評価が高い。全国調査の「良かった」は、20代54%、30代53%に対し、60代60%、70代以上55%だった。
 琉球新報は合同調査とは別に、復帰して何が良かったか(複数回答)を県民に聞いた。「道路や橋、港湾などが整備された」(48%)、「本土との交流や情報量が増えた」(42%)などの順。一方、悪くなったこと(複数回答)は「自然破壊が進んだ」(39%)、「米軍基地の被害が増えた」(34%)が多かった。
 国や県に特に力を入れてほしいこと(複数回答)を聞いた設問では、「米軍基地の整理縮小と跡地利用」が43%を占め、最多だった。「モノレールや鉄軌道、橋などの整備」は16%にとどまり、県民の関心が社会資本整備から、基地問題に向かっている現状がうかがえる。
 在日米軍基地の7割以上が沖縄に集中している現状については、「不平等だと思う」との回答が沖縄で69%に達し、全国の33%を大きく上回った。沖縄で本土復帰を「良かった」と評価した人でも、基地の集中を「不平等」と答えた人が69%に上り、沖縄の不満が鮮明になっている。
 ◇日米安保、沖縄7割否定
 米軍の日本駐留を定めた日米安保条約について、全国調査では「日本の平和と安全に役に立っている」との回答が46%を占めた。「役に立っていない」は8%にとどまったものの、「どちらともいえない」との回答も40%あった。
 一方、琉球新報の沖縄調査では、現行の日米安保条約について「平和友好条約に改めるべきだ」(55%)、「破棄すべきだ」(16%)と、7割強が否定的な見方を示した。日米安保条約を「維持すべきだ」は16%にとどまっている。
 ◇中国の海洋進出「不安に思う」8割超 「外交で解決」多数
 中国が東シナ海などに積極的に進出していることについて、全国、沖縄調査ともに「不安に思う」が8割を超えた。中国の海洋進出は周辺国の脅威になっており、「不安に思う」は全国で82%に上り、地理的に近い沖縄では85%に達した。「不安には思わない」は全国12%、沖縄15%にとどまった。
 「不安に思う」と答えた人に対応策を聞いたところ、全国では「外交努力で解決すべきだ」が66%で、「防衛力を強化すべきだ」は26%だった。沖縄では外交努力が76%を占め、全国を10ポイント上回った。防衛力強化は24%だった。
 全国調査の結果を性別でみると、男性で「外交努力」を挙げた人は60%、「防衛力強化」は33%だった。一方、女性では「外交努力」と答えた人が73%と4分の3近くに上り、「防衛力強化」は19%だった。年代別では、40代と70代以上で「外交努力」を挙げる人がそれぞれ7割に達し、他の年代より高かった。
 支持政党別では、民主支持層が「外交努力」73%、「防衛力強化」21%だったのに対し、自民支持層は「外交努力」60%、「防衛力強化」31%だった。「支持政党はない」と答えた無党派層では「外交努力」が67%で、「防衛力強化」は25%にとどまった。
 ◇都の尖閣購入、沖縄県民賛否割れ
 東京都の石原慎太郎知事が発表した尖閣諸島(沖縄県石垣市)の一部を都の予算で購入する計画について、沖縄県民に聞いたところ、「支持する」は54%で、「支持しない」(47%)と評価が割れた。一方、全国調査で購入計画を「支持する」と答えた人は61%に上り、「支持しない」の31%を大きく上回っている。
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 ◇合同調査の質問と回答◇
 ◆沖縄は、5月15日で本土復帰40周年を迎えます。あなたは沖縄の本土復帰が良かったと思いますか。
                   全国 沖縄
良かった               59 58
どちらかといえば良かった       20 22
どちらかといえば悪かった        2  1
悪かった                1  1
どちらともいえない          14 11
 ◆日米両政府は宜野湾市にある米軍普天間飛行場を、名護市辺野古地区に移設する計画を立てています。この計画について、あなたの考えに近いのはどれですか。
計画に沿って移設を進めるべきだ    28 11
移設せずに普天間飛行場を撤去すべきだ 14 21
県外に移設すべきだ          12 29
国外に移設すべきだ          37 39
 ◆沖縄県には在日米軍基地の7割以上が集中しています。この現状について、あなたはどう思いますか。
不平等だと思う            33 69
やむを得ない             37 22
分からない              26  9
 ◆中国が東シナ海などへ積極的に進出していることについて、どう感じますか。
不安に思う              82 85
不安には思わない           12 15
 ◇<「不安に思う」と答えた方に>不安を取り除くためにはどうしたらいいと思いますか。
防衛力を強化すべきだ         26 24
外交努力で解決すべきだ        66 76
 ◆東京都の石原慎太郎知事は、沖縄県の尖閣諸島の一部を都の予算で購入する計画を発表しました。この計画を支持しますか、しませんか。
支持する               61 54
支持しない              31 47
 (以下の設問は全国調査のみ)
 ◆沖縄の米軍基地が、あなたのお住まいの地域に移設されるとしたら、賛成ですか、反対ですか。
賛成                 24
反対                 67
 ◆あなたは日米安全保障条約が、日本の平和と安全に役立っていると思いますか。
役に立っている            46
役に立っていない            8
どちらともいえない          40
 (注)数字は%、小数点以下を四捨五入。無回答は省略。
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 ◇調査の方法
 5、6日の2日間、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った電話番号に調査。福島第1原発事故で警戒区域などに指定されている市町村の電話番号は除いた。全国調査は有権者のいる1580世帯のうち1035人が回答し、回答率は66%。沖縄県調査は1408世帯のうち828人が回答し、回答率は59%。


沖縄世論 安保条約に厳しい目 「平和友好条約に」「破棄を」71%
琉球新報・「毎日」調査
「しんぶん赤旗」(5月13日)
 日本共産党の志位和夫委員長は12日の全国革新懇総会での記念講演で、「沖縄県民のなかで、日米安保条約こそ沖縄の苦難の根源だという認識が広がっている」とし、琉球新報と毎日新聞が行った合同世論調査の結果を紹介しました。
 調査は今月5、6日に実施。「米軍の日本駐留を定めた日米安保条約についてどう思うか」との質問に、沖縄県内では、「維持すべきだ」は15・8%。これに対し、「平和友好条約に改めるべきだ」が55・4%、「破棄すべきだ」が15・5%と、合わせて70・9%にも上りました。
 志位氏はまた、日米両政府が普天間基地の「辺野古移設」に固執する一方、垂直離着陸機オスプレイの配備など普天間基地固定化の動きも起こっていることを指摘し、「基地と県民との矛盾はすでに限界点を超えた」と指摘しました。
 この点でも、合同世論調査の沖縄県内での結果は、普天間基地の「辺野古移設」について「計画に沿って移設を進めるべきだ」は11・2%。これに対し「移設せずに撤去すべきだ」21・4%、「国外に移設すべきだ」38・6%などとなっています。
 また、普天間基地へのオスプレイ配備について「配備すべきでない」が90・1%に上りました。

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