愛国者の邪論

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憲法記念日を前に自民党の反動憲法案を斬る!「第一章天皇」は天皇の政治的利用の権化となった!

2012-05-02 | 日記
以下、反動憲法案の変更点と、その意味について、指摘してみたい。

1.長年の狙いであった「天皇の地位」に関して、「象徴」を残しながらも、最初に「元首」としたことだ。その思いがハッキリした。

(1)「元首」とは一般的には「国の首長」「外国に対して日本を代表する資格を持つ国家機関」らしい。
(2)「国政に関する権能を有しない」「象徴」としての天皇が「元首」と成ることは如何なる意味があるか。
(3)政権政党が「天皇の政治的・文化的・歴史的地位」を利用して、その「地位」を維持しようとしていることが透けて見える。
(4)主権の存する国民の「総意」と矛盾することは明らかだ。

2.天皇の「国政に関する権能を有しない」ということは現行憲法と同じだが、天皇は、「この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ」という現行憲法の規定が、「この憲法に定める国事に関する行為を行い」として、「国事行為以外のものを行うことができる」ように拡大した。具体的には、「(天皇の国事行為等)」と「等」と曖昧にし、「国又は地方自治体その他の公共団体が主催する式典への出席その他の公的な行為を行う」として、「国事行為」と「公的行為」を一緒にした。

(1)これは習近平氏来日の際の「天皇の政治的利用」問題を発展させたことになる。「元首」と合わせると、「象徴」である天皇の「政治利用」の拡大解釈がいっそう激しくなることは間違いない。
(2)だが、現在でも「国事行為のみ」を行うとしている天皇の「行為」だが、「公的行為」に加え、「天皇家の私的行為」である「祭祀」を考慮すると、天皇家の「行為」は一段と多忙化していくだろう。今でさえ軽減が言われているのに、だ。
(3)天皇の権威の「政治的利用」に必死になっている勢力の「天皇家」に対する思いやりは、微塵もないことがわかる。
(4)だが、このことは、現体制の維持のために必死な彼らの思惑が逆に見えてくると位置づけることが大事だ。世界は「アラブの春」や「中南米の春」などに見るように、民衆パワーが炸裂さいているのに、日本だけが、かつての絶対君主の力、権威に頼っているのだ。呆れるし、自信のなさを改めて示してしまった。
(5)天皇を利用する輩は、北朝鮮や中国に対して「アラブの春」的現象を期待しているのだが、その「期待」と自分たちの思惑が矛盾していることを隠しているのだから、呆れる。

5.しかも「政治的利用」が「日の丸・君が代」を「国旗・国歌」法から最高法規である憲法に位置づけ、しかも「尊重しなければならない」としたこと、さらには「元号」法から憲法に位置づけたことだ。

(1)「国旗・国歌」法が成立した際に、「強制はしない」と内閣は国民に約束したが、実際は強制している。最高裁でさえも、これを「よし」としてはいない。
(2)だからこそ、この憲法で、お墨付きを得ようとしたのだろう。だが、この内容そのものが、国民主権と基本的人権に違反するという、子どもでも判る条文をつくってしまったのだ。
(3)国旗国歌を「尊重しなければ」、国家は国民をどうするというのだ!ここがポイントだ。「尊重する」ということは、どのような行為を国民に要求しているのだ。
(4)しかも、日の丸=国旗、君が代=国歌を「第一章天皇」のところに規定したことの意味を、彼ら自身が判っていないようだ。大日本帝国憲法下においてさえ、「日の丸」「君が代」を憲法で国旗国歌として位置づけなかったのに(菊の紋章があったが)、改悪憲法で憲法に位置づけなければならないことの意味だ。自信のなさを示してしまったのだ。
(5)しかも、「第一章天皇」条項で位置づけたことは、今後行事・式典等で、国旗を礼拝し、国家を斉唱することが強制されていくことになるだろう。「元首」であり「象徴」である天皇の象徴する国旗・国歌だからだ。
(6)だが、ここでホンネが出たのだ。「日の丸」は「太陽」を表現する、これこそ天皇家の祖先であるアマテラスを意味することになる。「君」は「元首」で「象徴」である「権能を有しない」「機関としての天皇」ということになる。ここには国民主権は二の次となる思想が根本なのだ。
(7)「元号」そのものは「固有の文化」どころか、中国文化だ。「平成」の時も中国の古典から採用したではないか!完全に矛盾しているではないか!しかもその中国は100年も前に、君主制から共和制に移行した時に廃止しているのだ。
(8)「元号」を使うということは天皇の代替わりというタイミングを使って、時間をも強制しようとする意図があるのだ。事実西暦を使うことを強制されている事例はたくさんある。これを最高法規で決めたのだから、まさに「強制」の「お墨付き」を与えるようなものだ。
(9)それは時の政権とそれを支える勢力が、政権維持のために、「天皇」を利用するのだ。このことは橋下「維新の会」が象徴的だ。いや天皇と明治維新政府以後の政権がやったことでもある。
(10)ではどのような体制を持った政権となるのか?野田オバマ会談で「合意」した日米共同声明体制なのだ。この体制によって利益を得る勢力の権力を支える体制なのだ。

6.皇室財産問題については、「国会の議決」から、「法律で定める場合を除き、国会の承認」というように緩和したことだ。

以上、今回の改悪憲法案の「前文」と「第一章天皇」を診てきたが、彼らの頭の中には、大日本帝国憲法体制へのノスタルジーがある。

そういう意味で歴史の「進歩」に対する「反動」と言える。これは世界の流れに逆らうものだ。必ず打ち破られるだろう。

丁度、260年も続いた徳川政権という旧い殻を破って、復古を掲げながらも資本主義という新しい殻をもった社会体制を創った歴史をみれば、21世紀の10年代は、文字どおり国民が自分自身の要求に根ざして政治を決定していく責任を自覚し、行動する社会体制が目前に迫っているのだ。

大震災に対して国民の命や財産を保障できない政権がはっきりしてしまったが、その政権を支える社会体制の有り様も明らかになってしまった。資本主義の限界だ。その課題を解決していくためには、まさに国民目線から、新しい天皇の地位・天皇家のあり方、新しい社会体制のあり方を具体化する必要性、このことを教えている。まさに「旧い上着よさようなら」「資本主義の胎内に、新しい赤児が誕生しようとしている」のだ。模索最前線だ。このことを自民党の反動改憲案は、反面教師として教えてくれた。「藪蛇」という諺を地で行くようにすることが大事だ。

殻破る雛の力の醍醐味を目の前に見ゆ瑞穂の国に

では自民党反動憲法案と現行憲法を比較しながら、ご検討をお願いしたい。漢数字は自民党の、アラビア数字は現行のものだ。
(天皇)
第一条 天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。
第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

(皇位の継承)
第二条 皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第2条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

(国旗及び国歌)
第三条 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。
2 日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。
第3条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

(元号)
第四条 元号は、法律の定めるところにより、皇位の継承があったときに制定する。
第4条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

(天皇の権能)
第五条 天皇は、この憲法に定める国事に関する行為を行い、国政に関する権能を有しない。
第5条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。

(天皇の国事行為等)
第六条 天皇は、国民のために、国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命し、内閣の指名に基づいて最高裁判所の長である裁判官を任命する。
2 天皇は、国民のために、次に掲げる国事に関する行為を行う。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の国の公務員の任免を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 全権委任状並びに大使及び公使の信任状並びに批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行うこと。
3 天皇は、法律の定めるところにより、前二項の行為を委任することができる。

4 天皇の国事に関する全ての行為には、内閣の進言を必要とし、内閣がその責任を負う。ただし、衆議院の解散については、内閣総理大臣の進言による。
5 第一項及び第二項に掲げるもののほか、天皇は、国又は地方自治体その他の公共団体が主催する式典への出席その他の公的な行為を行う。
第6条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
2 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

(摂政)
第七条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名で、その国事に関する行為を行う。
2 第五条及び前条第四項の規定は、摂政について準用する。
第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
1.憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
2.国会を召集すること。
3.衆議院を解散すること。
4.国会議員の総選挙の施行を公示すること。
5.国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
6.大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
7.栄典を授与すること。
8.批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
9.外国の大使及び公使を接受すること。
10.儀式を行ふこと。

(皇室への財産の譲渡等の制限)
第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与するには、法律で定める場合を除き、国会の承認を経なければならない。
第8条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。
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