愛国者の邪論

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比較的まともな地方紙でも日米軍事同盟是認論の「沖縄復帰40年」論では真の負担軽減はできない!

2012-05-19 | 日記
沖縄復帰40年を記念した地方紙の社説を読んでみた。以下検討してみた。

そのポイントは何か、以下述べてみよう。今日のところは、2つ。

1.「日米安保条約の枠組みによってつくられた平和と繁栄と沖縄の犠牲」論について

・戦後、日米安全保障条約の傘の下で本土の人たちが享受してきた平和と繁栄は、沖縄の犠牲の上に成り立ってきたといえる。(東奥日報)
・戦後、日本の安全保障は日米安保条約に支えられ、この枠組みが経済発展をもたらす基盤ともなった。(秋田さきがけ)
・安全保障問題では、近年、日米同盟の深化という言葉が盛んに使われる。しかし、その前提には沖縄の犠牲があり、犠牲を強いられ続けてきた沖縄の怒りは近年、沸点を超えつつある。(岐阜)
・日米安全保障は沖縄の犠牲の上に成り立ち、県民の怒りは増す一方だ。(福井)
・政府は基地問題を解決できないまま、振興計画を取引材料にしてきた。いくらカネをつぎこんでも基地負担の軽減にはならない。日米安全保障は沖縄の犠牲の上に成り立ち、県民の怒りは増す一方だ。政府は真の「沖縄返還交渉」を進めるべきではないか。(福井)
・政府は第5次計画の基本方針として「アジア・太平洋地域の発展に寄与する拠点」を目指すとした。アジアに近い優位性を生かし、国際物流や観光産業を促進する狙いだ。(徳島)
・近年、日米同盟の深化という言葉が盛んに使われる。しかし、その前提には沖縄の犠牲があり続ける。基地負担の軽減を図らない限り、安全保障政策を永続的なものにすることは不可能だ。(宮崎日日)
・沖縄が日本の発展に果たしてきた役割は計り知れない。日本の平和は日米安保体制の下、沖縄の犠牲の上に成り立ってきた。その犠牲の結果、基地問題をはじめ、本土との間には大きな格差が依然として残っている。(佐賀)

どうだろうか。上記の社説の指摘をまとめてみた。

(1)「日米安保条約によって日本の繁栄がある」論は、「消費は美徳」として資源の浪費生活や「原子力の平和利用」による原発事故も免罪する。

(2)石炭から石油へ、石油から原子力へ、食糧自給率を低下させてきたこと、貿易立国を軸に国内の資源エネルギーを対米追随に転換してきたことなどを免罪する。

(3)「日米安保は沖縄の犠牲のうえにある」論は、沖縄県民と他県民、すなわち国民を分断する論である。すなわち米軍基地のある自治体の住民の諸権利が侵害されていることを見えなくさせると同時に全国的連帯と統一行動を起こさせない論になる。これについては、後で述べる。

(4)日米安保体制によって、日本が出撃基地となり、ベトナム・インドシナ人民、イラク・アフガン人民の生命を財産、環境を不当な侵略、国際法に違反して犯してきたことを免罪する。

(5)日米軍事同盟による「安全保障」論は「軍事均衡」論、「抑止力」論によって成り立つものである。

(6)これは日米安保条約の上位ある日本国憲法の平和主義(紛争を平和的手段によって解決する)を後景に追いやり、軽視し、憲法を暮らしに生かすために活用する創意工夫を止め、停止することになる。実際わが国の政府は、こうした立場にたった外交努力を自主的に行うという点で極めて弱い。

(7)膨大なムダ遣いである軍事費を平和的産業や教育・福祉・暮らしなどに転用して繁栄を築く政治をないがしろにする。

2.「沖縄差別・不平等」論=同情論は日米安保条約の本質を覆い隠す

・在日米軍基地はなお74%が沖縄に集中している。この過重負担をどうするのか。真剣に考えなければならない。同じ日本人として沖縄の痛みを分かち合う気持ちが大切だ。駐留する米兵らは、罪を犯しても基地に逃げ込めば日本側は捜査できない。多くの被害者が泣き寝入りさせられた。この不平等な日米地位協定はまだ一度も改定されていない(北海道)
・施政権は米国から日本に返還されたが、存続した米軍基地による過重な負担は今もなお解消されていない。「核抜き本土並み」とされた復帰だが、在日米軍基地のうち74%が沖縄に集中、基地に関しては「本土並み」とはほど遠い。三沢基地を抱え沖縄に次ぐ本県の7.6%からみても、沖縄の負担は余りにも重い。米軍機の騒音、墜落の危険、米軍関係者らによる犯罪多発、基地に接収されたままの私有地…。基地の重圧はいつまで続くのか。(東奥日報)
・復帰から40年たった今も国土面積の0・6%にすぎない沖縄に在日米軍施設の74%が集中する。「基地のない平和な島」。本土復帰に込めた沖縄の願いはかなわず、基地による騒音や事故などに苦しんでいる。(秋田さきがけ)
・仲井真知事の訴え(沖縄に集中する米軍基地の負担について、「政府は今後の10年で公平にしてほしい」と求めた。ほかの県も負担を受け持つべきだ)は基地問題を沖縄だけにとどめず、日本全体で考えるべきだ、とのメッセージではないか。重く受け止めたい。(信濃毎日)
・1950年代後半から60年代にかけて、本土の基地は約4分の1に減ったが、沖縄の基地は約2倍に増えた。沖縄の祖国復帰運動は、非民主的な米軍施政の下に置かれてきた人々が「基地のない平和な島」を取り戻そうという運動でもあったが、「核抜き、本土並み」といわれた復帰は、少なくとも基地に関しては本土並みになっていない。40年間に沖縄県の米軍基地面積は18%ほど減ったが、日本の米軍基地の74%が今も集中、屋良氏の抱いた未来への懸念は不幸にも的中している。(岐阜)
・40年で本土にある米軍基地が31%減った一方、沖縄は19%減でしかない。今なお米軍専用基地の74%が島に集中する。不平等な日米地位協定も改定されず、地元から「差別だ」の声が上がる。そうした声に耳を傾ける必要がある。沖縄県の仲井真弘多知事は本土復帰40年を前にした会見で、沖縄に集中する米軍基地の負担を今後10年間に全国で公平に分担するよう要望した。重い問い掛けである。国の安全保障の問題が県政の最重要課題にならざるを得ない沖縄の40年間の「犠牲」をどう考えるか。私たち一人一人が問われている。(山陽)
・本土と沖縄との間に今、新たな「国境」が生じつつあるのではないか。それを消すには、基地が集中する沖縄の現実を見つめ直し、負担軽減を訴える切実な声に耳を傾ける必要がある。(高知)
・最も突出しているのが米軍基地の存在で、今も2万3千ヘクタールに及ぶ。面積では全国の0・6%にすぎない沖縄県に、在日米軍専用施設の約74%が集まり、数々の生活被害を及ぼしている。異様な基地集中は、40年たっても改善されず固定化されたままだ。米軍による事故や米兵の犯罪も後を絶たない。1995年の少女暴行事件で米軍は起訴まで容疑者の兵士の身柄引き渡しを拒み、2004年の沖縄国際大学へのヘリ墜落事故では米軍が日本側の警察、消防さえ現場から締め出した。こうした特権を保証する日米地位協定は一度も改定されていない。「本土並み」という沖縄の悲願は、依然道半ばと言うしかない。こうした沖縄の厳しい現状を、本土は理解しているだろうか。地元紙・琉球新報と全国紙による世論調査がある。沖縄の米軍基地集中を「不平等だ」と回答したのは、沖縄で69%にのぼるが、全国では33%だった。両者の落差は大きい。この時代、戦争の負の遺産に苦しむ沖縄に、本土側も同胞として強い共感を抱いていたことがうかがえる。40年たった今はどうだろう。本土は沖縄の苦悩を人ごとのように眺め、沖縄はその無関心さに不信と無力感を強めているのではないだろうか。沖縄と本土は、復帰当時の共感を育むどころか、分断が広がっている。本土側には「基地集中は好ましくないが、やむを得ない」とのあきらめ感も漂う。しかし、沖縄の基地を固定化することは、沖縄と本土の「不平等」も固定化してしまうことだ。沖縄の人々の怒りは、基地による被害への不満だけでなく、不平等に鈍感な本土の住民に対する異議申し立てでもある。原発事故では全国の住民が、福島の人々の苦労を思いやった。同じように沖縄の人々の苦難にも、いま再び想像力を働かせたいと切に思う。少数の犠牲の上で大多数が安逸に暮らす-。そんな社会を放置し続ける日本であっていいはずがない。(西日本)
・沖縄の祖国復帰運動は、非民主的な米軍施政の下に置かれてきた人々が「基地のない平和な島を取り戻そう」という切実な願いからだった。沖縄がまだ米国の一部であった1950年代後半から60年代にかけて、本土の基地は約4分の1に減ったが、一方で沖縄の基地は約2倍に増えた。日本に復帰して40年の間に沖縄の基地面積は約18%減ったものの、日本の米軍基地の74%が今も集中している。「核抜き、本土並み」といわれた復帰は、少なくとも基地に関しては本土並みになっていない。(宮崎日日)
・日本への復帰当時、多くの沖縄県民は「平和憲法下への復帰」が、基地なき沖縄につながると大きな期待を寄せた。だが、その期待は裏切られ、日本の国土の0・6%にすぎない沖縄に、米軍専用施設の74%が集中するという構図が続いている。なぜ、沖縄に米軍基地がこれほどまでに集中するのか。それは、日米同盟を軸に据えた安全保障体制が形作られてきたのが大きい。中国、ロシア、北朝鮮に対峙するラインの中心線に、沖縄が位置しているという地政学的な理由だ。沖縄の人々が今の状況を「差別的」だと捉えているのも当然だろう。その心情に、本土に住む私たちは正面から向き合わなくてはならない。だが、基地なき沖縄という理想は、今の緊迫した国際情勢を考え合わせれば遠のくばかりだ。軍事力を強化し続ける中国は、わが国や周辺諸国との摩擦も引き起こしている。沖縄の軍事的な役割は、ますます増している。こうした国際情勢はあるにせよ、沖縄の負担軽減は大切なテーマだ。(佐賀)
・日本の安全保障政策の中で翻弄され続けてきた沖縄だが、憲法施行65年を迎えた3日、地元2紙はそれぞれの社説で、米軍への優遇措置を盛り込んだ日米地位協定が憲法に保障された諸権利を侵害している現状の打開を訴えた。仲井真弘多知事も政府に地位協定の改定に向け運用改善を積み上げるよう要請している。政府の確かな取り組みが望まれる。(熊本日日)
・しかし、沖縄の自立的発展の前に大きく立ちはだかるのが、米軍基地の存在だ。在日米軍基地のうち74%が沖縄に集中する現状について、沖縄から「差別」と批判されるのは当然だろう。沖縄に基地負担を押しつけ、代わりに交付金などを出すという長年の施策は、沖縄の自立を阻んできた。これからも「基地の島」のままでいいのか、国民一人一人が考えたい。(南日本)

引用が長くなってしまった。できるだけ事実を明らかにすることで、社の思想を読み取っていただきたかったからだ。ご容赦を!そこで、上記の社説の指摘をまとめてみた。

(1)米軍兵士の犯罪は、沖縄だけではない。全国各地で発生しているし、今後も起こる可能性は大きい。
だが、

(2)米軍基地を擁する三沢(青森)が何故一緒に米軍基地撤去のために沖縄と連帯できないのか?同じことは全国各地の米軍基地を擁する自治体にも言えることだ。だが、この復帰40年記念にあたって社説すら書かない新聞社もある。
そうしたなかで、

(3)「沖縄の苦難」を強調するのはいい。だが、それだけでは「基地のない島」は実現できない。「日米同盟を軸に据えた安全保障体制が形作られてきたのが大きい」との認識とこれまでの歴史が示しているではないか。
だが、

(4)「平和憲法下への復帰」「基地のない平和な島」とは、9条のある国、ニッポンのことだ。この視点が弱いのは、日米安保条約を廃棄してこそ「基地のない平和なニッポン」が実現できることを覆い隠すことを意味している。
そのことは、

(5)社説で述べられている日米地位協定の事項は、その本質を覆い隠す役割を果たしている。免罪だ。地位協定は日米安保条約6条にもとづいて米軍基地(「施設及び区域」)を日本のどこにでも置くことができる「全土基地方式」を採用している事を隠している。地位協定第2条は、個別の基地の使用条件について、第25条にもとづいて設置される日米合同委員会で合意されるとしている。しかもアメリカがどこに基地を置くかについていっさいの制約はないし、基地の「使用条件」も、いっさい秘密だ。何も沖縄だけではないのだ。いつでも沖縄化は可能なのだ。
そういう状況を無視して、

(6)沖縄と本土の間に「新たな『国境』が生じつつある」のは、「国民一人一人」なのか、「本土に住む私たち」とは誰のことか、曖昧な言い方だ。マスコミの知らせる責任、国民の知る権利、政府の憲法遵守の義務は、曖昧だ。

日の本の差別の奥に住む悪魔瑞穂の国の徳を奪ひて


北海道   沖縄復帰40年 「本土並み」はまだ遠い
河北新報  沖縄復帰40年/「祖国」による分断を超えて
東奥日報  「本土並み」未来へ道筋を/沖縄復帰40年
秋田さきがけ 沖縄復帰40年 負担分かち合う道筋を
岩手日報   沖縄返還40年 島の現実を共有しよう
信濃毎日   沖縄復帰40年 溝を埋める取り組みを
新潟日報   本土復帰40年 沖縄の訴えを胸に刻もう
岐阜   沖縄復帰40年犠牲を強いない安保を
福井   沖縄復帰40年 これ以上犠牲を強いるな
京都   沖縄復帰40年  苦難の歴史見つめたい
神戸   沖縄復帰40年/変わる民意を受け止めよ 
山陽  沖縄復帰40年 問い掛ける「犠牲」の構図
中国  沖縄復帰40年 現実を直視する機会に
山陽中央新報 沖縄復帰40年/犠牲なき安保政策議論を
愛媛  沖縄復帰40年 犠牲の構造解消へかじを切れ
徳島 沖縄復帰40年 基地の負担を減らさねば
高知 【沖縄復帰40年】脱基地の願いに応えたい
西日本 沖縄復帰40年 「不平等」の固定化でいいのか
宮崎日日 沖縄復帰40年 基地負担軽減し安保政策を
佐賀 沖縄復帰40年 「万国津梁」をふたたび
熊本日日 本土復帰40年 沖縄の現実に向き合いたい
南日本 [沖縄復帰40年] 自立的発展どう描くか
コメント (2)
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