愛国者の邪論

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憲法9条の非軍事的・平和的手段で紛争解決をする国家戦略を放棄した防衛白書をマスコミはどう伝えたか!

2012-08-04 | 日記

今年度版「防衛白書」が発表され、必ずしも多くはないが、各紙が社説で論評した。今日現在で把握できた新聞を一覧してみると、立場が鮮明になった。その最大のポイントは憲法第9条の「国際紛争を非軍事的手段で解決する」という「日本の国家の戦略」を踏まえて論評がなされているかどうか、ここに大きな違いがあることが判る。

「防衛白書」をみると、日本国憲法第9条を使って紛争を解決するという立場は出てこない。自衛隊が憲法第9条の解釈に違反していることは当然だが、百歩譲って、9条の解釈に色々な意見を認めたとしても、防衛省、政府は、自らが寄って立つべき日本国憲法の立場に違反していることが、この防衛白書によって立証されたといえる。その根拠は何か。それは憲法第99条の憲法尊重擁護の義務条項に明確に違反しているからだ。

しかも、このことを指摘したマスコミは皆無だ。こうして防衛省・政府の土俵で、すなわち日米安保条約是認の枠組みで議論が、安全保障の論議が展開されているのだ。まさに日米政府の思う壺といえる。

だが、今回の防衛白書をめぐって展開された社説をみると、少し様相が違ってきている。最大の要因は、普天間基地の扱いとオスプレイ配備について、沖縄の闘いとオスプレイ配備に反対する全国各地の知事たちの姿勢がある。全国知事会は日米安保是認派であるが、オスプレイ配備を強行すると、日米安保体制が揺らぐというスタンスだ。

沖縄の知事や宜野湾市長のような姿勢の首長が各地に広がったといえる。これは日米安保条約の従属的本質、国民の命や安全、財産を守らないという本質的矛盾が噴出してきたといえる。これに葉沖縄県民の不屈の闘いがある。

こうした状況の中にあって新聞は何を主張したか、だ。新聞の論調は国民の中にある世論・ムードを一定反映しているのは事実だ。だが同時に、新聞が国民世論を扇動し、日米安保体制を擁護するためのイデオロギーをふりまくという側面もある。

もう一方では日米安保体制を否定するのではないが、国民目線から考えると日米安保体制の矛盾を突いた論戦を展開している側面と憲法9条の理念に即した論調を展開する側面もある。

こうしたイデオロギー状況が鍔迫り合いを行っているのが、現局面といえる。こうしたイデオロギー状況にあって、国連憲章と国際法にもとづく世論、日本国憲法第9条の理念にもとづく世論が多数派になるためのイデオロギー闘争と実際の運動の発展、これが今求められている。

そこで、ポイントを以下、4つにまとめてみた。
1.日米安保条約=日米軍事同盟深化論=動的防衛力の強化を強調する主張
(1)抑止力論を主張する論は、「財政危機」であっても軍事費減を認めない論であることを見ていく必要がある。
(2)こういう論に対しては軍事と財政・増税を強調する必要があるだろう。事実近代日本の侵略戦争は増税・増税で、国民の不満を国民同士を分断させる手法を取ったことを想い起こす必要がある。
(3)政府に反対する国民を「非国民・国賊」としてバッシングし、村八分に追いやった。現在は「自己責任」論、公務員バッシングに代表される足の引っ張り合いだ。

2.中国批判を中心に日本の役割を強調するが対応は抽象的
(1)確かに中国の大国主義的行動や国内の人権問題は批判されるべきことは多い。
(2)これに対しては歴史的側面・中国領土・地政学的問題も検討すべきだろう。
(3)中国の軍事費の拡大面を国民一人当たりで見ると、日本はどうか、中国批判の一面性は免れないだろう。
(4)だが中国の大国化が世界にどのような影響を与えるか、民族自決主義や国家対等平等論など社会主義を目指す国家としての自覚的行動が、社会主義の信頼を増幅していくことを中国政府は自覚すべきだろう。
(5)中国批判の目は、そのまま日本国政府批判に跳ね返ってくることを自覚すべきだろう。

3.不測の事態に備えて軍事交流・相互理解を強調する主張
(1)軍隊の役割を認めながら、軍事的「対話」によって解決しようとするものだが、「現実的対応」として強調することで、ズルズル軍事優先になっていく歴史を教訓にしなければならない。
(2)普天間基地の「負担軽減」論に象徴されている。「負担軽減」は基地温存の空手形、絵空事であることは、この間の経過が示している。

4.白書の姿勢批判を強調する主張
(1)これは、白書が現実に起きている国民の負担について記していないこと、ごまかしていることを批判している。
(2)具体的にどうすれば紛争の解決へのプロセスが見えてくるか、明らかにすべきだろう。

5.非軍事・平和的手段の強化を強調する主張
(1)冷戦構造にもとづく抑止力論にもとづく軍事的対応を批判しているが、国際法と日本国憲法9条にもとづく外交路線を、さらにイメージ化する努力が必要だろう。
(2)そのためには、外交だけではなく、文化・スポーツ・教育交流、経済交流、青年交流、歴史認識の交流など、相互理解を多面的な交流をとおして実現していく方策を提案していく必要がある。
(3)これこそが憲法9条の理念の具体化である。ダガ、こうした視点での批判はない。これが憲法9条改悪勢力の伸張を許している。
(4)日米安保=軍事同盟優先主義、日米安保=軍事同盟を前提にした「交流」から非軍事同盟の交流を具体的に提案し、国民への不安を克服していく必要がある。
(5)これが可能になれば「ギクシャク」論を排除していくことが可能になる。

日米のえにし深める方策は軍事の土俵抜け出でてこそ

では、以下一覧してみたので、検討をお願いしたい。

防衛白書の強調点は、森本防衛大臣の以下の言葉に象徴されている。
http://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2012/2012/index.html
北朝鮮では、金正恩氏を中心とする新体制が短期間で整えられるとともに、本年4月には「人工衛星」と称するミサイルの発射が強行されました。また、中国は、国防費を継続的に増加し軍事力を広範かつ急速に近代化させるとともに、わが国の近海などにおいて活動を拡大・活発化させています。さらに、ロシアも極東地域において艦艇や航空機などの活動を活発化させています。
また、国際社会全体を概観すると、頻発する地域紛争やテロリズムなどの非対称脅威は人々に大きな恐怖を与え、さらに、核・生物・化学兵器などの大量破壊兵器やそれらを運搬するための弾道ミサイルの移転・拡散が問題となっています。防衛力整備については…厳しい財政状況の中にあっても着実に進展させ…動的防衛力の構築を進めるとともに…日米同盟を深化・拡大することにより、日米両国のみならず、地域の平和と安定のための役割を果たし…米国の抑止力を維持しつつ、戦略的観点から日米防衛協力のあるべき姿を模索し、これを実現し…国際社会の平和と安定への協力において、防衛省・自衛隊は大きな役割を果たし…海外におけるこうした自衛隊の活動…万全の態勢で取り組んで…危機管理態勢については迅速・的確に対応できる体制の整備などに努めて…(引用ここまで)

こうした視点で書かれた防衛白書に対して、以下各紙の特徴を一覧してみよう。以下分類してみた。

1.まず憲法を語らず日米安保体制擁護、日米軍事同盟深化を掲げる新聞からみてみる。
産経 防衛白書 尖閣の危機に守り固めよ 8.2
日本政府は防衛費を10年連続で削減…危機認識が決定的に足りない。財政事情などにとらわれて国家の安全確保を怠ってきたとしか言いようがない。動的防衛力…を裏付ける警戒監視活動の強化や突発的な事態に即応する装備の充実は不十分…着実かつ速やかに取り組むこと…しなければ、日米同盟の抑止力に不可欠な米軍普天間飛行場の移設問題の二の舞いになりかねない。

読売 防衛白書 中国軍の活動に警戒を怠るな 8月1日
「アジア重視」を鮮明にした米軍との「動的防衛協力」を強化するとともに、海空自の部隊配置や装備を充実させることが急務だ。防衛費の10年連続の減少にも、歯止めをかけるべきである。
…日本は、米韓両国との軍事情報の共有を拡大し、共同演習を通じて抑止力を高めねばならない。


2.中国批判を中心に日本の役割を強調するが対応は抽象的

岐阜 防衛白書 中国の国内情勢に注視を8月 2日
十分な情報公開がないことが、中国の軍事面での意思決定や行動に対して、国際社会が強い懸念を抱く一因になっていることは間違いない。…国際社会が大国に望む責任を、中国は果たしていないと言わざるを得ない。透明性が確保されていなければ信頼醸成はできず、意思決定や行動に疑念が生じる。無用な緊張を高めることにもつながりかねない。 国際社会は、中国で何が起きているのかを注視・警戒しつつ、粘り強く透明化を求め続けるべきであり、日本政府には中心的な役割を果たす努力を尽くしてもらいたい。東アジアの安定には不可欠なのだ。

山陰中央新報 防衛白書/求められる中国の透明性08/02
 透明性が確保されていなければ信頼醸成はできず、意思決定や行動に疑念が生じる。その結果、無用な緊張を高めることにもつながりかねない。国際社会は中国で何が起きているかを注視しつつ、粘り強く透明化を求め続けるべきである。東アジアの安定は中国を抜きに語れない。日本政府も最大限の努力をしてもらいたい。

南日本 [防衛白書] 中国軍の動向に警戒を8/2
共産党の一党独裁下にある中国は、国政レベルの普通選挙制度がなく、国民の代表が軍事の最終決定権を持つという意味での「文民統制」は存在しない。そうした特殊な体制の国家で、政治の意思とは別に軍が行動する可能性が強まりつつあるのは見過ごせないし、警戒するのは当然である。情報公開が十分でなければ、中国の軍事面での意思決定や行動に国際社会が強い疑念を抱くのは当然だ。透明性が確保されなければ信頼醸成はできず、意思決定や行動にも疑念が生じて、無用な緊張を高めることにもなりかねない。 中国は大国としての責任を果たさなければならない。国際社会は中国で何が起きているのかを注視し、危機感と警戒心を緩めることなく、粘り強く透明化を求め続けるべきだ。日本政府はアジアの近隣諸国と連携して、その中心的な役割を果たす必要がある。


3.不測の事態に備えるためには軍の対話や交流を求める。

毎日 :防衛白書 懸念される中国軍動向 08月01日
習次期指導部の軍事戦略は流動的だ。軍の政治的影響力が拡大し、対外政策決定で大きな力をふるうような事態は、アジア太平洋地域の安定にとって大きな懸念である。今後の中国の対外戦略を見極めるため、軍の動向を注視する必要がある。そのためにも日中の防衛当局による対話、交流促進が重要だ。…不測の事態に備えた中国軍当局と海上自衛隊の「海上連絡メカニズム」構築を急ぐとともに、相互理解の増進に一層、力を入れるべきだ。

山陽 防衛白書 注視必要な中国軍の動向8/4
周囲との摩擦も辞さないこうした活発な動きや強硬姿勢をみれば、指摘は当然…引き続き警戒が必要…ただ、中国へのあからさまな対抗策は危機感をあおり、地域の不安定化につながる可能性がある。日米の緊密な連携とともに、不測の衝突を避けるため日中防衛当局の対話や交流促進が欠かせまい。…年次報告である白書は、日本の防衛力や安全保障について国民に情報を提供し、理解を得るのが重要な役割のはずである。誰に向けての白書なのか。いま一度考え直すことが必要だ。

4.防衛白書の姿勢そのものの批判を展開する
中国 防衛白書 民意の動向なぜ触れぬ 8月2日
書きたいことは書くが、都合の悪いことにはふたをしている。そんな印象を抱かざるを得ない。おとといの閣議で了承された防衛白書である。…ただ白書とは単なるプロパガンダではない。1年の動きを検証し、あるべき政策を国民にきちんと伝えていく。そんな役割があるはずだ。…これでは日米両政府が手を焼いている問題は、あえて無視していると言われても仕方あるまい。
 防衛政策について丁寧に説明し、国民の理解を得る。そう期待しているのなら白書の作り方から見直してもらいたい。

沖縄タイムス [防衛白書]負担増を強いる内容だ 8月3日
「米軍の抑止力」に過度に依存する防衛省の論理は、基地の負担軽減を求める沖縄の声を真っ向から否定するもので、白書には沖縄軽視の姿勢が随所に読みとれる。…白書に色濃くにじむのは、軍事的脅威には軍事力で対抗するという冷戦型の安全保障観である。日米が軍事力の強化を続ければ際限のない軍拡競争に陥り、逆に東アジア地域の緊張感は増すだろう。 かつて、「太平洋の要石」とも形容された沖縄の地理的優位性を日米が強調すればするほど、県民は、沖縄戦で本土防衛の「捨て石」にされた苦い記憶を呼び起こす。 12年版防衛白書には、基地の重圧に苦しみ続けてきた沖縄県民に対する配慮、目配りが全く感じられない。


5.非軍事的・平和対応を強調する。

東京 防衛白書と中国 「ジレンマ」に陥っては 8月1日
動向を注目する必要はあるが、日米側がやみくもに軍事力を強化すれば「安全保障のジレンマ」に陥ってしまう。…日米両政府は軍事力強化ではなく、中国に対し、周辺海域での活動活発化や国防政策の不透明さが地域の懸念事項となっていることを伝え、海洋での航行の自由を守ることが中国の国益にも資すると粘り強く説得する必要がある。…沖縄の地政学的、戦略的な重要性を強調するばかりでは、画竜点睛を欠く。

北海道 防衛白書 中国との対話も大切だ 8月2日
だが中国と周辺国が角突き合わせるだけでは緊張が高まるばかりだ。まず中国は膨れる国防費や軍備の透明性を高め、周辺国との関係を損なう海洋進出を自制するべきだ。一方、日本政府は中国の脅威を強調するだけでなく、停滞気味の防衛対話を再び活性化したい。大臣級や制服幹部間などさまざまなレベルで話し合い、問題解決と信頼醸成の努力を重ねることが必要だ。…領土や権益の問題は、平和的な外交対話で解決を図るよう日中をはじめ各国政府に強く求めたい。

信濃毎日 防衛白書 摩擦を減らす工夫こそ 8月1日
かといって、軍事的な脅威を絶えず強調していればいいというものでもないだろう。逆に中国を刺激し、さらなる軍拡へと向かわせる恐れがある。 不測の衝突や不毛な対立をいかに防ぐかが、日中双方に問われている。外交のパイプを太くし、相互の信頼関係を築くことが、これまで以上に重要になる。互いに腹を割って懸案事項について話し合い、解決へ向けて知恵を絞り合える関係にしたい。…柱は「動的防衛力」の構築である。「専守防衛」を旨とする自衛隊の制約を緩め、活動の幅を広げることを目指している。日本の領域外での米軍との共同行動など、憲法が禁じる集団的自衛権の行使に道を開く恐れがあるものだ。 果たして力には力を、という発想で中国と向き合っていけるのだろうか。日米安全保障条約があるからといって、米国が日本の思惑通りに動く保証はない。中国への対抗策を軍事的な抑止力だけに頼るのは危険である。 急がなくてはならないのは、不測の衝突がエスカレートしないようにする仕組みづくりだ。日中の防衛当局は尖閣諸島を含む東シナ海のトラブル回避に向けたホットラインの開設を目指しているとされる。こうした工夫を積み上げていきたい。双方の指導者が頻繁に顔を合わせ、信頼関係を地道に築くことが欠かせない。

京都 防衛白書  対中政策は外交を軸に 8月01日
方々であつれきが生じている現状を考えれば、中国の行動をけん制することは道理だろう。
 ただ、中国をにらんだ防衛力の強化が、中国にいっそうの軍拡を促す恐れもある。対中政策は防衛面を中心とするのではなく、政治や経済、外交を含めて多面的に考えなければならない。…白書が中国の脅威をことさら強調する背景には、日米同盟の意義を国民に訴える狙いもあろう。具体的には、不測の事態を想定した「動的防衛協力」を掲げている。…ただし、日中両国がさまざまなレベルで話し合い不毛な衝突を避けることが肝要だ。中国は日本にとって最大の貿易相手国である。対中関係の緊迫化を未然に防ぐ外交や政治の力こそが問われよう。
 日米の懸案についての記述は上っ面でしかない。白書は米軍普天間飛行場の辺野古移設が「唯一の有効な解決策」とするが、現実味がないことは明らかだ。安全性に懸念がある垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備計画も強行しようとしている。白書が普天間の「危険性除去へ全力を尽くす」とするなら、政府は計画見直しを米側にもっと迫っていいはずだ。

神戸 防衛白書/対中国戦略は外交を軸 08/03
大切なのは、冷戦時代の「力の均衡」に戻るのではなく、不毛な衝突を避けるための外交努力だ。沖縄の地理的重要性をことさら強調し、抑止力の向上を図るだけでは、溝は埋まらない。
 首脳をはじめ、さまざまなレベルで胸襟を開いて話し合ってこそ、摩擦を減らすことができる。対中国戦略の軸は外交であることを肝に銘じるべきだ。

高知 【防衛白書】中国との交流のパイプも8月2日
だから日米同盟の強化が必要、という白書の言い分が透けて見えるが、対抗策を「力の論理」に頼りすぎると対立のジレンマに陥りかねない。過日、一連の会議を終えた東南アジア諸国連合(ASEAN)は、中国との領有権問題などを話し合いで解決する方法を模索している。日中間でもこうした枠組みづくりが欠かせない。…外なる脅威を語り、内なる備えを説くのは防衛白書の常ながら、日米同盟の強化、ないしは深化が中国側に与える影響も考えておく必要がある。互いの脅威を言い募ることで、対立をエスカレートさせ、地域を不安定化させては元も子もない。ASEANは02年、領有権問題などでの武力行使を禁じる行動宣言に中国とともに署名、現在はこれを法的拘束力のある行動規範に格上げすることを中国に求めている。東南アジアを非核兵器地帯にする構想もある。日中間の本格的な防衛交流は、漁船衝突事件で途絶えている。トラブル回避の連絡体制、防衛トップの相互訪問など交流のパイプも太くしたい。

琉球新報 軍事衝突回避 日米中の戦略的対話を7月30日 防衛白書ではない
尖閣諸島の領有権や東シナ海のガス田開発をめぐる対立が続く一方で、日中双方で「領土ナショナリズム」も高まっている。こうした中、両国は万が一にも、種々の対立を武力によって決着するという誘惑に駆られてはならない。…尖閣問題で米国が日本を支援するとかしないとかいう議論がかまびすしいが、石垣市に帰属する尖閣諸島はわが国の領土であり、県民を度外視して尖閣を「火の海にすることも辞さず」といった議論にくみするわけにはいかない。国連憲章に照らしても、あらゆる争いは平和的手段による解決を図るべきだ。
 期待したいのは「日米中戦略対話」だ。野田佳彦首相が海洋や経済をめぐるルールづくりを念頭に米中両国に提案した。日本政府はこれを実現し、戦略的対話を通じて国益と東アジアの平和を両立させる外交の真価を発揮してほしい。