昨日共産党が会議を開き、党大会の議案を発表しました。このことそのものをみれば、日本の政党の中で凄いことだと思いますが、そんなことはスルーしてしまう日本のマスコミの知的水準には呆れます。内容の検討については、後日することにして、今日は、この会議を報ずる日本のマスコミの少なさに呆れました。中国の会議の方に目がいってしまうことにも、この日本のマスコミは日本の政治に責任を持っているのだろうかと、改めて深い疑念がわいてきました。
これは中国共産党のイメージを悪くすることで、日本共産党のイメージ操作を狙ったものであることが改めて浮き彫りになったことです。それは、朝日の記事を見れば象徴的です。
一つは中国共産党の社会主義論について、日本共産党の社会主義論と、その関係において、中国共産党のすすめている社会主義政策をどのように評価しているかという問題です。このことは、ずっと前に明らかにしていることですが、朝日は、「無党派への支持拡大を意識」していう表現に象徴されているように、ためにするというか、無知をさらけ出しているのです。恥ずかしくないのでしょうか。
以下、その証拠を掲載しておきます。ご覧ください。愛国者の邪論は、共産党が発表しているものを、事実に照らして批判する、評価することが、日本の民主主義のために必要不可欠だと思っているのです。何も共産党が全て正しいなどというところから、記事を書いているのではないことだけは、言っておきます。民主主義というものは、公平に、事実に即して、論じ合うことではないかということです。マスコミの倫理綱領に即して記事を書けということです。
共産、衆参で議席増目指す=「一点共闘」推進-大会決議案 - 時事通信社
共産、党大会決議案を発表 :日本経済新聞
中国は社会主義国ではない? 志位委員長が決議案発表:朝日新聞 ...
共産党は12日、党本部で第9回中央委員会総会(9中総)を開き、志位和夫委員長が来年1月に行う第26回党大会で採択する決議案を発表した。無党派への支持拡大を意識し、中国を「社会主義国に到達した国」でないと指摘、中国共産党との違いを強調した。(つづく)
朝日4面 共産党が日本で政権をとったら 「巨大経済力の水準を引き継ぐ」 大会決議案
共産党は12日、党本部で第9回中央委員会総会(9中総)を開き、志位和夫委員長が来年1月に行う第26回党大会で採択する決議案」を発表した。無党派への支持拡大を意識し、中国を「社会主義国に到達した国」でないと指摘、中国共産党との違いを強調した。決議案では、中国を「社会主義をめざす新しい探求開始された国」と位置付けつつ、中国が抱える汚職や腐敗、社会的格差など社会問題を挙げて「覇権主義や大国主義が再現される誤りを犯すなら、社会主義への道から決定的に踏み外す」と警鐘を鳴らした。(引用ここまで)
それでは、共産党の見解の推移を掲載しておきますので、検証をお願いします。
19回大会期12中総で決定 日本共産党綱領一部改定案の提案説明 1994年05月18日
六、世界情勢(第四章)
(1)この章は、全体として書きあらためた。もちろん、アメリカ帝国主義やソ連覇権主義の規定、核兵器廃絶や民族自決権尊重の課題の重視など、核心をなす命題は、うけついでいる。
(2)全体の構成では、二十世紀の大きな流れのなかで、今日の情勢をみることを、基本において、つぎのような組み立てにした。
①冒頭に、世界資本主義の独占資本主義、帝国主義への移行、ソ連での社会主義革命とレーニン時代の成果が世界におよぼした影響、第二次世界大戦後の帝国主義の世界支配の後退などを積極的に叙述した。
②そういう状況のもとでの帝国主義陣営の状況、そのなかでの「侵略と反動の主柱」としてのアメリカ帝国主義の役割の分析。
③ついで、社会主義をめざす国ぐにの状況――とくにソ連その他の覇権主義と官僚主義・専制主義の本質とそれがソ連・東欧の支配体制の崩壊にいたる過程、この問題での日本共産党のたたかいをふくめ、この全体をどう評価するかなどの解明。
④現在の世界資本主義の矛盾と人民の運動。「資本主義万歳」論などがなりたちえないこと。世界史の大局的な発展方向をどうみるか。
⑤核兵器をめぐる情勢と核戦争阻止・核兵器廃絶の課題。非核の統一戦線と非核政府の根拠。
⑥世界情勢のなかでの日本の役割と責任。
(3)アメリカ帝国主義の問題では、世界支配をめざす軍事ブロック政策がアメリカの経済的利益を至上のものとして追求する経済的覇権主義と不可分にむすびついていること、アジア・太平洋地域で覇権主義の新たな策謀がめぐらされ、日本がここでとくにアメリカの目したの同盟者として行動していることを、新たに指摘した。これは、最近の情勢をみるうえでの重要な基本点である。最近流行の「冷戦終結」論についていえば、アメリカの「冷戦」戦略とその体制が、第二次世界大戦後に、「新しい世界支配」をめざして開始されたことを、つかむことが重要である。アメリカが「原爆を武器とする対ソ戦争の計画」をもったことは、冷戦の重要な側面をなしたが、それがこの体制や戦略のすべてではなかった。それは、「冷戦」体制が、その発足にあたって、ギリシャその他への覇権主義的な介入を直接の目的としていたことにも、六〇年代~七〇年代に、アメリカ帝国主義が、ソ連や中国に「接近」しながら、ベトナム侵略などに力を集中した各個撃破政策を世界戦略の基本にしたことにもあらわれていた。日本共産党は、そのときどき、アメリカの術策を的確に批判してたたかってきた。この見地から、ソ連覇権主義の崩壊後のアメリカ帝国主義の「世界の憲兵」戦略をどうみるかをのべたが、このことは、今日、いよいよ重要になっている。
(4)ソ連、東欧の支配体制の崩壊の問題に関連して、これらの諸国をふくめ、社会主義を名のっていた諸国を、「社会主義をめざす国ぐに」、「社会主義をめざす道にふみだした国ぐに」と表現し、これらの国ぐにが、ソ連をふくめ、社会の実態として(社会科学の用語でいえば、経済的社会構成体として、ということ)、社会主義社会に到達しえないまま、この崩壊にいたったことを明確にした。社会主義社会に到達したかどうかの問題では、ソ連では、一九三〇年代に社会主義社会の建設が基本的に完了したというのが、スターリン以来の定説となっており、そのことを前提にして、現在の発展段階を、それぞれ、共産主義建設への移行(スターリン)、共産主義社会の全面的建設期(フルシチョフ)、発達した社会主義(ブレジネフ)などと規定していた。日本共産党は、一九七七年の第十四回党大会で、当時、社会主義を名のっていた諸国は、もっとも歴史の古いソ連をふくめて、社会主義のほんらいの値うちを発揮する段階に到達していないという「生成期」論を明確にし、ソ連の「発達した社会主義」論などを認めることを明白に拒否してきた。なお、「社会主義をめざす国」ということは、その国が社会主義にむかって現実に前進しつつあるといった評価をふくむものではない。その過程には、逸脱もあれば退行もあり、その逸脱が肥大化すれば、資本主義の方向への変質や崩壊が起こりうることは、われわれが現実に目撃してきたところである。これは、一つひとつの国の状況におうじて、分析すべき問題である。
(5)世界の前途をどうみるかの問題では、改定案では、世界資本主義が現実に多くの矛盾に直面していることを、リアルに叙述した。科学的社会主義は、資本主義の矛盾の科学的な解明を基礎にした資本主義批判から出発しており、世界の現実は、その展望の有効性を明白にしめしている。
(6)核兵器とその廃絶にかんする部分は、ソ連崩壊後、「世界の憲兵」戦略の重要な内容として、アメリカ帝国主義が核兵器の独占体制を強化しようとしていることが重要である。同時に、そのアメリカにおいてさえ、首都の住民投票で、核兵器廃絶の声が多数をしめた。このことは、核兵器に固執する政策と国民の意思との矛盾の、きわめて具体的なあらわれである。このことは、国際的にも、各国的にも、非核の統一戦線の必要性とその基盤の存在をしめしており、ここに非核の政府という問題提起の根拠もある。こういう点をより明確にするように、叙述を充実させた。
第20回党大会 日本共産党綱領の一部改定についての報告 1994年07月23日
(4)「社会主義をめざす国」という規定について
さて、「社会主義をめざす国」という規定の問題にはいります。
「社会主義をめざす」とは、その国が過渡期にあることを一律に表現したものではない
綱領の一部改定案は、旧ソ連・東欧諸国をふくめ、これまで「社会主義国」とよんできた諸国を「社会主義をめざす国ぐに」、「社会主義をめざす道にふみだした国ぐに」と表現し、旧体制が解体したソ連・東欧について、「社会の実態として、社会主義社会には到達しえないまま、その解体を迎えた」と規定しました。
ここでまずあきらかにしておきたいのは、この「社会主義をめざす」という言葉は、その国の人民あるいは指導部が社会主義を目標としてかかげている事実をあらわしているだけで、これらの国ぐにが、社会主義、共産主義社会にいたるいわゆる過渡期に属していることを、一律に表現したものではない、ということです。つまりこの規定は、その社会が現実に社会主義へむかう軌道の上をすすんでいるかどうかの評価をふくむものではないのであります。
その国が現実に社会主義社会にむかう過渡期にあるのか、それともその軌道から脱線・離反して別個の道をすすんでいるのか、また資本主義に逆行しつつあるのか、あるいはもともと社会主義とは無縁だったのか――私たちは、それらは、国ごとの個別の研究と分析であきらかにすべき問題だと考えています。
日本共産党第22回大会決議 2000年11月24日
──社会主義……一九一七年、ロシアではじめて、社会主義への変革をめざす革命がおこった。この革命は、スターリン以後、覇権主義、専制主義への変質の道をたどり、一九九一年にはソ連の崩壊にいたった。しかし、ロシア革命が、民族独立、国際平和、勤労者の権利の前進などに刻みつけた成果は、旧ソ連の崩壊にもかかわらず、世界史のうえで消えることのない業績である。現在、資本主義の体制から離脱した国々、すなわち「社会主義をめざす国々」に、世界人口の約四分の一の人々が生活していることは、重要である。
第22回党大会にたいする中央委員会報告──書記局長・志位和夫
社会主義という角度から二十世紀をどう総括するか
つぎに「社会主義」についてであります。社会主義という角度から、二十世紀をどう総括するか。これは、二十一世紀にもちこした課題となっています。社会主義をめざして資本主義から離脱した革命ロシアは、スターリン以後、覇権主義、専制主義への変質の道をたどり、一九九一年にはソ連の崩壊にいたりました。同時に、決議案は、「ロシア革命が、民族独立、国際平和、勤労者の権利の前進などに記録した成果は、旧ソ連の崩壊にもかかわらず、世界史のうえで消えることのない業績である」と、その意義を確認しています。さらに決議案は、「資本主義の体制から離脱した国々に、世界人口の約四分の一の人々が生活していることは、重要である」と指摘しています。全党討論では、この個所に、大きな関心がよせられました。
ここで「資本主義の体制から離脱した国々」としているのは、わが党の綱領の位置づけでいえば、「社会主義をめざす国々」ということです。私たちは、これは、その国の人民あるいは指導部が社会主義を目標としてかかげている事実をあらわす規定であり、現実にその国が社会主義社会にむかう過渡期にあるかどうかは、国ごとに個別の研究と分析で明らかにすべき課題と位置づけてきました。前大会後、中国、ベトナムを、わが党代表団が訪問し、政権党の指導部と意見交換をはかるとともに、それぞれの国の実情にも接してきました。それぞれの政府と政権党は、社会主義社会の建設を目標としてかかげており、長期的な視野にたって、社会主義と市場経済をむすびつけて国づくりをはかることを公式の方針としています。 日本共産党は、日本における将来の社会主義社会の建設にあたって、「計画経済と市場経済の結合など弾力的で効率的な経済運営」をはかるという方針を、早くから明らかにし、綱領にも明記しています。これは市場経済は、そのまま放任すれば国民生活を脅かす破壊的な作用をもつが、社会全体の経済運営のなかで「市場の調節作用」が重要な役割を果たすことも事実であり、計画経済と結合されるなら、社会の進歩的な発展の道をきりひらく要素となりうるからであります。こうした立場から、私たちは、中国、ベトナムなどでの市場経済の導入を、「一路、資本主義化」とみなす単純な立場にたつものではありません。レーニンが、さまざまな試行錯誤をへて、晩年に到達した社会主義への過渡期の政策──「新経済政策」は、市場経済を大胆にとりいれながら、社会主義部門を市場競争のなかで十分に勝てる力をもつように育てていくという構想でした。これは短期間で終わったとはいえ、二十一世紀を展望して、きわめて重要な可能性をはらんだ構想であります。中国、ベトナムでの経済建設の方針は、レーニンの「新経済政策」とも、多くの共通の要素をもっていると考えます。
これらの国々の「社会主義をめざす」事業の前途は、その国の人民が決めることでありますが、それがどういう道筋をたどり、どういう発展をとげるかは、二十一世紀の世界を展望したときに、重要な意義をもつことは疑いありません。そういう意味をこめて、決議案に、これらの国々の動向について「重要である」という言葉を書き込んだわけであります。
第22回党大会期第7回中央委員会総会(2003年6月21日~ 23日)
日本共産党綱領改定案についての提案報告 /中央委員会議長 不破哲三
呼称の問題――一般的には「資本主義を離脱した国」とした
なお、呼称の問題ですが、九四年の党綱領の改定のさいに、「社会主義」を名乗っていた国ぐにを総括してどういう言葉で表現すべきか、という問題を検討しました。「社会主義」の最先頭を行っているのだといって自慢していたソ連が崩壊し、実態は社会主義とは無縁な、覇権主義と専制主義の社会――人間抑圧型の社会であったことが、明らかになったわけですから、その教訓をふまえれば、いくらその国の政府や政権党が「社会主義」を名乗っていても、そのことだけで、社会主義国と呼ぶわけにゆかないことは明らかでした。そこで、私たちは、これらの国ぐにの総括的な呼称として、九四年の党大会では、「社会主義をめざす国」という言葉を使うことを決めました。そして、大会への報告では、この言葉の意味について、きわめてきびしい説明をおこないました。その要点は、
――「社会主義をめざす」という言葉は、その国の人民、あるいは指導部が、社会主義を目標としてかかげている、という事実を表しているだけで、これらの国ぐにが、社会主義社会に実際に向かっているという判断をしめす言葉ではない、
――その社会の実態としては、(1)その国が現実に社会主義社会に向かう過渡期にある、(2)その軌道から脱線・離反して別個の道をすすんでいる、(3)資本主義に逆行しつつある、(4)もともと社会主義とは無縁の社会である、など、いろいろな場合がありうる。その国の実態が何かという問題は、国ごとの個別の研究と分析によって、明らかにすべき問題だ、
こういうものでした。これだけの厳格な解説をおこなった上で、この言葉を使ったのです。しかし、その後の実際を考えてみますと、「社会主義をめざす国」という表現自体が、その対象になっているすべての国を、社会主義への方向性をもった国とみなしているかのような誤解を生み出します。これでは、わざわざこの言葉を使う意味がありません。
そこで、今回の改定案では、「社会主義をめざす国」という表現はやめ、これらの国を総称する時には、「資本主義を離脱した国」あるいは「離脱に踏み出した国ぐに」と呼ぶことにしました。したがって、新しい改定案で、「社会主義をめざす」という言葉が使われている時は、そこで問題にしている国や過程に、社会主義にむかう方向性がはっきりしているときだと、ご理解ねがいたいと思います。
質問・意見に答える/不破哲三議長の発言 (大要)
「資本主義から離脱した」国とは? その現状は?
最上さん(福島)からは、「資本主義から離脱した」国はどれだけあって、その現状をどう評価しているかという質問がありました。私たちが、「資本主義から離脱した」国としているのは、現在ある国では、中国、ベトナム、キューバ、北朝鮮です。そのなかで、現実に社会主義への道にたって努力をしていると見ているのは、中国、ベトナム、キューバで、この改定案で「市場経済を通じて社会主義へ」という路線に立っての取り組みについてのべているのは、中国とベトナムです。キューバについては、私が話のなかで、この路線に取り組んでいる国の一つとしてあげたことがあるのですが、昨年、上田副委員長を団長とする代表団がキューバを訪問したときの意見交換では、市場経済路線はとっていないとのことでした。
第23回大会 綱領改定についての報告(全文) 2004年01月17日
「社会主義をめざす国」の規定をめぐって
この問題ではいくつかの質問がありました。
一つは、“中国・ベトナムなどを「社会主義をめざす」流れと評価しているが、そこで起こっているすべてを肯定するのか”という質問であります。
私たちが「社会主義をめざす」流れ、あるいは「社会主義をめざす」国と規定するのは、その国が社会主義への方向性を持っていることについて、わが党が、わが党自身の自主的な見解として、そういう判断をおこなっていることを表現したものであります。
これまでにもいろいろな機会に説明してきましたが、この判断は、その国の政府や政権党の指導部の見解をうのみにしたものではなく、実証的な精神に立っての私たちの自主的な判断であることを、重ねて指摘しておきたいと思います。
わが党は、その国の人々が自ら「社会主義」を名乗っているからと言って、それを単純に受け入れて「社会主義国」扱いするという安易な態度はとりません。このことは、わが党がソ連問題から引きだした原則的な教訓の一つであります。どの国についても、それは、私たち自身の実証的かつ自主的な判断によるものであります。
この判断は、方向性についての認識・判断であって、その国で起こっているすべてを肯定するということでは、もちろんありません。改定案自身が、これらの国ぐにの現状について「政治上・経済上の未解決の問題を残しながらも」と明記している通りであります。
ただ、他国の問題を考える場合、日本共産党は、社会の変革過程についての審判者でもないし、ましてや他国のことに何でも口を出す干渉主義者でもないことに、留意をしてもらいたいと思います。社会主義へのどういう道をすすむかは、その国の国民、その国の政治勢力がその自主的な責任において選ぶことであります。私たちはあらゆる国の状況について積極的に研究し、吸収する価値のあるものは吸収します。しかしそこに、自分たちのいまの考えに合わないところがあるとか、自分が問題点だと思っていることを解決するのに時間がかかっているとかを理由に、あれこれ外部から批判を加えるというのは、日本共産党のやり方ではありません。
私たちは、その国の政府や政党から公然と攻撃や干渉を受けた場合には、公然と反論します。そうでない限り、それぞれの国の国内問題については、全般的には内政不干渉という原則を守り、公然とした批判的な発言は、事柄の性質からいってもともと国際的な性格を持った問題、あるいは世界への有害な影響が放置できない問題に限るという態度を、一貫してとってきました。
これは、日本共産党が数十年にわたって守ってきた対外政策の原則であります。この態度は、いろいろな国、いろいろな文明との共存の関係を発展させるうえで、重要な節度だと私たちは確信しています。
もう一つの質問は「社会主義をめざす」国に北朝鮮をふくめているのか、という質問でした。七中総でもお答えしましたが、私たちが、現実に社会主義への方向性に立って努力していると見ているのは、中国、ベトナム、キューバであって、北朝鮮はふくめていません。
日本共産党綱領 全文 2004年1月17日
(一七)社会主義・共産主義への前進の方向を探究することは、日本だけの問題ではない。
二一世紀の世界は、発達した資本主義諸国での経済的・政治的矛盾と人民の運動のなかからも、資本主義から離脱した国ぐにでの社会主義への独自の道を探究する努力のなかからも、政治的独立をかちとりながら資本主義の枠内では経済的発展の前途を開きえないでいるアジア・中東・アフリカ・ラテンアメリカの広範な国ぐにの人民の運動のなかからも、資本主義を乗り越えて新しい社会をめざす流れが成長し発展することを、大きな時代的特徴としている。
日本共産党第24回大会決議(全文) 2006年01月14日
(7)資本主義をのりこえる新しい 社会への展望
(1) 新しい綱領は、「二一世紀を、搾取も抑圧もない共同社会の建設に向かう人類史的な前進の世紀とすることをめざして、力をつくす」という壮大な展望をのべている。その根拠は、何よりも、「巨大に発達した生産力を制御できないという資本主義の矛盾」のなかにある。 貧富の格差の拡大と、南北問題の解決は、現在の体制のもとでは不可能だという警告が、国連機関の報告書でものべられている。国連開発計画(UNDP)は、毎年、『人間開発報告書』を出しており、「人間開発」とは貧困や格差の解消をさす言葉として使われているが、その最新版では、「合計で四億六千万人となる十八カ国の二〇〇三年の人間開発指数は、一九九〇年よりも低下した。これはかつてない後退である」とのべ、「直截(ちょくせつ)にいえば、世界は明らかに人間開発の失敗へと向かっている」と結論づけている。これは、極端な貧困、格差の拡大は、いまの世界の体制のもとでは解決しえないという深刻な危機感の表明にほかならない。 資本主義の利潤第一主義は、人類の生存条件そのものを脅かす新しい矛盾を引きおこしている。地球温暖化、石油など化石燃料の枯渇、大量の廃棄物の発生などの地球環境問題がそれである。環境やエネルギーのように、長期的経過をたどって壊されていく人類の生存基盤をまもるために、人類が長期的な対応をしなければならない場合に、はたして資本主義という利潤第一主義のシステムでやっていけるのか。それは不可能ではないかという問題提起が、地球環境の専門家のなかからも広くあがっている。 世界の資本主義の現実と矛盾そのもののなかに、わが党がめざす未来社会――社会主義・共産主義への発展の条件が存在しているのである。
(2) 新しい綱領は、二一世紀の世界は、「発達した資本主義諸国での経済的・政治的矛盾と人民の運動」、「資本主義から離脱した国ぐにでの社会主義への独自の道を探究する努力」、「政治的独立をかちとりながら資本主義の枠内では経済的前途を開きえないでいるアジア・中東・アフリカ・ラテンアメリカの広範な国ぐにの人民の運動」のなかから、「資本主義を乗り越えて新しい社会をめざす流れが成長し発展することを、大きな時代的特徴としている」と、未来社会への発展の国際的条件についてのべている。資本主義の危機的な状況をみて、アメリカ、フランス、ドイツの有力なメディアがマルクスを特集するなど、発達した資本主義諸国のなかで、「マルクスを見直そう」という機運が広がっているのは、一つの世界的な傾向となっている。社会主義への独自の道を探求している国ぐには、すでに世界政治、世界経済のなかで大きな位置をしめている。多くの主要国の政府が、中国とどのような政治的・経済的関係を築くのかを、外交戦略の大きな課題として位置づけている。 ラテンアメリカで、民主的な変革にとりくんでいる国のなかから、この改革の前途は何かという問題が提起され、資本主義の道には前途はない、崩壊したソ連は社会主義とはいえないと、独自の社会主義の確立をめざす真剣な議論がはじまっている。この激動の時代に、日本共産党が、未来社会論の中心を「生産手段の社会化」におき、「人間の全面的発達」を目標とする社会をめざすことを明らかにした、新しい綱領を確立したことは、大きな意義をもつ。日本共産党という未来社会の展望とかたく結びついた党名を高くかかげ、壮大な展望と大きな志をもって、未来にのぞもうではないか。
第24回党大会にたいする中央委員会報告/幹部会委員長・志位和夫
中国共産党との理論交流と、新しい綱領の生命力
昨年、十二月におこなわれた日本共産党と中国共産党との理論交流は、中国共産党からの科学的社会主義の理論と世界の現状認識に関する広範な問題提起にこたえて、理論問題を集中して議論し、重要な成果をおさめました。
中国社会の前途は、日本の運動にとっても、世界の動向にとっても、あらゆる意味で大きな影響力をもつものです。中国共産党が、これまでの延長線上にとどまらない、より充実した発展路線とその理論を探求しようという構想をもち、世界の社会主義的な知恵のすべてを吸収しようという意気込みでとりくみをはじめていることは、注目されます。
今回の理論交流は、発達した資本主義国で社会主義・共産主義への発展を将来の課題としながらその理論的探求を発展させている党と、社会主義をめざす道をすすむ実践のなかでその理論を探求している党との共同作業のはじまりとして、大きな意義をもつものであります。
わが党の新しい綱領が、中国側の提起した広範な問題のすべてにわたってこたえる立場と力をもち、中国の理論代表団から、全面的に研究する必要のある理論内容として受け止められたことは、わが党の綱領路線の現代世界における生命力をしめすものであります。
ドイツの総選挙で大きな躍進をとげたドイツ左翼党の幹部の一人が、同国の理論雑誌十二月号に書いた論文で、日本共産党の綱領を、「高度に発達した資本主義国における社会主義の道の真剣な、決して物まねではない探求」にとっての「豊かな宝」だとして、詳しく紹介したことも、党綱領への国際的反響として私たちを励ますものでありました。
わが党は、国際的な理論交流を、野党外交の一つの重要な分野と位置づけ、今後とも発展させるために努力をはらうものです。(拍手)
日本共産党第25回大会決議 2010年01月16日
(24)21世紀の世界の現実のなかでの未来社会への動き
21世紀の世界の現実のなかに、未来社会への動きが、さまざまな形であらわれていることに注目すべきである。人類史のなかで16世紀に誕生した資本主義は、19世紀から20世紀にかけて、世界「全体」を支配するところまで発展したが、20世紀前半に、資本主義から離脱して社会主義をめざす国ぐにが登場し、続いて、20世紀後半には、植民地体制が崩壊し、21世紀のいまでは、発達した資本主義諸国が支配している領域は、人口では世界人口の13・6%と、ごく一部でしかなくなっている。
社会主義をめざす国ぐには、世界政治、世界経済に占める比重を、年を追うごとに高めつつあり、とくに中国は、その経済規模でやがてどの資本主義大国をも追い抜く勢いとなっている。ソ連崩壊後14年間の経済成長は、発達した資本主義諸国が1・8倍、アジア・アフリカ・ラテンアメリカ(AALA)の国ぐにが2・4倍、社会主義をめざす国ぐには4・8倍である。社会主義をめざす国ぐには、国民1人当たりのGDPではなお発展途上国の段階にあり、そのことにもかかわって、さまざまな「政治上・経済上の未解決の問題」(党綱領)が生じている側面があることも、注視する必要がある。
AALA諸国は、独立・平和・非同盟・覇権主義反対の方向で、大きな共通性をもっている。ここでは資本主義の道を選んで経済発展に成功したのはごく少数で、ラテンアメリカでは、従属国時代および左翼政権下の国民的闘争の経験から、資本主義とは別個の道を探究しようという動きがあらわれている。
ベネズエラ、ボリビア、エクアドルでは、国づくりの方向として「21世紀の社会主義」を掲げているが、これらの国がそれぞれ独自の特徴をもちながらも、選挙を通じて社会変革をすすめようとしていること、国有化万能でなく市場経済を活用しつつ生産手段の多様な所有形態を認めていること、ソ連型の社会モデルを模倣せず各国独自の条件を重視していることは、注目される。(引用ここまで)