今日の下記の社説をお読みください。
東奥日報 民主主義の理念損なう/秘密保護法案 2013/11/15 10:05
http://www.toonippo.co.jp/shasetsu/sha2013/sha20131115.html
岩手日報 <秘密法案>/広がる疑念 やはり廃案以外にない 2013/11/15 10:05
http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2013/m11/r1115.htm
信濃毎日 秘密保護法/衆院審議 食い違うことの危うさ 2013/11/15 10:07
http://www.shinmai.co.jp/news/20131115/KT131114ETI090010000.php
毎日 秘密保護法案を問う…報道の自由 2013/11/15 4:00
http://mainichi.jp/opinion/news/20131115k0000m070096000c.html
東奥日報、岩手日報の指摘は憲法遵守擁護義務の典型です。とりわけ、三沢基地の駐屯を許す地元のマスコミがどのように人権が侵害されているか、明白になりました。信濃毎日と毎日が指摘する法案の曖昧さが、民主主義の根幹を否定するものであることは明白です。
こうした悪法が、手続き的には「国権の最高機関、唯一の立法機関」で通過していくのです。まさにナチスの手口式の典型です。麻生副総理・財務大臣の発言が、ここで証明されました。
悪法が一度決まってしまえば、「世論」などというものは、どうでもよいことです。消費税増税決定にして然り、労働者派遣法など、労働者国民の労働と生活破壊の悪法を見れば明瞭です。
安倍自公政権が、その権力基盤を強化していくために、最も重要な「情報」独占を合法的に、確実なものにするために出してきたのが、今回のNSC設置法案と「特定」「秘密」「保護」法です。その最大の理由が、「公益のため」「安全保障のため」「テロ対策のため」です。この間の中国・北朝鮮「脅威」論を振りまいてきたことの「成果」として、これらの悪法が企まれたのです。
およそどんな政権も、その政権の温存の最大の土台は情報の独占、すなわり政府批判を封じることであることは、江戸時代以降の政権を見れば明瞭です。そうした政権のもっている本質を、安倍自公政権は、強行してきたのです。それもこれも、偽装・偽造選挙によって獲得した偽装・偽造議席を武器にしているのです。
だからこそ、国民主権の土台を覆す悪法を何としても廃案に追い込み、こんな悪法を上程する安倍自公政権にレッドカードを突きつけていく必要があります。さもなければ、知る権利のめざす方向である幸福追求権は擁護できないでしょう。
とりわけ、原発、軍事基地のあるマスコミが、どのようにして「真実」に迫っていくか、ペンの矛先をどこに向けるか、そのことが、今鋭く問われているのです。
しかし、日本のマスコミ、政党も、未だ安倍自公政権打倒を表明してはいません。そこに安倍自公政権の慢心、傲慢、暴走ぶりが透けて見えてきます。各紙の社説を検証すると、以上のことが判ります。そこで、各紙が、本当に国民の知る権利を守ろうとするのであれば、あらゆるシガラミを排して、ジャーナリズムとしての、公共報道機関としての社会的責任を全うしていく必要があります。マスコミ労働者の真価が問われています。
以下掲載しておきます。お読みください。
東奥日報 民主主義の理念損なう/秘密保護法案 2013/11/15 10:05
http://www.toonippo.co.jp/shasetsu/sha2013/sha20131115.html
今、国民の「知る権利」が危ない。衆院で審議されている 特定秘密保護法案のことである。安倍晋三首相をはじめとした政府答弁を聞く限り、なぜ今なのか、なぜこんなに急ぐのか、という根本的な疑問に対する答えが明確に見えてこない。明らかになったのは、国民の「知る権利」より国家の安全が優先するという強圧的とも言うべき姿勢だ。そこには、税金を使って集めた情報は国民のものであるという、国民主権の意識が決定的に欠けている。民主主義国家の理念が守られていないのだ。「明らかな憲法違反で、戦時中の法律よりひどい」(ノンフィクション作家の沢地久恵さん)法案の成立は見送ったほうがいい。最大の同盟国である米国などと機密情報を交換し、共有するためには秘密保全の仕組みが必要─というのが、政府の言い分だ。自国民の利益より米国を優先させる、こうした安保偏重の姿勢に問題がないか。政治家や官僚は誰のために存在するのか。あらためて問い直したい。同法案の根底にあるのは日米同盟のさらなる強化である。従って法案が成立した場合、その先に待っているのは 武器輸出三原則の見直しと、 集団的自衛権の行使をめぐる憲法解釈の変更であることは明白だ。平和憲法の精神を守ることができるか。今国会での審議がその試金石であることを強調したい。特定秘密は防衛、外交、スパイ活動防止、テロ防止─の4分野で安全保障上、特に秘匿すべき情報を関係大臣らが指定する。漏えいした公務員らに最大10年の懲役を科し、秘密の不正な取得も処罰対象になる。確かに、安全保障にかかわる機密は存在し、それを一定期間にわたって保護する必要もあるだろう。ただし、それは機能的に十分な情報公開制度の存在と、それに裏付けられた後世の検証が可能であることが前提条件となる。内閣の承認さえあれば、半永久的に特定秘密の指定が可能となる同法案は論外だろう。
情報公開制度については現行システムでも限界と不備が指摘されている。例えば、東奥日報は三沢など県内の自衛隊基地にかかわる文書について防衛省に継続して開示請求しているが、多くは「任務の遂行に支障を生じさせる恐れがある」ことを理由に拒否され、ようやく届く文書も大半が黒塗りだらけだ。加えて、国は2001年に自衛隊法を改正し、防衛秘密の漏えいに対して最高懲役5年を科している。特定秘密保護法案は、こうしたただでさえ高い「秘密」の壁をさらに高くし、厳罰化しようとしている。「ここまで強力なしくみはなぜ必要なのか、その強力さをコントロールするだけの力が『政治』に備わっているかについて、十分な説明はいまだ聞かれない」(「世界」12月号)とは、宍戸常寿・東大教授(憲法学)の言葉だ。同法案の性急な処理にはあらためて反対したい。(引用ここまで)
岩手日報 <秘密法案>/広がる疑念 やはり廃案以外にない 2013/11/15 10:05
http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2013/m11/r1115.htm
安倍政権が今国会に提出した特定秘密保護法案の審議が進んでいる。国民の「知る権利」が侵害されるという懸念が払拭(ふっしょく)されるどころか、法案の危うさがさらに浮き彫りになっている。まずは、特定秘密の基準や範囲が極めてあいまいなことだ。森雅子担当相は環太平洋連携協定(TPP)の交渉内容が特定秘密の対象になると発言。小池百合子元防衛相は「首相動静」が「知る権利を超えている」と述べた。菅義偉官房長官や新藤義孝総務相が法案の対象にならないと修正したが、当然だ。権力を持つ者が秘密の範囲をできるだけ拡大したい、という本音が透けて見える。特定秘密は�防衛�外交�特定有害活動(スパイ活動)防止�テロ活動防止−の4分野。法案の別表で定めているが、「その他」の文言が極めて多いのが特徴だ。政府側は衆院特別委で「従来の秘密の範囲を拡大するものではない」「恣意(しい)的な指定が行われることがないよう重層的仕組みがある」と答弁した。しかし、行政機関の長の裁量で指定する以上、「その他」が際限なく増殖していく懸念は消えない。最も問題なのは、何を特定秘密に指定したかが分からないことだ。肝心なことを国民に知らせずに国の方針を決定したり、政権にとって不都合なことを指定したとしても知るすべはない。この秘密を漏らしたり、近づこうとすれば重い刑罰を受ける恐れがある。その対象は秘密を取り扱う公務員や関係する企業従業員、「不当」な手段で秘密を知ろうとした一般人にも及ぶ。刑罰を科そうとするなら、何が犯罪行為に当たるのかが明確に規定されていなければならない。しかし、法に触れる秘密の範囲が不明確なまま運用しようとしている。法案は一人歩きして公務員は秘密でない情報を出すことにもびくびくし、国民は判断材料から、ますます「蚊帳の外」に置かれるだろう。国民はもちろん、メディアや国会さえも権力をチェックする役割を果たせなくなる。国民主権が覆る。法案に対する国民の疑念が広がりつつある。共同通信社をはじめ、各種世論調査では半数以上が反対し、慎重な国会審議を求めている。権力への情報集中と厳しい報道管制。違反者には厳しい処罰。その行き着く先がどんな社会になるかは、私たちの前の世代が経験した歴史はもちろん、近くの国を見れば明らかだ。与野党の修正協議が始まったが、国民の共有財産である情報を「お上」が支配する法案の本質は変わらない。やはり廃案しか道はない。(引用ここまで)
信濃毎日 秘密保護法/衆院審議 食い違うことの危うさ 2013/11/15 10:07
http://www.shinmai.co.jp/news/20131115/KT131114ETI090010000.php
同じ虫なのに、ある人は緑色だと言い、ある人は紫色だと言う。聞いている方は訳が分からないが、2人とも説明は間違っていないという。特定秘密保護法案の衆院審議の政府側答弁はこのような食い違いが目立つ。法案が玉虫色で、いかようにも解釈できるからだ。例えば秘密漏えい事件の場合。森雅子法案担当相は8日の特別委員会で「報道機関のオフィスにガサ入れ(家宅捜索)することはない」と言い切った。ところが3日後の委員会で谷垣禎一法相や古屋圭司国家公安委員長は「個別事案に即して判断する」と、捜索を否定しなかった。安倍晋三首相は7日の本会議で、裁判で秘密の内容を明らかにしないまま立証することは可能と答弁した。その4日後、森氏は特別委で、裁判官が開示命令を出した場合、特定秘密の指定が解除され、開示されると答えている。さらに、11日の特別委で森氏は「一般の人が特定秘密と知らずに内容を知ろうとしても処罰対象にならない」とした。その翌日、鈴木良之内閣審議官は「明示的に特定秘密と伝えられない場合でも、客観的状況から特定秘密だと認定できる場合、認識があると判断されることがある」と答えた。何が特定秘密に当たるのかをめぐっても同様だ。森氏は先月下旬の記者会見で、環太平洋連携協定(TPP)の交渉内容も特定秘密の対象になり得る、との認識を示した。同じ日の会見で菅義偉官房長官は「基本的にTPPは(対象に)入らない」と述べている。秘密の指定範囲は、例えば防衛分野なら「自衛隊の運用」というように幅広い。しかも「その他の重要な情報」の一文がどの分野にも加えられている。いくらでも恣意(しい)的に指定することが可能だ。処罰の規定も曖昧で、共謀、教唆まで範囲も広い。解釈次第で対象が無制限に広がる可能性を刑事法学者たちが指摘している。こうしたさまざまな解釈ができること自体がこの法案の重大な欠陥であり、危険性だ。一部修正で解消するものではない。特別委審議では、個別事例を挙げて「秘密指定の対象か」と、政府側答弁を引き出す質問が続いている。徒労と言わざるを得ない。なぜなら、何が秘密指定されたか、それも秘密。本当に答弁通りなのか確認できないのだから。(引用ここまで)
毎日 秘密保護法案を問う…報道の自由 2013/11/15 4:00
http://mainichi.jp/opinion/news/20131115k0000m070096000c.html
◇「配慮」では守れない
報道の最大の使命は、国民の「知る権利」に応えることだ。私たちが取材や報道の自由を訴える根拠も、そこに根ざしている。特定秘密保護法案の国会提出直前、「報道や取材の自由への十分な配慮」が条文に加わった。だが、法案には、捜査当局による捜査手法に限定を加える規定はない。強制捜査を含め、最終的には捜査側の判断次第なのだ。「知る権利」を脅かす恐れが強いと指摘せざるを得ない。一つ例を挙げたい。報道機関が特定秘密に指定された情報を入手し、国民に知らせるべきだと判断すれば、報道に踏み切るだろう。その場合、取材源は明かせない。取材源を守ることで、国民の信頼を得ることができ、自由な取材も可能になる。一方、捜査側はどう対応するか。家宅捜索で記者のパソコンや携帯電話を押収し、漏えいした公務員を割りだそうとする可能性が高い。そうなれば、多くの取材先に迷惑が及ぶ。記者や報道機関の信頼は地に落ちる。たとえ刑事訴追の段階で、法案の配慮規定に従い記者が起訴されなくてもダメージは大きい。取材先を守れなければ、その後の取材活動は続けられないかもしれない。報道機関に家宅捜索が入る可能性が今週の国会審議で取り上げられたが、政府答弁は一貫性に欠けた。森雅子特定秘密保護法案担当相は当初、配慮規定を理由に「入ることはない」と述べたが、谷垣禎一法相や古屋圭司国家公安委員長は、捜索の可能性を否定しなかった。実は捜索をめぐる事件が2005年、ドイツで起きた。国家秘密とされるテロリストの情報が月刊誌に掲載されたのだ。ドイツの法律では、記者に証言拒絶権を認めている。だが、捜索を禁じる規定はなく、当局は捜索を行った。その是非が争われ、憲法裁判所は違憲と判断した。ドイツでは昨年、刑法や刑事訴訟法が改正され、秘密漏えいがあっても記者本来の仕事である情報の入手や公表ならば、刑事責任は問われず、取材源割り出しを目的とした捜索もできないことになった。一方、日本では取材源を秘匿するための記者の証言拒絶権や、差し押さえ禁止の規定が刑事法令にない。そうした状況下で、「そそのかし」のようなあいまいな規定で罰せられる可能性がある。森担当相は後に、「(取材が)著しく不当な方法と認められない限り、捜索は入らない」と述べたが、不当かどうか捜査当局が決める根っこは変わらない。やはり法案は問題だ。(引用ここまで)