アベノミクス超応援団の読売・日経・産経の主張が、こぞってアベノミクスの破綻が指標で示されたにもかかわらず、消費税増税の誤りを認めず、従来型の経済対策で、ゴマカシ、スリカエ、安倍首相を応援する社説を書きましたので、検証してみることにしました。
増税直前には、4月増税に反対だった読売の視点は生きているようですが、増税の「効果」に期待できないことは読売を読むと明らかです。増税は中止し、外需や輸出頼み経済依存症から脱却する経済政策を打ち出すべきでしょう。国内の消費を冷えさせておいて、海外競争力もあったもんじゃありません。経済の主役は国民です。
読売 GDP減速/経済成長の持続力を高めたい 2013/11/15 2:00
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20131114-OYT1T01425.htm
年初から続いていた高成長にブレーキがかかったが、プラス成長は維持している。政府と日銀は、安倍政権の経済政策「アベノミクス」を着実に前進させ、成長の再加速を図ってもらいたい。 内閣府が発表した今年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比0・5%増と、4四半期連続でプラスになった。だが、年率換算の成長率は1・9%で、前期の3・8%から半減した。成長を牽引してきた個人消費が低迷したことが響いた。円安の追い風が期待された輸出も、アジアなど新興国の景気減速を受けて、マイナスに転じた。 内外需の柱が不振に陥る中で、成長を支えたのは、緊急経済対策で上積みした公共投資だった。 甘利経済財政相は「内需は底堅く、景気が引き続き上向いていると考える」と、強気の見方を示したが、油断は禁物だろう。 財政出動による成長の押し上げは、持続力に限りがある。消費や設備投資など民間需要が主導する自律的な成長に移行しないと、いずれ息切れは避けられまい。 懸念されるのは、食品や燃料など輸入品の価格が上昇し、原子力発電所の停止で電力料金も値上がりしていることだ。 内閣府の調査で、9割の世帯が1年後の物価は「上がる」と答えた。物価高を警戒して、消費者の心理が冷え込みかねない。 来年4月の消費税率引き上げをにらんだ「駆け込み需要」で、消費は年末から来年にかけて堅調さを取り戻すにしても、問題なのは増税後の反動減だ。 消費が失速すれば、日本経済再生に黄信号がともる。安倍政権の目指す「経済の好循環」を実現するどころか、深刻な「消費不況」に沈む恐れがある。 上場企業の今年9月中間決算は、利益総額が前年の2倍に増える勢いだ。好業績の企業が賃上げに踏み切り、家計の購買力を底上げすることが望まれる。大企業だけでなく、中堅・中小企業の従業員や非正規労働者を含めた、所得全体の向上も大きな課題となろう。民間企業の設備投資の回復が鈍いのも気がかりである。経済成長の主役は民間企業である。各社が前向きの経営戦略を描き、合理化頼みの「守りの経営」から脱することが求められる。政府は、大胆な規制改革や主要国より高い法人税実効税率の引き下げなど、企業戦略を後押しする施策を加速させるべきだ。(引用ここまで)
とうとうアベノミクスの破綻を日経自身が認めてしまいました。国民の労働意欲や賃金上昇、購買力、実体経済を無視した投機マネー、マネーゲーム優先の円安・株価依存症経済政策の破綻です。安倍首相の庶民の苦労を知らないお坊ちゃま性の破綻です。ムダやバラまき排除は当然です。それらが、国民の購買力向上に連動していくかどうか、庶民の懐を、財政にキックバックしているかどうか、そこにものさしを当てるべきですが、その検証は一向にしていません。あれだけ公共投資をしてきたのに、「規制緩和や法人税減税などで企業の活力を引き出し、日本経済の底上げ」に向けて経済政策を断行してきたはずなのに、残ったのは「借金」だけでした、というカラクリ、スリカエにメスを入れないところに支配層メディアの最大の責任と混迷があります。
日本経済 民需主導の景気回復につなげる努力を 2013/11/15 4:00
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO62602200V11C13A1EA1000/
2013年7~9月期の実質経済成長率が前期比年率で1.9%となった。輸出の減少や個人消費の伸び悩みなどが重なり、4~6月期の3.8%を下回った。2%近い成長率はまずまずで、景気回復の基調に変化はないとの見方が大勢だ。だが公共投資の寄与度が高く、政策の効果に多くを頼っているのは否めない。個人消費や設備投資などの民間需要がけん引する景気回復の基盤を固めたい。財政出動と金融緩和の効果を生かすだけでなく、成長戦略の具体化も急ぐべきだ。 7~9月期の成長率を押し上げたのは公共投資である。安倍政権の発足後にまとめた経済対策の効果だ。14年4月の消費税増税を控えた駆け込み需要が盛り上がり、住宅投資の伸びも高まった。
一方、新興国の景気減速などを背景に輸出は減少に転じ、設備投資の伸びも鈍化した。株高の一服や物価の上昇が響き、個人消費もわずかな増加にとどまった。アベノミクスは円安・株高の流れを引き寄せ、個人や企業の心理を上向かせた。その効果もあって景気が持ち直し、デフレが緩和しつつあるのは間違いない。しかし民需の回復力になお不安が残るのも確かだろう。「輸出や生産の拡大→企業収益の改善→設備投資や雇用の増加、賃金の上昇」という好循環が本格的に始まったとは言い切れない。民需主導の景気回復を持続させ、成長の恩恵を企業から家計に波及させる必要がある。財政再建の一歩を踏み出す消費税増税を乗り切るためにも、日本経済を活性化する一層の努力が欠かせない。安倍政権は消費税増税の影響を和らげるため、5兆円規模の経済対策を新たに打ち出す。防災関連の公共事業、低所得者や住宅取得者への現金給付などが柱になる。無駄やばらまきを徹底的に排除し、本当に必要で経済効果も高い支出を選別してもらいたい。 成長戦略も確実に実行しなければならない。産業の新陳代謝を促す産業競争力強化法案と、国際的なビジネス環境を整備する国家戦略特区法案は今国会で成立する運びだ。規制緩和や法人税減税などで企業の活力を引き出し、日本経済の底上げにつなげたい。こうした政策に呼応する企業の努力も必要だ。競争力の強化に必要な投資を怠り、従業員や株主への利益配分もためらうのなら、真の景気回復はおぼつかない。(引用ここまで)
産経も正直です。アベノミクス破綻に心配するようになりました。元気がありません。ザマを見ろ!と言いたいところです。しかし、反省するどころか、「それだからこそ、企業は需要掘り起こしに重ねて創意工夫を凝らし、設備投資などにも積極的に取り組んでほしい」などと、抽象的な精神主義と叱咤激励、企業の設備投資神話に浸っているのですから、根本治療をする気など毛頭ないことがわかります。学力のない、知恵のない新聞だということです。
しかも、外国人投資家に依存するなど、売国的発想です。中国敵視政策が、実は中国脅え思想に基づいていることが判ります。産経は、一見すると愛国者のような、日本主義を「主張」しているかのように見えますが、実は、真逆思想の持ち主であることが、この社説からも判ります。日本を外国人投資家の金儲けに無防備晒すというのが、産経の「主張」です。
直近でも、あの西武鉄道の廃棄を表明した外国人投資家をみれば、判ります。そうした外国人の儲けに日本を裸でさらそうというのが、産経です。産経には、国民の懐を温めるなどいう思想は微塵もありません。そのことが改めて証明された「主張」です。破綻を認めない、従来型の対策しか打ち出せない惨めな「主張」であることは、今後の事実で、更に検証できることでしょう。
ということは、国民の苦悩は続くということことです。読売・日経・産経の経済政策、政治路線を打開していくためには、政治・経済・思想面において、これらの反国民的イデオロギーを論破する国民的運動が必要です。
産經 GDP成長鈍化/今こそ民間の底力みせよ 2013/11/15 6:00
http://sankei.jp.msn.com/column/topicslist/../../economy/news/131115/fnc13111503070000-n1.htm
今こそ民需主導の自律的な経済成長に向け、民間企業が踏ん張りをみせるときだ。7~9月期の国内総生産(GDP)は、そんな印象を抱かせる内容となった。前期比で実質年率は1・9%増と4四半期連続でプラス成長を維持したが、今年1~3月期の4・3%増、4~6月期の3・8%増という高い伸びに比べ、やはり減速感は否めない。安倍晋三政権の経済政策であるアベノミクス効果の息切れも心配される。それだからこそ、企業は需要掘り起こしに重ねて創意工夫を凝らし、設備投資などにも積極的に取り組んでほしい。 公共投資などの効果が出ているうちに、収益向上を賃金増につなげる必要がある。それによって個人消費を刺激する好循環を実現するのは民間の役割だ。企業の投資意欲を喚起する成長戦略の具体化も不可欠だ。政府は企業が安心して投資を進める環境整備を急がねばならない。この1年の外国人投資家による株式買越額は、約13兆円と過去最大規模にのぼる。株価を上昇に転じさせたアベノミクスへの期待はいまだ健在といえるが、期待だけでは実体経済の回復にはつながらない。この点は留意すべきだ。
公共投資は6・5%増と高い伸びを示して景気を牽引(けんいん)した。来年4月の消費税増税をにらんだ駆け込み需要で、民間住宅投資が増えたことも成長を下支えしてきたといえる。 だが、一方のリード役だった個人消費は、0・1%増と一服感が鮮明となった。公共投資に続く成長の第2段ロケットとして期待される企業の設備投資も、0・2%増にとどまった。 民間が主導して日本経済を回復軌道に乗せるには、まだまだ力強さに欠ける。そうした停滞状況を打破するには、石油化学など過当競争ゆえに対外競争力がそがれている産業については、積極的な再編を促すことも必要だ。政府は、それを後押しする産業競争力強化法案の早期成立を目指している。 産業構造の改革を進めるとともに設備投資減税の拡大なども不可欠だ。こうした政府の支援を活用し、賃金配分の原資となる収益を着実に増やすには、やはり民間の前向きな姿勢が必要だ。たくましい企業マインドをみせてほしい。(引用ここまで)