「憲法との整合性」をいうのであれば
「配慮」は「抑制的」ではなく
憲法に「適合」「合致」だろう!
「閣議決定」の「撤回を求める」のであれば
「従来の個別的自衛権の延長戦上」
という曖昧な「対応」ではなく
政府案そのものの違憲性を深め拡散していくことこそが
廃案と撤回の力になるのではないのか!
維新の対案/解釈改憲に手を貸すな
朝日新聞/2015/7/4 4:00
http://www.asahi.com/paper/editorial2.html
維新の党が安全保障関連法案の対案をまとめ、自民、公明、民主各党にそれぞれ示した。重要政策をめぐって野党が自らの案を示し、より良い法案をめざすことは大事な仕事だ。対案の中身をみても、集団的自衛権を限定容認した閣議決定に反対し、政府案に比べ憲法との整合性に配慮した抑制的な内容であり、議論に値する。
「比べて」「憲法との整合性」をいうのであれば「配慮」は「抑制的」ではなく、憲法に「適合」「合致」したものでなければなりません。ゴマカシです。
抑制 http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/227132/m0u/
適合 http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/150946/m0u/
合致 http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/42819/m0u/%E5%90%88%E8%87%B4/
問題は、維新がいまこの時期に対案を出すことの政治的な意味である。安倍内閣による集団的自衛権の行使に反対なら、政府案の早期の衆院通過に手を貸す結果になってはならない。
すでに政府与党は、15日の衆院特別委員会での採決に向けて動き始めている。とはいえ、与党だけで強引に採決を急げば、法案に反対している世論の反発を買いかねない。だから維新に対しては、法案に反対でもいいから、とにかく採決に出席してほしい。政府与党にはそんな期待が強い。
実際、維新は今国会で、労働者派遣法改正案をめぐって与党と修正協議をしたうえで、衆院採決を容認しながら、政府案には反対するという分かりにくい対応をした。今回も与党との修正協議の行方によっては、同じ道筋をたどりかねない。
だが政府案には、維新自身が言うように根本的な問題が多すぎる。
「根本的な問題」とは何か。「憲法との整合性」に「合致」していないことです。このことを朝日は指摘しなければなりません。
日本の安保政策を根底から大転換する法案に対し、広範な世論が「憲法違反の疑いがある」「国民への説明が丁寧ではない」と懸念を深めている。維新に求めたい。いまなすべきことは、こうした国民の疑念や不安の声にこたえ、対案の中身について徹底的に議論していくことだ。
どこで「徹底的に議論していく」のか。語っていません。曖昧です。「早期の衆院通過に手を貸す結果になってはならない」と言っておきながら!
今大切なことは、「対案の中身について徹底的に議論していくこと」ではなく、違憲の政府案を徹底して審議し、違憲性を暴き、国民の声と運動で廃案・撤回することです。
「憲法との整合性」に「合致」したものではない「抑制的な」維新案の「中身について徹底的に議論」は、憲法違反かどうか、をますます曖昧にさせ、「憲法違反の疑いがある」「国民への説明が丁寧ではない」などという「懸念」、「国民の疑念や不安の声にこたえ」ていくことはできないでしょう。
とりわけ集団的自衛権ではなく、従来の個別的自衛権の延長線上で対応しようとしていることは政府案と根本的に異なる。
「従来の個別的自衛権の延長線上で対応しようとしている」ことの中身と「日本の安保政策を根底から大転換する」ことが「根本的に異なる」ということは、東京新聞の検証でも書きましたが、極めて曖昧です。
政府案が集団的自衛権の行使を限定的にでも容認するものである限り、採決に応じるべきではない。昨年7月の閣議決定については、明確に撤回を求めるのが筋である。こうした議論を深めていってこそ、解釈改憲を認めないための野党の共闘が意味を持つのではないか。
「閣議決定」の「撤回を求める」のであれば、「従来の個別的自衛権の延長戦上」という曖昧な「対応」もやめるべきです。
維新の案そのものが「解釈改憲」論の枠内であることを踏まえていない朝日の主張は、そもそも論からすれば大いに問題です。今大切なことは、政府案そのものの違憲性を深めていくことこそが、違憲の法案の撤回と廃案に追い込むことができるのです。
対案で議論の充実を装いながら、与党主導の土俵に上がり、形ばかりの審議をへて早期採決を後押しする――。政府与党の期待にこたえ、維新が党利党略のような動きをすることになれば、政府案への懸念を深める国民への重大な背信となる。(引用ここまで)
「政府案と根本的に異なる」「対案で議論の充実を装いながら、与党主導の土俵に上がり、形ばかりの審議をへて早期採決を後押しする」というのであるならば、「対案の中身について徹底的に議論していくことだ」というのはオカシナ話です。相容れないものです。
それとも「政府案と根本的に異なる」「従来の個別的自衛権の延長線上で対応しようとしている」「対案の中身について徹底的に議論していくこと」のであるならば、廃案・撤回は可能だというのでしょうか。