今年一月開会の通常国会で、衆院事務局に届いた安保政策関連の意見書は、三十九都道府県の二百九十七議会の計三百二十六通(十日現在)。
最も多かったのは国民的合意、丁寧な説明などを求める「慎重」な立場でさいたま市など百六十八議会。政府案や閣議決定に批判的で廃案や撤回などを求める「反対」は東京都国立市や神奈川県鎌倉市など百二十四議会。法案成立を訴える「賛成」は東京都八王子市などいずれも都内の五市議会。複数回出している場合は、最新の意見書の内容を取り上げた。
今国会冒頭から安保法案の審議が始まった五月下旬まで、安保関連の意見書が受理されたのは四十一議会だった。しかし、六月四日の衆院憲法審査会で自民党推薦を含む参考人の憲法学者三人全員が政府案に「違憲」の見解を示してから急増し、三百に迫る数となった。五月下旬までは三議会だった違憲性の指摘も百十三議会に急増した。
違憲性については憲法学者の見解を例に挙げたのが相模原市など六十四議会、議会自体の考えとして「違憲」と指摘したのが東京都国立市など三十五議会。
政府が今国会での成立を目指していることから、四十九議会が「今国会にこだわらないでほしい」と訴えたほか、「強行採決や拙速な成立は避けるべきだ」「国民的合意のないまま見直すべきでない」「十分時間をかけて」などの表現で、採決を急ぐことに反対する意見は百八議会に上った。
「反対」「慎重」の理由として、各報道機関の世論調査に触れ「賛成より反対が多数」「政府の説明が不十分だと考える人が多い」などとした議会が七十三あった。
「賛成」の五市の文面はほぼ同じで「わが国の安全を確保していくには日米間の協力を強化し、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする法整備を行うことで、抑止力を高めることが必要」などと今国会での成立を強く促した。
全国には、東京二十三区を含め千七百四十一の市区町村がある。(引用ここまで)
安保法制、144議会「反対」 181議会「慎重」
朝日 2015年7月9日10時30分
http://www.asahi.com/articles/ASH767W4YH76UTIL05Q.html
安全保障法制や集団的自衛権の行使容認をめぐり、全国で少なくとも331の地方議会が国会や政府への意見書を可決していることがわかった。「反対」の立場が144議会、「賛成」が6議会、「慎重」は181議会だった。
特集:安全保障法制
開会中の通常国会に届いた意見書に加え、全国の議会が6月定例会などで可決した意見書を朝日新聞が集計。集団的自衛権の行使や法案そのものに批判的で、廃案や撤回などを訴える意見書を「反対」、逆に法案成立を訴えるものを「賛成」、慎重審議や国民の理解、十分な説明などを求める議会を「慎重」の立場とした。
47都道府県議会では4県が可決。三重、鳥取、長野が慎重、岩手が反対だった。安倍晋三首相の地元の山口や長崎、秋田は自民・公明などが主導し、賛成の可決をする見通しだ。
全国に1741ある市区町村では、143市町村が反対。愛知県扶桑町は安保法案の制定に「反対」、京都府宇治市は「撤回」などを訴えた。沖縄県南風原町は「『ひめゆり部隊』の悲劇を体験しているだけに『ふたたびあやまちを繰(くり)返させない』との決意を込め廃案を求める」と賛成多数で可決した。
賛成は6市区。東京都町田市は「抑止力を高めることが必要」「平和安全法制の今国会での成立を図るよう強く求める」とし、自公が賛成。豊島区も成立を求めている。
慎重は178市区町村。さいたま市は「慎重な取り扱い」を求める意見書を自民や公明、民主、共産など全会派の賛成で可決した。甲府市は「徹底審議」、愛知県犬山市は「国民的合意」を求めた。
慎重の立場には幅があり、鳥取県の「慎重審議を求める意見書」は「切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備しなければならない」と法案には理解を示す。自公が賛成、民主や共産が反対した。
意見書を働きかける住民の請願や、意見書そのものを否決する動きもある。自民系と公明が多数の宮城県は民主系が出した撤回の意見書を否決。横浜市や福岡市も反対や慎重の意見書を否決した。
地方自治法上、地方議会は意見書を国会または関係行政庁に提出できる。意見書に法的拘束力はない。
■地方議員、保守系も懸念
衆議院が今年になって受理した安保関連の意見書の数は、6月中旬までは70通ほどだった。それが一気に300通を超えた。
その多くが、先月の憲法審査会で憲法学者が法案を「違憲」と断じた点に触れている。反対から慎重まで濃淡はあるものの、最近の法案審議に地方議員が一定の懸念を抱いていることの表れと言える。
国政と同じく、地方議会も保守系や自公の議員が多数を占める。彼らが賛同して、意見書が可決された例は少なくない。地域社会に身近な地方議員による異議申し立ては、自公の支持層も含む有権者に、法案の内容や議論の進め方への理解が十分進んでいないことを示している。(西本秀)(引用ここまで)
戦争法案「反対」「慎重」など意見書
265地方議会に急増
赤旗 2015年7月12日(日)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-12/2015071201_03_1.html
戦争法案に「反対」を表明したり、「廃案」「慎重審議」などを求める意見書を可決した地方議会が、同法案提出後265議会に達していることが、日本共産党自治体局の調べ(11日までの集計)で明らかになりました。本紙(9日付)で報じた前回集計(239議会、7日時点)から短期間に26も増えています。「反対」や「廃案」「撤回」「今国会成立見送り」を求める意見書を可決した議会は125にのぼります。
意見書可決の議会がもっとも多いのは長野県の49、次いで北海道の27。県議会も可決した岩手(13議会)・三重(12議会)両県が続いています。
米軍新基地建設が狙われている沖縄県では、名護市議会に加え、県都の那覇市も同法案の「廃案」を求める意見書を可決しました。同意見書では、戦争を遂行する他国の支援などを行うことを可能とする同法案は「重大な憲法違反であることは明らかである」と批判。悲惨な地上戦を体験した沖縄県民の「平和を求める気持ちは誰よりも強い」と、廃案を強く求めています。
戦争法案に
「反対」「廃案」「慎重審議」などを求める意見書を可決した地方議会一覧
(日本共産党自治体局調べ。11日現在の掌握分)
【北海道27】根室市、旭川市、黒松内町、森町、浦幌町、豊富町、安平町、剣淵町、幕別町、芽室町、幌加内町、余市町、古平町、小樽市※、名寄市※、帯広市※、苫小牧市※、石狩市※、奈井江町※、せたな町※、日高町※、平取町※、音更町※、東神楽町※、新十津川町※、ニセコ町※、蘭越町※
【青森5】外ケ浜町、鰺ケ沢町、平内町、新郷村、佐井村
【秋田3】小坂町、羽後町、男鹿市
【岩手13】県議会、奥州市、一関市、二戸市、北上市、滝沢市、宮古市、陸前高田市、一戸町、軽米町、野田村、花巻市※、久慈市※
【宮城8】美里町、名取市※、登米市※、栗原市※、大崎市※、涌谷町※、蔵王町※、村田町※
【山形7】山形市、南陽市、尾花沢市※、天童市※、河北町※、西川町※、真室川町※
【福島11】喜多方市、南相馬市、川俣町、浪江町、桑折町、古殿町、天栄村、浅川町※、金山町※、只見町※、伊達市※
【東京5】小金井市、武蔵野市、国立市、小平市※、品川区※
【埼玉11】長瀞町、宮代町、さいたま市※、本庄市※、鴻巣市※、北本市※、富士見市※、伊奈町※、滑川町※、横瀬町※、鳩山町※
【茨城1】美浦村
【栃木1】下野市※
【神奈川5】鎌倉市、葉山町、相模原市※、平塚市※、中井町※
【千葉1】御宿町
【山梨2】甲府市※、北杜市※
【長野49】飯山市、須坂市、佐久穂町、飯綱町、辰野町、木曽町、飯島町、御代田町、南木曽町、信濃町、坂城町、池田町、箕輪町、上松町、木島平村、高山村、南箕輪村、大鹿村、大桑村、山形村、豊丘村、下條村、中川村、王滝村、喬木村、木祖村、野沢温泉村、松本市※、中野市※、小諸市※、諏訪市※、伊那市※、佐久市※、東御市※、安曇野市※、飯田市※、長和町※、下諏訪町※、富士見町※、軽井沢町※、阿南町※、生坂村※、南牧村※、白馬村※、宮田村※、朝日村※、栄村※、山ノ内町※、松川村※
【新潟6】加茂市、五泉市、湯沢町、魚沼市、柏崎市※、胎内市※
【静岡2】富士市※、磐田市※
【愛知9】扶桑町、碧南市※、豊明市※、犬山市※、春日井市※、稲沢市※、岩倉市※、知多市※、大口町※
【岐阜7】高山市※、海津市※、美濃加茂市※、多治見市※、本巣市※、郡上市※、輪之内町※
【三重12】県議会※、亀山市、東員町、大台町、桑名市※、いなべ市※、鈴鹿市※、鳥羽市※、多気町※、紀北町※、菰野町※、朝日町※
【福井1】越前市
【兵庫4】新温泉町、加西市※、尼崎市※、豊岡市※
【京都5】向日市、宇治市、八幡市※、京田辺市※、大山崎町※
【滋賀7】甲良町、野洲市※、守山市※、多賀町※、豊郷町※、日野町※、愛荘町※
【奈良5】川西町、三郷町、大淀町、上牧町、三宅町※
【和歌山4】橋本市※、日高町※、かつらぎ町※、串本町※
【岡山3】和気町、赤磐市※、奈義町※
【広島4】庄原市、世羅町、三次市、竹原市※
【鳥取4】湯梨浜町、日南町、境港市※、琴浦町※
【島根2】津和野町、雲南市※
【徳島3】那賀町、阿南市※、牟岐町※
【高知11】土佐市、香南市、南国市、本山町、四万十町、田野町、大豊町、大月町、馬路村、芸西村、土佐町※
【福岡11】嘉麻市、粕屋町、苅田町、うきは市※、中間市※、みやこ町※、宇美町※、大刀洗町※、志免町※、吉富町※、筑前町※
【熊本2】水俣市※、人吉市※
【大分1】中津市
【宮崎5】川南町、門川町、高原町※、えびの市※、小林市※
【鹿児島2】曽於市※、南さつま市※
【沖縄6】名護市、那覇市、北谷町、南風原町、西原町、大宜味村
合計38都道府県の265議会。(内訳=「反対」「廃案」「撤回」「今国会見送り」は125議会、「慎重」「徹底審議」〔※印〕は140議会)(引用ここまで)