東京五輪の政治利用が浮き彫りになってきた!
スポーツも政治も人のこころも使えるモノは何でアリ!
舛添知事ツイッター
新国立問題で首相を批判
東京 2015年7月18日 夕刊
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舛添知事の公式ツイッターは、1回につき1~2文をつぶやくことが多いが、17日夜は計5文を発信。内容はすべて新競技場についてで、「安倍総理は、1カ月前から見直しを検討したと言うが、それなら6月29日になぜ政府案を決定したのか」と急な方針転換をいぶかしんだ。その上で「この大失策に至った経過を検証し、責任者を処分することが不可欠だ」と強調した。(引用ここまで)
安保法制の強行可決と支持率低下は予想していた!
クローズアップ2015:新国立競技場、計画白紙
「首相決断」入念に演出 安保法案衆院通過の直後
毎日新聞 2015年07月18日 東京朝刊
http://mainichi.jp/shimen/news/20150718ddm003050023000c.html
安倍晋三首相が17日、総工費膨張で世論の猛反発を浴びた新国立競技場建設計画の「ゼロベースでの見直し」に踏み切った。秘密保持を徹底し、入念に選んだ「決断」のタイミングは、世論調査で内閣支持率を押し下げている安全保障関連法案の衆院通過翌日。不支持が支持を上回り、採決強行でさらなる支持率低下も見込まれる中、反転を狙い局面打開を図ったようだ。ただ、実際に2020年の東京五輪・パラリンピックに間に合うかどうかなど課題は山積している。
◇支持低下、歯止め意識
「首相は1カ月ほど前から下村博文文部科学相に『何とかならないか』とずっと言い続けてきた。『あらゆることを駆使すれば(五輪)本番にぎりぎり間に合う』との報告をきょう受けて判断した」
菅義偉官房長官は17日の記者会見でこう述べ、「首相の決断」を強調した。首相自身、10日の衆院平和安全法制特別委員会で、民主党の辻元清美氏から「被災地支援などがあるから、と(の理由で)見直した方がいい」と追及を受け、「私も辻元さんがおっしゃったような思いを持った」と答弁していた。ただ、「遅きに失した」との批判は免れない。首相周辺は「民主党政権時代に(デザインが)決まったことだから、という気持ちがあったんだろう。人ごとでまじめに検証してこなかった」と指摘する。
首相が見直しを指示した「1カ月前」には「資材高騰分を含めて3000億円近くに膨らむことが分かった」(官邸関係者)という。最大3000億円の試算が13年に判明し、規模縮小で圧縮したはずなのにだ。政府高官も「首相は『3000億円』をやめたがっていた」と話す。2520億円に削ったものの、世論は収まらない。民放のワイドショーが「税金の無駄遣い」という切り口で取り上げ始め、「安保関連法案より大変な案件になりかねない」(関係者)との危機感が官邸を覆い始めた。
首相は01年4月に発足した第1次小泉内閣で官房副長官を務めた。小泉政権は発足直後の同年5月、ハンセン病訴訟の控訴断念を決断し、支持率が85%から87%に上昇(毎日新聞世論調査)。「首相の決断」が支持率に及ぼす影響を首相は熟知している。自民党のベテラン議員は「皆が『何でこんなに高いんだ?』と思っているところへ白紙撤回すると宣言すれば『よくやった』となる。安保法案と違って明らかにわかりやすい」と指摘。首相周辺も「支持率は上がらないだろうが、下げ幅を圧縮できる」と解説した。
一方、現行計画を必死で推し進めてきた側は複雑だ。「首相が建設を約束した国際公約」「森喜朗元首相がこだわるラグビー・ワールドカップ(W杯)にも使う」との「絶対条件」に縛られてきた文科省幹部は「大臣は、はしごを外された」と重い口調でつぶやいた。
下村氏は「これから見直すと(19年9月開幕の)ラグビーW杯に間に合わない」と否定し続けてきたが、その重しは首相と森氏の会談でなくなった。間に合わない根拠としてきた「設計から完成まで61カ月かかる」との主張も「国際公約」をほごにすることで「50カ月強」に短縮された。事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)幹部は「今になって白紙になるなんてありえない」と苦渋の表情を見せた。【田中成之】
◇工期、賠償…課題山積
新たな建設計画について政府は、半年かけて新デザインをコンペで選び直し、その後、設計から20年春の完成まで「50カ月(4年2カ月)強」と描く。菅官房長官は「前回と同様なデザインの国際コンペを行うことは時間的に困難」とデザインから設計、施工まで一括したコンペになる見通しを示した。JSCの河野一郎理事長は「政府の指示に従う」と語る。新たな総工費に関しては、下村文科相は「議論していない」と述べた。しかし、計画見直しが遅れたツケは大きい。
まず工期。これまでの下村文科相やJSCの主張は「計画を見直せば最低でも61カ月必要」。設計や、建築確認などの行政手続きに時間がかかるとしていた。JSC幹部は「50カ月に縮めることは我々の能力を超えている。超法規的な措置が必要だ」と語る。ただ、建築エコノミストの森山高至氏は「工事が早くなる設計を、あらかじめ仕込む方法もある」と実現可能との見方を示した。
工期が間に合ったとしても文科省幹部には別の心配がある。「20年春完成だと、新競技場を使った五輪のプレイベントができるのか。ぶっつけ本番で五輪に臨むことになるのでは」
今後の事業推進体制も課題だ。JSCの担当部署の多くは、所管する文科省からの出向組が占めており、実質的に文科省が担ってきた形。ある政府関係者は「文科省でやるのは無理ということが一連の騒動で明らかになった。大幅に見直すべきだ」と指摘する。
キールアーチ(巨大な弓状構造物)を特徴としたザハ・ハディド氏のデザインを撤回することについて、JSCは「契約上、『違約金』に関する条項はないものの、賠償金を請求される可能性はある」(広報室)と説明。JSCはこれまでザハ氏側に、設計に関するデザイン監修料として約13億円を支払った。着工以降は施工に関するデザイン監修料を支払う予定だったがザハ氏はその分を受け取れなくなり、「五輪の実績」という看板も失う。JSC幹部は「もし請求されたらどれぐらいの額になるか分からない」と困惑した。【三木陽介】
◇「引き返す機会」何度も 「聖域」踏み込めず
新国立競技場の建設計画に、建築家の槙文彦氏らのグループが最初に異論を唱えたのは13年8月。その後も、周囲の神宮外苑の景観に対する配慮を求める声や、膨れ上がる建設費用に対する批判、「キールアーチ」という技術的に難しい構造に挑むことへの懸念など、現行案に反対する声は途絶えることはなかった。計画を見直す決断は、今までなぜできなかったのか。
文部科学省の幹部は「どこかで引き返すことはできなかったか」と悔やむ。機会は少なからずあった。多くの関係者が分岐点として挙げるのが、最大3000億円との試算が判明した13年10月。だが、招致成功の熱に浮かされる中、省内で警鐘を鳴らすまでには至らなかった。当時、見直し作業に関わったある政府関係者は「工期が厳しい、ぎりぎりだという感覚は常にあった」と振り返る。デザイン変更など抜本的な見直しに踏み込めなかったのは、「工期順守」が最大の足かせだった。
コスト削減などを盛り込み、国際オリンピック委員会(IOC)が昨年12月に採択した「アジェンダ2020」は、計画を見直す絶好の機会だった。東京都や大会組織委が前倒しで改革案を取り込み、大幅な会場変更に着手したものの、新国立競技場の建設計画は最後まで「聖域」であり続けた。招致活動で「世界に類のない、世界に誇れる国立競技場を」と胸を張ったのが安倍首相だったからだ。
見直しを決断するキーマンは「私が責任を持って取り組む」と明言した下村文科相だった。しかし、槙氏らの提言する見直し案を検討したものの「現実的ではない」と退け、6月中旬には現行案のまま突き進むことを決めた。別の文科省幹部は「結果論だが、大臣は『(20年五輪にも)ギリギリで間に合わない』という(設計部門の)専門家の言葉を信じてしまった。本当に間に合わないのか徹底的に詰めるべきだった」と悔やんだ。【田原和宏】(引用ここまで)