沖縄と本土の「溝」は「差別」だけか!
被差別感情という被害者意識だけでは
問題の根の深さは紐解けない!
基地も原発も「地域開発」も、根は同じ!
「安全保障のコスト」を負わせる根本装置は何か!
憲法否定と日米軍事同盟容認の矛盾に目を向けろ!
「沖縄・本土」の溝/事態の深刻さ直視せよ
沖縄タイムス/2015/7/6 8:06
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=122908
自民党国会議員の勉強会で、参加した国会議員や講師が沖縄2紙を含む報道機関への圧力を公然と主張した問題で安倍晋三首相は3日、発言が不適切だったことを認め、衆院の特別委員会で陳謝した。菅義偉官房長官も4日夜、東京都内で翁長雄志知事と会談し、一連の発言についてわびた。
政権中枢の安倍、菅両氏が相次いで陳謝したにもかかわらず、県内では、一件落着との受け止め方は少ない。根の深い問題が露呈した-と、事態の深刻さを懸念する声が広がっているのである。
安全保障法制を審議する衆院の特別委員会。赤嶺政賢議員(共産)は「事実をゆがめて県民を侮辱したことが問題の中心」だと、安倍首相の考えをただした。このやりとりを聞いて思い起こしたのは、敗戦の年の70年前の1945年11月に召集された第89回帝国議会での質疑である。
沖縄出身の貴族院議員・伊江朝助氏は、生き残って沖縄から脱出した陸軍将校が「今回の沖縄戦線の失敗は琉球人の『スパイ』行為による」と誤った情報を流したため、九州の疎開地に沖縄県民スパイ説が広がり、「沖縄5万の疎開民が受け入れ地から脅迫された」と憤まんやるかたない思いで訴えた。敗戦がもたらした流言は、本土と沖縄に深い亀裂をもたらしたのだ。
あれから70年。自民党議員の勉強会での一連の発言は、本土と沖縄の間に今も深刻な亀裂が横たわっていることを浮き彫りにした。
東京外国語大学教授の山田文比古さんは、外務省から出向し、沖縄県サミット推進事務局長として97年から県庁に勤務した経験を持つ。雑誌「世界」の2012年6月号に論文を発表した山田さんは「沖縄に対して、本土から向けられる視線は、かつてないほど冷淡である」と指摘した。
「被差別感情が広く県民に共有されるのは、差別の原因が単に過重基地負担の問題に止まらないからである」「歴史の記憶が沖縄と本土とのギャップをいっそう根深いものとしている」
山田さんが危惧していた時よりも、事態はいっそう悪化していると見るべきだろう。自民党勉強会での国会議員や講師の発言は、決して彼らだけの突出した発言ではない。インターネット上では、沖縄のメディアや世論を攻撃対象にしたヘイトスピーチ(憎悪表現)まがいの発言や、事実に反する情報が飛びかっている。
沖縄県民の政府不信や沖縄メディアの厳しい政府批判は、「差別的処遇」というしかない基地政策を沖縄に押しつけてきたからである。
沖縄の世論が「ゆがんでいる」という指摘は、沖縄の人々の戦中・戦後の歴史体験をふまえていない暴言である。
これまで安全保障のコストをより多く負担してきたのは誰なのか。そのことに思いが至らない鈍感さは、重症だ。
沖縄と本土の間にできた深い溝を安倍首相は、どう解消するつもりなのだろうか。(引用ここまで)
米国との約束を履行=日米軍事同盟深化路線だ!
国会無視=憲法の土台である国民主権の否定だ!
「立憲主義がないがしろにされている現状」とは
沖縄の民意否定=辺野古基地建設こそ
「民主主義で最も大切なプロセスのないがしろ」
「数の力におごった暴走」
立憲主義否定ではないのか!
この根源に何があるか!
このがん細胞の除去こそ、最大最良の治療だろう!
「中旬採決」案浮上/違憲が大勢では無理だ
沖縄タイムス/2015/7/5 6:06
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=122808
国民の半分以上が反対する安全保障関連法案を早ければ15日の衆院特別委員会で採決する案が与党内に浮上している。16日の衆院本会議で可決し、通過させるスケジュールだ。
審議をすればするほど疑問が噴出し、国民からの支持も得られていない法案を、何が何でも通そうとする姿勢は、民主主義で最も大切なプロセスをないがしろにしている。数の力におごった暴走というほかない。
衆院特別委は法案採決の前提となる中央公聴会を13日に開くことを、自民、公明、維新の党の賛成多数で決めた。
与党が採決の目安としていた審議時間の「80時間」を超えたことで「環境が整った」と判断したようだ。反対の声が日ごとに強くなる中、審議を続けることのマイナスを懸念したようにも見える。
4月に安倍晋三首相は米議会で演説し、安保法案を「この夏までに必ず実現する」と公約した。米国との約束を履行するため結論を急いでいるのだとすれば、国会無視も甚だしい。
衆院憲法審査会で参考人の憲法学者全員が、集団的自衛権行使を可能とする安保法案を「違憲」と主張するなど、疑問が急速に広がっている。憲法を軽んずる政治の動きに不安を募らせているのだ。
政府自民党は、相変わらず砂川事件の最高裁判決を集団的自衛権行使容認の論拠とするが、都合のいい拡大解釈を国民は見透かしている。
政府の安保法案には問題があるとの立場から、維新の党が対案をまとめ、自民、民主、公明の3党に提示した。
政府が集団的自衛権行使の要件とする「存立危機事態」に代わり、個別的自衛権の拡大で対応する「武力攻撃危機事態」を設けるものである。維新の柿沢未途幹事長は「憲法との適合性を確保して国民の不安を払拭(ふっしょく)する内容だ」と説明している。
独自案をつくった意義は認めるにしても、採決を前にしたこの時期になぜとの疑念が頭をもたげる。維新案を同時に採決すれば、与党単独の「強行採決」が避けられるという自民党内の思惑がのぞくからだ。
違憲性が指摘され、国民の不安がぬぐえない政府案との隔たりは大きく、採決に加わるべきではない。「与党のサポーター」が維新の立ち位置ではないはずだ。
3日、国際通りで安保法案に反対する弁護士らのデモ行進があった。沖縄弁護士会による30年ぶりのデモは、立憲主義がないがしろにされている現状に法律家として強い危機感を感じてのことだ。
衆院特別委は13日の中央公聴会に先駆け、6日に那覇市で参考人質疑を開く。採決日程が浮上した上での参考人質疑は「国民の声を聞いた」というアリバイづくりに終わる懸念がある。
専門家も一般国民も過半数が反対し、審議を重ねれば重ねるほど疑問が広がるこの法案は、とても採決できる内容ではない。(引用ここまで)
沖縄戦後史と県民の歩みを蔑むのは何故か!
沖縄が日本の民主主義を守るとりでの役割を果たしている
この事実を否定しなければならないからだ!
沖縄戦と地続きの米軍基地問題を踏まえた不戦の誓い
侵略戦争の反省の上に制定された憲法平和主義
を踏みにじる=沖縄社会全体に対する挑戦とは
日本国民と国際社会への公約に対する挑戦でもある!
沖縄問題は沖縄だけの、沖縄被差別問題だけではない!
報道圧力批判集会/不戦に根差す言論守りたい
琉球新報/2015/7/6 6:06
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-245317-storytopic-11.html
報道を弾圧して知る権利を押しつぶし、沖縄戦後史と県民の歩みを蔑(さげす)む虚構を吹聴することを許さない。自民党の国会議員らによる報道圧力に抗(あらが)い、民主主義を守り抜く沖縄社会の決意が発信された。
4日に開かれた「言論・表現・報道の自由を守る県民集会」は、会場に入りきれないほどの人が押し寄せ、熱気が渦巻いた。
議員と作家の百田尚樹氏による言論封殺発言や米軍基地形成過程に関する重大な事実誤認の垂れ流しへの怒りを共有し、会場は一体感に満ちた。
言論弾圧と歴史の歪曲を許さないと訴え、発言の撤回と安倍晋三自民党総裁らの謝罪を求めた集会決議は今回の問題の不当性を凝縮している。沖縄が日本の民主主義を守るとりでの役割を果たしていく宣言に等しい内容に映った。
「つぶさないといけない」対象に沖縄の2紙が名指しされた。基地をめぐる沖縄の不条理に立ち向かう報道を封殺する動きは、沖縄戦と地続きの米軍基地問題を踏まえた不戦の誓いを踏みにじる。沖縄社会全体に対する挑戦と受け止めた弁士の発言は熱を帯びた。
基調提起に立った琉球大学教授の高良鉄美氏は、なぜ2紙と沖縄の民意が標的にされたかを分析した。自衛隊の戦地派遣につながる安全保障法制と辺野古新基地に鋭く反対する沖縄の民意の広がりに対し、安倍政権が危機感を抱いている表れとの見方を示した。
その上で高良氏は「今回は氷山の一角だ」と安倍政権の体質に警鐘を鳴らした。
琉球新報の潮平芳和編集局長は「安倍政権は全体主義の道に国民を導く愚を犯さないでほしい。今回の問題を未完の民主主義の再生・強化の出発点にすべきだ」と訴えた。沖縄タイムスの石川達也編集局次長は「権力側でなく、住民に寄り添うメディアがなぜ偏向か。力のない側に立ち、均衡を取り戻すことが大切だ」と強調した。
2氏の発言に激励の指笛や拍手が鳴り響いた。県民の声を支えとし、権力の暴走を監視し、報道の自由を守る使命をあらためて深く胸に刻みたい。
ワイツゼッカー元ドイツ大統領の歴史的演説が浮かぶ。「過去に目を閉ざす者は結局、現在にも盲目となる」。歴史に学ぶことを拒めば、現在や未来を見通せず、国を誤った方向に追いやる。不戦に根差した沖縄から暴走に歯止めをかけるのろしを上げ続けたい。(引用ここまで)
無知、無理解に基づくものの背景に何があるか!
言論の自由に対する抑圧の背景に何があるか!
国が沖縄の民意をないがしろにするのは何故か!
権力を持つ側=安倍首相が心掛けるべきことは、
少数者の意見や多様な論説を
自由に表現できる環境をつくることにある!
しかし、これまでの経過を踏まえるならば、
安倍首相自身に
言論の自由・沖縄の民意を守り抜く決意を期待することは!
自民圧力発言/議員辞職しか道はない
琉球新報/2015/7/2 6:06
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-245148-storytopic-11.html
自民党所属国会議員の妄言・暴言がとどまるところを知らない。
「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのが一番だ」と党の勉強会で発言した大西英男衆院議員(東京16区)は記者団に問われ、再び「(誤った報道をする一部のマスコミを)懲らしめようという気はある」と述べた。
勉強会を主催した木原稔氏(熊本1区)は沖縄全戦没者追悼式典に関し、首相にやじを飛ばした参加者が「動員」によるものだとの認識を示した。
いずれも無知、無理解に基づくものだ。沖縄の2紙を「左翼に乗っ取られている」と放言した長尾敬衆院議員(比例近畿)を含め、うそをまき散らし、憲法で保障された自由を否定する各氏に残された道は議員辞職しかない。
大西氏は自身の発言について、表現の自由を否定するものではないと繰り返し主張している。さらに「マスコミ規制をするとか、言論の自由を弾圧するなんてのは絶対あり得ない」「表現の自由、言論の自由は民主主義の根幹であることを理解している」とも語っている。
権力を持つ側が心掛けるべきことは、少数者の意見や多様な論説を自由に表現できる環境をつくることにある。大西氏は朝日新聞の「従軍慰安婦」誤報問題や安保法制審議で政府と異なる主張をする報道を例に挙げ「懲らしめなければいけないんじゃないか」と発言した。勘違いも甚だしい。言論の府に身を置く人間が、異論を排除しようと発想すること自体、言論の自由に対する抑圧ではないか。
木原氏は初めて参加した全戦没者追悼式が「異様な雰囲気だった」と語っている。例年と異なる状況にあるのが、なぜなのか考えたのだろうか。辺野古の問題をはじめ、国が沖縄の民意をないがしろにし、民主主義の危機にあるからだ。
背景を考察せず「動員」と断じる発想が理解できない。不特定多数に私見を披露するのなら根拠を示してほしい。できなければそれは妄想という。
一連の発言に対し、安倍首相は公明党の山口那津男代表に謝罪したが、あくまで国会審議に影響が出たことへのものだ。国民、沖縄県民に対するものではない。誰にでも言論の自由は保障されているが、妄言や虚言を許容するためのものではない。党内処分や締め付けでなく、首相自身が言論の自由を守り抜く決意を示すべきだ。(引用ここまで)