愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

「毎日」の「沖縄差別」論は日米安保廃棄から日米平和友好条約体制構築の最大の壁となっている

2012-05-17 | 沖縄

「毎日」の「沖縄本土復帰40年」の社説を検討してみた。「沖縄差別」論について、いくつかの記事があるが、どれも日米安保条約廃棄を論ずるものはない。「差別」をなくすことは当然だ。だが、本当に「差別」の「声」に向き合って、なくしていくためには、日本国憲法を使うしかない。だが、沖縄の問題に日本国憲法を使う視点は極めて希薄だ。同時に「本土の」米軍基地に対して日本国憲法を使うことも稀だ。いわゆる日米安保条約の方が日本国憲法の上位に位置づけられているからだろう。「安全保障」と「国益」の名の下に思考停止になっているのだ。

事実、「毎日」の「社説」には、どこを探しても「日本国憲法」という文字は出てこない。視点もない。そこに最大の問題がある。以下その視点でみてみよう。

沖縄本土復帰40年 「差別」の声に向き合う 毎日新聞 2012年05月15日 02時30分http://mainichi.jp/opinion/news/20120515k0000m070131000c.html

戦後、長年にわたり米国の統治下にあった沖縄の施政権が日本に返還されて、15日で40年を迎えた。 政府と沖縄県は共催で記念式典を開く。会場は、移設が難航する米軍普天間飛行場から約1キロ。政府と沖縄の間に横たわる基地問題の最大の懸案を眼前にしての催しとなる。 式典には野田佳彦首相が出席し式辞を述べる。しかし、政府に向ける沖縄の視線は厳しさを増している。 仲井真弘多沖縄県知事が、過重な米軍基地の負担を「差別」と表現したのは2年前だった。そして、今、同じ意識が県民に広がっている。本土復帰から節目となる年に、その言葉の重みを改めてかみしめたい。(引用ここまで)

「米国の統治下」から「沖縄の施政権が日本に返還され」たことの意味は、サンフランシスコ条約第3条日本国憲法と日米安保条約が適用されたことだ。それは当時沖縄からベトナム・インドシナに出撃していた米軍は、日米安保条約に「規制」されることになる。しかし、実際は、韓国の安全は日本の安全にとって「緊要」、日本は太平洋の「かなめ石」路線のなかで、「日本全土の沖縄化」によって自由出撃と核兵器の持込の自由が約束されたことだ。同時に、自衛隊の沖縄配備、それは今も同じだ。これはとても「沖縄差別」論などではない。


 ◇変わらぬ基地集中
 沖縄は、「本土による差別」を、過去4回経験したといわれる。
 1872年の琉球王国強制廃止・琉球藩設置に始まり、7年後の沖縄県設置で琉球を近代日本に組み入れた「琉球処分」、本土決戦に向けた「時間稼ぎ」作戦で住民9万4000人を含む18万8000人が犠牲となった1945年の地上戦、沖縄などを本土から切り離し、米国統治下に置くことを認めた52年のサンフランシスコ講和条約発効。そして、72年の施政権返還・本土復帰である。本土復帰は、他の3件と違って、米国統治下の沖縄の悲願だった。それが「差別」とされる理由は、復帰後も続く過重な基地負担にある。(引用ここまで)

「琉球処分」にしても、「時間稼ぎ」=「捨て石」にしても、「米国統治下に置くことを認めた」にせよ、「過重な基地負担」論にせよ、これらには、「差別」論一般を口実に天皇と天皇制が深く関与していたことを覆い隠すものだ。天皇制そののものが「差別」の象徴ではあるが。


「核抜き・本土並み」の返還。当時の佐藤栄作首相はこう公約し、学者を密使として派遣するなど政治主導で米側と交渉を重ねた。領土返還という最も難しい外交課題を、粘り強い交渉によって成し遂げたことは正当に評価されるべきだろう。(引用ここまで)


冗談じゃない。沖縄「差別」論者は、沖縄県民の闘いを黙殺するのだろうか?「沖縄返還」の最大の功労者は県民と日本国民の血みどろの闘いだった。


しかし、返還後の現実は、沖縄が願っていた姿とはほど遠かった。本土と同じく、米軍への基地提供を定めた日米安保条約を沖縄に適用する−−これが、政府にとっての「本土並み」の意味だった。 返還後、本土の米軍基地削減と表裏をなして、沖縄の基地の比重が高まった。今、国土面積比0.6%の沖縄に、全国の米軍基地施設面積の74%が集中する。沖縄本島の18.4%を米軍基地が占めている。復帰前と変わらず、住民は、米軍機墜落の危険、騒音などの生活被害に耐えることを強いられた。米兵による事件・事故が繰り返され、その対応には日米地位協定が立ちはだかった。沖縄が期待した基地のない「本土並み」の暮らしと現実の落差は、あまりに大きかった。「核抜き」はどうだろう。沖縄に配備されていた戦術核ミサイルは撤去されたが、返還後の沖縄には、核再持ち込みの「密約」疑惑がつきまとった。一連の密約問題を検証した外務省の有識者委員会は一昨年、核再持ち込みについて「必ずしも密約とは言えない」としたが、佐藤首相とニクソン米大統領が署名した、再持ち込みに関する極秘扱いの文書の存在は否定しようがない。委員会の結論には強い違和感が残る。また、返還の見返りに、本来、米国が支払うべき土地の復元費用を日本政府が肩代わりする約束をしていたことも明らかになった。こちらは有識者委員会も密約と認定した。これら「沖縄密約」は、国民と沖縄を裏切る外交史の暗部である。(引用ここまで)


「核密約」と「沖縄密約」こそ、日米安保条約の本質を物語っているが、そこに目を向けることはない。「日米地位協定」も日米安保条約があるが故の「協定」だが、そうした視点は欠落している。


◇本土も負担の覚悟を
毎日新聞と琉球新報の共同世論調査では、沖縄への米軍基地集中について沖縄の69%が「不平等だ」と回答、全国では33%だった。普天間移設は、「県外」「国外」「撤去」の合計が沖縄89%、全国63%だった。本土も沖縄も安全保障上の利益を等しく享受しながら沖縄に基地が集中していることに、県民は強い不満を抱いている。数字は、本土と沖縄の意識の隔たりも示している。厳しさを増す東アジアの安全保障環境を考えれば、在日米軍をただちに大幅削減することは難しい。選択肢は限られている。解決には、本土が負担を引き受ける以外にない。日米両政府は、在沖縄米海兵隊のグアム移転を普天間移設から切り離し、米空軍嘉手納基地以南の5施設・区域を先行返還することで合意した。実現すれば沖縄の負担軽減と経済振興に結びつく。早急に返還時期を確定し、着実に実施すべきだ。さらに、他の米軍施設についても返還の可能性を探るよう求めたい。 同時に必要なのが、沖縄の基地や訓練場の本土移転である。本土側が沖縄の意識を共有することが第一歩であり、政府の努力が不可欠だ。 米議会の有力議員が主張する普天間を嘉手納基地に統合する案は、現在の嘉手納基地機能の一部移転が前提になる。それなしには沖縄の理解は得られない。移転先は本土が想定される。また、普天間移設実現まで普天間の機能を分散移転する場合も本土の協力が欠かせない。 沖縄の地理的条件から本土への移転は抑止力低下になるとの見方があるが、装備品の近代化・技術革新で米兵力の即時対応能力は向上している。米軍に代わって自衛隊が役割を分担することも一つの方策だろう。
沖縄で米軍基地拒否がうねりになれば、基地の円滑な運営、安全保障政策の効果的推進は不可能となる。 政府も、本土も、沖縄の「叫び」に正面から向き合うべきである。(引用ここまで)


日本国憲法9条にもとづく外交努力を出すこともなく、「本土も沖縄も安全保障上の利益を等しく享受しながら沖縄に基地が集中している」と日米安保が「安全保障」の最大の要因であるかのような論調だ。

こうした視点は、「厳しさを増す東アジアの安全保障環境を考えれば」こそ、憲法を使うことを奨励しなければならないはずだ。沖縄の米軍への抵抗闘争は、まさに日本国憲法の理念にもとづくものだった。

その代表的人物が阿波根昌鴻である。彼の思想は『米軍と農民』(岩波新書)に描かれている。その思想と闘いを社説が紹介しないのは何故だろうか?この思想こそ、東アジアの安全保障論の基本中の基本となるであろう。

「本土が基地の負担を引き受ける」ことで基地「問題」は解決するのだろうか?沖縄からイラクやアフガンに出撃した米軍がやったことは、「問題」とはなっていないのだ。イラク戦争の大義はどうするのか?アフガンは?「沖縄差別」論の本質的問題点が、ここにある!基地の分散で、基地の弊害が減少することで「差別」が解消して、基地問題が解決するというのだ。

しかも「政府も、本土も、沖縄の『叫び』に正面から向き合うべきである」との「沖縄差別」論解消の本質は「沖縄で米軍基地拒否がうねりになれば、基地の円滑な運営、安全保障政策の効果的推進は不可能となる」と、日米安保条約廃棄に発展することになるぞ、と脅しているのだ。

米軍の兵器の性能まで期待してしまう。何と情けない社説だろうか?「米軍に代わって自衛隊が役割を分担する」などと、まさに憲法の「規制緩和」論そのものだ。呆れるばかりだ。

「沖縄差別」解消論の狙いがどこにあるか、その最大の争点が日米安保体制の廃棄か、日本国憲法にもとづく日米平和友好条約体制か、「毎日」の「社説」は、改めて強調してくれた。喜ぶべきことだ。

武器を捨て対手の立場踏まえつつ命 財産 宝物とせむ

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沖縄復帰40年に思う。卒業式に君が代と一緒に斉唱した小学校唱歌「蛍の光」は今も生きている!

2012-05-16 | 沖縄

蛍の光
ほたるのひかり、まどのゆき、
ふみよむつきひ、かさねつゝ、
いつしかとしも、すぎのとを、
あけてぞけさは、わかれゆく。
(2・3番は略)
ちしまのおくも、おきなはも、
やしまのうちの、まもりなり。
いたらんくにに、いさをしく、
つとめよわがせ、つゝがなく。

沖縄復帰の昨日、多忙にて更新ができませんでした。書こうとしたことは、1881年(明治14年)に尋常小学校の唱歌として小学唱歌集初編(小學唱歌集初編)に載せられた「蛍の光」は、今も尚、生きていることを考えてみようということだった。

沖縄に基地があることの意味は、131年前に小学生に刷り込まれていたのだった。では今はどうか。沖縄の基地と「本土」の存在する基地の弊害が日本国憲法と対比して学校で教えられているだろうか?

沖縄に基地があるのは不公平だ。何故「本土」に移設しないのか。「本土」の国民が、沖縄の基地について、無関心なのは何故か。何故「自分のことして」捉えられないのだろうか。沖縄県民の苦渋が伝わってくる。

沖縄の少女暴行事件の時は、それなりに本土も「痛み」を感じたが、それ以後はどうだろうか?

ところで「本土復帰後、沖縄に投下された国の振興予算は約10兆円に上る」という。40年で国民一人につき10万円だ。勿論沖縄県民を含めてだ。この税金が沖縄の負担軽減の一つだったということになる。果たしてそうだろうか?

これが沖縄県民にとって高いか安いか、または「本土」の国民にとって高いか低いかだ。「本土」の国民にとっては「差別」の「免罪符」というべきものだろうか?

また復帰後米軍に支払った税金がどれくらいか、調べてみる必要がある。これが高いか、低いか、検証してみる必要がある。

沖縄「差別」の要因は政府にあることは当然にしても、その政府を選択しているのは国民だ。その「国民の差別」意識をどうすれば変えていけるか、それが最大の課題のような気がする。

そこで考えてみた。沖縄から全国の米軍基地のある自治体と国民に米軍基地の弊害、実利を含めて米軍基地は住民の実利を含めて幸福をもたらしているのかどうかについて、どのように訴えていけるか、それができれば、基地撤去は可能になるのではないか?

このことは日米安保条約を廃棄する課題と密接に結びついている。しかし、沖縄から、この課題について、現在のところないのが実情だ。

以上時間不足にて、今日のところはオワリとする。

ウチナーを防人とせしヤマトンチュー阿波根の風日の本にこそ

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沖縄施政権返還40年を明日に控え対米「従属」を自覚できない日本の今後を考える

2012-05-14 | 日記
明日1972年5月15日沖縄がアメリカ憲法下から日本国憲法下に移行した日だ。あれから40年も過ぎた。

核も基地もない全面返還はウソだった。核密約があったし、今もって米軍基地が沖縄の自立を妨げている。基地が全面的に返還された場合、沖縄がどのように経済的に発展するか、その発想も、想定も、想像もできない日本国と国民がいる。

1945年8月15日、1950年4月28日、そして1972年5月15日は沖縄県民ばかりか、日本国民にとって忘れてはならない日だ。奄美も小笠原も忘れてはならない。が、今日は触れない。

何故日本国と国民は「屈辱」を屈辱と考えないのだろうか。その思考回路を解明していく必要があるのではないだろうか?そこで。昨日も書き留めたことだが、「屈辱」と考えない理由をいくつか考えてみた。

1.「本土」の「差別」「不平等」論があるのは「朝日」「沖縄タイムス」、「毎日」「琉球新報」の「世論調査」によって明らかにされた。だが、こうした「論」は日米安保条約から発生した「論」であることを覆い隠すものだ。

2.これだけ日本国民=同胞が虐げられているのに、自分のこととして考えることができないのは何故か、だ。ま、自殺者が14年間も3万人が続いているのに、他人事なのだ。憲法の前文が活かされていないのだ。

3.だが、こうした思考回路は、他の分野でも現れている。それは、これだけ非正規労働や契約労働者の大半がワーキングプワーとなり、彼ら街をウヨウヨ歩いているのに、労働者同士が連帯しないのは、「公務員改革」と称して公務員の人数と賃金を減らせという声と感情が醸成されていることに象徴される。非正規労働の横行によって内部留保が年々蓄積されているのに、公務員を減らせば、住民サービスが低下するのに、公務員賃金が下げられても、民間賃金が上がることはないのに、いや寧ろ公務員賃金値下げと民間賃金は悪魔のサイクルとして密接に連動して、下がり続けているというのに、だ。

4.全国各地の米軍基地のある街と沖縄が連帯できないのは、以上のような構造があるのではないだろうか?明日の社説が楽しみだ。各社は何を書くか。

5.40年もの間、日本の領土が他国によって軍事占領されていた歴史の重み、が1951年9月8日にサンフランシスコ条約とあわせて日米安保条約が締結されて以降、60年が過ぎた。これは日本国憲法下で起こったことだった。そこで、この60年の長さと、その意味を考えてみた。

(1)日本が中国に軍隊を駐留する権限を得たのは、1901年9月7日に締結された北清事変に関する最終議定書が最初だ。以後1945年8月15日まで皇軍は中国大陸を軍事占領することになった。44年間だ。

(2)朝鮮半島ではどうだっただろうか。1882年8月30日締結された済物浦条約が最初だが、1885年4月18日締結された天津条約があり、駐留は中断することになる。だが、正式には1904年(明治37)2月23日に、日本と大韓帝国との間で締結された条約以後、皇軍が1945年8月まで朝鮮半島を軍事占領することになる。41年間だ。

(3)日本帝国主義が中国・朝鮮に皇軍を駐留させた時間より長く米軍の「軍事占領」が続いているのだ。これは、このままいけば、ほぼ永久に、だ。

(4)日本国民は、この事実をどう受け止めるのだろうか?しかも、自らが働いて稼いだカネを差し出して、だ。今のままではずっと米軍に貢ぐ、差し出すことになるのだ。

(5)自分たちの賃金が低いことを理由に、「公務員賃金を下げろ」と叫ぶ国民。「財政危機だから、社会保障に使うのは、ある意味やむを得ない、消費税増税も仕方ないという風に考えている国民が米軍には「思いやり」のカネを差し出しているのにだ。

(6)さらには、かつてはソ連、現在は中国の脅威、ならず者国家北朝鮮から日本を守ってくれる「抑止力」としての米軍に泣けなしの税金を差し出しても、仕方ないと考えている国民、その国民は、憲法9条を使った外交努力を政府に強く迫るのではなく、米軍に「貢」のは仕方ないと思っているのだ。

(7)憲法9条に基づく外交よりも、米軍や自衛隊に使う「軍事費」による「抑止効果」の方がはるかに価値があると考えているからこそ、「軍事費削減を」の声は「公務員賃金削減」のようには上がらないのだ。

(8)しかも、この国民の泣けなしの税金を軍事ではなく、平和のための手段として使い、新たな価値と富を作り出すなどという発想は、どこからも出てこないのだ。

6.こういう疑問が国民の中に浮かばないのは何故だろうか?以下の二つの条約が戦後の日米の関係をつくってきた。最初は、たった五つの条文、二つ目は10の条文で、だ。
注目点は、米軍占領の理由について、だ。これらは、かつて大日本帝国が中国や朝鮮に考えていた発想を同じものがあるのだ。それを、今日本がアメリカによって「押し付け」られてているのだ。だが、圧倒的多数の日本国民は、そんなことをほとんど考えてもいない。寧ろ賛同しているのだ。

新安保条約の第一条は、皮肉にも「抑止力」論を否定していないだろうか?以下二つの条約をみて、今日はこれでオワリとする。

日米の主従の絆血税の行方も知らぬあまたの民に


(1)日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約(1952年~1960年)
前文
日本に独自の防衛力が充分にいないことを構築されていないことを認識し、また国連憲章が各国に自衛権を認めていることを認識し、その上で防衛用の暫定措置として、日本はアメリカ軍が日本国内に駐留することを希望している。また、アメリカ合衆国は日本が独自の防衛力を向上させることを期待している。平和条約の効力発行と同時にこの条約も効力を発効することを希望する。

第一条(アメリカ軍駐留権)
日本は国内へのアメリカ軍駐留の権利を与える。駐留アメリカ軍は、極東アジアの安全に寄与するほか、直接の武力侵攻や外国からの教唆などによる日本国内の内乱などに対しても援助を与えることができる。

第二条(第三国軍隊への協力の禁止)
アメリカ合衆国の同意を得ない、第三国軍隊の駐留・配備・基地提供・通過などの禁止。

第三条(細目決定)
細目決定は両国間の行政協定による。

第四条(条約の失効)
国際連合の措置または代替されうる別の安全保障措置の効力を生じたと両国政府が認識した場合に失効する。

第五条(批准)
批准後に効力が発効する。

(2)日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(1960年~)
日本国及びアメリカ合衆国は、両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、よつて、次のとおり協定する。

第一条
 締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。
 締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。

第二条
 締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによつて、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。

第三条
 締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。

第四条
 締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。

第五条
 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
 前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。

第六条
 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。
 前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。

第七条
 この条約は、国際連合憲章に基づく締約国の権利及び義務又は国際の平和及び安全を維持する国際連合の責任に対しては、どのような影響も及ぼすものではなく、また、及ぼすものと解釈してはならない。

第八条
 この条約は、日本国及びアメリカ合衆国により各自の憲法上の手続に従つて批准されなければならない。この条約は、両国が東京で批准書を交換した日に効力を生ずる。

第九条
 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約は、この条約の効力発生の時に効力を失う。

第十条
 この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。
 もつとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。

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「朝日」よりましな「毎日」の「復帰40年記念」の世論調査から読み取る「政治」と国民意識について

2012-05-13 | 東アジア平和共同体

「毎日」と「琉球新報」の「復帰40年記念」の共同世論調査が発表された。やはりマスコミが「注目」したのは「不平等」論だった。「朝日」の時は「格差」「差別」論だった。この視点は問題だ。理由は、

1.この「不平等」「差別」論は、何も沖縄と「本土」だけの問題ではない。日本国内の米軍基地についても同様だからだ。しかも国民の税金=血税による様々な補助金が当該自治体に支出されている。そこでは基地以外の自治体との「差別」が存在しているのではないのか。

2.「米軍基地」があるために生ずる「問題」に対する見返りとしての「税金」を秤にかけて考えると、まさに米軍基地以外の自治体との間に「差別」はないのか?等価交換なのか、検証したことがあるのか?

3.このことは原発立地自治体への、いわゆる電源三法は「差別」ではないのか?

4.こうした「差別補助金」という名の統治システムによって、実は大儲けしている輩がいることを隠していないのか?

(1)これは原発ムラ=原発利益共同体の利益が、当該自治体と自治体住民以上にあることが、最近白日の下に晒されてきたが、そのことを想起すると、よく判る。

(2)安全保障ムラ=軍事利益共同体の利益は、米軍基地や自衛隊基地配備自治体や住民の利益と比較検証したのか、どうか、極めて曖昧だ。

4.本土との「差別」論、「不平等」論は、主語は何か、を曖昧にしていないのか。

(1)国民が沖縄を、さらには原発立地自治体の住民を差別しているということになれば、国民分断が固定化されてしまうのではないのか?

(2)そうではないだろう。確かに国民が国家権力を握る政治家を選択していることは事実だ。だが権力を握る政治家や利益共同体=国家が「差別」の主体者ということを曖昧にすることにならないのか、それが大いに問題なのだ。

5.「差別」「不平等」論は、日米安保条約に基づく基地押し付けを行う国家の責任を曖昧にしている。

この考え方は、基地被害に「苦しむ」自治体の首長選挙や議会選挙の際にいつも問題となる以下のことを想い起こせばよいだろう。

1.基地・原発がなくなると、商売ができなくなる。食っていけなくなる。

2.中央と地方(当該自治体)の「格差」が起こった国家の政治より「ご利益」優先政治を煽る、争点隠しのマスコミの「宣伝」がある。

3.「補助金」漬けになることで独自の街づくりなどがストップしてしまう。

4.基地や原発がなくても独自の街づくりが可能になる「平和的補助金」と「基地・原発補助金」を比較・検証する思考がストップしてしまう。

5.格差を生じさせる国家政策の責任を曖昧にするだけでなく、むしろ擁護する選挙が行われる。最近の事例で言えば宜野湾市長選挙、岩国市長選挙、原発再稼動首長当選の選挙がある。

さて、以下の記事が、今まで述べてきたことを根拠付けることになる。「過重負担」「地位協定」「治外法権」問題は、本土と沖縄の「不平等」が問題ではないことは明らかだ。日米安保条約の本質に係わる問題だ。

「不平等 私も思う」 復帰40年で仲井真知事2012年5月10日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-191009-storytopic-3.html
 仲井真弘多知事は15日の本土復帰40年を控えた9日、県庁で報道各社のインタビューに答えた。琉球新報社・毎日新聞社合同世論調査で、在日米軍基地の7割が沖縄に集中していることについて県民の69%が「不平等だと思う」と答えたことについて、仲井真知事は「不平等だという気持ちは私もほぼ同じだ」と述べた。
 仲井真知事は不平等感の理由を「米軍専用施設の4分の3が沖縄にある」過重負担と地位協定の問題を挙げ、「(軍人・軍属は)日本の法律は守らなくていい、一種の治外法権。同盟国であってもひどいんじゃないかということを県民は40年以上、基地の横で味わってきた」とし、「これに持ちこたえてきた県民の怒りを考えてもらいたい」と述べた。
 普天間飛行場の名護市辺野古への移設に県民の9割が反対していることには、「率直な気持ちだろう。私も普天間は県外という公約の旗を降ろすつもりはない」と強調し、「政策に何らかの形でにじみ出るんじゃないか」とし、県民意思として重く受け止めたいとの姿勢を示した。

さて以上の視点にたって、今回の世論調査の結果を「毎日」と「赤旗」の記事を比べてみよう。長くなるが、仕方ない。その前に、いくつかのポイントを指摘してみよう。

1.「朝日」と違って、日米安保条約の是非、「外交努力」か「防衛努力」かを質問していることだ。

2.しかし、石原都知事の尖閣購入問題に見るように、また自分たちの自治体の基地を「移設」することの是非にみるように、国民感情の背景に何があるか、その分析は、見られない。

3.社会資本整備より基地撤去・移設問題に関心があるのであれば、それにかける税金の使い道や基地撤去以後の街づくりなどについての質問が検討されなければならないだろう。

4.日米安保条約廃棄のためには、10条を使うことが、先ず第一にあるが、そのためには、選挙によって廃棄派が国会の多数になること、多数派になれない場合でも世論と運動で廃棄派でない議員を廃棄派の立場に立たせること、この二つのための具体的なプランを鮮明に打ち出すことが大切だろう。

5.安保条約や自衛隊是認の最大の要因は、中国・北朝鮮の「脅威」があるが、そうした国民感情を変革していくための「外交努力」とは何か、それを具体的に提起していく事が、大事だろう。そのためには廃棄派は何ができるか、国民に「安全」を「保障」していくこと、そうして国民に「安心」感を抱いてもらうことだろう。

安全と心に抱く国民を9条こそを津々浦々に


特集:沖縄復帰40年 毎日新聞・琉球新報合同世論調査 復帰肯定は共通認識 全国79%、沖縄80% 毎日新聞 2012年5月11日 東京朝刊
http://124.83.183.242/select/wadai/news/20120511ddm010040181000c.html
 ◇基地巡っては隔たり
 沖縄県の本土復帰40周年を機に、毎日新聞と琉球新報は5、6日、合同で世論調査(電話)を実施した。本土復帰については「良かった」と「どちらかといえば良かった」の合計が全国、沖縄ともに8割を占め、双方の共通認識となった。一方、在日米軍基地の沖縄集中を巡っては、過重負担に不満を募らせる沖縄と、消極的ながらも追認傾向のある全国との意識の違いが浮き彫りになっている。【福永方人、鈴木直】
 沖縄を含む毎日新聞の全国調査、沖縄県民だけを対象とした琉球新報調査ともに、本土復帰の評価で、肯定的な受け止めが目立った。「良かった」との回答は全国59%、沖縄58%で、「どちらかといえば良かった」は全国20%、沖縄22%。一方、「悪かった」は全国、沖縄ともに1%に過ぎず、「どちらかといえば悪かった」も全国2%、沖縄1%だった。
 本土復帰に関する沖縄県民の評価を年代別にみると、「良かった」は30代48%、20代53%だったのに対し、60代62%、70代以上は60%に上り、復帰運動に関わった高齢層の評価が高い。全国調査の「良かった」は、20代54%、30代53%に対し、60代60%、70代以上55%だった。
 琉球新報は合同調査とは別に、復帰して何が良かったか(複数回答)を県民に聞いた。「道路や橋、港湾などが整備された」(48%)、「本土との交流や情報量が増えた」(42%)などの順。一方、悪くなったこと(複数回答)は「自然破壊が進んだ」(39%)、「米軍基地の被害が増えた」(34%)が多かった。
 国や県に特に力を入れてほしいこと(複数回答)を聞いた設問では、「米軍基地の整理縮小と跡地利用」が43%を占め、最多だった。「モノレールや鉄軌道、橋などの整備」は16%にとどまり、県民の関心が社会資本整備から、基地問題に向かっている現状がうかがえる。
 在日米軍基地の7割以上が沖縄に集中している現状については、「不平等だと思う」との回答が沖縄で69%に達し、全国の33%を大きく上回った。沖縄で本土復帰を「良かった」と評価した人でも、基地の集中を「不平等」と答えた人が69%に上り、沖縄の不満が鮮明になっている。
 ◇日米安保、沖縄7割否定
 米軍の日本駐留を定めた日米安保条約について、全国調査では「日本の平和と安全に役に立っている」との回答が46%を占めた。「役に立っていない」は8%にとどまったものの、「どちらともいえない」との回答も40%あった。
 一方、琉球新報の沖縄調査では、現行の日米安保条約について「平和友好条約に改めるべきだ」(55%)、「破棄すべきだ」(16%)と、7割強が否定的な見方を示した。日米安保条約を「維持すべきだ」は16%にとどまっている。
 ◇中国の海洋進出「不安に思う」8割超 「外交で解決」多数
 中国が東シナ海などに積極的に進出していることについて、全国、沖縄調査ともに「不安に思う」が8割を超えた。中国の海洋進出は周辺国の脅威になっており、「不安に思う」は全国で82%に上り、地理的に近い沖縄では85%に達した。「不安には思わない」は全国12%、沖縄15%にとどまった。
 「不安に思う」と答えた人に対応策を聞いたところ、全国では「外交努力で解決すべきだ」が66%で、「防衛力を強化すべきだ」は26%だった。沖縄では外交努力が76%を占め、全国を10ポイント上回った。防衛力強化は24%だった。
 全国調査の結果を性別でみると、男性で「外交努力」を挙げた人は60%、「防衛力強化」は33%だった。一方、女性では「外交努力」と答えた人が73%と4分の3近くに上り、「防衛力強化」は19%だった。年代別では、40代と70代以上で「外交努力」を挙げる人がそれぞれ7割に達し、他の年代より高かった。
 支持政党別では、民主支持層が「外交努力」73%、「防衛力強化」21%だったのに対し、自民支持層は「外交努力」60%、「防衛力強化」31%だった。「支持政党はない」と答えた無党派層では「外交努力」が67%で、「防衛力強化」は25%にとどまった。
 ◇都の尖閣購入、沖縄県民賛否割れ
 東京都の石原慎太郎知事が発表した尖閣諸島(沖縄県石垣市)の一部を都の予算で購入する計画について、沖縄県民に聞いたところ、「支持する」は54%で、「支持しない」(47%)と評価が割れた。一方、全国調査で購入計画を「支持する」と答えた人は61%に上り、「支持しない」の31%を大きく上回っている。
==============
 ◇合同調査の質問と回答◇
 ◆沖縄は、5月15日で本土復帰40周年を迎えます。あなたは沖縄の本土復帰が良かったと思いますか。
                   全国 沖縄
良かった               59 58
どちらかといえば良かった       20 22
どちらかといえば悪かった        2  1
悪かった                1  1
どちらともいえない          14 11
 ◆日米両政府は宜野湾市にある米軍普天間飛行場を、名護市辺野古地区に移設する計画を立てています。この計画について、あなたの考えに近いのはどれですか。
計画に沿って移設を進めるべきだ    28 11
移設せずに普天間飛行場を撤去すべきだ 14 21
県外に移設すべきだ          12 29
国外に移設すべきだ          37 39
 ◆沖縄県には在日米軍基地の7割以上が集中しています。この現状について、あなたはどう思いますか。
不平等だと思う            33 69
やむを得ない             37 22
分からない              26  9
 ◆中国が東シナ海などへ積極的に進出していることについて、どう感じますか。
不安に思う              82 85
不安には思わない           12 15
 ◇<「不安に思う」と答えた方に>不安を取り除くためにはどうしたらいいと思いますか。
防衛力を強化すべきだ         26 24
外交努力で解決すべきだ        66 76
 ◆東京都の石原慎太郎知事は、沖縄県の尖閣諸島の一部を都の予算で購入する計画を発表しました。この計画を支持しますか、しませんか。
支持する               61 54
支持しない              31 47
 (以下の設問は全国調査のみ)
 ◆沖縄の米軍基地が、あなたのお住まいの地域に移設されるとしたら、賛成ですか、反対ですか。
賛成                 24
反対                 67
 ◆あなたは日米安全保障条約が、日本の平和と安全に役立っていると思いますか。
役に立っている            46
役に立っていない            8
どちらともいえない          40
 (注)数字は%、小数点以下を四捨五入。無回答は省略。
==============
 ◇調査の方法
 5、6日の2日間、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った電話番号に調査。福島第1原発事故で警戒区域などに指定されている市町村の電話番号は除いた。全国調査は有権者のいる1580世帯のうち1035人が回答し、回答率は66%。沖縄県調査は1408世帯のうち828人が回答し、回答率は59%。


沖縄世論 安保条約に厳しい目 「平和友好条約に」「破棄を」71%
琉球新報・「毎日」調査
「しんぶん赤旗」(5月13日)
 日本共産党の志位和夫委員長は12日の全国革新懇総会での記念講演で、「沖縄県民のなかで、日米安保条約こそ沖縄の苦難の根源だという認識が広がっている」とし、琉球新報と毎日新聞が行った合同世論調査の結果を紹介しました。
 調査は今月5、6日に実施。「米軍の日本駐留を定めた日米安保条約についてどう思うか」との質問に、沖縄県内では、「維持すべきだ」は15・8%。これに対し、「平和友好条約に改めるべきだ」が55・4%、「破棄すべきだ」が15・5%と、合わせて70・9%にも上りました。
 志位氏はまた、日米両政府が普天間基地の「辺野古移設」に固執する一方、垂直離着陸機オスプレイの配備など普天間基地固定化の動きも起こっていることを指摘し、「基地と県民との矛盾はすでに限界点を超えた」と指摘しました。
 この点でも、合同世論調査の沖縄県内での結果は、普天間基地の「辺野古移設」について「計画に沿って移設を進めるべきだ」は11・2%。これに対し「移設せずに撤去すべきだ」21・4%、「国外に移設すべきだ」38・6%などとなっています。
 また、普天間基地へのオスプレイ配備について「配備すべきでない」が90・1%に上りました。

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野田政権と自民党に圧力を、国民に敵対する経団連提言を無批判的に報ずるマスコミの意味を考える!

2012-05-12 | 日記
消費税国会が始まった。相変わらず小沢政局報道に終始するマスコミには辟易するが、これは狙いがある。「決められない政治」というコピーで政治不信を煽り、結果的に自民党化した野田民主政権と消費税増税では推進勢力の自民党を叱咤激励するという狙いと脅しだ。それは野田首相と野田毅税調会長の本会議の茶番的質疑をみるとよく判る。以下、「朝日」の記事をまとめてみた。

野田毅氏(自民)  ようやく消費税の議論が始まった。私事になるが、大平正芳首相時代の一般消費税議論や、地元での1万人反対集会でわら人形を作られ燃やされた中曽根康弘首相時代の売上税、竹下登首相や山中貞則先生の下で奔走し成立に涙を流した消費税を思い起こす。我々は税制改革の推進勢力だ。

野田首相  日本国を思い汗と涙を流されたお話を尊敬の念を持って伺った。教訓と叱咤を胸に刻み、社会保障と税の一体改革を、政治生命をかけてやり抜く覚悟を貫いてまいる。税制改革の推進勢力であるという力強いご主張を伺った。

野田毅氏  だが、民主党政権下で税制改革の議論を進めるにはハードルがある。国民の理解、党内政局、政策理念という壁だ。党内政局では、消費増税への反対勢力が党内で大手を振っている。小沢一郎元代表の党員資格の復活に際して、少なくとも消費増税賛成への約束を取り付けたのか。説得できる見通しはあるのか。

野田首相  丁寧な議論と決定を積み重ねた。国民に責任を持ち、政権を担う与党として大変重い党議の決定だ。所属議員全員がこの決定を尊重する義務を国民に対して負っており・・・

野田毅氏  代表として党をまとめ、6月21日の会期内に消費増税関連法案を採決する覚悟を。

野田首相  今国会での成立に向けて説得し、全党が一致結束して対応することを確信し、全力をあげる決意だ。

野田毅氏  政策理念では、一体改革にバックボーンを感じない。経済界、マスコミ、自民党支持層の上前をはねようというさもしい党利党略的発想だ。

首相  民主党と自民党との前には大河が横たわるように見えるが、国民は橋を架け双方が歩み寄ることを求めている。改革の大義を同じくする限り必ず乗り越えられると確信する。

どうだろうか。以下思うことをメモしてみる。

1.まず小沢政局、民主党内の争いの奥深いところに、国民の要求と運動があることを、いっさい報道しないマスコミと自民・民主の姿が見えてこないだろうか。

2.野田毅氏の消費税に関する「私事」だが、これで国民生活と日本がダメになったことをいっさい反省していないのだ。しかも野田首相も、だ。そればかりか「尊敬の念を持って伺った。教訓と叱咤を胸に刻み」「政治生命をかけてやり抜く覚悟を貫い」てと言ってしまったのだ。

3.これほどマスコミが「消費税を決めろ、決めろ」とわめいているのに、世論は、反対が多数であり、内閣支持率は危険水域をはるかに超えてしまっている。まさに強弁だ。

4.だが、こうした驕りがあるのは、マスコミや経団連の応援があるからだ。また自民党に対して「大河を渡るための架け橋になれ」と国民が求めていると「錯覚」しているのだ。それにはそれなりの理由がる。これは「世論」は政局に対して不満をもっているのだ、消費税そのものには反対していない、仕方ないものだと野田首相は見ているのだ。

5.こうした状況を利用して野田佳彦首相は、自民党に対し「同じ解決方法を志向している。今成さなければ改革実現はこの先もない」「渡るべき川は広くない。必ず乗り越えられる」と述べた(「東京」)。

6.こうした「読み」は、実は、改めて二大政党政治の破綻を国会の場で自ら語ってしまったことを意味している。自民も民主もどっちもどっちなのだ。同じ穴のムジナなのだ。

7.小沢氏も消費税そのものには反対はしていない。一つは、政権交代の際の公約に増税はないこと、現在の情勢では国民生活を破壊することになる、という理由で増税に反対しているのだ。これそのものは間違いではない。

8.だが、小沢氏がこうした見方をする理由は、選挙に勝てないという理由からだ。議席が減れば、小沢氏が求める国家改造ができなくなると言っている。橋下市長にお株を取られていると。戦術、手段として消費税増税に反対しているのだ。

こうしたなかで、経団連が「最後通牒」を突きつけた。以下の記事だ。マスコミは小さくしか取り上げなかった。何故だろうか?

消費税10%超と法人減税を提言  経団連  「朝日」(12日)7面
 経団連は11日、成長戦略の実行と財政再建の断行を求める提言をまとめた。デフレ経済から脱却して安定的に成長するため、今は40%程度の法人実効税率を20%台に下げることや、消費増税、規制緩和、経済連携協定の推進などを求めた。 消費税率は2015年に10%に上げた後も、さらなる引き上げが必要と指摘。消費税率を段階的に19%に上げ、法人実効税率を25%に下げ、規制緩和なども進めると、25年度の経済成長率は実質で2・2%、名目で3・2%になると試算した。 経団連は、野田政権が6月をめどにまとめる「日本再生戦略」に、今回の提言を生かすよう働きかける。

経団連「財政赤字放置なら2025年でもデフレ」sankeibiz  2012.5.12 05:00
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120512/mca1205120502004-n1.htm
 経団連は11日、政府に対し、成長戦略と財政再建の断行を求める提言をまとめた。経団連が求める法人税の引き下げなどを実施せず、財政赤字が放置されれば2025年になってもデフレ脱却は難しい、との試算を盛り込んだ。提言では、法人実効税率をアジア並みの25%まで下げ、消費税率を最終的に19%に引き上げることなどを求めた。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の締結や、内需掘り起こしのための農業、医療、街づくり分野の改革も求めている。

消費税率「2025年度に10%台後半に」 経団連が提言 日経2012/5/11 19:42
http://www.nikkei.com/news/category/article/g
 経団連は11日、日本経済の成長促進に向けた政策提言を発表した。国税と地方税を合計した「法人実効税率」を現行の約35%から20%台に引き下げることや、消費税率を10%台後半に引き上げることを盛りこんだ。環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に早期に参加することも求めた。 経団連の試算では、各国との経済連携が進まない「現状放置ケース」では、実質国内総生産(GDP)の伸び率が今後1%前後で推移。政府債務残高は2025年度に名目GDPの5倍近くに膨らむ。経済連携が進み、消費税率を引き上げる「改革推進ケース」では、25年度に実質GDPが2.2%に高まり、政府債務残高も名目GDPの約2.5倍にとどまる。

ニュース詳細 経団連“成長戦略と財政再建を” 5月12日 8時3分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120512/k10015070551000.html

K10050705511_1205120804_1205120806
経団連は、成長戦略と財政再建が遅れれば日本は産業の空洞化が進んで世界での存在感が確実に低下するとして、法人税の実効税率の引き下げやTPP=環太平洋パートナーシップ協定の早期締結などを政府に求める提言をまとめました。提言によりますと、財政再建と成長戦略の実行を先送りした場合、GDP=国内総生産の実質の伸び率は今後1%前後の低い水準で推移し、税収の低下などで財政が破綻するリスクが大きくなるとしています。また、人口減少による市場の縮小でさらに産業の空洞化が進んで、世界の中での日本の存在感は確実に低下するとしています。このため提言では、企業の競争力を高めるため、法人税の実行税率を現在のおよそ35%から20%台にまで引き下げることや、アジア地域の成長を取り込むため、TPP=環太平洋パートナーシップ協定を早期に締結するなどの成長戦略を着実に実行すべきだとしています。また成長戦略と同時に財政再建も断行すべきだとして、消費税率を10%台後半にまで引き上げるよう求めています。さらに、こうした成長戦略と財政再建を着実に実行していけば、政府が目標としている実質で2%、名目で3%の成長が可能になるとしており、経団連は、今回の提言を政府の国家戦略会議がまとめる「日本再生戦略」に反映させるよう働きかけることにしています。


どうだろうか?消費税をアップさせ、国民に負担を求めながら、「法人税は減税しろ」だ。そして「TPPを締結しろ」と。まさに「脅し」だ。経団連の主張をそのまま報道しているのは、野田政権を応援する国民を増やそうとするマスコミのスタンスが透けて見えてくる。マスコミが経団連のイデオロギーを垂れ流す装置となっているのだ。非正規・契約労働を増やして大儲けしている経団連は「身を切る」対象にはならないのだ!全く不思議だ。これについての疑問の声は多数派にはならないのだ!

だが、マスコミが、この提言を大きく報道しなかったのは、それなりの理由があるからだ。そもそも国会最終盤で経団連という親分が出張ってきたわけだが、これを大々的に取り上げても、良さそうなのだが、そうすると、局面が変わるからだ。国民世論と運動は怖いのだ。その理由を述べてみよう。

かつて89年の千葉県知事選挙にあたって現職の沼田知事に対して共産党推薦候補が真っ向勝負したことがあった。消費税・金権腐敗・コメ輸入自由化で追い詰められていた自民党竹下政権を応援する経団連会長の鈴木永二氏が「千葉県民は共産党推薦候補を選ぶことはない」と発言。これは経団連が千葉県知事選挙に乗り込んできたことを意味すると同時に千葉県民を愚弄する発言として県民の怒りを買い、いい勝負になったのだ。だが、その後の天安門事件で、一気に局面が変わった。

今回も竹下増税の時と同じ構図だ。決まらない政治にイラついた経団連が出張った。自民党化した野田民主党政権と増税では同じ自民党に渇を入れたのだ。「早く決めないと大変なことになるぞ!」と脅したのだ。

そういう意味で経団連の要求と国民の要求との熾烈な対立が、ここにきてハッキリしたというべきだろう。まさに階級闘争の現局面がニョキニョキと現れてきたのだ。だからこそマスコミを使って「脅し」というイデオロギー攻撃に出てきたのだ。

ギリシャの局面も、国民の動向を無視した政局報道に終始している。「緊縮」政策という名の、いわゆる「新自由主義」政策にノーを突きつけた国民の選択が日本に押し寄せてこないように必死なのだ。

このことは、逆に言えば、国民の運動と世論の優位性を示しているのだ。世界的にみれば、いわゆる「新自由主義」路線は窮地に追いやられている。南米、欧州、そしてアメリカの「99%運動」「オキュパイ・ウォールストリート」だ。

今や世界各地で広がってきた「富裕層に課税を!」「TAX ME」は、日本でも無視できなくなるだろう。また、そうしなければならない!そこが現局面の争点だ。

この提言をきっかにして「オキュパイ・ナガタムラ・ケイダンレン」の声をあげよう!

「内部留保は労働者・国民が作り出したものだ!それを国民に還元しろ!」の声をあげよう!

明治の農民たちの心意気「竹槍でドンと突き出す二分五厘」を!今こそ!


集めたるケイダンレンの民の富想い起こせよ血汗涙を
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自殺者3万人14年を放置する憲法違反の国家に対して一揆を起こそう!

2012-05-11 | 日記
自殺者が3万人超えて、14年が経った。
橋本内閣が消費税を3%から5%にあげた97年は24391人、翌年32,863人、8,472人と大幅アップしてから、野田内閣の現在まで、ずっと3万以上を維持してきた。

合計は何と、453,040人だ。この数をどうみるかだ。この数の周りにはどれくらいの、どのような人間が関わっているのか、想像するだけで悲しい!

こうした事態に対して、安倍内閣は自殺対策基本法(平成十八年六月二十一日)を制定した。
だが、この「基本法」をみると、おかしい点がある。それは、以下の点にある。
1.「目的」「理念」に「日本国憲法」の「理念」が全く書かれていない。これでは国家の責任など微塵もないことになる。

2.したがって、国、地方公共団体、事業所、国民と「天下り」的発想から、その対策が組み立てられているだけでになっている。

3.国家の責任の根源である政治の責任が抜け落ち、事業所=企業の社会的責任、労働基準法など労働三法遵守の視点などは全く抜け落ちているのだ。

4.だからこそ、というか、やっぱりというか、「国民の責務」が「自殺対策の重要性に対する関心と理解を深めるよう努めるものとする」と、お得意の「ものとする」論が書かれているだけなのだ。


では、日本国憲法は人間の生命をどのように明記しているだろうか。確認してみた。

まず、前文で「恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」は、「生存の権利」とは「日常的で平和的なもの」であるとされている。

また「平和」とは「戦争」のない状態だけではないことが宣言されているのだ。戦争がなくても「平和的に生存する権利」は保障されなければならないということなのだ。

次に第13条で「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とある。だが、「立法その他の国政の上」(国家の責任)で、「生命」は、「最大の尊重」がなされているかどうか、厳しく点検する必要がある。

さらには、第25条で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と「平和的に生存する権利」の基準として「健康で文化的な最低限度」の「生活」をあげ、それを「営む権利」に対して「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と国家の責任を明記している。しかし、これについても、厳しく点検する必要がある。

以上の「生存権」「生命尊重主義」を具体的に保障するためには、「すべて国民は、勤労の権利を有し」(第27条)と国民に働く場を国家が保障すると宣言し、さらに国民にまともな働き方を国家が保障するために「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定め」ているのだ。これらがまともに機能するために、国民に「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利」(第28条)を国家が認めているのだ。

だがこうした原則と制度などがまともに機能していているかどうか、憲法や法律を厳しく点検する必要がある。

しかも、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」(31条)と国家が「生命」を最大限尊重すると国民に約束しているのだ。

しかし、実際は、自殺者の推移を見る限り、以上の視点は、極めて弱いのだ。

これは最近の新聞記事でも証明できる。そのポイントは、
1.大学生の就職(勤労権)が保障されていないことで、生命が奪われていること。
2.こうした生命維持装置としての国家の責任、事業所の責任が曖昧にされ、免罪されていること。
3.悉く憲法がまともに機能しないような装置がはたらいていること。

就活失敗し自殺する若者急増…4年で2・5倍に(2012年5月8日15時25分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120508-OYT1T00690.htm

 就職活動の失敗を苦に自殺する10~20歳代の若者が、急増している。
 2007年から自殺原因を分析する警察庁によると、昨年は大学生など150人が就活の悩みで自殺しており、07年の2・5倍に増えた。
 警察庁は、06年の自殺対策基本法施行を受け、翌07年から自殺者の原因を遺書や生前のメモなどから詳しく分析。10~20歳代の自殺者で就活が原因と見なされたケースは、07年は60人だったが、08年には91人に急増。毎年、男性が8~9割を占め、昨年は、特に学生が52人と07年の3・2倍に増えた。
 背景には雇用情勢の悪化がある。厚生労働省によると、大学生の就職率は08年4月には96・9%。同9月のリーマンショックを経て、翌09年4月には95・7%へ低下。東日本大震災の影響を受けた昨年4月、過去最低の91・0%へ落ち込んだ。

以上の諸事実の根本的なところになにがあるか、以下の書物が示唆的だ。

森岡孝二『就職とは何か』(岩波新書)は、「まともな働き方」の実現のために、その条件である賃金・労働時間・雇用社会保障の意味づけを整理し、これらを具体化していくために過労死防止基本法の制定を提起している。いかに「まともな働き方」が崩壊させられているか、それがポイントだ。

それは国家に憲法的視点が欠落していることを意味している。国家を規制する憲法が緩和させられ、まさに国家によって、憲法=規制力の緩和策が国民の生命を奪っているのだ。

働けど 以前のことの多すぎる憲法無視の国家今あり
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「朝日」の「復帰40年記念」の意図的なアンケートから読み取る「政治」と国民意識について

2012-05-09 | 日記
朝日が、以下の記事のアンケート行ったようだ。これをみると意図的な政治と世論誘導が見られる。だが、こうした「世論」から学ぶべきこともあるのは事実。
今日は時間が他の用事に取られたので、感想の紹介程度になる。15日の復帰日に、詳しく論じてみたい。

1.沖縄も福島も、原発地域も、同じだということが判る。「差別」と「分断」によって「常態化」を許す装置をみることができる。だがそこにメスを入れた設問は見当たらない。

2.特にいわゆる「沖縄差別」について、裏返しの言い方として「本土」という言い方に違和感がある。全国各地にある「大島」の住民は、「本土」と「大島」という言い方をするのだろうか?

3.基地被害の実態についての認識を問うものがないのはどうしてだろうか。沖縄振興策と基地の押し付けの比較を問うものがないのはどうしてだろうか。

4.マスコミの沖縄の取り上げ方を問うものがないのはどうしてだろうか。

5.日米安保条約の実態と、その是非を問うものがないのはどうしてだろうか・

6.自衛隊の配備も意図的だ。自衛隊配備は役にたつのかどうか、役に立つのであればどういうことか、などが問われていない。

7.仲井間知事を支持するかどうか、何を支持するか、不思議な問いかけだ。訊かれた方は困るだろう。政党支持もイメージを訊いているようなものだ。政党の何を支持するのか、何を支持しないのか、これで「支持政党」が発表され、「世論形成」がなされていく。これでは「支持政党なし」、いわゆる「無党派層」が増えるのは、ある意味当然だ。政党の責任のあるのは事実だが、マスコミが各政党の情報を有権者に公平に伝えているか、それが試されている政党支持率アンケートだ。


以上、大まかに感想的に羅列してみた。今日はこれでオワリとする。大変申し訳ありませんでした。おやすみなさい。




基地集中は「本土の差別」沖縄で50% 共同世論調査
沖縄の米軍基地が減らないのは、本土による沖縄への差別か
 沖縄が本土復帰して15日で40年になるのを前に、朝日新聞社と沖縄タイムス社は、沖縄県で電話による共同世論調査を行った。沖縄の米軍基地が減らないのは「本土による差別だ」と答えた人が、沖縄では50%に上った。朝日新聞社が併せて実施した全国調査では29%で、本土との意識の隔たりが浮かび上がった。
共同世論調査―質問と回答〈4月21、22日実施〉
 本土の人たちが沖縄のことを理解しているかとの問いには、「そうは思わない」が沖縄で63%だった。
 沖縄には在日米軍基地の74%が集中する。基地が減らないのは本土による差別だという意見は、当時の鳩山由紀夫首相が普天間飛行場の「県内回帰」を表明した2010年ごろから、沖縄では繰り返されている。今回、「その通りだ」と答えた人は沖縄では年代が上がるにつれて増え、60代以上では60%を超えた。
 一方、全国では「そうは思わない」が58%と、沖縄とは逆の傾向を示した。「差別だ」との答えが最も多かった70歳以上でも、34%にとどまった。
http://www.asahi.com/national/update/0509/SEB201205080055.html?ref=reca

◆仲井真弘多知事を支持しますか。
 支持する      61(48)
 支持しない     14(32)
◆いま、どの政党を支持していますか。
民主8▽自民12▽公明2▽共産1▽新党きづなO▽社民2▽みんな1▽国民新O▽新党大地・真民主O▽たちあがれ日本O▽新党日本O▽新党改革O▽沖縄社大1▽その他の政党1▽支持政党なし55▽答えない・分からない17
◆沖縄が日本に復帰してよかったと思いますか。(丸カッコ内は2002年4月の沖縄調査)
 よかった      83(87)
 よくなかった    4(4)
◆今の沖縄は、復帰当時に県民が思っていたような姿にどの程度なっていると思いますか。(選択肢から一つ選ぶ=択一)
 十分なっている     6
 ある程度なっている   50
あまりなっていない    36
 まったくなっていない  3
 ◆政府は特別の法律をつくって沖縄の振興開発を進めてきました。このような政府の振興策は沖縄の経済にどの程度役に立っていると思いますか。(択一)
 大いに役に立っている  14
 ある程度役に立っている 49
 あまり役に立っていない 28
 まったく役に立っていない4
◆10年後には、あなたの生活は今よりよくなっていると思いますか。悪くなっていると思いますか。変わらないと思いますか。
 よくなっている     14
 悪くなっている     35
 変わらない       43
◆沖縄と本土には「さまざまな格差がある」という見方があります。その通りだと思いますか。
 その通りだ     78(85)
 そうは思わない   17(11)
◆本土の人たちが沖縄のことを理解していると思いますか。
理解している      22
そうは思わない     63
◆かつての沖縄戦の体験がきちんと引き継がれていると思いますか。
きちんと引き継がれている 24
そうは思わない      64
◆沖縄県内の米軍基地を将来的にどうすればよいと思いますか。(択一)
沖   全
いまのままでよい 12(11)21
縮小する     49(42)48
全面的に撤去する 37(43)24
◆沖縄にある米軍基地などを整理・縮小するために、一部を国内の他の地域に移すことについて賛成ですか。反対ですか。
        沖   全
賛成      56(53)46
反対      32(36)41
◆米軍基地は沖縄の経済にどの程度役に立っていると思いますか。(択一)
大いに役に立っている   11
ある程度役に立っている  51
あまり役に立っていない  29
まったく役に立っていない 7
◆沖縄には在日米軍の基地や施設の74%が集中しています。沖縄の基地が減らないのは本土による沖縄への差別だという意見があります。その通りだと思いますか。
       沖 全
その通りだ     50 29
そうは思わない   41 58
◆普天間飛行場を名護市辺野古に移設することに賛成ですか。反対ですか。
賛成 21
反対 66
◆沖縄の自衛隊を今後どうしたらよいと思いますか。(択一)
強化する  21
現状でいく 48
縮小する  18
撤去する  7
◆政府は今後、先島諸島に自衛隊を配備する方針です。この方針に賛成ですか。反対ですか。
賛成 44
反対 40

沖縄調査は世帯用と判明した番号1331件、有効回答785人、回答率59%
全国調査は世帯用と判明した番号3170件、有効回答1565人、回答率49%
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マスコミは欧州の民衆反乱の意味づけが弱い!脅しを乗り越え反乱を日本で起こすためには何が必要か

2012-05-08 | 日記
フランス、ギリシャの選挙結果に対する各社の社説が出た。読んでみて思うこと、そのポイントは、以下のとおり。

1.この選挙の政策的争点を、現在増税と社会保障の一体改悪と結びつけるものは、極めて少ないこと。これは日本への波及を恐れていることを自ら暴露してしまったのだと思う。

2.フランスの選挙の争点の一つに原発推進か、減原発か、その争点を指摘する社説も少なかった。これも日本との関連を低める意図的なものだ。フクシマがあったにもかかわらず、泊原発停止の際の社説があるにもかかわらず、このことは残念なことだ。何故こういうことになるか。

3.国民が選択した新政権に対して、危機を強調を強調するものが多いことだ。EUの対立は世界経済、日本に波及するなどの脅しに終始していることだ。これでは政権交代がない方が良かったということになってしまっているのだ。

4.社説の大半はフランスが中心なのはやむを得ないが、ギリシャの選挙戦の内容はあまり見えてこない。特にマスコミや財界がどのように動いたか、それに対して国民はどのように運動した結果、今回の結果をつくりだしたのか、全く見えてこない。ま、これは今後の課題だ。

5.最後にまとめると、この選挙が、いわゆる「新自由主義政策」の破綻であることを指摘する社説が少なかったのは、各社のスタンスがハッキリしていて意図的なものを感じる。何故そのような反応になるか、それは財界の応援団である野田政権が進めようとしているのは、まさにその「新自由主義政策」だからだ。特に全国紙に、その傾向が強いことが特徴だ。

以上、気付いたことをまとめてみたが、これらの社説は全国民、各地方の国民への各社の「メッセージ」ということを忘れてはならない。国民意識をつくる「装置」なのだということだ。そのことを踏まえておくことが必要だ。

そこで、今日は国会が始まった。まさに国民的視点にたつならば、欧州の「失敗」から学ぶべきことを軸に議論すべきだが、こういう視点での論戦は、ニュースを見る限りではほとんど見られなかった。社説も、国会も、他山の石となっていない。他人事なのだ。欧州の失敗路線を反省もなく、緊縮財政・小さな政府=新自由主義路線を突き進んでいくことを前提にした議論をしているのだ。「小沢政局」報道に偏しているのだ。

自公政権、特に「備えあれば憂いなし」「改革には痛みを伴う」「自民党をぶっ壊す」などと叫び、国民的支持を得た小泉構造改革の新自由主義政策=規制緩和政策の破綻が国民の自覚するところになってきた。このことを反映して「国民の生活が第一」を掲げて政権交代を実現した。だが、元々は先祖が自民党から社会党までを含む雑多な野合所帯である民主党だ。この民主党の内外の、特にアメリカなどの新自由主義政策推進派の反撃にあって、野田政権ができた訳だ。
そもそも、橋本内閣から始まった構造改革路線を、小渕・森内閣が推進したが、その矛盾が森首相の誕生時や神の国発言など、そのキャラクターもあり、国民的批判を浴び、新自由主義政策の手直しの旗手として小泉変人内閣を、マスコミを使って誕生させた。それは90年代末に起こった820万もの国民の支持を獲得した共産党の躍進を何としても防ぐことだった訳だが、こうした流れが10年も続いてきた。

この流れのなかで、今回の欧州の動きをみると、今回の社説がどのような位置にあるか、判る。だから、今回の選挙戦の具体的な中身の検討が必要だ。来るべき参院・総選挙で、欧州のような一票一揆を起こすためにも、だ。

そこで、全国紙がどのように選挙の結果をみているか、みてみよう。まさに日本の語kと国だ。これが、いわゆる新自由主義勢力からの「イデオロギー攻撃」というものだろうな。日本においても、これらの「視点」をどう打破するか、課題だろう。

「朝日」 首脳間の対話を進め、財政規律への道筋と決意を金融市場に示す。雇用創出策を進めつつ、必要な痛みを分かち合うよう人々を粘り強く説得する。オランド新大統領やギリシャの新指導者にはそうした努力が求められる。そして、これが欧州に限った話でないことは言うまでもない。

「毎日」 オランド氏が掲げた政策には、公務員の増加や年金支給開始年齢の引き下げなど、財政悪化につながる人気取り的なものが多い。欧州中央銀行に積極緩和の政治圧力をかける同氏の姿勢もドイツは容認すべきでない。だが、景気低迷時にもかかわらず財政緊縮に過度に軸足を置いたこれまでの独仏の戦術を転換するにはよい機会となり得る。

「読売」 高額所得者への課税強化を打ち出す一方で、年金受給開始年齢の引き上げ撤回や教員数大幅増など財政に負担となる公約を並べた。こうした大衆迎合的な政策は、市場の信認を一層低下させる可能性がある。同じ日に行われたギリシャの総選挙で、財政緊縮策に反対する小政党が勢力を伸ばしたことも懸念材料だ。大連立政権で財政再建を進めてきた中道左派、中道右派の2政党の議席は、合わせても過半数に達しなかった。

「日経」確かにオランド氏は富裕層や大企業への課税強化、財政規律徹底を目指すEU新条約の見直しなど、経済面で有権者に口当たりのいい公約を掲げた。それが支持された部分もあろうが、5年間のサルコジ政権への不満が国民に強かったことが最大の勝因だ。フランスは6月に国民議会(下院)選挙が控えており、新政権は当面、人気を意識した政策を唱え続けることが考えられる。しかし、財政再建が喫緊の課題であることは疑いえない。そのことはオランド氏も承知のはずである。

「産経」 氏が唱える年金受給年齢引き下げや公務員増、財政規律強化を義務づける欧州連合(EU)の新財政協定見直しなどは懸念材料だ。せっかくの仏独協力にひびが入りかねないとする声があるのもこのためだ。ギリシャの財政再建は緒についたばかりで、国際社会の信頼を得るに至っていない。日本をはじめ、危機再燃に備えて国際通貨基金(IMF)などに資金を拠出した欧州以外の国から不満が噴き出す可能性もある。ギリシャはこうした厳しい目にさらされていることを認識すべきだ。
 オランド政権の動向も含め、欧州が危機対応で後戻りすることは決して許されない。

「東京」ギリシャでも二大政党が惨敗した。緊縮を迫り続けるドイツ型の経済財政運営に対する鬱憤(うっぷん)の表れだろう。経済成長を望まない政党はない。問題はその方法だ。オランド氏が掲げるのは富裕者への増税、年金支給年齢の再引き下げ、公務員採用枠の拡大などいわば「大きな政府」型の政策だ。公営企業が大きなウエートを占めるフランス経済特有の事情がある。選挙結果はユーロ救済策への異議申し立てではあっても、僅差の結果を見れば全面的なノーとまでは言えまい。オランド氏は、ユーロ共同債導入には積極的な意向も示している。ギリシャで第二党の座を占めた急進左派連合も、ユーロの離脱までは主張していない。ともに欧州統合の大枠維持では一致している。


次に地方紙をみてみるが、全国紙と同じ視点と別の視点がある。そこに注目してみたい。

「北海道」 ギリシャやイタリア、スペインに続き欧州の政権交代ドミノがフランスでも起こった形だ。これまでの財政再建路線が放棄されれば、欧米によるギリシャ支援の足並みが乱れる恐れもある。

「河北」 日本は4月、IMFの危機対応能力強化に向けた追加拠出への合意を積極的に推進した。ユーロの安定が、世界経済の安定に不可欠だとの認識からだ。われわれがギリシャ国民やフランス国民の選択に異を唱えることは、もちろんできない。だが、二つの選挙結果によって岐路に立つのは、両国の進路ばかりではない。各国の主権を制約し、統合した「欧州の意思」を形成する。そんな理想の半面で、各国議会の承認を必要とするEUの意思決定は迅速さを欠き、もろい。

「信濃毎日」 欧州の危機対策の見直しが迫られた格好だ。が、欧州各国の足並みが乱れると、世界経済が再び深刻な影響を受ける恐れがある。すでにギリシャ、イタリア、スペインで政権崩壊を招いているだけに、政治的混乱の広がりも懸念される。ギリシャなど疲弊した国はことさらで、市場重視の緊縮策で景気悪化と税収減少を招き、さらなる緊縮という出口の見えない悪循環に陥っている。こうした中、オランド氏が強調した「平等」「公正」という理念が支持されるのは当然といえる。「市場が不安を抱いても譲歩しない」とまで語っている。これまでの原発推進策を見直し、「減原発」も打ち出した。

「新潟」選択の結果は重大である。その影響は欧州にとどまらない。世界経済に波及しかねない。政策転換を実行するにしても、混乱を招くことは許されない。大きな視点から功罪を十分に見据えるのは当然のことだ。積極的な歳出に踏みだして、財政規律が維持できなければ危機の再燃につながる。円高や世界経済の冷え込みという荒波となって日本にも押し寄せる。

「岐阜」 欧州債務危機対策と経済政策への不信、失望が突き動かした政権や指導者交代はイタリア、スペインなどに続き、フランスにも波及した。オランド氏には、欧州危機の再燃を阻止するため、説明責任を果たすよう強く求めたい。フランスの有権者はオランド氏に、緊縮路線に伴う「痛み」を和らげる役割を期待したといえる。不人気政策に挑む政権の運営という意味では、欧州各国の取り組みは普遍的なテーマでもある。政策の利益も不利益も国民が被る。説明を尽くし、理解を求める努力が足りなければ、支持を失うと銘記すべきだろう。

「京都」 市場ばかり優先は御免、という市民の叫びが聞こえるようだ。リーマン・ショックや欧州債務危機が突き付けたのは、世界規模のマネーゲームが一部富裕層に巨利をもたらす一方、市民生活の基盤を脅かし、国家財政さえ破綻の危機に追い込む非情な現実だ。両国の有権者はそれに「ノー」を表明したと言えよう。欧州ではギリシャやイタリア、ポルトガル、スペインなどの債務が膨らみ、信用不安の連鎖が統一通貨ユーロの危機を招いている。沈静化に向け、ユーロ圏各国に財政均衡を義務づけた新財政協定が締結されたが、体力の弱い国々は景気後退と税の減収という悪循環に陥ってしまった。ドイツと並んで欧州経済をリードするフランスでも失業率は10%に達し、賃金格差や貧困が広がっている。ギリシャでは若者の失業率が5割を超え、年金給付の切り下げを苦にした高齢者の自殺も相次いでいる。「元凶」の新財政協定と決別し、政治変革を求める声が高まったのも不思議はない。一方のギリシャは新政権の枠組みがまだ見通せない。とはいえ、躍進した一部野党が主張するように、EUなどからの金融支援を白紙に戻すのは非現実的だ。ユーロ圏にとどまり、国民生活に配慮しつつ、根気強く債務返済と財政状況の改善にあたってほしい。

「神戸」 それにしても欧州の政権ドミノ倒しは加速する一方だ。昨年はアイルランドで与党政権が14年ぶりに惨敗し、ポルトガルとスペインでも政権交代した。ギリシャとイタリアでは学者らに政権を明け渡した。その波にユーロ圏第2の経済大国フランスものみ込まれた。オランド氏は一部の富裕層だけが富を独占する市場原理主義を挙げ、「平等」と「公正」の復権を訴えた。米国で広がる反格差デモと同様、「金持ち優遇策」への批判である。就職難や所得格差で政治不信を募らせる国民がサルコジ政策に「ノー」を突きつけ、「変革」をもたらしたと言えないか。もう一つは原子力政策である。サルコジ氏が福島原発事故後も原発の安全と重要性を訴え、国策として進めるのに対し、オランド氏は原発を2025年までに3分の1減らす方針を掲げた。「原発大国」での「減原発」公約が支持を集めた。そんな側面にも目を向けたい。

「山陽」 最大の争点は欧州債務危機への対策だった。サルコジ氏は危機を引き金とする経済悪化が強い逆風となり、政権交代に追い込まれた。逆にオランド氏は欧州連合(EU)各国の財政規律強化を定めた「新財政協定」の再交渉を訴え、成長と雇用を重視する姿勢に支持が集まった。国策として進めてきた原発重視政策の「減原発」への転換も公約に掲げた。サルコジ氏の富裕層優遇策を非難し、「富の再分配」を求める声が若者を中心に強まっているという。ただ、オランド氏が公約通り多大な歳出を伴う社会保障や雇用改革を進められるかどうかは不透明である。今年1月には仏国債が格下げに見舞われるなど財政赤字削減も急務だ。富裕層への税制強化が経済競争力をそぐとの懸念もある。ギリシャ支援の枠組みが崩壊すれば、ひとまず沈静化している欧州危機の再燃は必至となろう。緊縮路線を批判するオランド氏の政策が危機の新たな火種となる可能性もある。欧州は結束して世界経済への悪影響を食い止めてもらいたい。

「中国」選挙結果を受け、連休明けの東京市場は株価が大幅反落し、円高ユーロ安が進んだ。欧州債務問題の先行きはより不透明になり、日本を含むアジア経済への波及も否めないが、これがフランス国民の選択なのだ。サルコジ氏は内相時代の強硬な治安対策で支持を集め、2007年の大統領選で初当選した。「もっと働き、もっと稼ごう」を掲げ、英米型の新自由主義路線を提唱した。外交政策も親米に傾いた。しかし、一連の国内政策は国民の不満を招き、今年に入ってユーロ圏9カ国の国債一斉格下げが起きた。「『格落ち』を招いた」と野党の批判を浴びたのは記憶に新しい。大きな痛手を受けたままの選挙戦だった。緊縮路線を見直して成長戦略に軸足を移すべきだという議論が、EU全体で高まりそうだという。そうなればフランスだけでなく、EU各国の国民の閉塞(へいそく)感を打ち破る新たな道が開けないか。「富の再配分」という争点の前にかすんだ感はあるが、仏大統領選史上、初めて原発が争点になった。オランド氏は国策である原発重視政策を「減原発」に転換するという。総発電電力量の8割を原発が占める「原発大国」だ。公約通り進めば、日本のエネルギー政策見直しにも影響を与えるだろう。その意味は小さくない。
 フランスは1960年から96年まで、サハラ砂漠と仏領ポリネシアで210回の核実験を行った核保有国でもある。被爆国日本としては政権が代わっても、被曝(ひばく)者の救済と核兵器廃絶を求めなければならない。

「愛媛」5年前に市場原理重視の新自由主義的な政策を望んだフランス国民は、リーマン・ショックや欧州債務危機を経て社会格差の是正を訴える平等の理念を選択した。富裕層の優遇と批判されるサルコジ流の政治スタイルに反発し、社会格差の拡大で不平等感を増幅させた国民の不満の表れを見て取ることができよう。欧州連合(EU)では、財政規律優先主義から成長重視の現実的な路線への転換を求める声が強まっている。ギリシャ総選挙でも、反緊縮派が躍進した。市場の意向に沿った財政緊縮路線に異を唱え、経済成長や雇用創出を訴えたオランド氏の当選は、その流れを反映しているとも言える。対日関係への影響は不透明だが、オランド氏は東京電力福島第1原発事故を受け「減原発」を掲げている。「脱原発依存」を進める日本としては、この辺りを接点に協力関係を探りたい。

「徳島」「フランスをより豊かにする」と訴えて登場したサルコジ氏は、財政緊縮策に追われ、公約とした景気浮揚を果たせず失速した。危機対策とはいえ、緊縮策一辺倒では低迷する経済を立て直すのは難しい。先行きに明るい展望が見いだせない中、ギリシャ、イタリア、スペインで政権崩壊の連鎖を招いた荒波がフランスにも押し寄せた格好だ。緊縮策を緩めれば財政赤字のコントロールが難しくなり、市場の標的になる恐れもある。オランド氏の政策には、財源が明確になっていないものが少なくない。ましてやフランスは、今年1月に国債の格下げを受けたばかりである。野田佳彦首相も繰り返し唱えている「財政再建と経済成長の両立」を成し遂げた国は過去にない。そうした中、オランド氏が欧州の政治で最大の焦点になっている「財政出動の是非」にどのような解決策をもたらすのか、注視したい。

「高知」 ギリシャやイタリア、スペインなどと同じ、欧州債務危機による「政権交代ドミノ」がフランスにも及んだ。確かに、ギリシャやスペインは財政緊縮策が景気後退と税収減を招き、さらなる緊縮策を迫られる悪循環に陥った。フランスの失業率も最悪の10%となっている。同氏の言うように、緊縮一辺倒では雇用の改善などが難しくなっているのは事実だろう。だからといって、財政規律を緩めるわけにはいかない。実際、ギリシャ総選挙でも反緊縮派が躍進していることと合わせ、市場ではユーロが主要通貨に対し下落した。投資家のリスク回避の動きが再び強まり、EUの債務危機対策が水泡に帰すような事態は避ける必要がある。欧州経済を回復軌道に戻すことは、各国一致した目標のはずだ。そのためにもオランド氏には、財政規律と成長戦略の歯車をうまくかみ合わせる手腕が求められる。

「西日本」 フランス、ギリシャ両国とも、この協定に沿って緊縮財政路線を採る現政権に、厳しい審判が下された。有権者が「緊縮策より経済成長や雇用対策を優先せよ」と求めたのだ。フランスの場合、前回大統領選でサルコジ氏が新自由主義的な経済政策を掲げて当選したものの、貧富の格差が拡大し、失業率も約10%と高止まりしていることに、国民の不満が募っていた。これに対しオランド氏は「平等と公正」の価値観を重視、格差是正に向け富裕層への課税強化を公約して支持を広げた。さらに「経済成長が必要」として緊縮策を批判し、EUの新財政協定についても再交渉すると訴えている。ギリシャでは、債務危機を乗り切るためにライバルの二大政党が連立を組み、EUの金融支援を受ける引き換えに、厳しい緊縮策を進めていた。しかし国民は緊縮に伴う福祉縮小に強く反発、「EUの支援合意を白紙に戻す」と訴えた左派政党などが躍進した。今後は連立組み替えが焦点となるが、反緊縮派の影響力増大は避けられない。民主主義のルールに従った選挙で、国民が固有の価値観や国内事情に基づいて下した判断について、他国が口を挟むものではなかろう。ただ、昨今のグローバル社会においては、一国の政策転換の影響はその国内にとどまらない。欧州諸国は今、成長戦略を採りつつ財政規律を強めるという難題に直面している。日本も含めた先進国共通の課題でもある。政権の模索が各国で続きそうだ。

「佐賀」サルコジ氏の敗因が、07年の大統領選で掲げた市場原理を重視する「新自由主義」的な政策にあったことは皮肉な結果だ。自由競争による経済活性化は具体的な成果に結びつかず、一方で財政緊縮策による社会保障費削減などのため、市民生活に痛みをもたらした。派手な暮らしぶりも根強い不信感を生む結果となったという。オランド氏は、東京電力福島第1原発事故を契機に、「減原発」への転換も訴えてきた。また、アフガニスタン駐留フランス軍の撤退も掲げており、政権交代による影響は経済政策にとどまらず幅広い分野で広がる可能性もある。周囲には知日派が多いという見方もあり、日仏関係の発展を期待したい。

「熊本日日」 サルコジ氏は前回2007年の大統領選で、「もっと働きもっと稼ごう」のスローガンとともに、新自由主義的な競争原理の導入を掲げ支持を得た。しかし、08年のリーマン・ショックやその後の欧州債務危機が国内経済を直撃。公約で「5%以下にする」としていた失業率は、逆に1999年以降最悪の10%に達し、貧富の格差も拡大した。これに対しオランド氏は、市場の意向に縛られた緊縮一辺倒の政策を「不公正」と批判。「われわれは経済成長を必要としている。たとえ市場が不安を抱いても譲歩しない」と述べ、EUが合意した新財政協定は「成長策が欠如している」と再交渉を要求。貧困や雇用対策重視の姿勢が有権者の共感を呼んだ。欧州債務危機の拡大防止策で、日本は国際通貨基金(IMF)にユーロ圏以外では最大の約600億ドルの資金を拠出することを表明している。債務危機の再燃で円高ユーロ安を招けば、日本経済への打撃も大きい。オランド氏には、日本政府からもEU内の協調体制維持を働き掛けていくべきだ。

「南日本」欧州ではギリシャに端を発した債務危機を受け、昨年から各国で政権交代が相次いでいる。欧州債務危機と経済政策への不信、失望が突き動かした政権や指導者交代はイタリア、スペインなどに続き、フランスにも波及した。オランド氏は東京電力福島第1原発事故を契機に、フランスが国策として進めてきた原発重視政策を「減原発」に転換する方針も掲げている。世界第2の原発大国のフランスが政策を見直すようなことになれば、日本の原発政策にも影響を及ぼすことが考えられる。新政権の原発政策を注意深く見守りたい。

「琉球」 危機打開を目指す欧州連合(EU)の規律強化策「新財政協定」に、失業や格差などで苦しむ両国の有権者が「ノー」の審判を下した。その政治的・歴史的意味は重い。EU各国は民意をしっかり受け止め、財政再建と格差是正を両立するため知恵を絞ってもらいたい。オランド氏はこの状況を「不公正」と断じ、改善策として経済成長の必要性を強調してきた。「たとえ市場が不安を抱いても譲歩しない」と述べ、EUの緊縮策の再交渉を求めていた。新政権誕生で緊縮策見直しは避けられない。オランド氏は選挙戦で「平等」「公正」の価値を繰り返し強調し、賃金や住宅、医療などで広がる格差の是正を訴え続けた。フランスの動向は、消費増税により財政再建を目指す日本の論議にも影響を及ぼすだろう。フランスは世界有数の原発大国だが、オランド氏は福島第1原発事故を踏まえ、原発重視の国策の「減原発」への転換を主張。新政権のエネルギー政策も目が離せない。国際社会は、フランス新政権の誕生を非生産的なイデオロギー論争の発火点にするのではなく、人間の尊厳を大切にする政治・経済再生の契機にしてほしい。


サルコジ政権が一期で交代せざるを得なかったのは何故か。国民の要求と運動があったことは確実だが、そうした視点は、社説にはみられなかった。日本のマスコミこそ「非生産的なイデオロギー論争」を仕掛けているのではないだろうか?
こうしたマスコミが作り出す「世論」をどうやって打ち破るか、それが課題だろう。さもなければ、「瑞穂の国の春」は遠いということになる。ということは被害を受けるのは誰か、だ。

フランスやギリシャで起こっている国民の生活実態は、日本国民の実態でもあることを、マスコミも見ていないわけではないだろう。だが、これらの社説を見る限り、問題アリといわなければならない。

選択を混乱とよび脅迫す民のこころと見へぬ運動

<全国紙>
朝日 欧州の転機―指導者が担う重い責務 
毎日 欧州の選挙 緊縮一辺倒の修正迫る
読売 仏大統領選 オランド氏は欧州危機回避を
日経 仏新大統領に現実的な路線を期待する
産経 仏新大統領 通貨危機の阻止優先せよ
東京 仏政権交代 対独関係の構築急げ

<地方紙>
北海道 仏政権交代 ユーロ安定を最優先で
河北新報 財政危機と欧州/確たる意思決定の仕組みを
信濃毎日 仏新大統領 荒波越える手腕いかに
新潟日報 仏新大統領誕生 欧州危機を再燃させるな
岐阜 仏大統領選 財政健全化への意思示せ
京都 仏大統領選  危機対応歩み止めるな
神戸 仏大統領選/EUをどう立て直すのか
山陽 仏大統領選 欧州危機再燃への懸念も
中国 仏大統領にオランド氏 EU緊縮路線に潮目か
愛媛 仏新大統領 「成長」「財政」どう両立させる
徳島オランド仏大統領 危機克服へ指導力を示せ
高知 【仏政権交代】反緊縮の中身が問われる
西日本 欧州の選挙 危機再燃回避を最優先に
佐賀 仏大統領選 問われる成長戦略の中身
熊本日日 仏新大統領 債務危機対策でEU協調を
南日本 [仏大統領選] 欧州危機への対応注視
琉球新報 仏大統領選出 人間本位の政治再生を
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国家権力を「規制」する現行憲法を「緩和」してきた勢力のエセ「決定できる民主主義」論を斬る

2012-05-07 | 日記
1.橋下市長をはじめ、マスコミがよく使う(煽る)「決められない政治」に対して「国民の政治不信」の鬱積を強調し、「決定できる民主主義」を、と国民を誘導している。だが、大いに問題あり!といわなければならない。何故か。

「決められない政治」とは、「ねじれ国会」や民主党政権VS野党、民主党内の「ゴタゴタ」などのことを指している。これらを「政局」として見せ付けられる国民が政治に嫌気をさし、「無党派層」が増える。そうすれば、強いリーダーシップを求めることになる。「次の総理に相応しい人は誰か」などの「世論調査」が行われ、それで総理大臣が決まってきた。コロコロ変わってきた。だが、それで国民生活は改善されたか、政治はよくなったか?

事実をみれば明らかだ。だが、橋下「維新の会」現象にみるように、「消費税」「社会保障」「日米安保」「TPP」などの報道は、ウソとゴマカシによって、「世論」がつくられていることを見逃すわけにはいかない。

そうした「世論操作」による政治が、「首相公選制」「一院制」「加憲」論などを憲法「改正」項目として打ち出すことでスリカエて、実は9条の改悪の方向に国民を一網打尽に、自民党の改憲案の方向にもっていこうとしているのだ。その方向にマスコミが有力な応援団となっているのだ。いや有力なパイロットになっていると言って言い過ぎではない面もある。勿論そうでない面もあるが・・・。

以下、その事例を先に発表された日米共同声明に対する各社の社説からみてみることにしてみた。

その際のポイントは、次のとおりだ。日米同盟で「決められなかった」普天間とTPPの背後に、「国民の要求」と日米政府の思惑の対立があることを、ゴマカスか、書かないのだ。ここでも「民主党内のゴタゴタ」論や「きめられない政治」論で「日米同盟の深化」を迫っている。これが「決められない政治からの脱却」「決定できる民主主主義」なのだ。

この場合の「決める政治」「決定できる民主主義」とは何かだ。明確だ。「産経」「読売」「日経」「毎日」に象徴的だ。

だが、「国民の要求と運動」と日米両政権、その背後の勢力との利益対立構造をはっきり書いていけば、「政治不信」と「無党派層」という「世論」はもっと変わるだろう。「琉球新報」が象徴的だ。

以下、「決められない政治」を指摘している部分を具体的にみてみよう。「国民の要求と運動」が「想定外」にあることが判る。

「読売」 今回は、昨年11月の「交渉参加に向けて関係国と協議する」という段階から、一歩踏み込むことが本来は期待されていた。だが、TPP参加反対派を抱える民主党内の調整が進まなかった。

「岐阜」 これらの懸案に結論を出していくには、日本国内の政局の安定が不可欠になる。首相は消費税増税関連法案に政治生命を懸けると明言するが、TPP交渉参加や普天間移設の判断は、消費税増税で生じた民主党内のあつれきを増幅しかねない。日米同盟の深化の前に、国内政局での首相の指導力が問われることになる。(「山陰中央」も同じ)

「福井」 野田政権が重要懸案に結論を出すのは容易でない。普天間移設やTPP交渉参加の判断は消費税増税で生じた民主党内のあつれきを増幅しかねない。内憂外患。野田首相の指導力と統治能力の弱さを日米会談でさらす結果となった。うわべを取り繕うだけでは何も進まないことを肝に銘じるべきである。

「中国」 消費税増税をめぐる党内対立は一向にやむ気配は見えない。同様に意見が分かれるTPP交渉への参加を無理に表明すれば、「政治生命を懸ける」としている消費増税の国会審議に影響が出る―。首相はそこを恐れたというわけだ。

「徳島」 日米の懸案となっている普天間移設問題や、環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加問題については具体的な言及を避けたようだ。TPPは野田首相が約束した「国民的な議論」が進んでおらず、現時点で交渉参加の是非について結論を出すのは拙速だ。判断を先送りしたのは妥当である。

「高知」 鳩山政権は沖縄の米軍普天間飛行場の移設をめぐる迷走で米国との関係がぎくしゃくし、菅政権では東日本大震災で首脳会談の予定が流れた。今回は両首脳が信頼関係を構築し、関係修復を軌道に乗せる機会だった。ただ会談では日米関係の重要性は確認されたものの、普天間問題や環太平洋連携協定(TPP)などの懸案では具体的な言及を互いに避け、棚上げ、先送りばかりが目立った。成果としては乏しいと言わざるを得ない。

「西日本」 日米関係は、民主党の鳩山由紀夫首相(当時)が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)について、見通しもないまま県外移設を模索したことからぎくしゃくし、修復の手掛かりをつかめずにいた。今回、本格的な首脳会談と共同声明の発表にこぎ着けたことで、ふらふらしていた民主党の対米外交の軸がようやく定まった感がある。随分時間がかかったが、迷走を終えて再びスタートラインに立っただけでも前進と見るべきだろう。

「熊本日日」 声明は米軍普天間飛行場の移設問題には全く触れず、環太平洋連携協定(TPP)については「2国間協議を引き続き前進させる」との文言が入った程度。どちらも日米それぞれが内政事情を優先して、課題を先送りした形だ。この点で、日米同盟の将来像をうたった共同声明は「看板倒れ」の指摘を免れない。これらの課題解決に向けては、何より内政の安定が必要だろう。中でも、民主党内のTPP反対派は消費税増税反対派と重なる。日米同盟再構築に当たっても、まずは国内政局での首相の指導力が問われる。


2.では「決定できる民主主義」とは何か、その主張をみてみよう。

「産経」 中国の急速な台頭を念頭に、在日米軍再編や共同対処能力の強化などを軸とし、日米が主体となってアジア太平洋で中国を抑止する決意を示した・・・民主党政権下で繰り返された同盟関係の迷走を正し、あるべき方向へ引き戻す再出発点として、訪米を評価したい。首相には果断な指導力と具体的行動で同盟強化の実を挙げてもらいたい。海洋、宇宙、サイバー空間の3分野で「規範に基づく利用」を強調するなど、名指しは避けたが中国によるルール無視の対外行動を「新たな安全保障上の脅威」と明示したのは当然だ。注目したいのは、共同訓練や共同施設利用などを通じ「緊急事態の同盟の対応力を高める」としたことだ。日本に「力の空白」が生じないように「動的防衛協力」が明記されたことは支持したい。外交・通商面で共有の価値や東アジア首脳会議などの場で中国に責任ある行動をとらせる包囲網を築く方策を示したのも妥当だ。日米の足並みがやっとそろったといえるが、課題を着実に具体化して初めて成果は実効性を持つ。そのことを忘れてはならない。声明にはエネルギー、人的交流など幅広い目標も含まれた。これらも具体的行動が伴わなければ、同盟の血や肉とはならない。

「読売」09年の政権交代後、鳩山元首相が米軍普天間飛行場の移設問題を迷走させ、日米関係を危機的状況に陥れた。菅前首相の時期も足踏みが続いた。両氏の罪は深い。その逆境の下で野田首相が日米同盟の再建に地道に取り組み、成果を上げたことを評価したい。日本は、日米同盟を基軸としつつ、中韓などアジア各国との関係を強化するのが基本方針だ。オバマ政権も、軍事、経済両面で「アジア重視」を鮮明にしている。日米の足並みはそろっている。合意内容を具体化するため、日米両国が、あらゆるレベルで緊密に連携し、戦略的な行動を起こすことが肝心である。名指しを避けながらも、軍事、経済両面で台頭する中国を最も念頭に置いているのは明らかだ。 北朝鮮の核・ミサイル、拉致問題への対応だけでなく、海洋・宇宙・サイバーの安全保障、自由貿易などの分野で国際ルールを順守し、建設的な役割を果たす方向に中国を誘導することが肝要だ。 そのためには、日米両国が協調しつつ、中国に粘り強く働きかけねばならない。日米中の戦略対話構想の実現も目指したい。

「日経」 野田首相の公式訪米は、民主党政権の首相として初めてだった。遅ればせながらとはいえ、日米関係はようやく大切な一歩を踏み出したといえる。野田首相の訪米で、マイナスに落ち込んでいた同盟の水準はゼロに戻った。首脳外交では数多くの文書が交わされる。言葉は立派でも実行に移されず、消えていく例も少なくない。今回の日米共同声明をそんな紙片にしてはならない。いま必要なのは、目に見える行動だ。

「毎日」 民主党政権では3人目の野田佳彦首相でやっと実現した公式訪米である。日米首脳の対話が正常な軌道に戻ったこと自体は喜ばしいが、今回の訪米は、これまでのマイナスをゼロに戻したにすぎない。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加については結論を先送りするなど、個別の懸案では十分な進展があったとは言いがたい。日米関係をマイナスからゼロに戻すだけでなく、さらにプラスに転じさせる外交努力が必要だ。辺野古案に固執する両政府の主張は普天間の固定化という最悪の事態を招くものだ。日米首脳の「公式対話」が不在だったこの3年間で、日本の周辺環境は様変わりした。中国は日本を抜いて世界第2の経済大国となり、韓国は米国の同盟国として存在感を高めた。ロシアはプーチン氏が大統領に復帰し、権力継承のあった北朝鮮は弾道ミサイル発射に続き、核実験を実施する構えを見せている。今ほど強固な日米の連携が必要な局面はない。日米同盟を軌道に乗せかかっても、党内抗争で政権基盤が揺らぐようなら元のもくあみだ。国際的な視点も意識した政治を、首相だけでなく与野党双方に望みたい。

以上、四つの社説をみてみたが、どうだろうか!まさに憲法9条という「規制」を「緩和」する権化が日米安保条約であり、それを変質強化(「決定できる民主主義」「決める政治」)するものとして民主党政権が、自民党顔負けの日米一体化の推進=「動的防衛協力」という方向に進めようとしたことが判るだろう。マスコミが応援団になっていることも。

こうした「決定できる民主主義」の根本的事例を最後にあげておこう。
一つは、自民党反動的改憲に憲法発議のハードルを3分の2から過半数に引下げることだ。これは、橋下「維新の会」の船中八策も同じだ。
二つは、憲法「改正」の決定にあたって、「国民」の「承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要」と、「過半数の賛成」を「有権者の過半数」ではなく、「投票者の過半数」としてハードルを低くして「改悪」を狙っていることだ。まさに国家権力を「規制」する憲法の「規制緩和」策といえる。

これをマスコミが「改憲」「護憲」という構図によって「改憲」が新しく、「護憲」が古くと、既成政党VS維新の会と同様の構図に描こうとしていることも。

だが、こうしたやり方は、国民の要求を実現するという方向とは全く逆の方向であることは、これまでの歴史が示している。

以下のように「琉球新報」が述べていることをマスコミは、各党は、国民は、肝に銘ずるべきだろう。

 会談や共同声明は日米同盟の深化をことさら強調する一方で、根幹となる安全保障に関し、懸案である米軍普天間飛行場の返還・移設問題には触れなかった。いや触れられなかったと言うべきだろう。 沖縄の民意に真摯(しんし)に向き合おうとしない意思決定など、民主国家にあるまじき茶番劇というほかない。このままでは同盟深化の演出とは裏腹に、日米関係も沖縄問題も迷走を続けて行くだろう。・・・県民の怒りのマグマは表向きは静かだが、再び臨界点に近付きつつある。日米両政府は、沖縄の民意を甘く見るべきではない。

マスコミの「名誉」のために言っておこう。それは、さすがに全原発停止の際の各社の社説は、「国民世論」をふまえた内容だったということを。だが、以下の「産経」「読売」「日経」の社説は異色だったということも。
「読売」 全原発停止 これでは夏の電力が不足する
「産経」 「原発ゼロ」 異常事態から即時脱却を 安全技術の継承は生命線だ
「日経」 「原発ゼロ」解消し電力不安を除け

国民(くにたみ)の竈(かまど)の中に仁徳の政(まつり)の鑑欧州にこそ

最後に日米共同声明に関する各社の社説一覧を掲載しておこう。
<全国紙>
産経 日米首脳会談 対中抑止の実が問われる
読売 日米首脳会談 同盟深化へ戦略的行動重ねよ
日経 日米同盟の強化に欠かせぬ有言実行
毎日 日米同盟 元のもくあみにするな
朝日 日米防衛協力―このなし崩しは危うい
東京 日米首脳会談 「軍事」突出を危惧する

<地方紙>
北海道 日米首脳会談 防衛協力強化は慎重に
秋田さきがけ 日米首脳会談 懸案先送りは否めない 
神奈川 中国交えた戦略対話を
信濃毎日 日米首脳会談 演出型の外交は危険だ
信濃毎日 日米共同文書 負担軽減の原点に戻れ
新潟日報 日米首脳会談 関係修復は評価できるが
岐阜 普天間の固定化を懸念
福井 日米首脳会談 懸案先送りでは深化せず
京都 日米首脳会談  日本の主体性が見えぬ
神戸 日米首脳会談/中国巻き込む戦略が要る
山陽 日米共同声明 同盟深化強調に終わった 
中国 日米首脳会談 TPP国内議論が先だ
山陰中央 日米首脳会談/次は国内調整が迫られる
徳島 日米首脳会談 平和と繁栄への新秩序を
徳島 米軍再編見直し 負担軽減につながるのか
高知 【首相訪米】違いも含め率直な対話を
高知 【日米首脳会談】目立った懸案の先送り
西日本 日米首脳会談 ようやく迷走が終わった
佐賀 日米首脳会談 将来ビジョンは示したが
熊本日日 日米首脳会談 関係修復したが課題先送り
南日本 [日米首脳会談] 看板倒れにならないか
南日本 [米軍再編見直し] 普天間の固定化を懸念
沖縄タイムス [日米首脳会談]どこへ行った負担軽減
沖縄タイムス [日米共同文書]負担軽減の本気度疑う
琉球新報 日米首脳声明/命脅かして安保か 普天間放置は罪深い
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マスコミは自分を免罪して規制緩和策=格安ツアーの責任を追及しながら、自公・民政権も免罪した!

2012-05-06 | 日記
「原発安全神話」を振りまいてきた構図と同じことが起こった。悲惨なバスツアー事故報道の社説だ。以下各社の「規制緩和」の部分に関して、どのように評価しているか、一覧してみた。読んできて思うこと、そのポイントは以下のとおりだ。

1.どの社説も、今回の事故の原因が2000年の「規制緩和」によって起こされたとそれなりに書いているが、その表現は他人事だ。この「規制緩和」策を提案したのは森政権、実行したのは小泉政権、自公政権だ。それを引き継いだ民主政権だが、これを明らかにしないのは、マスコミの免罪姿勢があるというべきだ。
「今回の事故を『起こるべくして起きた』と本紙に語った運転手もいる」(北海道)、「今回の事故について『危惧していたことが現実になってしまった』と指摘する業界関係者は少なくない」(秋田さきがけ)と書いているように、規制緩和のリスクは予想されていたのだ。

2.だが、この時の法案(道路運送法)はどのようなもので、どのような議論が国会でなされ、どの政党の賛成多数で法案が通過したのか、全く書かれていない。まるで自然現象のようにして通過したかのような表現になっている。実際は自公と民主党の賛成多数によって改悪された。

3.しかも、この時の国会の議論をマスコミはどのように報道したのか、いっさい書いていない。反対した政党があったのだから、これらの政党の主張がどうだったか、検証すべきだろう。以下にアクセスしてみれば、明瞭だ。吉井議員は、原発の時にも、事前に、かつ的確に事件を未然に防ぐための質疑を行っていた。だが・・・
関越道バス事故 1人運転 利益優先 規制緩和→業者倍 過当競争→利益かつかつ
2012年5月1日(火)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-05-01/2012050101_02_1.html
背景に過酷な労働実態 バス規制緩和 07年に吉井議員が追及2012年5月3日(木)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-05-03/2012050301_03_1.html

4.このことは「規制緩和」が行われた場合、どのようなリスクがあるか、想像しなかったということを自ら暴露しているようなものだ。だから、今回の事故に対する評価も極めて第三者的だ。「安全対策を置き去りにしたままでの市場の自由化は無謀だった」(東京)などと述べているが、こうしたことは当事者たちは警告を発していた。
「規制強化と減車の実現 規制緩和失敗の証明と自交総連のたたかい」をみれば明瞭だ。
http://www.jikosoren.jp/check/kisei-kyouka/kiseikyouka.html


5.「規制緩和」によるリスク・マイナス面は当然議論されていたはずだが、この事実を国民に報せる責任があったはずだ。だが、今回の事故に対しても、その視点で書かれていない。業者や国土交通省への「批判」が中心になっている。その第三者的評価は、マスコミの無責任ぶりを示したといえる。むしろ「乗客は事故前から生きた心地がしなかっただろう。なぜこうした悪質な運転手に乗客の生命を託すことになったのか、徹底した捜査を望みたい」(産経)などと国民の味方・正義の味方を装っている。

6.「産経」に象徴されるように、マスコミは「規制緩和」を推進する側、自公政権・財界の応援団になっていたのではないのか。また「規制緩和」の検証、見直し論は結構なことだ。だが、これまでの「反省」「責任」をこそ検証してはじめて「規制緩和」政策が変更できるのだ。

7.同時に以下の問題点も指摘しないわけにはいかない。それは利用者の「自己責任」論の誤りだ。確かに一面では利用者の責任は認める。だが、
(1)交通政策は国家や地方自治体の交通政策として行われている。私企業であっても公共交通機関としての責任があることを忘れてはならない。
(2)「自己責任」論は憲法に基づいて国民の交通権を保障するという視点をまず確認することが重要だ。現在「交通基本法」の策定の動きがある。
交通権学会編『交通基本法を考える―人と環境にやさしい交通体系をめざして―』(かもがわ出版)
交通権学会『21世紀の豊かな交通への提言 交通権憲章』(日本経済評論社)
土居靖範「[交通権]地域公共交通の役割 ひとと環境にやさしい交通へ」『経済』11年4月号)
(3)「運賃」は「商品」だ。「商品」は「廉価」であることと「顧客サービス」が命なのだ。これについては、「消費者基本法」が参考になる。

8.一見すると「規制」を「緩和」する=「自由化」するという言葉のみに捉われて、「規制緩和」政策は、まるで問題がないかのように錯覚してしまうが、これは自由競争・優勝劣敗・弱肉強食の渦の中に国民を巻き込むものだった。特に「備えあれば憂いなし」「改革には痛みが伴う」として人気を博した小泉構造改革の被害者は、まさに国民であったことが、今回の事件でも証明された。

9.「規制緩和」策によって引き起こされた今回の事故は、以下のことを教えてくれる。すなわち国家は、国民を拘束するものではなく、国民の人権・自由を、社会の民主主義を守るための装置であるということ、そして憲法は、国民に対する国家の責任・義務を履行させる装置であることだった。したがって憲法に基づくのであれば、国家への「規制」を「緩和」することなど、いっさいできないということだ。

予め想定されしことどもを見逃す責めを逃るるなかれ


<全国紙>
朝日 高速バス事故 乗客守れるルール急げ
バスやタクシーは10年ほど前に規制緩和が行われた。新規参入を促し、競争でサービスを高め、価格を下げる。それが改革の狙いだった。確かに便利にはなった。ただ、競争のしわ寄せで運転手が過重な労働を強いられ、安全に影響するのではないか。初めからそう心配されていた。それを象徴するのが高速ツアーバスだ。安さ、便利さで急成長する一方で、事故や法令違反の多さが指摘されてきた。

毎日 ツアーバス事故 安全対策後手に回った
高速ツアーバスは、バス業界が規制緩和された00年以降、登場した。広告費などをかけず鉄道や航空機に比べて割安で、ネットで予約できる利便性もあり近年、利用者が急増中だ。10年には600万人を超えた。運行計画を事前に国交省に届け出るなどの規制が少なく、過当競争のため安全性が置き去りにされているとの批判は強かった。

読売 高速バス事故 再発防止に安全運行の徹底を
格安競争が激化し、安全が置き去りにされていたのではないか。2000年以降の規制緩和で、新規参入が容易になったこともあり、バス事業者数は急増し、10年度で約4500に上る。一方で、競争激化による運転手の過重労働など、安全面の課題が問題視されていた。懸念が現実になったと言える。

産経 高速バス大事故 安全監視の強化が急務だ
乗客は事故前から生きた心地がしなかっただろう。なぜこうした悪質な運転手に乗客の生命を託すことになったのか、徹底した捜査を望みたい。一方で、国土交通省など監督官庁の責任も大きい。安全監視・監督体制の強化を急がなくてはならない。ツアーバスは、12年の規制緩和により一気に普及した。規制緩和による競争原理の導入そのものに誤りはないが、安全性を置き去りにすることは論外だ。 規制緩和はあくまで事後チェックの強化と両輪で進めることが原則だ。

東京 高速バス事故 安全点検を徹底せよ
二〇〇〇年に貸し切りバス事業の規制が緩められ、バス会社が急増した。それに伴い価格競争は熾烈(しれつ)を極めるようになった。安全対策を置き去りにしたままでの市場の自由化は無謀だった。手だてを検討してきた国土交通省は四月に入り、旅行会社やバス会社のチェックの強化へとかじを切ったばかりだ。いかにも腰が重い。改善を急ぐべきだ。

<地方紙>
北海道 高速バス事故 安全運転へ徹底検証を
業界の過当競争が背景にある。 規制緩和でツアーバスへの新規参入が急増。自社バスを持たない旅行会社が企画した格安ツアーを、赤字覚悟で引き受ける。そのしわ寄せが人件費の抑制や過重労働などで運転手に及んできているという。

秋田さきがけ社説:関越道バス事故 再発防止へ徹底検証を
今回の事故について「危惧していたことが現実になってしまった」と指摘する業界関係者は少なくない。高速ツアーバスの運行に関し、さまざまな問題が顕在化していたからだ。バス事業への新規参入を促す国の規制緩和によって、・・・規制緩和という流れの中で、安全対策が後手に回った感は否めない。業界だけでなく国も今回の事故を厳しく受け止め、現行制度や指導体制の点検を急ぐべきだ。

岩手日報 ツアーバス事故 「法令」の妥当性を疑う
2000年代の規制緩和の流れの中で、ツアーバスも資格審査や法令順守の事後チェックを前提として新規参入が促進された。これが高速バス事業全体の賃金体系やサービス改善に貢献した面はあるだろう。一方で、低価格競争が常態化し、安全性が後方に追いやられた感は否めない。

福島民友 高速バス事故/再発防止策の早急な検討を
貸し切りバス事業が2000年に免許制から許可制に規制緩和されて以降、高速ツアーバスの利用客は急増、10年には600万人を超え、旅行手段などには欠かせない存在になっている。こうした価格競争を支えるのが業界内の低コスト経営で、人件費を減らす手段として運転手に過酷な労働を押し付けることにもつながる。乗客の安全をないがしろにしない体制を構築することこそ、亡くなった人たちへの手向けになるはずだ。

岐阜 高速バス事故運行の問題点を洗い出せ
山陰中央 高速バス事故/指針見直し再発防止策を
貸し切りバス事業が2000年に免許制から許可制に規制緩和されて以降、高速ツアーバスの利用客は急増し10年には600万人を超え、日常の移動や旅行手段に欠かせない存在になっている。こうした価格競争を支えるのが、業界内の低コスト経営で、人件費を減らす手段として運転手へ過酷な労働条件を押しつけることにもつながる。高速バスでも乗り合いバスは道路運送法の指導を受けるのに対し、旅行会社はその対象とならないため、停留所確保や運行計画の届け出なども義務づけられていない。事故発生時の責任があいまいになるなどの問題点が以前から指摘されていた。

京都 高速バス事故  過労運転はなかったか
近年、増えているのが国の規制緩和で参入した「ツアーバス」という夜間長距離バスだ。事業者が経費削減を急ぐ余り、運転手の勤務条件や健康管理、車体整備など安全確保策にしわ寄せがないのか。国交省は、ツアーバス事業者に安全管理を厳格に求めるために、高速道路を定期運行する「高速乗り合いバス」と制度の一本化を検討している。道路運送法の改正など早急な実行を求めたい。

神戸 高速バス事故/無理な運行を放置するな 
路線や価格を自由に設定できるため、2005年に21万人だった利用者が10年には600万人にまで増えた。きっかけは、00年からの規制緩和だ。バス事業への新規参入は免許制から許可制となった。貸し切りバス会社は倍増し、価格競争は激しくなる一方だ。総務省は「旅行会社がバス事業者に無理な運行を強要するケースもある」と国土交通省に指導の徹底を勧告していた。

山陽 高速バス事故 幅広く問題点を洗い出せ
高速ツアーバスをめぐっては、安い料金が人気を集める一方で、安全面への懸念が指摘されてきた。新規参入を促す規制緩和が価格競争に拍車を掛けた。その結果、旅行会社がバス会社に無理な運行を強要し、運転手が長時間労働を強いられるケースがあるとされる。問題の一つに法律上、安全確保の責任が旅行会社にないことが挙げられる。国交省が制度の見直しを図ろうとした矢先に事故が起きた。・・・規制緩和の在り方を含め、厳格な検証が必要だ。

愛媛 高速ツアーバス事故 運行制度の点検と見直しを
高速ツアーバス業界は、規制緩和で生じた激しい競争にさらされていた。格安料金で人気を集める一方、乗客の安全や運転手の労働環境を軽んじていた可能性が指摘されている。国土交通省は、運転手の最大走行距離などを規定した指針を見直すよう2010年に総務省から勧告を受けたが、改善を見送っていた。今回の惨事を、規制緩和路線を反省し、命や安全を重んじる契機としなければならない。利用者としては料金の向こう側に想像力を働かせたい。その安さは、生命や安全を軽視していないか。バスツアーだけでなく、食べ物やエネルギーしかりだ。安全と安心、それを生む労働を適正価格で買い支える社会にしたい。

徳島 ツアーバス事故 安全運行を徹底せよ
運転手が疲れをため込む背景にはツアーバスの過当競争がある。ツアーバスは高速路線バスと違い、自前のバスを持たない旅行会社が貸し切りバス会社からバスをチャーターして運行するため、費用がかからず格安にできる。これが受けて利用者が急増し、業者も増えて料金競争が激しくなっているという。このため、さらにコストを下げようと無理な運行をバス会社に強いる旅行会社が出てきた。

高知 【高速バス事故】安全強化は国の責務だ
近年、高速バスによる重大事故が絶えないのも事実だ。背景にツアーバスの急増が指摘されている。貸し切りバス事業は国の規制緩和で参入事業者が増え、競争が激化した。その結果、旅行会社がバス会社に無理な運行計画を強要するケースもあるとされる。
 格安で便利なツアーバスは利用者のニーズに応えたものだ。だからといって、一番大事な安全がおろそかになっては元も子もない。規制緩和の弊害を是正するのは国の役目だ。対策を急いでほしい。

西日本 高速道バス事故 安全輸送の原点忘れるな
国の規制緩和を機に近年、増加した。航空機や鉄道に比べて料金も格安で、利用客は2005年の約21万人から10年には約600万人に増えた。ただ、バス会社も急増し、過当競争による運転手の過重労働も問題となっている。旅行会社も法的にバスの安全運行に責任を持つ必要がある。国交省は、早急に安全確保の対策を講じるべきだ。乗客を安全に目的地へ運ぶことが、公共輸送機関の使命である。鉄道や航空会社も、今回の事故を他山の石として安全対策を再点検してもらいたい。

佐賀 ツアーバス事故 「安全」こそが信頼の柱
日あたりの走行距離の上限を見直すのは当然だが、10年に総務省が距離の短縮を勧告していた事実からも、対応が甘かったと言わざるを得ない。2000年に免許制から許可制に規制緩和されて以降、貸し切りバス事業者数は右肩上がりで増え続け、10年には4492になった。ツアーバスは客のニーズに合わせて路線と料金を設定できたが、目的地に決まった停留所を持たないなどの課題があった。価格ばかりではなく、安全性についても利用者が見極め、ツアーを選択できる仕組みづくりを求めたい。

熊本日日 ツアーバス事故 安全運行のコストを削るな
ツアーバス普及の背景に、国による規制緩和があったことを指摘しておきたい。2000年、国は貸し切りバス事業への参入を免許制から許可制に緩和。事業者が倍増し、価格競争も激しくなった。実際、今回の金沢発の高速ツアーバス料金は3500円で、正規の高速路線バス運賃の半額という安さだった。価格競争を支えたのは低コスト経営だ。規制緩和は、新規参入で競争原理を促し市場を活性化させると期待されてきた。しかし、それは参入後に厳しくチェックすることとセットで進めるのが原則だ。規制緩和の名の下に安全を置き去りにしてはいないか。トラックやタクシーも含めて、総検証してほしい。

南日本 [ツアーバス事故] 安全面の懸念が現実に
高速バスツアーは格安料金を売りに近年利用者が拡大しているが、厳しい競争にさらされて安全面への懸念が指摘されてきた。悲惨な事故の再発を防ぐには、徹底的な原因解明が必要だ。国が2000~02年にかけてバス事業を免許制から登録制に緩和したことが後押しとなって、新規参入が相次いだ。

沖縄 [交通死亡事故]安全が脅かされている
高速ツアーバスは規制緩和による安さを売り物に急成長している。安さ競争と引き換えに、運転手の安全管理がおろそかになっていなかったかどうか。

琉球 高速ツアーバス事故 命はコストに換えられない
規制緩和で中小の業者が急増する中、国は無理な運行など現状にきちんと目配りをしていたのか。ここまで過当競争をエスカレートさせた事業形態を見直すなど、まず安全の確保に本腰を入れるべきだ。もちろん、行程表や労務管理に無理がなかったか、旅行会社やバス会社自体の責任も厳しく問われなければならない。貸し切りバス事業者が低料金の過当競争にしのぎを削る状況下、運転手は過酷な労働を強いられている。乗客は運転手に命を預けている。乗客の命と、コスト削減を引き換えにしてはならない。
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