仲井真知事は今回の訪米で普天間の移設先について九州や四国、中国地方などを例示し、「すでに滑走路がある場所へ移す方が早い」と提言した。「辺野古は現実的ではない」という主観と客観の入り交じった知事独特の言い回しは物足りない面もあるが、事実を捉えている。 知事の訪米は、対米従属で思考停止した政府と交渉してもらちが明かない、との判断に基づく。政府は沖縄に米軍基地を閉じ込めておいた方が好都合と考えている。だが仮に、米国が日本本土の具体的地名を挙げ、「移転可能」というトーンではなく、「移転したい」と強く要望した場合はどうだろう。政府は多大な政治リスクを犯しても実行に移すのではないか。日本では「ガイアツ」という名の米国の内政干渉が政治を動かしてきた。米国が求めない限り、日本が主体的に「本土移転」に傾く可能性は考えにくい。