琵琶の音に誘われて、その若武者は灯火の向こうに姿を現した。
美しい面差しは、この琵琶をわたしのもとに預けて出陣した、あの日のままだった。
若武者は、わたしに何かを語りかけてきた。
しかし、村雨のごとく木の葉を鳴らす風の音に掻き消され、わたしはそれを聞きとることができなかった。
やがて美しき白面に、苦悶の色が浮かびはじめた。
額から流れる玉のような汗は、灯明に照らされて血潮の輝きとなり、 . . . 本文を読む
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- 嵐悳江(あらし とくえ)──手猿樂師にして、傳統藝能創造家にして、鐵道愛好家にして、古道探訪者にして、文筆家氣取り。
雅号は「李圜(りかん)」。
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