迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

つねまさ。

2012-03-17 18:12:47 | 浮世見聞記
琵琶の音に誘われて、その若武者は灯火の向こうに姿を現した。 美しい面差しは、この琵琶をわたしのもとに預けて出陣した、あの日のままだった。 若武者は、わたしに何かを語りかけてきた。 しかし、村雨のごとく木の葉を鳴らす風の音に掻き消され、わたしはそれを聞きとることができなかった。 やがて美しき白面に、苦悶の色が浮かびはじめた。 額から流れる玉のような汗は、灯明に照らされて血潮の輝きとなり、 . . . 本文を読む
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