
新幹線の驛を覗いてみると、なるほど帰省客で大賑はひだった。
本日分の指定席は全車賣切云々、狙ふは自由席券。
土産物屋街では日頃お得意の行列を作り、その外れではトウキョウ銘菓をいくつも荷物のなかへ押し込んでゐる人がゐた。
時間とカネと勞力を消耗することは、普段の行樂と大差ない。
「行動制限のない」年末帰省、しかしそれは、「感染危機のない」のとは違ふ。
驛におけるヒトの流れ──“人流”なんてコトバなど今は大昔!──を眺めてゐると、皆その辺りをどう思ってゐるのかな、と氣になる。
感染せずに済んでゐる人もゐれば、すでに“經験者”もゐることだらう。
この流れは、果てることなく繰り返されるはずだ。
しかし私は初めから、その流れの外にゐる。
せいぜい、お見送りをしてやらう。