金春流の能を観に、国立能楽堂へ行く。
シテが揚幕へ入る間際、能面(おもて)の表情がわずかに動いたのを、わたしは見た。
まちがいない。
かすかに開いた唇から、わたしはなにかを聞いたのだ。
その声はもしかしたら、永遠に聞き取ることは出来ないかもしれない。
だがわたしは、それがかなう日まで、あなたのもとへ通い続けるだろう。
百夜でも、通い続けるだろう。
わたしのなかの、
わたしではない“もうひとり”に、
突き動かされるまま…。
シテが揚幕へ入る間際、能面(おもて)の表情がわずかに動いたのを、わたしは見た。
まちがいない。
かすかに開いた唇から、わたしはなにかを聞いたのだ。
その声はもしかしたら、永遠に聞き取ることは出来ないかもしれない。
だがわたしは、それがかなう日まで、あなたのもとへ通い続けるだろう。
百夜でも、通い続けるだろう。
わたしのなかの、
わたしではない“もうひとり”に、
突き動かされるまま…。