「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            何故シリア人はケンカ好きなのか

2013-05-07 06:10:37 | Weblog
「アラブ人の気質と性格」(サニア.ハマディ著 笠原佳雄訳 サイマル出版)の中にこんな記述があった。「アラブ人は社会との関わりあいの中で、しばしば敵意を示す。これは主として密着すぎる社会から生まれる摩擦、構造的な徒党根性、それにアラブ人がその戦闘性を外面に表わすことなどに起因している。また彼らの気難しさ、一癖ある性格にも関係がある」(争いを生む風土その戦闘性23ページ)

2年余りに渡るシリアの内戦をみると、まさに上の記述がぴったりだ。アサド政権と反政権は、互いに徒党を組み、敵意を表に出して戦闘を続けている。解決の糸口も見つからず泥沼状態である。すでに7万人が死に200万人の難民が国外に逃れている。なのにここへ来てイスラエルがダマスカスの郊外へ爆弾を打ち込んだという報道があり、シリアがこれに報復するという報道も流れている。

かって、この地に栄えたウマイヤ王朝(661年―750年)は西はイベリア半島、東はインドまでを版図に持つたイスラム史上最初の世襲王国であった。、その王国時代の歴史的な建築物が今内戦によって、危機にさらされている。4月末には北部の都市、アレッポにあった世界遺産の一つであるウマイヤ.モスクのミナレ(尖塔)が砲撃にあい完全に破壊された。

約半世紀前の1962年、僕は新聞社の移動特派員でとして首都ダマスカスを訪れ、世界最古のウマイヤモスクの偉容に圧倒された。まさか、あのモスクが戦火によって灰塵にきすとは思わないが、戦争だからわからない。世界遺産はシリア人だけのものではない。人類全体のものだ。世界の国々は、その利害を超越してシリアの戦火を終息させなければならない。