「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

        誤解を呼ぶアジ研の”日本の穴”紹介記事

2013-05-25 05:45:40 | Weblog
先日小ブログでスマトラ・ブキティンギの「日本の穴」について書いたところ、二人の方からコメントに添えてJETRO.アジア経済研究所の「ワールド.トレンド161号」(2009年2月)を送ってきた。”明暗を分けた歴史遺産”というタイトルで外部の筆者が、戦争中日本軍が労務者3千人を虐殺したという虚報が流布されていた「日本の穴」を訪れ、その印象記を書いている。僕はこれを読んで、あいかわらず現地のガイドたちが”虐殺”をまことしやかに観光客に説明しているの知った。

コメンテ―タ―の一人は僕に抗議に出かけるかと聞いてきたが、僕は”抗議”には出かけない。アジ姸の原稿の筆者は「日本の穴」を見た後、現地の観光案内所を訪れ、僕らが2004年現地で配布した「日本の穴」築造の真相を書いた冊子のコピーを受けとった。そしてその感想として日本側の証言はインドネシア側を納得させるには至っていない、と書いている。

僕は筆者を責めるつもりはないが、この原稿を掲載したアジ姸の扱い方が読者に誤解を与えたのではないかと思う。僕らが折角努力して「日本の穴」の現場から完全撤去した”虐殺”のレリーフの写真を何故まだ使用するのか。”明暗を分かつ”という原稿の切り方にも僕は抵抗を感じる。すでに、この問題は決着済みである。日イ政府関係者の間で”虐殺はなかった”という共通の歴史認識の上に立ちレリーフなど”虐殺”をにおわすものは撤去されたのだ。

僕が”抗議”に行かないのは”虐殺”はなかったが、雄大な自然景観が防空壕の建造によって破壊されたことは事実である。これに対して日本は直接何も補償していない。2004年、僕らがパンフを配布した際、協力してくれたパダン国立アンダラス大学の元教授は”ミナン人(西スマトラ住民)は誇り高い人たちです。我々の過ちををあまり追及しないで欲しい”と忠告を受けた。僕もそのように思う。出来れば、もっと日本人の観光客が現地を訪れ、ガイドに僕らが作ったパンフを渡して貰いたい。パンフには彼らがいう死体を投げ捨てた穴は、換気口だと明記してある。