「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

昔、ヒロポン 今、脱法ハーブ

2014-07-01 05:55:10 | Weblog
先日、東京池袋の繁華街で、脱法ハーブを吸った男が車を運転し歩道に乗り上げて8人を死傷させた。前から脱法ハーブとか脱法ドラグの名前をきいたことがあったが、これほど若い人の間で蔓延し、社会問題になっているとは知らなかった。

「脱法」とは”法律に触れないような方法で実際は法で禁止していることを犯す”(広辞苑 岩波書店)という意味だが、脱法ハーブ、脱法ドラグも薬自体は合法のようで、簡単に店頭やインターネットで購入でき、時にはこれを売る自動販売機もあるそうだ。しかし、薬の成分の中には、販売を禁止されているものもあり、その見分けがつかないことが「脱法」のはびこる原因になってるらしい。

戦後すぐの昭和20年代に「ヒロポン」という脱法覚醒剤が大流行し社会問題化した。「ヒロポン」は元々は、疲労回復に効く市販剤で、戦争中は特攻隊員用の薬品だったという説もある。戦後、もののない時代、これが軍から放出されて若者中心に愛用された。当時の新聞広告には、堂々と「ヒロポン」は”体力亢進、優れた回復”と宣伝している。明らかに「脱法」ではなく「合法」薬品だったが、作家の坂口安吾や織田作之助も愛用して犯罪まがいの事故が続出した。

「脱法」という言葉から、一般には、法に触れないから問題はないという意識がある。また成分を分析しないと違法であるかどうか判らず、現行犯逮捕できないのだという。そこで厚労省では「脱法」という言葉に問題があるとして、改名を検討するらしい。「ヒロポン」の時は、中毒患者が50万人を数え、やっと昭和29年になって、覚醒剤取締法ができ、販売が禁止された。

「脱法ハーブ」「脱法ドラグ」もそうである。第一には愛用者の意識の問題だが、その前に「脱法」といった名前で、あたかも法に触れないかのような印象をあたえる役所の方が悪い。