６６年ぶり友人からの電話と高齢者のケータイ

中学（旧制）を卒業してから会ったことがない昔の級友から６６年ぶりに電話がかかってきた。用件は１０年ほど前僕が自主出版した戦時中の動員記録についてまだ残部があるかという問合せであった。彼はずーっと東京を離れて京都郊外に住んでおり、同窓会にも出たことがない。風の便りに元気なのは知っていたが、よく僕の電話番号が判ったものだ。最近、固定電話は使用頻度が少なくなり”無用の長物化”、していたが、こんな効能もまだ残っているのだ。

僕ら夫婦は二人ともケータイを持っていない”化石人間”だが、ネットのある調査によると、８０歳代の老人のケータイ所有率は５６.2パーセントと、まだ半分近くがお仲間だ。数年前、僕もテレビの宣伝で、老人にも使えるケータイを買った。便利は便利だが、電話機能と写真にしか使えない老人にとっては使用料が高すぎて止めてしまった。

固定電話だけでも日常生活にはあまり不便ではない。しかし、迷惑なのは”オレオレ詐欺”の馬鹿モノが変なお芝居電話をかけてくることだ。わが家にもここ数年、２回かかってきたが、昔、警察に勤務したことがある老妻が、ねぼり、はぼり、逆に問い合わせるので、馬鹿ものどもは、ヤバイと思うのだろう、すぐ電話を切ってしまう。

東京では”オレオレ詐欺”対策として、警察に頼めば、録音機付きの防止装置を貸してくれる。僕の行きつけの理髪店も７０年来の友人も一度”オレオレ”にかかりそうになり、この装置を付けている。ケータイ時代であり、思い切って固定電話を切る手もあるが、６６年ぶりに電話をかけてくる旧友もいる。旧友に聞いたら、彼はＰＣも持っていないし、ケータイも利用していないという。まだまだ、”化石人間”が、この世に存在する限り、固定電話も必要のようだ