「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

インドネシアの政治に新時代 家具職人の子が大統領に

2014-07-11 06:26:52 | Weblog
インドネシアで9日行われた大統領選挙でジャカルタ特別州知事のジョコ.ウィドド氏(53)が対立候補の元戦略予備軍司令官だったプラボゥオ.スピアント氏(62)を破って次期大統領になることが、ほぼ確実だという報道が現地からある。これを知って、約半世紀前、この国の政治を取材したことがある僕にとっては、インドネシアも変わったものだと感無量だ。

1966年~67年僕はスカルノ(初代大統領)からスハルト(二代目大統領)への移行変動期をジャカルタで取材したが、半世紀後まさかジャワの家具職人の貧乏人の息子がトップの座につくとは想像もしていなかった。当時、インドネシアでは”45世代”と”66年世代”という言葉がよく使われた。”45年世代”とは、スカルノで代表される1945年、独立戦争を戦った世代だが、どちらかといえば古い世代を指して使われた。これに対して”66年世代”はスカルノ追い出しに共闘を組む若手軍人と学生を意味し「新世代」と呼ぶ事もあった。

その後インドネシアの政治は68年、大統領に就任した”66年世代”の旗手、スハルト(元軍戦略軍司令官)によって97年アジア通貨危機で彼が退陣するまで続いた。その後も”66年世代”が暗に政治の底流にあり、ユドヨノ現大統領(68)も世代的には66年の政変(スペルスマル)時代の”66年世代”である。

新大統領に目されるジョコ.ウィドド氏は1961年生まれで”66年世代”ではない。日本でも知られる歌「ブンガワン.ソロ」の流れる、スラカルタの生まれで、父親は貧しい家具職人、家計を助けるため、少年時代彼は材木担ぎをしたり、露店の手伝いなどもしたという。僕は「ブンガワン.ソロ」の作詞作曲歌手のゲサンと生前交遊があり、スラカルタを十回近く訪れたことがある。一昨年も2泊したが、街の発展ぶりに驚いた。聞けばジョコ.ウィドド氏の市長時代の思い切った都市計画によるものだという。

インドネシアは新大統領の登場で”66年世代”(軍人支配)も終わり、文字通り新時代に入る。