「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

疎遠社会の中での犯罪 少女誘拐事件

2016-03-29 05:45:06 | 2012・1・1
埼玉県朝霞市から行方不明になっていた中学3年生の少女(15)が東京.東中野で無事保護された。犯人はこの3月、千葉大学を卒業したばかりの男(23)で、少女を誘拐、監禁して2年間も連れまわしていた。事件の全容はまだはっきりしないが、誰でもが驚いたことは、2年余の間、この情報社会の中で事件が発覚されなかったことだ。

何故なのだろうか。僕は情報社会である一面、都会の疎遠化が事件の背後にあるのだと思う。犯人の男は少女を誘拐後、ほとんどの期間、通学していた千葉大学近くのマンションの一室に少女を監禁していたが、隣近所は誰も少女の存在に気がつかなかったという。男の実家は関西の池田市で、両親も祖父もいるそうだが、男は大学時代、一度も故郷に帰らず、また家族も男を訪ねに来なかったのだろうか。

男は大学の工学部で、時代の先端をゆく情報画像科でソフトウエアの開発を研究していたとのこと。さらには大学を1年間休学、米国に留学して小型飛行機の免許まで取得しているエリートである。外から見れば、何不自由なく見える学生である。それが、このような犯罪を起こすとは、心のどこかに疎遠化された社会への寂しさがあったのかもしれない。

しかし、他人事ではない。一昨年、わが家の隣に建ったアパートの住人を僕ら夫婦は見たことがない。かりに少女を誘拐して連れ込んんでいても判らない。アパートは建てた不動産会社がいっさい管理していて、誰が家主なのか判らない。住民も近所に挨拶にも来ない。個人の秘密保護の大切さは理解しているが、考えてみると、今度の少女誘拐事件は起るべきして起ったような気もする。