「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

平成19年 昭和19年

2007-01-01 08:11:15 | Weblog
謹賀新年 平成19年元旦ーここまで書き出し改めて月日の流れを
感じた。昭和から平成に年号が変わったのは、ついこの間のことの
ように思っていた。亡くなった小渕官房長官(当時)が「平成」と書いた
年号をテレビの画面で紹介していたのが昨日のようだったのだがー
早くも19年経ってしまったのだ。

子供の時であったかもしれないが、同じ19年でも昭和はずーっつと
長く感じた。僕の生まれたのは昭和6年、その年の9月満州事変が始
まり、12年小学校に入った年,支那事変が勃発した。それから20年
中学3年まで戦争だった。長い長い嫌な時代であった。それにくらべ
この19年のなんと平和で幸せだったことかー。両方の時代を経験し
た者しかこの喜びはわからない。

昭和19年元旦ー亡父の日記を書棚の奥から取り出して再読した。
「皇紀二千六百四年 甲申(土)曇り時々小雪 決戦だ! 撃ちてしや
まん今年こそ。戦争は益々過酷の度を加えてきた。物資も行詰まり愛
用の当用日記も今年は入手できず、この粗末なのがやっと購入できた
(注 B-5変型のセンカ紙の自由日記160円)この粗末な方が後世こ
の時代を伝える好個の記念になるかもしれない。息子(僕)は午前4
時というのに友人と明治神宮、靖国神社に参拝、必勝を祈願、そのあと
宮城を遥拝していったん帰宅、学校の四方拝の式に参列した。寒い日
終日炬燵で暮す」

昭和19年はわが家にとって最悪だった。一人だけの姉が5月、食糧難
による栄養失調で肺結核に罹り21歳で早逝、11月になるとサイパンから
米軍のB29爆撃機が東京に襲来戦局は終末に向かって急坂を駆け下った。

平成19年の年の初めに当たって、昭和の繰り返しだけはしたくない、と
思いこれを書いた。