
「……おやしきのォようすがァ、おかしィッ!……」
ダートムーアを覆う霧の向こうに、見え隠れするのは、バスカビル屋敷。
名探偵テディちゃムズは、はっし!と指し示します。
門の鍵は外されていますし、
屋敷の玄関前に横付けされているのは、見慣れぬ黒く塗られた荷馬車。
そして、無防備にも、半開きになっている玄関からは
明りが漏れておりますよ。
耳を澄ませば、人声も聞こえます。
ヘンリー・バスカビル卿のものらしき叫び。
悲鳴や、怒鳴り声。
ガラスがガチャンと割れる音、家具が倒れる音。
荒々しい靴音も――
「やぱりィ、そうかッ!
とらはァ、ゆうどうさくせん!だッたんだなッ!」
「誘導作戦?
どういうことだい、テディちゃムズ!?」
名クマ探偵テディちゃムズ、
盟友ユキノジョン・H・ワトソン博士に説明いたします。
これは、新たな形の、《魔犬の呪い》であるとも言えるのだ。
『バスカビル家の犬』事件で、
我々は悪漢が操る魔犬を退治したけれど、
同時にそれは、バスカビル家の守りを薄める結果にもなってしまった。
《魔犬》のいないバスカビル家なんて、
恐ろしさのカケラもありません。
相手としては、ちょろいもの。
かねてよりバスカビル家の財産を狙っていた盗賊や詐欺犯たちは、
沼地に虎を放ち、
怯えた村人らがバスカビル家に来ないよう計らい、
さらに、新年のお祝いで警官の巡回が途切れるこの夜を選び、
犯行に及んだのだよ――
「そ、そうかっ!
じゃあ、この虎くんは、盗賊たちの手先ってこと……?」
「いやいや、ユキノジョン・H・ワトソンくんッ、
ここをォ、みたまえッ!」
あばら骨が浮いた虎のお腹に、テディちゃムズは溜め息いたします。
「こんなにィ、やせちゃッてェ……
ごはんをォ、もらッてなかッたんだよゥ!」
「むむぅ!
ご飯も与えられず、むりやり悪事に加担させていたのか?
動物虐待だ!
悪逆非道だ!
許せんぞ~!!」
「ぐるるッ、がうぅ!」
テディクマたちの推理を肯定するかのように、
虎もうんうんと頷いておりますね。
「よしッ!
ではッ、ゆくぞッ! ユキノジョン・H・ワトソンくんッ!」
「おうっ! 殴りこみだ!
じゃなくて、えーと、盗賊退治だ!」
「ぐるるッ!」
えいえい、おう!
怒りに燃えて、血潮をたぎらせ、
クマと虎はバスカビル屋敷に突入いたします。
そこには、テディちゃムズの予想の通りに、
風体の怪しい男たちが、ヘンリー卿を縛って床に転がし、
バスカビル家伝来の銀器を山と積み上げ、
ゲインズボロの肖像画や、
ヘンリー卿の母上の宝石類を
持ち出そうとしている真っ最中でございます!
赦すまじ!
看過すまじ!
「とりゃァッ!
くらえァェ、ともえなげェ!」
テディちゃムズのバリツが炸裂いたします。
「せやぁ! 飛び蹴りぃ! 掌底突きぃ!」
ユキノジョン・H・ワトソン博士は、総合格闘技ですか。
「がうううっ! がるーっ!」
はい、虎は虎らしく、がぶっ!と。
「た、助かりました、テディちゃムズさん!!」
10人ほどもおりましたでしょうか、
屋敷にたむろす盗賊たちを
記録的な速さでブン投げ、逆さに落とし、
動かなくなったところをお縄にした探偵クマたちに、
ヘンリー卿は感謝の言葉を捧げます。
「さすがは世界一の、名探偵~!!」
えへん、えへんと咳払い。
謙虚で礼儀正しいテディちゃムズは、
ヘンリー卿と、読者の皆さまにお辞儀をいたします。
貴方あっての、皆さまあっての、
名探偵テディちゃムズ。
どうかこの、新しい年も、
テディちゃムズと、
ついでにユキノジョン・H・ワトソン博士も(おいおい!と抗議のツッコミ)、
そしてまた虎くんも(がるるっ!)、
どうぞよろしく御贔屓に。
「みなさまにィ、さちあれェ~!!」
(とりあえずの?……完!)
ダートムーアを覆う霧の向こうに、見え隠れするのは、バスカビル屋敷。
名探偵テディちゃムズは、はっし!と指し示します。
門の鍵は外されていますし、
屋敷の玄関前に横付けされているのは、見慣れぬ黒く塗られた荷馬車。
そして、無防備にも、半開きになっている玄関からは
明りが漏れておりますよ。
耳を澄ませば、人声も聞こえます。
ヘンリー・バスカビル卿のものらしき叫び。
悲鳴や、怒鳴り声。
ガラスがガチャンと割れる音、家具が倒れる音。
荒々しい靴音も――
「やぱりィ、そうかッ!
とらはァ、ゆうどうさくせん!だッたんだなッ!」
「誘導作戦?
どういうことだい、テディちゃムズ!?」
名クマ探偵テディちゃムズ、
盟友ユキノジョン・H・ワトソン博士に説明いたします。
これは、新たな形の、《魔犬の呪い》であるとも言えるのだ。
『バスカビル家の犬』事件で、
我々は悪漢が操る魔犬を退治したけれど、
同時にそれは、バスカビル家の守りを薄める結果にもなってしまった。
《魔犬》のいないバスカビル家なんて、
恐ろしさのカケラもありません。
相手としては、ちょろいもの。
かねてよりバスカビル家の財産を狙っていた盗賊や詐欺犯たちは、
沼地に虎を放ち、
怯えた村人らがバスカビル家に来ないよう計らい、
さらに、新年のお祝いで警官の巡回が途切れるこの夜を選び、
犯行に及んだのだよ――
「そ、そうかっ!
じゃあ、この虎くんは、盗賊たちの手先ってこと……?」
「いやいや、ユキノジョン・H・ワトソンくんッ、
ここをォ、みたまえッ!」
あばら骨が浮いた虎のお腹に、テディちゃムズは溜め息いたします。
「こんなにィ、やせちゃッてェ……
ごはんをォ、もらッてなかッたんだよゥ!」
「むむぅ!
ご飯も与えられず、むりやり悪事に加担させていたのか?
動物虐待だ!
悪逆非道だ!
許せんぞ~!!」
「ぐるるッ、がうぅ!」
テディクマたちの推理を肯定するかのように、
虎もうんうんと頷いておりますね。
「よしッ!
ではッ、ゆくぞッ! ユキノジョン・H・ワトソンくんッ!」
「おうっ! 殴りこみだ!
じゃなくて、えーと、盗賊退治だ!」
「ぐるるッ!」
えいえい、おう!
怒りに燃えて、血潮をたぎらせ、
クマと虎はバスカビル屋敷に突入いたします。
そこには、テディちゃムズの予想の通りに、
風体の怪しい男たちが、ヘンリー卿を縛って床に転がし、
バスカビル家伝来の銀器を山と積み上げ、
ゲインズボロの肖像画や、
ヘンリー卿の母上の宝石類を
持ち出そうとしている真っ最中でございます!
赦すまじ!
看過すまじ!
「とりゃァッ!
くらえァェ、ともえなげェ!」
テディちゃムズのバリツが炸裂いたします。
「せやぁ! 飛び蹴りぃ! 掌底突きぃ!」
ユキノジョン・H・ワトソン博士は、総合格闘技ですか。
「がうううっ! がるーっ!」
はい、虎は虎らしく、がぶっ!と。
「た、助かりました、テディちゃムズさん!!」
10人ほどもおりましたでしょうか、
屋敷にたむろす盗賊たちを
記録的な速さでブン投げ、逆さに落とし、
動かなくなったところをお縄にした探偵クマたちに、
ヘンリー卿は感謝の言葉を捧げます。
「さすがは世界一の、名探偵~!!」
えへん、えへんと咳払い。
謙虚で礼儀正しいテディちゃムズは、
ヘンリー卿と、読者の皆さまにお辞儀をいたします。
貴方あっての、皆さまあっての、
名探偵テディちゃムズ。
どうかこの、新しい年も、
テディちゃムズと、
ついでにユキノジョン・H・ワトソン博士も(おいおい!と抗議のツッコミ)、
そしてまた虎くんも(がるるっ!)、
どうぞよろしく御贔屓に。
「みなさまにィ、さちあれェ~!!」
(とりあえずの?……完!)
ハラハラ、ドキドキ読みました