テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 文様百花千花 ~

2025-02-17 23:01:05 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 きょうはァ、でんししょせきのォひィ、なのでス!」

「がるる!ぐるるがるるるぐる!」(←訳:虎です!天使の囁きの日だよ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日2月17日は、電子書籍の日に加えて、

 天使の囁きの日、つまり、ダイヤモンドダストの日とは、

 1978年2月17日、北海道幌加内町母子里で

 国内最低気温-41.2℃を記録したことから制定されました。

 寒波の襲来に震えつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― 教養としての 日本の文様 ――

 

 

 著者は小松大秀(こまつ・たいしゅう)さん、

 2024年12月に発行されました。

 雑誌『家庭画報特選 きものSalon』に30年に渡って掲載されてきた

 『日本の文様』を書籍化したものです。

 

「らッきィでェ、はッぴィ!」

「ぐるるがる~!」(←訳:吉祥で招福~!)

 

 絹布に浮かび上がる

 ありとあらゆる《おめでたい》文様たち――

 

 私たちのご先祖様が、

 どんな文様を好んで身にまとったのか、

 著者・小松さんは、

 

 第一章『吉祥文様』

 第二章『季節の文様』

 第三章『文芸の文様』

 第四章『幾何文様』

 

 と、4つの章に分けて、

 図版を提示しつつ、詳しく解説してゆきます。

 

「ふわわァ~…これはァ、すごいィでス!」

「がるるぐるるがっる!」(←訳:文章と写真のタッグ!)

 

 最高の瑞祥とされる

 『龍鳳呈祥(りゅうほうていしょう)』、

 長生不老の願いがこめられた

 『蓬莱山(ほうらいさん)』、

 若々しさの象徴『松』、

 不老長寿の霊力を暗示する『菊』、

 西王母さまをイメージさせる『桃』。

 

 天へするすると伸びてゆく『竹』、

 有用植物の『椿』、

 縁起が良いからと武将に好まれた

 『沢瀉(おもだか)』、

 『南天』で難転。

 

 センスとユーモアたっぷりの

 小松さんの解説文を読んでゆけば、

 日本人がいかに縁起担ぎが大好きなのか、

 よ~く分かってしまいますが、

 いやぁ、文章もさりながら、

 あまりの素晴らしさに

 きゃー!と叫びたくなるのは、

 お写真です……!

 

 この世に実在するんですか、これが!

 

「かみがかッてまスゥ!」

「ぐるるがる!」(←訳:国宝級だよ!)

 

 久保田一竹さんによる、

 七宝(しっぽう)花菱の辻が花(本文195ページ)。

 

 蒔絵細工の印籠には、

 波と兎の文様(本文145ページ)。

 

 名工・原羊遊斎(はら・ようゆうさい)さんの代表作、

 雪輪文様の印籠と、

 瓢箪(ヒョウタン)らしき意匠の毬型の根付。

 

 特に、辻が花の七宝花菱は、

 眺めていると気が遠くなってきますよ……

 これっていったい、

 完成までにどれほどの年月が……。

 

「そうぞうもォつかないィ~…」

「がるぐるる……」(←訳:ただ溜め息……)

 

 現代の日本社会からは、

 ほとんど別世界のような、

 それでもたぶん、

 私たちの遺伝子の中にひっそりと存在する、

 日本の文様たち。

 

 文様をテーマとする書籍は

 数多く出版されていますけれど、

 間違いなく、

 ”最も美しく、分かりやすい”作品です。

 全活字マニアの皆さま、

 ぜひ、一読を♪

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~ 一炊の、一睡の。 ~

2025-02-16 22:03:51 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 じゅしょうゥ、おめでとうございまス~なのでス!」

「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!拍手喝采~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 第45回日本SF大賞は、

 市川春子さんのコミック作品『宝石の国』(全13巻)に!

 特別賞は宮西建礼さんの小説『銀河風帆走』に!

 お祝いの拍手を全力で送ったら、

 さあ、読書タイムに切り替えて、本日はこちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 名画に見る《悪》の系譜 ――

 

 

 著者は中野京子(なかの・きょうこ)さん、

 2024年8月に発行されました。

 

 著者・中野さんの令名を高めたのは、なんといっても

 2007年に刊行された『怖い絵』に始まる

 《怖い絵》シリーズでしょうか。

 この御本――『名画に見る《悪》の系譜』は、

 《怖い絵》シリーズを想わせる

 ”恐怖を炙り出してゆく”美術評論集です。

 

「うむむゥ、こわくゥみえないィのにィ~?」

「ぐるがるるるるるるぐる~!」(←訳:よく見直してみると怖い~!)

 

 私たち日本人には分かり難い、

 西洋絵画の中の、

 寓意や、暗喩。

 

 ここで取り上げられている作品は、

 

 カバネルさん作

 『死刑囚に毒を試すクレオパトラ』(1887年)

 

 ジェロームさん作『シーザーの死』(1859~67年)

 

 コリアさん作『犯行後のクリュタイムネストラ』(1882年)

 

 といった、

 生殺与奪、裏切者、など

 ダークな主題のものばかりですから、

 寓意の解読が進むにつれ、

 背筋は、ひんやり、ぞわぞわ……。

 

「むッ? あれれッ、これはァ~…?」

「がるるるぐるるるがるる?」(←訳:あんまり怖くないような?)

 

 ティツィアーノ・ヴェチェッリオさん作

 『鏡の前の女』(16世紀後半)は、

 長い髪の若い女性を描いた作品です。

 (本文106ページに図版が掲載されています)

 

 ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノさん(1490~1576)は、

 文中に中野さんが書いておられるように、

 王さまや法皇さま、大貴族さんたちから

 大々人気の画家さんでした。

 この『鏡の前の女』も、

 裕福な貴族からの依頼で

 美しい娘さんをモデルとして描いた肖像画……と

 見えなくもありませんが。

 

 中野さんは、この美女を、

 典型的な《虚栄》をテーマとする作品であると読み、

 解説してゆきます。

 

 どれほど美しくても、

 己惚(うぬぼ)れるなかれ、

 驕(おご)るなかれ。

 そう、《虚栄》は、

 キリスト教においては、看過できない罪なのです。

 

 さらに驚くべきことに、中野さんは、

 画面の構図、描き入れられている小道具類から、

 美女の”寿命”までも推測してしまいます。

 

 彼女の”時間”は、残り少ない、と。

 

「えええッ?」

「ぐるるる~??」(←訳:そこまで~??)

 

 花の美貌も、一炊の夢――

 

 名画によって顕現する、

 傲岸、欺瞞、虚栄、虐待、

 貧困、不遜、不条理……

 高笑いする数々の《悪》。

 

 《怖い絵》シリーズで

 中野さんのファンになった方々に激推し、

 アート本好きな活字マニアさんにも

 おすすめの一冊ですよ。

 ぜひ、本屋さんで探してみてくださいね~♪

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~ 春は、花の画 ~

2025-02-15 22:03:05 | ミュゼ

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 まだまだァさむいィけどォ~…?」

「がるる!ぐるるるる!」(←訳:虎です!そこそこ春!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 朝の気温は低くても(特にここ八王子は)、

 陽射しに春の存在を感じられるぞ!という訳で、

 さあ、本日は読書をサボり、

 ↓こ~んな展覧会情報を、どうぞ~♪

  

 

 

     ―― 英国王室に咲く ボタニカルアートとウェッジウッド ――

 

 

 群馬県高崎市の高崎市美術館にて、

 会期は2025年1月18日~3月20日

 (月曜休館、ただし祝日の場合は開館し、翌日休館)、

 『Botanical Art and Wedgwood』と英語題名が、

 『~植物画のおいたち~』と日本語副題が付されています。

 

「おォ、はるゥでスねェ~♫」

「ぐるがる~!」(←訳:春の色だ~!)

  

 英国で愛される、

 さまざまな花のモチーフ――

 

 この展覧会では、

 ボタニカルアートを代表する植物図鑑

 『カーティス・ボタニカル・マガジン』を中心とする

 優れた植物画の数々と、

 ウェッジウッドやウースターなど、

 英国陶磁器の名品が紹介されます。

 

「いまもォ、いろォあざやかッ!」

「がるるぐるるるるるる!」(←訳:大事にされてきました!)

 

 ルドゥーテさんのバラの画は19世紀の中頃、

 ピーター・ヘンダーソンさんの『ゲットウ(ショウガ科)』は

 1801年の作品、と

 美しい花の画たちは、100年余の昔から現代へ、

 大切に受け継がれてきました。 

  

 また、展覧会の関連企画として、

 講演会や、

 学芸員さんによるギャラリートークなども

 予定されています。

 

 ボタニカルアート&アンティーク陶磁器好きな方々は、

 詳細を美術館HPで確認してから、

 JR高崎駅西口より徒歩3分の

 高崎市美術館へ、

 ぜひ、お出掛けしてみてくださいな♪

 

 

 

   では、ここでオマケ画像も……パクッと!

   

   ↑こちらは、『森永製菓』さんの

   《生チョコボール》です。

   「ふァ? ちょこぼゥるがァ??」

   「ぐっる??」(←訳:生って??)

   

   開封してみると……

   やわらかなチョコレートの衣に包まれて、

   甘さ控えめのクリームと、

   所々にナッツのフレークが。

   おやつ、というより、

   食後のプチガトー風ですね。

   「おいしィ……」

   「がるるぐぅるる……」(←訳:贅沢版チョコボ……)

   慌てず騒がず、ゆっくり味わいたい

   オシャレなチョコボール、ご馳走様でした。

 

   え? 来週はまた寒波が来るんですか?

   皆さま、ココロは春でも衣服は冬モードのまま、

   穏やかな休日をお過ごしくださいね♪

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~ 旅はいつも ~

2025-02-14 22:03:23 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 はッぴィ~ばれんたいんッ!」

「がるる!ぐるるがぅるるる~♫」(←訳:虎です!今日はチョコの日~♫)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日2月14日は、バレンタインデーで、『チョコレートの日』!

 美味しいショコラでホッと一息ついたら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

             ―― 旅のたのしみ ――

 

 

 著者は甲斐みのり(かい・みのり)さん、

 2024年10月に発行されました。

 『京都おでかけ帖』『乙女の東京案内』『日本全国 地元パン』

 『歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ』など、

 旅のおみやげ、美味しいもの、

 喫茶店、建築を語らせたら当代一!な著者・甲斐さんの、

 随筆集ですよ。

 

「おしゃしんッ、ないィでスよゥ??」

「ぐるるるるがるるぅ?」(←訳:イラストもないねぇ?)

 

 いつもの甲斐さんの御本でしたら、

 ええ、名建築の内部のお写真や、

 小さいけれど可愛いお店のカラーイラストが

 ページを華やかに彩っていたりするのですが、

 この御本は、潔いほどに、

 文字一色!

 

 言葉のチカラで、

 私たち読み手を

 たのしい《旅》の世界へ、連れていってくれます。

 

「はじまりィはァ~…」

「がるるる!」(←訳:記憶の旅!)

 

 《最も古い記憶は三歳の夏の日》であると、

 甲斐さんが書き出しているのは、

 御本冒頭の『旅のはじまり』。

 

 早朝、ご両親とお姉さん、そして甲斐さんご自身の、

 一家四人で、車に乗って、旅へ。

 

 未知の地を目指しているんだ、という高揚感。

 車中で頬張る朝ご飯、

 好きなアニメの主題歌や

 デタラメな自作曲を歌って、

 家族みんなで大笑い。

 

 幸せな時間だった、と

 甲斐さんは述懐しています。

 

 記憶の始まりが旅の始まりであったとは、

 なんと羨ましいことでしょう。

 

「しゃしんッ、とりまァ~ス!」

「ぐるるがるる~る!」(←訳:記録も取りま~す!)

 

 お母さんにすすめられて、

 小さなみのりさんは旅の記録をつけ始めました。

 

 旅先で食べたお菓子の包装紙、

 パンフレット類に、

 宿泊先の便箋や封筒、

 小型フィルムカメラで撮った写真たち。

 

 それらを添え、

 自分の気持ちを素直に綴った旅行記は、

 担任の先生からの評価は高くなかったけれど、

 とても面白いと、

 父と母は、褒めてくれた。

 

 それが何より嬉しかった。

 

「うむッ、うむッ!」

「がるるるぐるる!」(←訳:嬉しくてウフフ!)

 

 旅することの、幸福、喜び。

 

 旅の神様に見守られて、

 甲斐さんの旅は続きます。

 

 地元・静岡での、ささやかな旅。

 

 第二の故郷・田辺への旅。

 

 映画『この世界の片隅に』を見たことを機に、

 祖母を想いながら訪ねた

 広島県の呉の町。

 

 こけしが大好きだから、

 《こけしの里》宮城県の鳴子温泉へは、

 何度でも。

 

 友人十数名と一緒に

 伊東の『ハトヤホテル』に宿泊して、

 鳩たちがステージに飛んでくるフィナーレに

 皆で大拍手。

 

 お家から連絡を受けて、東京から故郷・静岡へ、

 緊急の旅。

 

 姪御さんと連れだっての、

 海外旅行も。

 

「たびはァ、まだまだァ~」

「ぐるる~る!」(←訳:続きま~す!)

 

 長い旅、短い旅。

 穏やかな旅、賑やかな旅。

 同じ旅は、ふたつとしてなく、

 いつも一期一会。

 

 誠実で、きめ細やかな旅の回想記を、

 全活字マニアの皆さま、ぜひ♪

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~ 醍醐味は、細部と全部? ~

2025-02-13 22:03:19 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 めいたんていィはァ~…わんこッ??」

「がるる!ぐるるるる~!」(←訳:虎です!賢いんだね~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 現在放送中のドラマ『問題物件』、ミステリとしてはユルユルなれど、

 登場するワンコが可愛くて、つい観てしまいます。

 次回放送分ではもっと出番を!と願いつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 宮田珠己の 楽しい建築鑑賞 ――

 

 

 著者は宮田珠己(みやた・たまき)さん、

 写真は傍島利浩(そばじま・としひろ)さん、

 2024年11月に発行されました。

 『Enjoyable Architectural Appreciation』と英語題名が付されています。

 

「けんちくのォほんッ!……なんだけどォ?」

「ぐるーるがるぐる!」(←訳:ユニーク路線だよ!)

 

 アールヌーヴォー、アールデコ、

 茶室、洋館、レトロ……

 形式、文化、年代、素材など、

 書店さんのアート本コーナーには

 さまざまなテーマの建築写真集が並んでいます。

 

 この御本は、そういった多様な《建築本》の中でも、

 ちょっとヒネリが効いていて。

 

 著者・宮田さんのインタビューに答えているのは、

 15人の建築マニアさんたち。

 

 彼/彼女が、語るのは――

 

「だんちィ??」

「がるるーるー?」(←訳:エレベーター?)

 

 或るマニアさんが長年追いかけているのは、

 『秀和レジデンス』――

 1960年代から’80年代にかけて建てられた

 シリーズマンションです。

 

 別のマニアさんは、

 『テラゾー』という、

 砕いた天然石をセメントモルタルに混ぜて研磨した素材、

 に魅せられていて。

 

 また別のマニアさんは、

 『エスカレーターの未来感』に、うっとり♫

 

「むむふゥ? これはッ?」

「ぐるっるる~!」(←訳:SFっぽい~!)

 

 建物の壁を這うように、

 上へ下へ、右へ左へと伸びてゆくのは、

 雨どい、ガス管、排気ダクトなどの

 配管。

 

 配管が美しいと、今まで思ったことはない……んですが、

 本文152~163ページの『配管の美と匠(たくみ)』を読み、

 写真を見れば、

 意識はくるりと反転します。

 

 これは確かに、美しい!

 

「こッちはァ、おといれッ?」

「がるぐるがるる~?」(←訳:映画とは違うね~?)

 

 映画になって、

 アカデミー賞にノミネートされた

 渋谷区の新型公衆トイレに対し、

 ここで紹介されているのは、

 千代田区や、新宿区の公衆トイレです。

 

 新品の新型、ピカピカ、ではなくても、

 これはこれで、

 飄々とした味わいというか、

 独特の風合いがある建物で、

 マニアさんがカメラを構えたくなっちゃう気持ち、

 よく解りますねぇ。

 

「ほかにもォ~ありまス!」

「ぐるる!」(←訳:送水口!)

「きゃばれェー!」

「がる!」(←訳:灯台!)

 

 建築マニアさんが愛する、

 細部の美、

 大局の美。

 

 建築好きな活字マニアさん、

 そして、

 街歩き大好き!という方々におすすめですよ。

 春のお散歩に出掛ける前に、

 ぜひ、一読してみてくださいな♪

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