「こんにちわッ、テディちゃでス!
わォ! はるのォいろあいィ~♫」
「がるる!ぐるるる~!」(←訳:虎です!香りも春~!)
こんにちは、ネーさです。
花屋さんの店頭は、スイートピー、フリージア、菜の花、
温室栽培のサクラにモモの花……と満艦飾ですね。
春の花々の可愛らしさにうっとりしながら、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― ついでにジェントルメン ――
著者は柚木麻子(ゆずき・あさこ)さん、
単行本は2022年4月に発行されました(現在は文庫版も刊行されています)。
『Tired of taking a backseat to gentlemen』と英語題名が付されています。
さまざまなテーマをかかえた
短編7作品が収録されているこの御本で、
「ぷふふふッ!」
「ぐるるるっ!」(←訳:くすくすっ!)
と、笑いが止まらないのは、本文113ページの
『エルゴと不倫鮨』。
「ぶたいはァ~おすしやさんッなのでスゥ!」
「がるぅるるぐるるるるる!」(←訳:オシャレなイタリアン鮨!)
東急沿線の某駅から、徒歩で20分。
マンションの地下1階にある
会員制イタリアン創作鮨のお店『SHOUYA mariage』は、
今夜も繁盛しています。
いかにもリッチそうな、
外資系投資運用会社の営業部長さんも、
部下の美しい女性と、
食事をいただこうとして――
おやっ?
新たなお客さんが、ドアの前で仁王立ちに?
「うきゃッ! あかちゃんッ!」
「ぐるーるぅるがる!」(←訳:ベビーちゃんだね!)
お店を訪れたのは、
ミルクの香りも神々しい赤ちゃん……を抱っこする
ひとりの女性でした。
ヨレヨレのカットソー、
ボトムは灰色のスウェット、
重そうなマザーズバッグを提げ持って、
そのぅ、お高級な創作鮨店の雰囲気には
全く合致しない服装に、
シェフは眉をひそめたのですが。
お店のオーナーの、お母さんの友だち。
という、
天下御免の切り札を出されては、
無理やり追い返す訳にも行きません。
「くひひひッ♫ ではァ~」
「がるぐるる~る!」(←訳:注文いきま~す!)
営業部長さん他、
着飾ったお客さんたちの視線など
微塵も気に留めず、
赤ちゃん連れの女性は、
いざ、オーダー開始!
妊娠中から授乳中の長~い期間、
お酒やら生ものやら刺激物やら、
たくさんの食べ物を我慢してきた……
それも、今夜で終わり。
赤ちゃんが卒乳してくれたから、
お酒、解禁! お鮨も、解禁!
美味しいものを
好きなだけ食べてやる~!!
「わははッ、おめでとうゥ~なのでス!」
「ぐるるぅるがるるぅる~!」(←訳:食べちゃえ食べちゃえ~!)
女性の健啖ぶりに圧倒されつつ、
営業部長さんの顔色は曇ります。
こんなこと、まったく予定になかった……
どうしてくれるんだ!
はたして、部長さんは何を目論んでいたのか。
その目論見の、結果は――
「しィっ! ばらしちゃァだめでス!」
「がるるるぐる~!」(←訳:ネタバレ禁止~!)
著者・柚木さんの本領が光り輝く、
爆笑必至な『エルゴと不倫鮨』。
学生さんたちのコロナ禍を描く『あしみじおじさん』。
文豪・菊池寛さん大活躍?な『Come Come Kan !!』など
7つの物語は豪快かつ痛快です。
ぜひ、一読してみてくださいね~♪