ひまわり先生のちいさな玉手箱

著書「ひまわり先生の幸せの貯金箱〜子どもたち生まれてきてくれてありがとう」

アプリでしつけ?

2013年07月09日 | こころの子育て
最近、子育て中のママたちから、
子どもが言うこと聞かないと
スマホのアプリを使うと聞きます。


子どもが親の言うこと聞かないと、
親がアプリを起動させます。

すると、セットした時間に鬼から電話がかかってきて、
「なんで、言うことを聞かないかな…
言うこと聞かないとこれから鬼がやってくるぞ」
と、おどろおどろしい声で脅します。
声だけでなく、スマホに移し出される鬼の怖い顔もじんわりこっちを向きます。

今日は、ワークショップで、私たち大人で、この声、聞いて、画像を見てみました。
「怖い」
大人たちの感想です。

まだ、鳴ってる気がして、つい携帯を確かめてしまうほど、
低くて、妙に間のあるしゃべり方の鬼の声は、耳に残りました。

大人の私が一回聞いただけで、声は耳に残り、映像まで目に焼き付いていますから、
これを何度も再生されると
子どもは、相当怖がり、泣き出したり、怯えてるというのは、よく分かります。

皆さんは、使っていますか?
もし、使っているとしたら、子どもさんは、どんな反応ですか?

子どもは、親に見捨てられたら生きていけない依存している無力な存在なので、
大人よりずっと、ずっと怖く感じるもの。
親が思っている以上に内心怯えているかもしれません。

いつも、鬼が自分を監視していると思うかもしれません。
そうだとしたら、とても、窮屈で、息苦しいでしょう。

子どもたちの将来が心配になります。
パニック発作や対人恐怖の原因になりそうです。
15年後くらいに、
常に、人の目を気にして自分らしく振る舞えずに
誰かに常に監視されているような息苦しいる感覚を訴えてきたクライアントに
セラピストが
「監視されてるのは、誰?」
と聞いたら
「鬼」
と答えるのかもしれません。

親に隠れてアプリを消す子どももいるとか。
こうして、鬼は親が言うことを聞かせるために、脅していた
親の自作自演を画策したものだと分かった時、
子どもは、親に不信感を持たないのでしょうか?


しつけ(躾)とは、身体が美しいと書きます。
Wikipediaによると、
躾とは、人間または家畜の子どもまたは大人が、
人間社会・集団の規範、規律や礼儀作法など慣習に合った立ち振る舞い(規範の内面化)ができるように、訓練すること。とあります。

つまり、躾とは、人間社会に適応的な美しい立ち振る舞いを教えることと言って良いでしょう。
立ち振る舞いを教える方法に、脅しを使うとどうなるでしょうか?

子どもは怯え、お母さんに怒られないようにと、お母さんの機嫌ばかり伺い、
どういう行動が良いか悪いかを身に付けるのではなく、
人に怒られないように立ち振る舞いするようになってしまいます。
そうすると、社会規範が身につくのでなく、
人に怒られないように振る舞うのが上手くなります。

だから、良い行い、良くない行いという規範が身につきません。

「これをしたら、褒められるかな?怒られないかな?
怒られるなら、止めておこう。」

どういう行動を選択し、社会人として正しいかの判断基準は育たないまま、
怒られないなら、やって良い。
怒られそうだから、やらない。
怒られたら、過剰に怖がる。

最近は、会社に入って一年目に上司に怒られていけなくなる若者も多くなりました。
共通しているのは、彼らは、
「怒られないように生きてきた」
「怒られることが、過剰に怖い」
という点です。

脅すという叱り方は、伝統的に受け継がれてきたやり方です。
確かに脅すことが、子どもの行動を制止するのに、一番効果的です。
何かをしようとしている人に大きな声で
「危ない!」と叫んでみてください。
ビタリと止まるでしょう?

しかし、脅すことでは、行動するのが怖くなり、人の言うとおりにしか動けない、
石橋を叩いて渡るようなやろうと思ったことがなかなか実行に移せない
自発性にかける無力人間になってしまうでしょう。
これを続けていると、自分の人生を生きている感じがしなくなってしまいます。
他に脅す方法は、罰が当たると教える。
体罰も然り…。

言葉で躾ましょう。
決して、存在自体を否定して
「あんたは、ダメね~」
とは、怒らずに、行動だけを叱りましょう。

是非、お母さん、お父さんの肉声で
「いけないことは、いけない」
と、叱ってあげてください。

孤独な子育てをしているお母さんたちは、
子どもが言うことを聞かない時に、どうしていいか分からないのかもしれません。


ただ養育的に可愛がるだけでなく
「いけないことをいけない」と叱ってもらうと嬉しいもの。
これも、本当の愛情です。
それが、愛情体験…

アプリでなく、親が真剣に叱ることの大切さ…
例えば、寝る前に絵本を読む時、
どんなに読むのが下手なお母さんでも、
その子のお母さんの肉声で絵本を読んであげた方が、
プロのどんなに上手な朗読CDより
ダンゼン良い。
それと似ています。

「愛情体験」は、三種類。
一番大事なのは、無条件に存在を認める抱っこ、興味を持つ、微笑みかける。

そして、
条件付きで行動を認めるというのが二つ目。
好ましい行動をした時に褒める、認める、喜こぶ。

三つ目は、間違った行動をした時に条件付きで、行動だけ否定する。

子どもの発達段階に合わせて、この三つのバランスを変えながら、
今のその子に合ったバランスで愛情を与えることが大切です。

コメント (8)
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