ひまわり先生のちいさな玉手箱

著書「ひまわり先生の幸せの貯金箱〜子どもたち生まれてきてくれてありがとう」

映画「母と暮らせば」

2016年01月04日 | オススメです
映画「母と暮らせば」を観ました。

オススメです。

吉永小百合さんと二宮和也さんが親子の役で、
長崎弁も上手、繊細な演技、息もぴったりでした。

家族や大切な人との別れ…。

広島、長崎の原子爆弾投下だけでなく、東日本大震災の時もそう。

病死、事故死でも突然の別れを余儀なくされてしまうこともあります。

また、関係が破局して、生きてお別れする場合だってそう、「別れ」は辛いものです。


突然市民の頭上に落とされた一発の原子爆弾の悲劇。
遺族は、心の準備ができないまま、遺体も特定されないまま
諦めきれない悔しさや、
持って行き場のない怒りを持って

戦後生き抜いて来られた複雑に葛藤する気持ちを
理解出来たように思いました。

惨さは表現せずに柔らかなタッチで、心に染み渡るように、
遺族だけでなく、亡くられた側の気持ちまで伝える
巧みな脚本の映画です。

実際70年前の長崎で、私の叔母さんは、原子爆弾投下の日、
爆心地近くの小学校の工場に学徒動員されていました。

私の母は、焼け野原を探しに行った時に、すさまじい光景にショックを受けた上に、

何度も探し回ったけれど、
とうとう人々の変わり果てた姿の中から
姉と特定するに至らなかったそうです。

その恐ろしい経験がトラウマになって、母は、蝉時雨の暑い夏になると、
50年経って、毎年、夜中に悪夢でうなされていました。

私は、小さい頃から母のトラウマ体験を目の当たりして育ちました。

その母が生きていたら、おそらくこの映画を一緒に観に行ったであろうと思い、
私は一人で観に行ってきました。

山田洋次監督が、井上ひさしさんの戯曲「父と暮らせば」の長崎版」母と暮らせば」の構想を引き継いだ映画だそうです。

描かれた原子爆弾投下の瞬間の描写は、トラウマ体験のある人や
小さな子どもが観ても大丈夫。


二宮和也さん演じる医学生の視点からのCGは、
原爆のグロテスクな恐ろしい部分をいっさい排除した上で、
人間が作り出した核というものがどれだけの威力で、
恐ろしい戦争兵器だということを見事に表現しています。

その一瞬に
一般市民の被害者の立場で、立ち会った感じさえ感じました。


戦争に翻弄される人々の細やかなこころのひだまで
本当に良く描かれていて、
亡くなった叔母や苦しんだ母を思い、目が腫れるほど、泣きました。

亡くなった叔母の分まで、幸せにならんといかんと思いました。

また、今の日本人が忘れかけている
私たちが本来持つ繊細さ、妬みの心、思いやりの心、親子愛、夫婦愛について考えさせられました。

観終わって、ジワジワと感動が私の中に広がってきて、また観たいと思う映画です。
コメント (1)
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