自転車ひとり旅★

自転車大好きなTVディレクター日記。

中国式。

2010年04月30日 23時44分41秒 | おしごと日記
今日のブログに写真は要るまい。


コーディネーターのショウさんがあまりに勧めるので、
私は人生初の「中国式マッサージ」に行くことにした。

もともと私は肩もこらず、足裏をもんでもらっても
「やわらかいね~」と言われるくらい、
マッサージ要らずなのである。
でも、信頼するコーディネーターのショウさんが、
中国に来たらやらなきゃソン!
というので、行ってみた。



受付に座っていたのは、50代と思われるおばさん。
色黒なので、チベット系の血を引く方とみえる。
そのおばさんが、まず我々にこう聞く。
「普通のマッサージ? それとも幸せなマッサージ?」

幸せなマッサージとは、値段の跳ね上がるマッサージである。
もちろん我々が選んだのは「普通の」マッサージ。
そして部屋に連行される。
ショウさんは私に「監督はしっかりもんでもらいましょう!」と言って、
そのおばさんに何か指示した。
ショウさんは私に告げる。
「彼女、ベテランですから」

…なんと、私の担当は受付のおばさんとなった。
わたしは状況が分からず、ショウさんの方を見ていると、
若い子と別部屋に入って行く。
私は、まあ良いか、と腹をくくって、まずはベッドに仰向けになる。

さあ、ベテランマッサージ師によるショーの始まりだ。
ショウさんが「これをやらなきゃ来た甲斐が無い」とまで勧める
中国式マッサージの全貌が明らかになるのである。
私の胸は、不安と期待に高まった。



おばさんは、洗った手に何か粉のようなものを擦り付けている。
そしてその手は、まず私の顔をもみ出した。




固い。
手が、である。
苦労したんだなあ、と思った。

気持ちよくも何ともない「顔面マッサージ」から、
揉む手は徐々に下へと進んで行く。


その固い手は、頭→顔 そして肩へとやって来た。
ここで思わぬ敵が現れた。

おばさんの「吐息」である。
肩をもんでいると、おばさんの顔は私の顔の真上にあるらしく(私は恐くて目を開けられなかった)、
吐息が、直接顔に当たるのである。

これには参った。
私は、息を止めた。
かつて流行った「吐息でキッス」という歌が頭をよぎる。
「はやくどこかへ行ってくれ…」
(筆者註:てんてんさんの訂正により「ネット」だと発覚。知ってれば少しは楽だったかも?)


丁寧なおばさんのマッサージは、なかなか肩から下へと移ってくれない。
私は息を止め続ける。
おばさんの顔が私の顔から離れた一瞬をついて、息を吸い込む。
そしてまた息を止める。

そんな攻防は3分ほど続いた。
こんなに長い3分は初めてだ。


ようやく吐息から開放され、揉む手は腕~胸へと移動した。
すると、次なる敵がやってきた。

私はもう中年ではあるが、それほど脂肪が多いわけではない。
皮の薄い箇所もたくさんある。
そこがとにかく痛いのである。
ゴリゴリゴリゴリ。
掌で力強く、時計回りに、ひたすら揉んで行く。
5揉みくらいまでは良いのだが、10揉み目くらいから痛み出して、
20揉み目にもなると、とにかく痛い。
そして、相変わらず手は固い。
グリグリグリグリ。
おばさんはプロなので、決して手を抜かない。

そんな調子で、腹→太腿→スネ→足と、じっくり浸食するように進んで行く
おばさんの手。
ここで、極めつけの敵が現れたのである。

おばさん、油断したか。
放屁したのである。
それも、つまらなそうな音で。
私は、おばさんは私を揉むのがつまらないのかなあ、と思うと同時に、
再び息を止めざるを得なくなった。
おまけに、笑いをこらえるのに必死の状態となった。
笑ったら、きっとおばさんは傷つく。
笑ってはいけない。
でも、我慢するほど笑いがこみ上げて来る。
私は、この日のために訓練して来たのだと言い聞かせ、
必死のポーカーフェイスを繰り出す。




結局、おばさんは2度放屁した。
私は、息を止め過ぎて放心状態となり、
体中が痛くなった。

中国式。
何のことは無い、適当に体をまんべんなくグリグリされただけのような気がする。
しかしわからないぞ、と言い聞かせる。
明日朝起きたら、体が軽くなっているかも知れないではないか?


なお、ショウさんに「どうでした?」と聞いたら、
60点、と言いながら、満足げな顔をした。