△恋とスフレと娘とわたし(2007年 アメリカ 102分)
原題 Because I Said
staff 監督/マイケル・レーマン 脚本/カレン・リー・ホプキンス、ジェシー・ネルソン
撮影/ジュリオ・マカット 美術/シャロン・シーモア 音楽/デイヴィッド・キティ
cast ダイアン・キートン マンディ・ムーア ガブリエル・マクト トム・エヴェレット・スコット
△やっぱり甘いものが好き
英語が喋れないのは困ったもので、原題の『Because I Said』ってのもよくわからん。
勝手に意訳すれば『だから、いったでしょ』とか『ほら、ごらんなさい』って感じなのかな?
邦画の場合、これをタイトルにするのは難しいよね。
そんなことはいいんだけど、いかにもダイアン・キートンっぽいタイトルだ。
ていうか、人物設定も筋立ても、いかにもダイアン・キートンだ。
ぼくは、彼女がウディ・アレンとつきあってたときから、けっこう贔屓にしてる。
コメディもシリアスもきちんとこなすし、うまい女優さんだな~とおもってきた。
今回もそうで、
スタイルもセンスもよくて、お菓子作りの腕は最高なのに、おせっかいで、口が悪く、
過保護の塊で、実をいうと娘よりも自分がいつまでも恋をしていたい、
っていう、なかなかいそうでいない還暦過ぎの母親を、あっけらかんと演じてる。
下ネタ満載の母子の会話や露骨な冗句に、
慣れてない人は辟易するかもしれないけど、
いつまでも若くて、性に関して開放的な感じを出そうとしてるんだろね。
この頃、ケーキでも、あまり甘くなくて軽い感じです、とかいうのがあるけど、
「ケーキってのは、甘いものを欲しいから食べるんじゃないのかい」
とかいいたくなっちゃう。
恋もケーキも、じょわじょわに甘い方がいいじゃん。
甘いものが出てる映画だと、
やっぱ『ショコラ』のチョコレートや『アメリ』のクリームブリュレだけど、
この映画にある『スフレ』もまた象徴的に使われてる。
結婚適齢期から外れてしまいそうな娘や、恋愛適齢期を過ぎてしまいそうな母親って、
つまり、焼き上がってからどんどん時間が経ってる『スフレ』なんだよね、
ヒッチコックの愛したスフレは、焼き立てがおいしくて、時間が経つとしぼんじゃう、
つまり、恋もスフレもいちばん美味しいときに食べなくちゃいけない、
かといって、自分の持ってるスフレはひとつだけじゃない、
還暦すぎても恋のできるダイアン・キートンのように、がんがんスフレを作っていけば、
人は、何度でも焼き立てのスフレのように美味しくなれるんだ、
だから、結婚適齢期だの恋愛適齢期だの、
そんなこと気にしてたら始まらない、
スフレみたいに甘い恋なんてできないよ、
てな話だと受け止めればいいんだろか?