◇ヒステリア(2011年 イギリス、フランス、ドイツ、ルクセンブルク 100分)
原題 HYSTERIA
staff 監督/ターニャ・ウェクスラー 脚本/スティーヴン・ダイア
撮影/ショーン・ボビット 美術/ソフィー・ベッチャー
音楽/ガスト・ワルツィング 衣裳デザイン/ニック・イード
cast マギー・ギレンホール ヒュー・ダンシー フェリシティ・ジョーンズ ルパート・エヴェレット
◇1890年、大英帝国
ぼくは、これまで、
いわゆるバイブという代物は日本人の発明だとおもいこんでた。
それが、第二次産業革命のもたらしたものだなんて、
さらにいえば、医療用のマッサージ器具として開発されただなんて、
まるで、知らなかった。
いや~、無知ということは恐ろしい。
ただまあ、監督が女性っていうこともあるんだろう、
電マとはほとんど関係ない並列した恋愛話として爽やかに仕上げられてる。
マギー・ギレンホールが電マの開発にまったく関与しないばかりか、
あんなものは医療とは関係ない性具よってな感じで、
さらりと断言しちゃうんだから、
いったい、この映画の主題はなんなんだろうって、ちょっと考えちゃう。
電マの開発秘話なのか、
それとも、
ヴィクトリア朝における参政権も与えられてない女性蔑視の克服と、
貧者の施設の充実をめざす女性の恋愛話なのかって。
たしかに、
女性の権利を訴えればヒステリーという名の病気だと烙印をおされ、
それを治癒させるためには子宮摘出しかないなどとされたのが真実なら、
こんなあほな状況は打破しないといけない。
迷信の先行する男中心の社会は根本から覆すべきだよね。
それに、
お金持ちの女性はヒステリーという病気があるという前提に立って、
旦那や彼氏との間に欲求不満が解消されないでいるから病気になるとして、
医者に性的なマッサージを受けることで癒されていたなんて状況も、
やっぱり、あかんでしょ。
性的な欲求不満は、成人であるかぎり男女を問わず当然のことで、
それを解消できる性具があるなら、きわめて真摯に開発しないと。
ただ、どっちが、映画の本題なんだろう。
せっかく、誰も映像化しなかったヴィクトリア朝のバイブ開発秘話なんだから、
それを、狂言回し的な扱いじゃなくて、話の臍にもってきて、
マギー・ギレンホール演じるところの闘争的な姉もそれを認めて、
みずから開発に手を貸すっていう設定にした方が、
ぼくとしては納得しちゃうし、おもしろいとおもうんだけどな~。
でも、性具というのは、ほんとに扱いが難しいよね。
日本のこういう技術はきわめて優秀だから、
日々、進歩と充実が図られてるし、需要もあるはずなんだけど、
どうしても、日のあたる所に出てこない。
とくに、欧米よりも日本の場合は、
つつましやかで禁欲的な生き方が美徳とされているから、
陰の代物になって、一部の人達だけの愉しみになってるし、
多くの一般女性は、これを知らずに寿命をまっとうしちゃう。
むつかしいところだよね、いやまじに。