◇三国志英傑伝 関羽(2011年 中国 109分)
原題 關雲長
英題 THE LOST BLADESMAN
staff 監督・脚本/フェリックス・チョン(莊文強) アラン・マック(麥兆輝)
撮影/チャン・チーイン 美術/ビル・リュー リウ・チンピン 音楽/ヘンリー・ライ
衣裳/チャン・リン 武術指導/ドニー・イェン(甄子丹)
cast ドニー・イェン(甄子丹) チアン・ウェン(姜文) スン・リー(孫儷)
◇後漢末期、建安5年(200)
関羽、千里を行く、
というのは、三国志演義にある、
『美髯公、単騎、千里を走り、
漢寿亭公、五関に六将を斬る』
というところだが、この映画の場合、
献帝の人となりなど、映画なりの脚色がほどこされている。
好みかどうかは、観客によっていろいろと分かれるだろう。
でも、これまでにも書いてきたように、事実は事実、映画は映画だから、
正史や三国志演義がどうだろうと、映画独自の筋立てに納得できればそれでいい。
関羽が劉備の許嫁だった女人とかつて恋仲だったという設定は、
別段、とっぱずれたものでもないし、
たとえば、別な物語ができて、
赤壁の戦いの後に、劉備が呉から後室を娶る際、
警護を任された趙雲と呉夫人とが抜き差しならない仲になったとしても、
それはその物語に必要な設定であれば、それでいいとおもっちゃう。
今回の場合もそうで、関羽の恋心がなければ盛り上がらないし、仕方のないことだ。
けど、どうせなら、
劉備のふたりの夫人のどちらかとそういう仲であってほしかったわ~。
ま、それはともかく、
甄子丹は小柄ながら、見事なものだった。
とくに、左右に高い壁をめぐらせた回廊での一騎打ちはたいしたものだ。
曹操の設定も悪くない。
このところ、曹操の造形は悪役ではなく不世出の人物として捉えられることが多い。
好いことだ。
ただな~、この映画に限らず、たいがいの史劇は、
「民のために」
とかいうんだけど、
そういうあたりが、どうにもリアリズムに欠けてる気がしてならないんですわ。