△怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス(1972年 日本 85分)
staff 監督/飯島敏宏 脚本/千束北男(飯島敏宏)
撮影/稲垣涌三 美術/池谷仙克 視覚効果/飯塚定雄
特殊技術/大木淳、中野稔 音楽/冬木透
主題歌/子門真人、荒川少年少女合唱隊『ダイゴロウ対ゴリアス』
挿入歌/桜井妙子、スタジオ・シンガーズ『ララバイ オブ ダイゴロウ』
子門真人『ぼくのおじさん』『そしてエピロオグ』
cast 犬塚弘 三波伸介 小坂一也 小林昭二 浜村純 小松政夫 天地総子 田坂都 人見きよし
△特撮とボク、その44
実は、ぼくはこの映画をまったく知らなかった。
そういえば、ハラペコ怪獣とかいうのがいたな~という記憶はあるんだけど、
それがどんな怪獣だったのか、まったく見当もつかなかった。
まあ、むりもないよね。
この作品が封切られたのは、ぼくが中学1年生の冬休みだったんだから。
当時、ぼくはかなりなませがきで、
「子供向けの怪獣映画はもういいわ」
というようなことをうそぶく青二才だった。
背伸びしようとおもってたわけじゃないけど、
ちょっとずつ大人になっていこうとしている真っ最中で、
小説もちょいと背伸びして江戸川乱歩全集や横溝正史全集を買うのが楽しみだったりした。
文庫本は創元推理文庫を手にとったり、ハヤカワポケットミステリを買ったりして、
いっぱしの小説読みのような気になり、
映画も洋画を観に行き出したりして、特撮映画からは足を洗ったような感じだった。
こういう突っ張った時代は数年しか続かず、
結局、大学に入ってからは特撮映画をむさぼるように観に行ったりしたんだけど、
そうした数年間の穴ぼこの時代に、この作品が封切られた。
だからまるで知らなかったんだけど、
とはいえ、当時、この作品を観ていたとしても、好印象はあまり持てなかっただろう。
子供向けってことは、犬塚弘の発明おじさんの設定でよくわかるんだけど、
ダイゴロウに身を入れて食糧を買い与えてやろうと奮発する三波伸介のちょっと理解できない。
長屋住まいの気の好い鳶職ってのはわかるものの、
それじゃあ人情物の時代劇だよ~ってくらい、なんだが時代がアンバランスだ。
子供たちが映画を観たとき、三波伸介とその周辺の人々はどんなふうに感じられたんだろう?
たしかに三波伸介は芸達者で、ここでもいい味を出してるんだけど、
それだけに、なんだか浮いちゃっててかわいそうな気にもなる。
これは役者たちみんながそうで、なんだか無理してないか?と。
ともかく、
このカバとムーミンを足して怪獣の背中をくっつけたようなダイゴロウは、
ぼくにとっては辛い怪獣のひとつになった気がするんだよね。