▽ゴジラvsモスラ(1992年 日本 107分)
英題 Godzilla and Mothra : The Battle for Earth
staff 監督/大河原孝夫 特技監督/川北紘一 脚本/大森一樹 撮影/岸本正広 美術/酒井賢 バトラ・デザイン/吉田穣 コスモス・コスチューム/出川淳子 衣装/多勢美智子 音楽/伊福部昭 主題歌/コスモス(今村恵子・大沢さやか)『モスラの歌』作詞:田中友幸・関沢新一・本多猪四郎、作曲:古関裕而、編曲:高田弘 挿入歌/コスモス『マハラ・モスラ』『聖なる泉』作詞・作曲・編曲:伊福部昭
cast 別所哲也 小林聡美 村田雄浩 田中好子 小高恵美 米澤史織 小林昭二 今村恵子 大沢さやか 大竹まこと 篠田三郎 宝田明 黒部進 渡辺哲 大和田伸也 上田耕一 本多俊之
▽特撮とボク、その55
「もう、パクリはやめましょうよ」
と、当時の製作陣の中で、悲痛な声は上がらなかったんだろうか。前作が『ターミネーター』で、今度が『インディ・ジョーンズ』とかって、ありえないでしょ。前作の『ゴジラVSキングギドラ』ではスピルバーグ少佐とかいう海軍佐官まで登場させて、いったいどれだけハリウッド好きなんだって感じだったけど、学生の自主製作映画じゃないんだからやっぱりパクったらダメだよね。もしもこれがオマージュとかいうのであれば、もうすこし品の好いオマージュにしなくちゃあかんのじゃないかしら。あ、品の好いってどんなのだよとかって開き直られても困るけど。
ハイビジョン合成の初採用とか特撮は確実に進歩しているし、音楽もますます厚みを帯びてきて、実をいえば前作から伊福部昭は晩年の大成にいよいよ達しつつあるような見事さだと感じるんだけど、筋立てがね、どうにもね、つらいんだよね。
ちなみに、黒いモスラことバトラの話なんだけど、バトルモスラの略なんだよとかって話はなんちゅう安直さだと笑い飛ばすしかないからいいとして、もうちょっとまじな話だ。モスラとバトラが二律背反する存在で、しかも地球の摂理が生み出したという自然の守護神的なものだと仮定されるのはかまわないし、その復活と対決する引き金があまりにも安易にインファント島の開発っていう設定はなんなんだよってのはさておくとしても、こうした背景をもった怪獣がふたつ登場して睨み合いの構図をとるのであれば、そこへゴジラが乱入するのは物語をややこしくする以外のなにものでもないような気がするんだけど、どうなんだろ?