◇英国万歳!(1996年 イギリス 111分)
原題 The Madness of King George
staff 監督/ニコラス・ハイトナー 原作・脚本/アラン・ベネット
撮影/アンドルー・ダン 美術/ケン・アダム
衣装デザイン/マーク・トンプソン 音楽/ジョージ・フェントン
cast ナイジェル・ホーソーン ヘレン・ミレン イアン・ホルム ルパート・グレイヴス
◇1811年、ジョージ3世、ご乱心
こんにちでは、ジョージ3世の乱心はポルフィリン症だったということが、ほぼ定説になってるらしい。
映画の終わりにそのことわりは掲げられてるけど、ただ、この発病のときに完全に癒えたわけではなくて、結局のところ、愛人と借金の大騒動でジョージ3世をひどく悩ませてたジョージ4世は摂政になって、それまでの放蕩息子ぶりとは打って変わって名君主めいてきて、懸念だったナポレオン戦争も終結させたりしてるわけだから、映画の中で描かれてる肥満の陰謀家でちょっぴりドジな感じとはちょっとちがう。
ま、それはそれとして、ヘレン・ミレンはここでもたいしたものだ。ジョージ3世の妃、シャーロット・オブ・メクレンバーグ=ストレリッツを演じてるんだけど、いやまあ、ほんと、これだけ英国王室の女性を何度も演じてると、普段から気品が漂い始めるんじゃないかってくらい、板についてくる。ただまあ今回は主役ってわけじゃないし、これから先も精神に異常をきたす夫を支え続けていくにちがいない献身的な妻役なわけで、そういう配役からいえばちょっぴり地味だし、活躍の場といったら、28年の間に15人も子供を産んだのよってな話の延長で仲睦まじいところを見せるか、夫がもはやぼろぼろになって引き離され、拘束され、おしめをあてられたまま馬車に引きずり込まれたりするのを見ていられず、助けに飛び込んでくるあたりしかないんだけど、それはそれで充分に存在感を見せてくれる。
ところで、登場する女性たちの綺麗なことといったらない。これはほんと、目の保養でございました。