Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

モリーズ・ゲーム

2022年09月15日 23時40分40秒 | 洋画2017年

 △モリーズ・ゲーム(Molly's Game)

 

 ま、意見は分かれるよね。

 賭博に興味のない人間が観てもなんかわけがわからんうちに物語が進んでいくだけだな~とおもうかもしれないし、それを単に仕事と割り切り、その賭博場の経営に徹していく生き方と捉えることのできる人間はおもしろいとおもうかもしれないけど、ぼくは観ている内になんだか気持ちが悪くなってきて、これはぼくには合わない類いの人種を描いた映画だなっておもった。

 ジェシカ・チャステインは気張り過ぎだし、ちょっとつらい。

 ただそれだけの感想にしかならないなあ。

コメント

フラッシュバック

2022年09月14日 22時45分41秒 | 洋画2019年

 ◇フラッシュバック(Awake)

 

 おれは誰だ?で始まる映画のなんと多いことか。

 しかも目覚めたときに病院で、手錠をはめられ、連続殺人の容疑者にされ、ひと目でこの人は犯人じゃないと直感する看護婦と逃走してっていう、なにもかも予定調和で、さらにそれを追いかける刑事と、そいつがいちばん信頼してる保安官の息子が実は犯人だったとかっていう、もはや、これ以上ないってくらいの定番の物語なんだけど、なんで作ったんだ?っていうより、なんで観ちゃったんだ?と自問するべきだね。

 とってつけたような父親とのいさかいの思い出からあんたを犯人じゃないっておもったんだよねっていうノーブラでTシャツを着ちゃうダイナマイトボディのヒロインはフランチェスカ・イーストウッド。まあ、目許がそっくりね。

コメント

ポイズンローズ

2022年09月13日 23時36分02秒 | 洋画2019年

 △ポイズンローズ(The Poison Rose)

 

 よくもまあこれだけつまらない脚本に、これだけの役者を揃えられたもんだって感心するわ。

 ていうより、あれかな、かつて分かれた恋人が実は娘を産み落としていて、その娘の結婚相手が、自分とおなじように大学のアメフトのヒーローだったんだけど、どうにも女遊びと麻薬から足を洗えずに困っていた矢先、その結婚相手が不審な死を遂げると、これを見過ごせないかつての恋人が私立探偵になっている自分に連絡してきて、故郷で捜査を始めるっていう物語で、これにジョン・トラボルタの娘のエラ・ブルー・トラボルタが父娘の役で出演するからってことで、モーガン・フリーマン、ブレンダン・フレイザー、ピーター・ストーメアあたりが顔を出したって感じなんだろうか?

 そうとしかおもえない。

 しかし、トラボルタ、肥り過ぎだぞ。

コメント

運命は踊る

2022年09月12日 21時54分42秒 | 洋画2017年

 ◎運命は踊る(פוֹקְסטְרוֹט)

 

 サミュエル・マオズの意図したこととは違ってるかもしれないんだけど、人の運命なんてものはとんでもないところに落とし穴が待ち構えていて、それが果たしてほんとうに自分の運命だったかどうかすらわからない、かなり好い加減で曖昧なものなんだよねって話におもえる。

 この日本だって、過去の戦争のときに戦死広報が間違いだったなんてことはよくあった話で、絶望のあとに喜びがやってくるんだけど、それって誰かの犠牲のもとに届けられる喜びであって、それを心から喜ぶなんてことは難しいよねって話だ。いやまあ、繊細な人であればあるほど、こうした不条理には頭を抱えるわね。

コメント

芳華

2022年09月11日 23時41分48秒 | 洋画2017年

 ◎芳華 Youth(Youth)

 

 綺麗に撮るな~。

 物語自体はちょっと古臭くて、文化大革命や中越紛争のときの中国の若者たちっていうのは肉体を駆使した踊りや戦いは凄かったかもしれないけど、文化的にはかなり遅れててそれは恋愛や集団での考え方にも反映してて、いやきついわ~って感じになっちゃう。実際、汗の匂いが臭すぎるからいじめの対象になるとかってところは女の子の汗の匂いってそんなに嫌じゃないじゃんって反論したくなるし、でも、テレサ・テンの人気の凄さにはあらためてびっくりしちゃうし、そのときの赤い布を照明にふわりとかけるだけで世界を変えちゃう演出は見事だし、ダンスのときに肩甲骨ってこんなに自在に動かせるもんなんだって仰天するし、なんといっても戦場のワンカットで丈の高い草叢の戦闘を描いちゃう演出力は、フォン・シャオガン、すごいな。

コメント

輝ける人生

2022年09月10日 23時22分47秒 | 洋画2017年

 ◎輝ける人生(Finding Your Feet)

 

 リチャード・ロンクレインって監督は前作が『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』だったとかって聞くと、ああ、なるほどねって気になる。人生の老境にさしかかったとき、人はどうやってそれからの人生を楽しく過ごしていけるかっていう問題が、かれの中で大きくなってきてるのかなって気がするからだ。

 で、この映画は、とどのつまり、熟年離婚したイメルダ・スタウントンが、ロンドンに住んでるセリア・イムリーの厄介になって、ティモシー・スポールと新たな恋をめばえさせるだけじゃなくて、じじばばのダンス集団に入って人生の輝きをとりもどすって話で、いや、ダンスは観てて照れるし、ほかになかったのかって気になるけど、これだけ派手にやるから映画として絵になるんだろうね。でもな~。

コメント

イーディ 83歳はじめての山登り

2022年09月09日 22時52分31秒 | 洋画2017年

 ☆イーディ 83歳はじめての山登り(Edie)

 

 サイモン・ハンターって監督は知らなかったんだけど、手堅い演出をするんだね。

 ていうか、主役のシーラ・ハンコックも、その娘役のウェンディ・モーガンも初めて知った。ふたりとも綺麗だな。ただ、ウェンディ・モーガンが母親の日記を読んで、自分が要らない子だったんじゃないかっていうような突発的な感情を爆発させる場面は要らなくないか?この母子の亀裂は、シーラ・ハンコックが山で遭難するあたりまで引き摺って、母親が行方不明になってそれを追いかけてきた娘と和解するっていうくだりが描かれるのかとおもってたら、まるでなかった。え?って感じだけど、ま、いいか。

 ケビン・ガスリーがいまひとつ中途半端な設定で、もうすこし人を好くして、みんなに利用されながらもこの閉鎖的な田舎を出ていきたいのに、エイミー・マイソンにひきずられて家族の一員にさせられてアウトドア用品店の経営をさせられそうになってる青年にして、でも心のどこかでは山の案内人として生きていきたいとおもってるような素朴さを抱えながら苦しんでるって感じにしてほしかった。そうすれば、なんとなくエイミー・マイソンとは別れるんだろうな~としかおもえないラストももうすこしはっきりした感じになったんじゃないかっておもうんだけどね。

 でも、スコットランドのスイルベン山、ひょっこりひょうたん島をおもいだしたぞ。

コメント

すべてが変わった日

2022年09月08日 01時12分20秒 | 洋画2020年

 ◇すべてが変わった日(Let Him Go)

 

 ほかに方法はないのか?っていう物語だね。

 複雑な設定で、1963年、牧場主のケビン・コスナーとダイアン・レインの息子夫婦に子供が出来て、幸せな家庭が築けるかもしれないっていうところで息子が落馬事故で死に、嫁と孫は別な男と結婚して出て行っちゃうんだけど、その別な男の実家が信じられないような暴力一家で、孫をとりかえしに行くと凄まじく暴力的な環境で育てられてて、とりかえそうとしたらダイアン・レインは犯されそうになるわ、ケビン・コスナーは右手の指を四本も手斧でぶった切られるわ、もうめちゃくちゃで、結局、ふたりが乗り込んでいって、ケビン・コスナーの命をひきかえに嫁と孫をとりかえして、女家長レスリー・マンヴィル以下の家族を皆殺しにするっていう、ありか?っていう物語だった。きついぞ、これは。

 西部劇として企画されたんじゃないかってくらい西部劇みたいな脚本だ。しかし、ダイアン・レインもケビン・コスナーも年食ったな~。途中で小屋暮らしのインディアンの若者ブーブー・スチュワートに出会うんだが、孫を連れていかれた相手の家がかなり常軌を逸した家だっていう前ふりのためだけに登場したんだろうか?

 しかし、トーマス・ベズーチャ、演出うまいな。ことに、レスリー・マンヴィル、ほんと暴力的な人間の家庭を仕切ってる女の感じがものすごく出てるわ。

コメント

アンジェリカの微笑み

2022年09月07日 22時00分54秒 | 洋画2015年

 △アンジェリカの微笑み(O Estranho Caso de Angelica)

 

 ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58: 第3楽章: Largo  マリア・ジョアン・ピレシュで始まる。雰囲気よろし。

 リカルド・トレパが若くして死んだ新妻の写真を撮ってくれと頼まれて撮りにいくと、ファインダーの中で彼女アンジェリカことピラール・ロペス・デ・アジャラが微笑むっていう出だしなんだけど、まあそれがふたりの恋の始まりで、結局、牡丹燈籠みたいに訪ねてきて、霊界へ連れて行かれちゃうって物語だ。

 まあ、マノエル・ド・オリベイラ監督101歳の記念作品ってことなら、これはこれで微笑ましいっておもうしかない。

コメント

女王陛下のお気に入り

2022年09月06日 22時57分50秒 | 洋画2018年

 ◇女王陛下のお気に入り(The Favourite)

 

 日本人にはいまひとつ共感しにくいというか理解しにくいところがあるんじゃないか?

 ロケセットなのかスタジオなのかがよくわからなくなるくらい凝った作りの画面は見事だし、そういうところへのこだわりが『聖なる鹿殺し』とおなじくヨルゴス・ランティモスの特徴なのかもしれないけど、どうもね。オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズの3人が楽しんでただけだったんじゃないかって気がするよ。

コメント

ドミノ 復讐の咆哮

2022年09月05日 00時00分37秒 | 洋画2019年

 ◇ドミノ 復讐の咆哮(Domino)

 

 なるほど、ブライアン・デ・パルマは完全な雇われ監督に徹してたってことか…。

 これ、主役の拳銃を愛人とのセックスに夢中になって忘れちゃったおかげで相棒の老練刑事ソーレン・マリンを死なせちゃったことで必死になる若手刑事ニコライ・コスター=ワルドーの物語ってことになるんだけど、いや、つらいのはこのセックス相手の女の子はここしか出てこない。つまり、ニコライ・コスター=ワルドーの私生活はまるで描かれないんだよね。なんかな~。

 そのかわりに、ソーレン・マリンと不倫してたカリス・ファン・ハウテンに比重が置かれるんだけど、恋愛が発展しない分、おもしろさに欠けてくる。ちなみに、カリス・ファン・ハウテンはFBIの職員の役で出てるガイ・ピアーズの子を妊娠しちゃったのね。そのふたりを出演させるってのもなんかね~。

 で、よく観ると、この映画、ニコライ・コスター=ワルドーが製作総指揮になってんじゃん。だったら、主役の物語をちゃんと描いた脚本をデ・パルマに渡してほしかったな。画面は、あいかわらず、しょぼい原色が効いてるんだけど、カメラワークがなめらかじゃなくて、ちょっと興醒めしちゃうんだけどね。

コメント

マーシュランド

2022年09月04日 23時45分12秒 | 洋画2014年

 ◇マーシュランド(La isla mínima)

 

 湿地帯って意味らしい。不気味な音楽もいいし、湿地の真下に見下ろした空撮がとてつもなく美しい。

 単調に淡々と姉妹失踪事件の捜査が始まるんだけど、正義感の先行するラウール・アレバロと色々と練れてしまったハビエル・グティエレスの刑事ふたりがなんとなく良さげなコンビに見えて、とくにハビエル・グティエレスは女に甘くてたぶん淋病を病んでたりして、姉妹の母親ネレア・バロスが美人な分、なんか淫靡で不気味な雰囲気が醸されててええね。

 霊能者が農家の廃屋に娘たちがいるっていう夢の中の母親のお告げを話したあたりからどんどん身が入る。湿地の沼で発見、乳首はほじくりだされ、膣は裂傷、肛門も犯され、手首も落とされ、丸裸に剥かれて投棄されるという猟奇的な事件で、ブルーフィルムに出されてたかもしれないっていう写真とフィルム。いや、アルベルト・ロドリゲス、演出力あるわ。

 最後の湿地帯での犯人との格闘は『野良犬』みたいだったけどね。

コメント

ライ麦畑で出会ったら

2022年09月03日 22時26分17秒 | 洋画2015年

 ◎ライ麦畑で出会ったら(Coming Through the Rye)

 

 クリス・クーパーのサリンジャーがいかにも気難しい作家を醸し出してて、それはいいとおもったけれども、結局は、これもまた家族の再生と初恋(アレックス・ウルフとステファニア・ラヴィー・オーウェンのね)と自己肯定の軌跡の物語で、もうすこし上手に展開できてたらよかったのにな~とおもったりする。予告編の期待値を上回ることはなかったな。ま、ジェームズ・スティーヴン・サドウィズにとっては好い処女作だったとおもうけどな。

コメント

ヴィクトリア女王 最期の秘密

2022年09月02日 22時16分41秒 | 洋画2017年

 ◇ヴィクトリア女王 最期の秘密(Victoria & Abdul)

 

 ジュディ・デンチのビクトリア女王はなんとなく似てる気もしないではないけど、本物より威厳があるね。ま、そんなことはいいんだけど、結局、ビクトリアがアリ・ファザル演じる薄っぺらな献上品要員のいったいどこが気に入ったのかってことで、そこに説得力がないと、こういう上っ面だけの物語になっちゃうんのかもしれないね。

コメント

永遠の門 ゴッホの見た未来

2022年09月01日 22時29分20秒 | 洋画2018年

 ◎永遠の門 ゴッホの見た未来(At Eternity's Gate)

 

 ウォレム・デフォーのゴッホはよく似せてる。リシャルト・ロラント=ホルストシーレの描いたような枯れたひまわり畑の移動撮影は見事だな。アルルやサンレミの秋の風景も美しいし。ラスト近く、ゴッホは、神は君を苦しめるために才能を与えたのかと訊ねる神父にこう答える。

「もしかしたら神は時をまちがえたんじゃないかと。未来の人々のために僕を画家にしたんじゃないか、人生は種まきの時で収穫の時ではない、描くことは美点であり欠点だ、僕は人生の追放者だ」

 ま、そういうことだよね。

 ゴッホの死について、なかば幻想を見るように、西部劇みたいだという呟きと自分も拳銃を構えてしまう幻覚とがごっちゃになって銃撃されるんだけど、なるほど、こうやって表現するのがいちばんかもしれないね。まあ、ジュリアン・シュナーベルも、ぼくなりのゴッホ観だっていってるわけだから、この演出はこれでいい。

コメント