周城の集落を貫く通りは、等高線に沿って配置されているので、アップダウンは少ない。だが通りと直行する路地は坂道となっており、民居の屋根越しに洱海が眺められ、また後ろを振り向くと、棚田が広がりその先に蒼山の山腹がドンと立ちはだかっているのが見える。大理の地図をみると、大理古城も含め主要な集落は洱海の西側に立地している。今回ビレッジ・シリーズ冒頭の章で書いた、琵琶湖の湖西地方と同じオリエンテーションである。大理と湖西地方とでは、標高や気候が異なり、これをもって同質とはみなせない。だが傾斜地故、棚田を有している点、そして集落に隣接する西側に山を抱き、西日が山の陰に早い時間に沈むといった点、古代から人々が定着し、湖の西側の方が比較的早くから開けたという点で、類似している。こうした類似性が、農作物や日々の暮らし方と、どんな関係性をもっているかは、私達の駆け足調査だけではわからない。だが民居歩きの経験で洞察すれば、古代人が住まいを定めようとする際、西日があたるような所では、収穫した作物が傷みやすいので、貯蔵という観点から南向きや東向きが好まれたのかもしれない。
路地は曲がりくねっているため、歩いてゆくと民居が様々なアングルで出現し、シークェンスの変化があって面白い。正面には洱海を眺めるという構図は、絵になる風景だ。そんな路地を足の赴くまま行くと、ざわざわと人の気配を感じる。そういう時は、大概子供達である。坂道を遊びながら、私達の後をついてくる。よくみると同世代の子供達だが、何故か頭数が多い。中国は一人っ子政策を進めているが、中央政府が決めたこととは無関係に、この村の生活があるのだろう。
民居は三合院が多い。白壁脇の門から入ると、日当たりが良く、居心地の良さそうな中庭が出現する。背の高い壁や周囲の母屋が、洱海や蒼山からの風よけとなっているのだろう。中庭に面する母屋は、前面開口部となり木造建具が納まっている。建具を開け放せば、中庭と居室とが一体的な空間となり、風通しや使い勝手の良さが伺える。このように風土や使い勝手を踏まえ、居住性の高い環境を実現している民居は、大変優れたデザインである。中庭では、地場産藍染めの繊維を乾燥させているところだった。
1999年8月撮影
Canon EOS3.F3.5-5.6/EF28-135mm.コダクロームⅡ.
CanoScan9950F
路地は曲がりくねっているため、歩いてゆくと民居が様々なアングルで出現し、シークェンスの変化があって面白い。正面には洱海を眺めるという構図は、絵になる風景だ。そんな路地を足の赴くまま行くと、ざわざわと人の気配を感じる。そういう時は、大概子供達である。坂道を遊びながら、私達の後をついてくる。よくみると同世代の子供達だが、何故か頭数が多い。中国は一人っ子政策を進めているが、中央政府が決めたこととは無関係に、この村の生活があるのだろう。
民居は三合院が多い。白壁脇の門から入ると、日当たりが良く、居心地の良さそうな中庭が出現する。背の高い壁や周囲の母屋が、洱海や蒼山からの風よけとなっているのだろう。中庭に面する母屋は、前面開口部となり木造建具が納まっている。建具を開け放せば、中庭と居室とが一体的な空間となり、風通しや使い勝手の良さが伺える。このように風土や使い勝手を踏まえ、居住性の高い環境を実現している民居は、大変優れたデザインである。中庭では、地場産藍染めの繊維を乾燥させているところだった。
1999年8月撮影
Canon EOS3.F3.5-5.6/EF28-135mm.コダクロームⅡ.
CanoScan9950F