まだ大理〜麗江の集落で道草をしている。集落の路地を歩いていると、上の写真のように、門扉に貼られた、菱形の紙札が目に付く。同行したチー先生の説明では、亡くなられた人がいるということを表しているそうである。確か1年(記憶不明)以上貼っておくと聞いた記憶がある。中国を歩くとこうした紙札をしばしばみかける。
中国は、2000年間「儒教」の教えによる先祖崇拝を基本としている。祖先の墓を立派に設え弔うことで、生きている者の繁栄と幸福をもたらすと、されている。葬送形式は、従来から土葬が基本である。文化大革命以後火葬が、中央政府によって進められてきたが、遺骨を納める墓を必要とする点では、日本と同様である。ただし小数民族に対しては、昔ながらの土葬が認められているようである。
話は変わるが上の写真は、フィルムスキャナーで、リバーサルフィルムの画像をデータ化したものである。渋い色や彩度の高い色といった心地よい発色は、コダクロームⅡフィルムの発色特性が、WEB上の至極軽いデータでも大変顕著に表れている。このリバーサルフィルムは、近年製造中止とされた。優れたフィルムを葬送してくれた、デジタル化を不愉快に思う。当初デジタル化は、媒体が増えたのであって、その分私達は選択肢が増えたとおもった。しかし実際には、優れたフィルムがなくなり、結果として媒体の選択肢は増えずに、内容が変わり、性能が低下したのであった。それが不愉快の理由である。
デジタル撮影機材では、こうしたフィルムに該当するのが、カラーイメージセンサーである。現在すべてのデジタルカメラに搭載されているカラーイメージセンサーは、ラチチュードや感度といった撮影能力に於いて、フィルムには遠く及ばない。私の撮影経験では、カラーイメージセンサーは、一眼レフ規格の比較に於いて、フィルムの1/3以下の光情報しか記録できない。その理由は、フィルムとカラーイメージセンサーとの構造に由来する。フィルムは、縦型多層幕構造と呼び、光の三原色であるRGBを、3層構造の縦方向で記録する。他方カラーイメージセンサーは、RGB受光素子を1色毎に、ベイヤー配列という並べ方で平面配置し、光情報を読み取っている。フィルムの乳剤を受光素子と同等に置き換えて考えれば、わかりやすい。同一面積の平面上では、同サイズの受光素子を同数配置した場合、前者は1個の受光素子(乳剤)でRGBを記録するが、後者は3個の受光素子で、RGBを記録することになる。従って構造的にみれば、カラーイメージセンサーは、フィルムの1/3の情報しか得られない[注1]。つまり光情報の記録能力に関して言えば、退化したのである。あなた達は、それでもCとかPとかN等といった精密機械メーカーのプロモーションに踊らされて、デジタル撮影機材を愛用するのですか[注2]。
儒教的に言えば、敬う(性能の良さを今に反映させる)ことなく葬り去った。ということだろう。それでは、今生きている者の繁栄はおぼつかないだろう。
注1.井浜三樹夫、高田俊二:有機光電変換膜を積層したCMOSイメージセンサー,富士フィルム研究報告,第52号,2007.
注2.執筆時現在、多層構造のカラーイメージセンサーを搭載しているデジタル一眼レフは、SIGMA SD14だけである。
1999年9月撮影
Canon EOS3.F3.5-5.6/EF28-135mm.コダクロームⅡ.
Nikon Coolscan3.
中国は、2000年間「儒教」の教えによる先祖崇拝を基本としている。祖先の墓を立派に設え弔うことで、生きている者の繁栄と幸福をもたらすと、されている。葬送形式は、従来から土葬が基本である。文化大革命以後火葬が、中央政府によって進められてきたが、遺骨を納める墓を必要とする点では、日本と同様である。ただし小数民族に対しては、昔ながらの土葬が認められているようである。
話は変わるが上の写真は、フィルムスキャナーで、リバーサルフィルムの画像をデータ化したものである。渋い色や彩度の高い色といった心地よい発色は、コダクロームⅡフィルムの発色特性が、WEB上の至極軽いデータでも大変顕著に表れている。このリバーサルフィルムは、近年製造中止とされた。優れたフィルムを葬送してくれた、デジタル化を不愉快に思う。当初デジタル化は、媒体が増えたのであって、その分私達は選択肢が増えたとおもった。しかし実際には、優れたフィルムがなくなり、結果として媒体の選択肢は増えずに、内容が変わり、性能が低下したのであった。それが不愉快の理由である。
デジタル撮影機材では、こうしたフィルムに該当するのが、カラーイメージセンサーである。現在すべてのデジタルカメラに搭載されているカラーイメージセンサーは、ラチチュードや感度といった撮影能力に於いて、フィルムには遠く及ばない。私の撮影経験では、カラーイメージセンサーは、一眼レフ規格の比較に於いて、フィルムの1/3以下の光情報しか記録できない。その理由は、フィルムとカラーイメージセンサーとの構造に由来する。フィルムは、縦型多層幕構造と呼び、光の三原色であるRGBを、3層構造の縦方向で記録する。他方カラーイメージセンサーは、RGB受光素子を1色毎に、ベイヤー配列という並べ方で平面配置し、光情報を読み取っている。フィルムの乳剤を受光素子と同等に置き換えて考えれば、わかりやすい。同一面積の平面上では、同サイズの受光素子を同数配置した場合、前者は1個の受光素子(乳剤)でRGBを記録するが、後者は3個の受光素子で、RGBを記録することになる。従って構造的にみれば、カラーイメージセンサーは、フィルムの1/3の情報しか得られない[注1]。つまり光情報の記録能力に関して言えば、退化したのである。あなた達は、それでもCとかPとかN等といった精密機械メーカーのプロモーションに踊らされて、デジタル撮影機材を愛用するのですか[注2]。
儒教的に言えば、敬う(性能の良さを今に反映させる)ことなく葬り去った。ということだろう。それでは、今生きている者の繁栄はおぼつかないだろう。
注1.井浜三樹夫、高田俊二:有機光電変換膜を積層したCMOSイメージセンサー,富士フィルム研究報告,第52号,2007.
注2.執筆時現在、多層構造のカラーイメージセンサーを搭載しているデジタル一眼レフは、SIGMA SD14だけである。
1999年9月撮影
Canon EOS3.F3.5-5.6/EF28-135mm.コダクロームⅡ.
Nikon Coolscan3.