Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

Village Design 16. 大理・喜洲鎮の路上市

2007年11月01日 | field work
 雲南省の集落を歩くと、必ずどこかで路上市に遭遇する。そんな市を尋ね歩くのは、面白い。喜洲鎮は、大理地方の伝統様式を活かした「厳家大院」等の民居が公開されており、観光客も訪れる。ここの路上市も、藍染めによる地場産工芸品を扱う露天があれば、周辺で収穫され乾燥などの加工がなされた農産物、民族衣装に必要な刺繍等を扱う露天などをはじめ多様である。大概の場合売る側も買う側も少数民族である。路上市には、どこかリラックスさせてくれる空気が漂っている。
 路上市でペー族の小姐(シャウチー)と値切り交渉をするのも興味深い。さながら神経戦である。20分も交渉したあげく、時間がないから行くぞと相棒を促し、引き上げる素振りをすると、小姐が藍染めの風呂敷を持って追いかけてくる。(^0^)/ウフフ!!してやったり・・・こちらの思うつぼ、といった具合に。こんな悠長な商売でも、彼等にとっては貴重な現金収入の1つになる。だが私達にとっては、とんだ道草であった。同行の先生からは、スケジュールが詰まっているから、こんなところで時間をつぶすなよ!とぼやかれたが・・。
 実は、私達の今日の主目的は、沙坪(さへい)の小高い丘で行われるペー族の大規模マーケットである。私達が使った日本語ガイドブック「地球の歩き方」[注]では、毎週月曜日に行われると書かれてあったので、期待してでかけたのである。沙坪には、小高い丘はあったが、何も行われていない。地元民に尋ねれば、市は木曜日だという。開催曜日が変わったのか。ガイドブックは時間差があるから、推移する情報を補足しきれないのだろう。現実の方がめまぐるしく変わるのだから、所詮媒体情報等というものは、その程度のものでしかない。だから動き回って自分達の目で見るのが一番確かである。そんなわけで、私達は、昆明で調達したA1サイズの雲南省地図と、地球の歩き方を斜めに見ながら、地元民の聞き書きと、チャーターした運転手の記憶をかき集め、車を走らせた。現地にいかなきゃわからない・・・第一道があるとも限らないのだから。実際に崖崩れで通行できなかったときもあったが。
 旅は、予定通りに行かない。大切な点は、予定通りにゆかない場合の代案があればいいのである。もう一つ大切な点は、論文以外の媒体情報をあてにしないこと。現在のインターネット情報など、私は旅の経験からして、今でも全くあてにしていないし、もちろん信用していない。私達の世界で起きている現象を理解しようとすれるのであれば、どんな場合でもフィールド・サーベイといった現場主義が必要である。
 余談だが、これまで掲載した中国の写真は、すべてニコンのフィルムスキャナーを使用したので、コダクロームⅡ特有の色調を拾うことができた。今日のプログ写真は、フラッドヘッドスキャナーを用いてデジタル化した。スキャナーに遮光幕を被せ、画像には、修正に修正を重ねたが、上記のようにフィルムの色が全く活かされない眠たい画像になった。フラッドヘッドスキャナーは、私の場合全く使い物にならないことを実感した。そこで製造中止になる前に、ニコンフィルムスキャナーを購入しなければと思っている。フィルムスキャナーは、2,381万画素以上の解像度でスキャンできる。現在この画素以上の35mmサイズ・デジタル一眼レフカメラは、存在しない。フィルムで撮影し、フィルムスキャナーでデジタル化するのが、現在最も精細で美しい画像を得る方法である。フィルムスキャナー最上位機種であっても、EOS5Dよりは安い。現在のデジタル一眼レフカメラの性能は、銀鉛フィルムには遠く及ばないのである。こうした経験からでも、デジカメやインターネットやそれによる情報化社会など、いまだに未熟なスペックでしかないということを、私は痛感している。
 
注:地球の歩き方,雲南・四川・貴州と少数民族,1999〜2000版,ダイヤモンド社.
Canon EOS3.F3.5-5.6/EF28-135mm.コダクロームⅡ.
CanoScan9950F.
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