Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

Village Design 28.  石鼓鎮

2007年11月18日 | field work
 世界遺産麗江古城をベースに、周辺集落に少し足を伸ばした。麗江から西へ70km行くとチベットへ続く道との分岐点付近で、中国を代表する河川、長江に出会う。背後にある標高5596mの玉龍雪山に行く手を阻まれ、ここで長江は180度向きを変える。この急角度に進路を変える地点を長江第一湾曲と呼ぶ。湾曲部に立つと褐色に濁り荒々しく波だった、いかにも中国の川であることを感じさせてくれる。急峻な山肌から滑り落ちたのだろうか、足を上に突っ張らせた牛の死骸がながれてゆく。生活の一部を感じさせるような残渣もみられる。人間の生活を飲み込んでゆくような勢いで、長江は湾曲部を泰然と通過してゆく。三国時代の諸葛孔明、元の先祖フビライ、下って1936年の中国工農紅軍といった具合に、歴史もまた、この狭隘な地形の隙間を通り抜けていったのである。
 この湾曲部に面する斜面に石鼓鎮がある。古来よりチベットとの貿易として栄えてきた大変古い鎮である。鎮は、日本でいうところの町である。町を歩くと、細い魅力的な路地が多い。アップダウンの多い地形故に、随所で民居越しに、長江を眺めることができる。 残念ながら対岸に渡ることはできないが、こういうロケーションは、対岸から眺めると、瓦屋根の民居が幾重にも折り重なり、素晴らしい景観を呈しているのだと思う。いつも耳の奥に長江の響きだけが記憶に残る、静かな鎮である。
 
参考文献
中野謙二:石鼓鎮にみる長江のながれ,月刊しにか,Vol10,No.11.pp.2〜5 月刊しにか10、大修館書店.
 
1999年9月撮影
Canon EOS3.F3.5-5.6/EF28-135mm.コダクロームⅡ.
CanoScan9950F
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