Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

Village Design 20.  大理・周城

2007年11月06日 | field work
周城付近の畦道を歩いていたら、村人の一群が私達の前を横切っていった。陽気な子供達の後に、料理を乗せたデーブルを持った村人達が続く。白飯や椎茸、それに彩りが鮮やかなのは多分野菜を揚げたものだろうか。後ろのテーブルには、子豚の丸焼きがみえた。広東料理でもみたが焦がさずに焼き上げている。一群の後ろに目をやると、 民居の路地から深閑とした空気に包まれた少数民族の一群が、こちらに向かってくる。雰囲気か少し違うようだ。衣装も見慣れた若いペー族のものとは異なる。よくみると葬式のようだ。あの料理は供え物なのだろう。
 私は彼女たちが顔を隠す前にシャッターを押していたが、本来ならば撮影を控えるべきだったのかもしれない。撮影された衣装は、ペー族の大人が着用するのだろう。厚手の生地で織り上げられた帽子が小姐のものと形状が似ているようだ。きちんと正装していることがわかる。腰に巻かれた帯がアクセントとなり、全体としてなんともシックな装いである。
 大理の集落を歩くと、風土と生活に根ざした民居、料理、衣装にこの地域固有文化性を感じさせられる。現在、中国の経済成長によって、こうした風景が何時まで続くのは、私にはわからない。地域固有の文化が、観光資源として展示され、陳腐化するという現実も、中国では既におきている。生活の必然性や実感を欠けば、地域文化も単なる観光ショーやTVメディア等の道具でしかない。
 そうした陳腐な姿になれぱ、それは私達の関心外である。衣食住すべてにわたり、地域固有の文化性を捨ててきた、これまでの日本人の行動を思い起こせば、この地方のこれからの姿が懸念されるところである。といって私達には、こうした地域に対して、そのままでいるべきだ、などといった類の無責任な発想は、持ち合わせていない。複雑な心境で、私は葬列を見送った。
 
1999年8月撮影
Canon EOS3.F3.5-5.6/EF28-135mm.コダクロームⅡ.
Nikon Coolscan3.
CanoScan9950F
コメント
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